呪いで獣耳娘にTSした親友の冒険者と色々あって結ばれる話 作:うきつねこ
翌日。二人はいつものギルド併設の酒場のカウンターで並んで祝杯を挙げていた。
「妖狐討伐、おめでとう!」
杯を掲げて上機嫌で言うキヨヒコにトシアキは少し戸惑ってしまう。
「おめでとう、でいいのか?結局元に戻れなかったのに」
キヨヒコの姿は獣耳娘のままだ。妖狐は倒したものの、やはり解呪アイテムはドロップしなかったのだ。
「まあそんなに甘くはないよなあ。でも、その代わりに貴重な宝珠の原料とやらがドロップしたから、いい稼ぎになったし、冒険者としてはいいってことさ!」
キヨヒコは一気に酒を飲み干し、手元の杯をテーブルに置いた後、真剣な顔で言う。
「奴との決着がつけられたこと、トシアキ、お前に感謝してる」
言ってまた手酌で酒を注いで一口飲み、笑顔に戻るキヨヒコ。背後では満足そうに尻尾が揺れている。
トシアキも杯を傾けながら答えた。
「どうも。でも、妖狐と戦うときに『自分が囮になる』なんてお前が言い出すとは思わなかったよ」
「『妖狐は敗者を嬲ることを好む』っていうから、俺が敢えて捕まり、隙を作ってお前が突く。それが一番いいやり方だと思っただけだ」
「でも、囮になるっていってもあんな格好にまでなって」
とトシアキ。
「は、はぁ?俺は男だぞ!裸を晒してなで回されたからって、何がどうだってんだよ」
ケラケラとうキヨヒコ。
「お前が気にならないならいいけど、でも」
トシアキが言いかけたところに、声がした。
「歓談中ですが、お二人に業務連絡です」
席にやってきたのは、酒場の扉一枚向こうの冒険者ギルドの受付嬢だった。
「なんだよ。手短に頼むぜ」とキヨヒコ。
「お二人によるS級モンスター妖狐の討伐と、これまでのクエストでの功績を踏まえ、お二人にパーティとしてA級冒険者ライセンスを付与します。また、キヨヒコさんはその姿になってからA級冒険者ライセンスが停止していましたが、停止を解除します。詳しくはまた後日受付で。では」
言って帰って行く受付嬢。
「え、マジ?」
思わず声を上げて、驚きと喜びが混じった表情を浮かべるトシアキ。
A級ライセンスがあれば、危険な討伐や探索はもちろん、未知の遺跡の探索など、あらゆるギルドのクエストを受けることができる。多くの冒険者が目標としており、名誉でもある。ただし今回は、二人のパーティ限定ではあるが。
「良かったな、これでお前もA級冒険者じゃねえか」とキヨヒコ。
「ああ、何か実感がわかないけど」
「ってことでこれからもよろしく頼むぜ、相棒!」
「ああ、でもいいのか?お前もA級冒険者ライセンスが戻ってきたんだから、前みたいにソロでやることも…いてっ!なにすんだよ!」
悲鳴を上げるトシアキ。キヨヒコの尻尾がトシアキの頭をはたいたのだ。
「それ、本気で言ってるのか?冗談だよな?二人パーティでやるのが一番だってお前が言って、俺も納得して、それで妖狐も一緒に倒したのに、俺が今さらソロでやろうって言い出すと思ってるのか?そんなわけないだろ」
キヨヒコの目は笑っている。
「そうだな、ええと、俺もお前とやっていきたい。よろしくなキヨヒコ」
「そうこなくっちゃな、トシアキ!」
背中をまたキヨヒコの尻尾で叩かれながら、トシアキは思っていた。ああ、やっぱりこいつといるのが一番楽しい、と。