重甲機兵セリアス×変異少女 コラボ特別編 ~新たなる侵略者と新興国~ 作:黒瀬夜明 リベイク
翌日、ジャーマ帝国の報道機関は、ドラゴニア星人の「
「それにしても、記憶操作ってのは凄いものなのね」
と、唐突にオレアナが話を切り出してきた。だがエルザはフルフルと首を横に振ると、オレアナの思考器官に直接語り掛けてきた。
「いくら会場が騒がしいとは言え、その話はマズいですわよオレアナ!」
「ああ、ごめんなさい。無意識に出た言葉なの、許してほしいわ」
「オレアナって、そう言う抜けてるところは、昔のままだね」
オレアナは、はぁ。とため息を吐いた。そしてエルザの思考器官にまた語り掛ける。
「あの記憶操作、本当に凄いものね。あれだけ助け合っていた私たちの事、アインもシュティも、完全に忘れているみたいだわ」
オレアナはチラリと、アインとシュティがいる方へ視線を向けた。アインとシュティはシィナたちと楽しげに会話をしている。
「まあ、操作した内容が「自分たちはシィナたちに憧れる一般兵士」ですから、私たちのことなど同じ部隊のメンバーくらいにしか思っていないでしょうね」
「でも本音を言えば、こっちの方が動きやすくて良いけどね♡はぁ、この会場にいる人間全員、今すぐおま●こで食べたいよぉ♡」
「確かに、ベタベタ付き纏われると餌が食べれないものね」
互いに思考器官で会話をしている為か、周囲の人物たちは自分たちの会話に気づいていない様子だ。もっとも、このパーティー会場の中にも既に数体の模倣体たちが紛れ込んでいるわけだが、やはりそれに気づく者はいない。やがて、エルザが口を開いた。
「さて、では私たちは参りましょうか。ここでの料理も飽きた事ですし♡」
「そうね♡」「うんっ♡」
エルザたちは手にしたグラスをテーブルの上に置くと、会場を後にした。アインとシュティは相変わらずシィナたちとの会話を続けていた。
夜も更けてきた頃、シュティこと「イシュタール」は何故か建物の外を歩いていた。
(何でか寝付けない…どうしよう)
だが、それはただ単に寝付けないからだった。夢遊病のようにふらふらと何処かへ歩いていくのではなく、自分の意識をハッキリとさせていた。そんな時、冷たい風が吹いてシュティの髪を揺らした。
(さむっ!一旦屋内に入ろう)
流石に冷たすぎたのか、シュティはすぐ近くにあった建物に入り込んだ。建物に入ったシュティは周囲を見回し、この建物が今は使われていない平屋建ての宿舎であることに気づいた。普段なら鍵がかかっている筈だが、今はそこまで頭が回らなかった。
「昔使われてた宿舎か…どんなところなんだろう?」
シュティは何を思ったか、そのまま宿舎の奥へと足を踏み入れていった。コンクリート製の建物なので、足音が建物内に反響して響く。そして、とある扉の前を通り過ぎようとした時だった。
「―――まれるぅ」
「ん?」
何処からともなく、薄っすらと女性の声が聞こえてきた。シュティは思わず足を止めて耳を澄ました。
「―――るぅ。出ちゃうぅ」
(何この声?)
やがてその声を不思議に思ったシュティは、その声が聞こえてくる目の前にある扉まで、足音を消して近づいた。扉横の表示には「備品倉庫」と書かれていた。
(この中からだわ)
シュティは、その場で身を屈め気配を消して引き戸を少しだけ開けた。そして出来るだけ床に近い、低い位置から室内を観察した。室内は薄っすらとだが、何故か明るい。
「んはぁ♡産まれたぁ、産まれたわぁ♡」
そしてやはり声が聞こえてくる。その声は何処か、自分たちセリア人が性行為をする時に聞こえてくるような、喘ぎ声に感じられた。シュティはよく目を凝らして室内を見渡した。そして―――
(な、なにあれ!?)
シュティの視界に、無数の「紫の斑点が付いた薄ピンク色のブヨブヨした肉塊」が入ってきた。しかもその肉塊はグネグネと蠢いているようにも見える。見た事ない謎の物体を目にし、シュティは文字通り言葉を失っていた。だがそんな時だった。
「ンンッ♡まだ、産めそうね♡」
(さっきの声!?)
シュティの耳が先程の声を捉えた。シュティの額に汗が浮きあがり、頬を伝って落ちていく。シュティは目を凝らし、声の主を探した。そして、肉塊の間を四つん這いで動いている人影を見つけた。やがて眼が慣れたのか、その人影が浮かび上がり、ハッキリとその人物を映し出した。
(え!あの娘って、オレアナ!?)
左右に分かれた前髪に、ワイドロングヘアーの後ろ髪。髪の色こそ、金色ではなくピンク色だが、見間違えようがなかった。オレアナ、自分とアインの部隊メンバーがそこにはいた。しかも―――
(な、なんで裸なの!?それに、髪の色も全然違う!?)
シュティがその違和感について気づいた直後、全裸のオレアナ(?)は唐突に四つん這いの姿勢から腰を上へ振り上げ、そのまま床に腰を下ろした。両膝は身体の左右外側で曲げたその態勢は、雨の日にたまに見かける生き物「カエル」のようだ。するとオレアナ(?)は腰を床に擦り付けるように身体をくねらせ始めた。
「はぁ♡はぁ♡今、産んであげるわ♡だから、私を気持ちよくさせてぇ♡」
(な、何をしているの!?)
やがてオレアナ(?)は喘ぎ声をあげながら、腰をゆっくりと浮かし始めた。
「ンンッ♡また産まれるわ♡はぁん♡」
そしてオレアナ(?)の腰が床から離れかけたその時、彼女(?)の秘所から、部屋中を覆い尽くそうとしている「肉塊」が姿を現した。
「ンンッ♡卵っ、産まれるぅぅ♡んあああああ♡」
肉塊はオレアナ(?)の秘所からどんどん姿を現していき、オレアナ(?)が両足を伸ばし切った所でその全貌を晒した。
「はぁ♡はぁ♡はぁん♡卵を産むの、気持ち良すぎるわぁ♡」
オレアナ(?)は高揚しているような表情で、うっとりと呟いた。その姿を見てシュティは動揺を隠しきれなかった。
(嘘…この部屋のあり様は、全部オレアナがやって……しかもオレアナはセリア人じゃないっていうの!?)
幾ら生物学に疎い者でも、今目の前にいる相手―――オレアナ(?)が自分と同じセリア人。人間でないことはハッキリと分かるだろう。では、彼女(?)は何者なのだろうか。シュティは少しだけ考えたが、答えは出なかった。だがそうしている内にも、オレアナ(?)はまた別の場所へ四つん這いのまま移動し、腰を床に擦り付け、しばらくしてまた、喘ぎ声と共に別の肉塊を秘所からひり出す。そしてシュティは、ある事を思い出した。
(そう言えばさっきから、オレアナ(?)はあの肉の塊を「卵」って言ってる。てことは、あの肉塊はオレアナ(?)の卵なの!?)
それが事実だとすれば、このオレアナの姿をした生命体は増殖する。これを放置するわけにはいかない。シュティの頭にその言葉がよぎった直後だった。
何してるのよシュティ。入ってきなさいよ?
「!?」
部屋の奥からオレアナの声が聞こえてきた。かと思えば、その僅か数秒後には、シュティの目の前にあった引き戸が勢いよく開け放たれた。室内にいるオレアナとシュティの視線が重なったのは、その直後だった。
「覗き見するなんて、貴女そんな趣味があったのね?驚いたわ」
四つん這いの姿勢のまま、オレアナ(?)が口を開いた。オレアナ(?)の表情は何処か皮肉な笑みを浮かべているように見えた。シュティは反射的に立ち上がったが、オレアナ(?)はすぐに呼び止めた。
「逃げようとしても無駄よ。廊下は今封鎖したわ」
「嘘ッ!?」
気が付けば、目の前には赤々とした肉の壁が出来上がっていた。後ろを振り返ったが、そちら側も同じだ。つまり、シュティが逃げることは出来なくなった。更には、立ち上がったオレアナ(?)がゆっくりと自分の元へと歩いてきている。シュティは苦々しい表情で近づいてくるオレアナ(?)を見据えていると、腰に回していた手が何かにぶつかった。シュティは、ハッとしてそれを引き抜き、オレアナ(?)に突き付けた。
「動くな!」
「…なに貴女?寝間着姿なのに、銃なんか持ち歩いてたの?」
シュティが腰から取り出したもの。それは拳銃だった。「ワルゼーP13」と呼称されている自動拳銃を、シュティはオレアナ(?)に向かって突き付け、警告を発した。
「両手を上げてその場に膝をつきなさい。さもないと撃つわよ!」
「あら、面白い警告の仕方ね?もう人間ではない私に、そんな警告が通用すると思ってるの?」
「黙りなさい!」
険しい表情のままのシュティではあったが、オレアナ(?)は何処か楽しそうな笑みを浮かべている。まるでシュティが突き付けている拳銃が、全くの無意味だ。と言っているようだ。オレアナ(?)は笑みを浮かべながら、シュティへ向かって歩いていく。
「止まれ!止まらないと―――」
「撃ってみればいいじゃない」
「なに!?」
オレアナ(?)は突然、突拍子もないことを口にした。撃てばいい。そうハッキリと聞こえた。シュティは動揺している様子だが、オレアナ(?)は笑みを浮かべて言った。
「さっきも言ったでしょ?人間じゃなくなった私にはそんな警告は通用しない。って…なら、実際に撃って確かめてみれば?」
「い、言ったわね!」
「ええ、言ったわよ?」
オレアナ(?)はそう言うと、両腕を広げて脚をクロスさせた。まるで拳銃が撃ち出す弾丸を招いているようだった。シュティは狙いを定めた。狙うは眉間。人間なら1発で即死する場所だ。だが、今目の前にいるのは「オレアナの姿をした別の何か」だ。シュティはオレアナ(?)を殺すことに躊躇はしなかった。やがて乾き切った銃声が、響き渡り「ワルゼーP13」から放たれた弾丸はオレアナの眉間を貫き、風穴を開けた。だが―――
……痛いじゃない、シュティ?
「…そ、そんな!?」
両腕を広げ、脚をクロスさせた姿勢のまま、オレアナは言った。眉間には先程放たれた弾丸が、確かに命中した風穴が開いている。だが、命中させられたオレアナ(?)自身は少し痛がっているだけだ。そして恐ろしいことがその時起こった。眉間に開いていた風穴が、瞬時に塞がり、艶のある元の肌へと戻ったのだ。傷跡は一切見当たらない。
「う、嘘……」
「だから言ったでしょ?人間じゃなくなった私にはそんな警告は通用しない。って…その程度の弾丸、幾つ撃ち込まれても瞬時に再生できるわ」
「クッ!」
シュティは立て続けに引き金を引いた。狙いはそれぞれ別々の場所を狙っての発砲だった。乾いた発砲音が連続で響くが、放たれた弾丸はオレアナ(?)の身体に命中した瞬間に風穴を開け、開けた直後に風穴を一瞬で塞がれて再生される。そしてしばらく撃ち続けたワルゼーP13は、やがて弾切れを起こした。
「弾切れ!?」
「まったく、痛いって言ってるのに撃ち続けないでよ?」
直後、オレアナ(?)の左手が鞭のように伸び、一瞬にしてシュティの手からワルゼーP13を弾き飛ばした。
「キャア!」
「話を聞かない相手には、身体に分からせてあげるしかないわね♡」
オレアナ(?)は伸ばした左手を元の形に戻しながら淫靡な笑みを浮かべて呟いた。そして直後、シュティは背後から突然羽交い絞めにされた。
「な、なに、誰なの!?」
「やだなぁシュティ♡私のこと忘れちゃったの?」
シュティの顔のすぐ横に、ピンク色に染まったショートウルフの前髪にワイドロングヘアーの少女の顔があった。
「いくら記憶を操作されたからって、忘れられるなんて寂しいなぁ?」
「う、ウーラ!?」
シュティを羽交い絞めにしたのはウーラだった。着ている薄手の寝間着を通して、シュティはウーラも全裸なのだと直感した。ウーラは口角を釣り上げて、憎たらし気な笑みを浮かべている。
「でもまぁ、これでシュティも、私たちの仲間入りだね♡」
「な、仲間?」
唐突にウーラ(?)が、訳の分からないことを言い出した。シュティは混乱したが、オレアナ(?)がすぐに後を引き取った。
「お母さまから、アインに手は出しては駄目。って言われてるから、最後の元部隊メンバーのシュティは、私とウーラで変異させてあげるわね♡」
「変異?変異って何のことよ!?」
オレアナ(?)の放った言葉に、反射的に質問を投げかけるシュティ。するとオレアナ(?)は淫靡な笑みを浮かべながら、シュティの目前まで迫って言い放った。
とっても気持ちいいことよ♡
「何を―――ンンッ!?」
瞬間、シュティはオレアナ(?)に唇を奪われた。
「大丈夫。シュティもきっと、変異してよかった♡って言えるからね♡」
ウーラの言葉を耳に挟みながら、シュティは意識を手放した。