※この作品はR-18です。

山田リョウはタカりたい!   作:KKS

3 / 14
嵐の一日★

 そんなこんなで、山田ちゃんの出るライブ当日。聞いた瞬間はどんなセンスだよと思ったけど、やつらの名は結束バンドだ。その中で、われらが山田大先生はベースを務めている。

 

「やっ……。風つよっ、雨きっっっっつ!」

 

 アスファルトに浮いた雨水が跳ねる。

 袋を抱えて走りながら、若干の後悔。傘をさしてはいるものの、ご機嫌斜めな天候によって、結構な頻度で身体が雨風に曝されているのだ。

 よくよく考えると、こんな状態でまともに客が入るわけないのでは、と思えてくる。もしこれで、ライブ会場に着いても中止で門前払いなんてされた日には、ふてくされてしばらく寝込むぞ。山田ちゃんに確認を取らなかったオレも悪いけど、ひと息つかなければ電話をする気にもならなかった。そして、チケットを売りつけたあの女(山田リョウ)からは、当然のようになにも連絡はない。

 

「ぬおぉぉぉぉ……! 首洗って待っていやがれ、結束バンドぉぉぉぉぉ!」

 

 憎悪に満ちた叫びがこだまする。

 あっ、ただでさえ鬱陶しい天気なのに騒がしてごめんなさい。だから、不審者を見つけたような顔で後ずさるのはやめてください、そこのお姉さん。

 

「はあっ、はあっ……。て、天井と壁がありがてえ」

 

 ようやくたどり着いたぜ、ライブハウス・スターリー。

 まとわりつく水滴を、地下に続く階段の途中で払い落とす。ビニール袋の中身は、おそらく無事なはずだ。結束バンドが一番最初の登場となるので、空間はまだ静かなものだった。天気さえまともだったら、入った瞬間からもう少し賑わいを感じていたのかもしれないが。

 時間は開演ギリギリ。早くついたところで特にすることもないし、山田ちゃんも本番前に邪魔をされたくないだろう。これぞ、年上の余裕の気遣い。

 まあ、めっちゃ息は切れてるんですけどね。

 

「えーっと……」

 

 チケットを取り出しつつ、受け付けに向かう。金髪ロングのいかつめなお姉さん。雰囲気からして、あれが山田ちゃんの言っていたスターリーの店長さんなのだろう。

 悪天候で使える人員が限られているせいか、本日は直々の受け付けだ。

 

「あのー。お姉さんって、ここの店長さんですよね?」

「あん……? ああ、それがなにか」

「これ、お近づきの印に。山田リョウって女から、これがスターリーに入る作法だと教えられたので」

「はあ? 意味わかんないけど、んっ……なにこれ」

 

 周囲が薄暗いこともあって、店長さんの眼力がなんか怖い。

 対面早々に暗雲漂っている気がするんですけど、ちょっと山田さん……?

 怪訝な顔をした店長さんが、渡した袋の中身を取り出す。自分の財布とセンスと相談して選んだ、キュートなぬいぐるみが姿をあらわした。

 

「一見の客は、貢ぎ物を持参するのがスターリーの基本だって聞かされたもので……。もしかして、気に入りませんでした……?」

「……そんなルールあるわけないし。あいつは後でシメとくから、安心して。でっ、でも、ありがと。これは、もらっとく。んっ……。ライブ、愉しんでって」

 

 どうやら、オレはしょーもない嘘を鵜呑みにしてしまったようだ。とはいえ、店長さんは一応贈り物を気に入ってくれたようだし、突き返されるようなことがなくてほっとひと安心。雨中大事に抱えてきたのだから、これで貰われなかったらまじでヘコむ。

 

「おっ、いたいた」

 

 ドリンク片手に、会場後方に陣取った。客の入りはやはりまばら。自分としてはこのくらいの密度の方が落ち着くのだが、演者の立場としては寂しいにきまっている。

 ぱっと照らされたステージに、四人の姿が浮かび上がる。山田ちゃんはいつも通りの自然体。ほかのメンバーのことは、初対面だからなにもわからない。

 

「ふへっ、ふへへへっ……」

「いや、ちょっと違うか」

 

 来場を知らせるために、右手を振ってみる。ひきつる表情。ロボットのような身体の動き。返ってくる仕草のすべてが、ぎこちなかった。

 それもそうか、と容器の中身をずずっとひと啜り。新たに得た仲間たちとの初ライブなんだ。緊張するなという方が、きっと無理がある。その殊勝さを、普段の生活の中でもたまには見せてくれよな、と思わなくはないのだが。

 あんまり大っぴらに応援するのも恥ずかしいので、ぐっと親指を立てて山田ちゃんにサインを送る。返ってきたのは、静かな頷きだけだった。

 

♪

 

 結束バンドの出番が終わり、それから数組の演奏を残って見届けた。演奏の良し悪しとか、技術のどうのこうのを評論できる男ではない。だけど、いい音だと思った。二曲目からの勢いと熱量は、贔屓目なしに一番だったのではなかろうか。低音をしなやかに響かせる山田大先生の勇姿を見ることができたので、個人的には大満足だ。

 開始当初よりも人数の増えた店内を出て、外気にあたる。荒れに荒れていた天気も治まり、今じゃ吹き抜ける風が爽やかなくらいだ。

 

「あっ、見つけた。せっかくいいステージだったのに、お兄さんのせいで、店長から小言を百発くらいもらう羽目になったんだけど」

「人、それを自業自得という。でも、よかった。本気で予定すっ飛ばそうかと悩んだけど、きて正解だった」

「えっ、普通にひどっ……。グッズ、潤沢に用意してあるのでお布施はいつでも。特に、これなんていいと思う。どうせ箱推しになるんだから、メンバー全員分の色を今すぐ購入することがおすすめ」

 

 山田ちゃんの眼に銭のシルエットが浮かんでいる。腕につけたグッズらしきものを激推しされているのだが、それ確実にどこでも買える結束バンドに色つけただけですよね。いや、そんなに押しつけられても買わないので、どうかおやめください。

 無用心な密着。どことなく、いつもより山田ちゃんの匂いを強く感じるのは、ライブ後で汗をかいているせいなのか。

 

「おっ、勃ってきた。お兄さんのことだから、ライブ中に盛って乱入してこないか正直心配だった。ふふっ。我慢できたの偉かったね」

「ぬっ、おおっ……。いいの? オレ、乗せられやすいからすぐその気になっちゃうけど」

「いいんじゃない、別に。ねっ……。喉乾いたから、お兄さんの飲ませてよ」

 

 隣でエロい言葉を囁かれながら、階段を昇る。感謝いたします、神さま。悪天候なのに、頑張って出てきた甲斐がありました、ほんとに。

 

「あっちの路地裏、行こ。さくっと出せるよね、お兄さんなら」

 

 人気のない路地裏。ライブハウスとは、また違う薄暗さを強く感じさせる雰囲気がある。

 壁を背中に、山田ちゃんが足もとにしゃがんだ。数メートル歩いただけなのに、行為に対する期待で下半身のモノはガッチガチになっている。挑発的な視線。ライブ中には、決して見せることのなかった山田ちゃんの表情。今日は奉仕の心が働いているのか、苦戦しつつも口を使ってチャックを下ろしてくれている。

 

「わっ、すごっ。汗かいてるの、お兄さんも同じじゃん。匂い、すっごく濃いよ」

 

 取り出したペニスの先端を指で持ち上げ、山田ちゃんが根元の匂いを確かめている。これだけでも、暴発しかけるレベルのいやらしさなのだ。

 それも、誰に見られるかわからない普通の路地裏で、女子高生に汚いチンポをしゃぶらせる。これで興奮しない男がいたら、そいつは天然記念物に指定されるべきだ。

 

「あぁ……んむっ、んっ、もごもごっ。ちゅぱっ。ふへっ……。いい出汁でてますな、大将」

「んぐっ……。そりゃあどうも。お気に召したようで、幸いです」

 

 山田ちゃんの舌の蠢き。ライブ後の余韻があるのか、口内はいつもより熱っぽい。吸い上げる。じゅぱじゅぱと音が鳴った。ここがどこであろうと、二人で盛れば怖くない。チンポにタカる山田リョウの動きは、淫乱そのものだ。いつものクールで茫洋とした眼差しにも、どこか色艶が乗っている。

 

「我慢とか、れるっ……、しなくていいから。まあ、射精が生きがいなお兄さんのことだし、最初からぶちまける以外の考えないかもだけど」

 

 両手の指でぷにぷにと玉袋を弄びながら、根本から先端まで舌を這わせる。まあまあひどいこと言われた気がするが、山田ちゃんの仕草がエロいので、あっさり許してしまえるわけだ。

 オレの弱点を心得た舌技で、つい腰が跳ねる。我慢汁の浮いた亀頭の先が、山田ちゃんの額を掠めて前髪を押し上げた。やばい、気持ちいい。吸いつくような肌の質感。さらりと抜けていく髪のほのかな刺激。はっきり言って、癖になる快感だった。

 

「むっ……。精液出したら終わりのお兄さんとは違って、私これから打ち上げあるんだけど。顔、汚すのは本気でナシ。射精するなら、んあっ、はむっ、むっ」

「うあっ、それやばっ。や、山田ちゃん。あっ、ぐ……」

 

 頬張った亀頭を咀嚼するような動きだった。もちろん、歯は立てていない。ただ、むちっとした唇越しに感じるかたい感触が、男の劣情を掻きたてる。

 

「ふっ……。イケばいいじゃん、さっさと。ほら、だーせ、だーせ。んっ、じゅうるるるる、んっ、ぐぽっ」

 

 じゅぱじゅぱと巻き込まれた唾液の水音が、耳を強烈に刺激する。昇ってくる精液の奔流を、止められそうにない。いや、山田ちゃんの言うように、単にオレの堪え性がないだけなのかもしれないが。

 また、びくっと腰がふるえた。咥えている山田ちゃんには、反応ですべてバレてしまっているに違いない。

 

「かわい……、はむっ。んぅ、れろれろれろっ……」

「うっ……。このあと打ち上げあるんだったらさ、こんなの飲んでまずくない? 匂い、結構残るでしょ」

「ちゅぷちゅぷ、くぱっ……。ンッ……。心配ご無用。どうせ行くの居酒屋だし、塩辛でも食べれば誤魔化せる。イカ臭いのを隠すのなら、イカの中ってね。ぷっ、ふふっ。私って、知ってたけど天才」

「打ち上げで塩辛頼む女子高生ってなんだよ。チョイスが完全に、酒飲みのおっさんなんだけど」

「ううむ。となると、お酒飲めるようになったら、お兄さんから搾り取ったブツでちょびちょびやってみるのも実はあり……? うえっ、うっ……。なんだか、想像したらちょっと気分が」

「やっ。この場は飲んでもらわないと、確実に大変なことになるのですが。それに、結構限界……かも」

 

 飲むのはダメ。ぶっかけるのもダメ。そこまで選択肢を狭められると、こっちとしてはお手上げが。射精欲が収まるはずなんてないし、今はゴムだってもってない。

 

「……ウソ。だから、お兄さんの精液早く飲ませてよ。私の喉、こんなに待ってるのに。んあっ、あーんっ……」

 

 亀頭に優しくキスをお見舞いしてからの、喉奥に射精をねだるような激しい手コキ。鈴口をくすぐるだけの舌の動きが、とんでもなくエロいことになっている。

 あっけなく砕け散る、我慢という名の防御壁。痺れるような快楽の信号が、下腹部から脳にかけてグルグルと螺旋を描いて昇ってくる。山田ちゃんの背後にある壁に手をついて、限界までふくらんだペニスを口内に侵入させる。

 

「んぷっ、んっ、んっ、んくっ……。ふぶっ、うっ、んぐっ、ふーっ……♡」

 

 爆ぜる。欲望の塊が、ドクドクと脈打つペニスの先から放出されていく。山田ちゃんの瞳。喉奥の感触と同じくらいとろけている。

 出す。出し尽くす、という気持ちだけが押し寄せる。喉を何度も大きく鳴らして、山田ちゃんは粘っこいであろう精液を飲んでくれていた。

 

「んぐっ、くっ、んくっ……♡ はあっ、はっ、はふっ、ちゅううぅうう」

 

 吸いつく力が弱まらない。尿道に残った精液まで、余すことなく搾られる。幸福な痺れが脳内を満たす。肩を撫でられると、山田ちゃんはびくりと身体を跳ねさせた。

 

「はい、ごちそうさまでした」

「はあっ、はあっ……。お、お粗末さまでした」

 

 舌と唇できれいにしてもらったペニスが、だらりと口内から抜け落ちる。ぶっちゃけ唾液でドロドロになっているのだが、すぐに拭うのはもったいなく思えてきてしまう。差し出した右手につかまって立ち上がると、山田ちゃんはいつものようにクールに笑ってみせた。

 もうちょっと、せめてキスだけでも。自分が出したあとだから、なんて感覚はなかった。ただ、山田ちゃんの熱を少しでも感じていたい。それだけの気持ちで、そっと顔を寄せる。

 

「あっ、いたいたっ。捜しましたよ、リョウ先輩。いきなりふらっと消えちゃうだなんて、私心配で……。えっ……?」

 

 いい雰囲気を真っ二つにするような元気な声。そこにいたのは、山田ちゃんと同じ結束バンドのシャツを着た女の子だった。ボーカルをやっていた喜多ちゃんだったか。とにかく、ギリギリセーフのタイミングだったと思いたい。

 肩に乗っていた手を素早く離す。いずれ表沙汰になるにせよ、それが今であるべきでないことくらい自分でもわかっていた。それに、喜多ちゃんが飛ばしてくる凍てつくような視線がちょっと怖い。

 

「あの、そちらの方ってもしかして……」

「うん。お兄さんは、私のかれ……」

「かれ……? リョウ先輩、かれってなんですか? よく聞こえなかったので、はっきりもう一度お願いします」

 

 やめろ。それだけはやめるんだ、山田リョウ。

 本能が叫んでいる。先程までとはまったく別の意味で、心臓が跳ねまくっていた。

 

「か……、金づる! そう、このお兄さんこそ、私の誇る最強の金づる。もはや、歩く財布といっても過言じゃない」

「なぁんだ、そうだったんですね! リョウ先輩の言葉を聞いて、私とっても安心しました。お兄さんが、もし彼氏とかそういう感じの方でしたら、ここでピー(自主規制)して私もピー(自主規制)するところでした!」

 

 キターン。

 えっ。いや、なにそのかわいらしい声とエフェクトは。言ってる内容が物騒すぎて、ちっともオブラートに包めていませんけど。

 

「金づるなのにお金持ってないって言うから、ここで一緒に食べられる雑草探してた。ほら、ライブするとすごくエネルギー消費するし」

「なるほど、そうだったんですね! さすがはリョウ先輩、金づるのお兄さんにも情けをかけてあげられるだなんて、地球上の誰よりもお優しい! ……すんすんっ。あれっ? でも、なんだかちょっと変な匂いがするような……。はっ……!? まさか、食べたらいけないような雑草が胃の中に」

「も、問題ない。おいしいもので上書きすれば、きっとどうにかなる。ほら、いくよ」

「えっ、いくよっ!? それって、どっちの意味ですか、って……。ちょっと、あのっ、リョウ先輩いぃぃぃぃい……!?」

 

 事故寸前の勢いで、喜多ちゃんがテンションを乱高下させている。

 そんな彼女が山田ちゃんに引きずられてスターリーに消えていく様を、オレは呆然と見送ることしかできなかった。南無三。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。