T・R(仮名)です。もう三日間、学校に行けてません。A子に、私とお父さんのキスを見られたから。でも、この手記を書かないと、本当に気が狂いそうで。これが三回目の告白。でも今度は、もう全てが終わった後の告白です。
あれは一週間前の温泉旅行から帰った直後のこと。まだ、あの旅館の温泉の匂いが髪に残ってて。お父さんの香水の匂いが服に染みついてて。玄関で最後にキスした時、まさかA子が早退して帰ってくるなんて。「お父さん.?」っていうA子の声が、今でも耳に響いて。
私たちの関係は、あの日から3ヶ月。週に二回のデートだけじゃ物足りなくなって。お父さんが「温泉に行かない?」って誘ってきた時、私、すぐに「はい」って。友達との旅行って嘘なんて簡単に作れて。親子で温泉なんて設定も、むしろドキドキして。
その時は分からなかった。この旅行が、私たちの最後になるなんて。新しい下着も買って。お父さんの好みの黒のレース。カバンには一晩分の着替えと化粧品詰めて。スマホには偽のアリバイ写真まで用意して。でも今じゃ、その写真を見るたびに吐き気がして。
三日前、A子から初めてLINEが来ました。「なんで?」たった三文字。返信もできないまま、既読だけつけちゃって。お母さんにも、事情を話したいって連絡があって。でも、私、まだ携帯の電源すら入れられなくて。
誰かに聞いて欲しくて、でも誰にも言えなくて。だから、また書いてます。温泉旅行のこと。私がどうしてそこまでお父さんに溺れちゃったのか。そして、どうして今、全てが壊れちゃったのか。
この手記を書きながら、まだお父さんの温もりを感じてて。それなのに、もう二度と会えないって分かってて。あの時、玄関でのキスさえしてなければ。いいえ、その前から。温泉旅行なんて行かなければ。でも、今更後悔しても……。
※※※
今思えば、全ての始まりは新幹線のホーム。私、30分も前に着いて、化粧直しを何度もして。それって、父娘で会うはずなのに、デートの準備みたいで。新しい香水もつけてた。今なら分かります。その時から、もう私、普通じゃなかった。
お父さんは完璧でした。ホームで「六花ちゃん」って、いつもの近所の父親みたいな声で。でも、私の耳元で「可愛いね」って囁くの。周りには父娘にしか見えないのに、その声で体が熱くなるの分かってて。
新幹線の中、窓側の席。読書する振りして、ページも捲れないくらい緊張してた私に、さりげなく足を絡めてきて。車内販売のお姉さんが通る度、真面目な父親の顔に戻るの見てて、私、どんどん興奮してって。今考えると、よくバレなかったなって。
旅館に着いた時、フロントで「お嬢様ですか?」って聞かれて。お父さんが「そうです」って答えるの聞きながら、私の中の何かが壊れていくの、はっきり覚えてます。狂ってるって分かってた。でも、その狂気に溺れたくて。
部屋に入った時、扉が閉まる音で、私の理性も消えていった。「パパ」って呼ぶ度に、お父さんの目が変わって。今なら分かります。あの時の私、お父さんを試すみたいに、わざとそう呼んでた。どこまで狂えるか、試したかったみたいに。
今、この部屋で一人、スマホの着信を無視しながら、あの時の私を冷静に見つめてます。温泉旅行なんて、絶対におかしかった。分かってたはずなのに。A子の大切なパパを、こんな風に誘い込んでいった私って、最低ですよね。でも、あの時は……。
浴衣に着替える時、フロントで渡された浴衣の帯の結び方が分からなくて。お父さんが後ろから「手伝ってあげる」って。今思えば、あの時の私の体の震えは、緊張じゃなくて期待だったんですよね。黒のレースの下着が浴衣から透けないか気にしながら、実は見せたがってた。本当に、私って最低。
夕食は部屋食を選んでた。仲の良い父娘を演じるの、どこか心地よくて。でも、お膳を片付けに来た仲居さんが出て行った瞬間、私たちは別の顔に。今でも鮮明に覚えてます。廊下の足音が遠ざかっていくのを確認しながら、二人で耳を澄ませて。それって、まるで共犯者みたいで。
露天風呂は、夜遅くなら人が少ないって。お父さんが下見までしてくれてて。今考えると、その計画性が怖いくらい。でも、その時の私は、湯気に紛れて会えることに、ただただ胸が高鳴ってて。家で会う時より、スリルがあって興奮して。温泉の匂いが、私の理性を溶かしていくみたいで。
部屋に戻った時、もう私には後戻りできない場所まで来てた。いつものリビングと違って、布団を二つ並べて。でも、使ったのは片方だけ。今、書きながら思い出す。お父さんの腕の中で、真珠のように輝く肌って褒められて、すごく嬉しかったこと。A子のパパなのに、愛人になれた喜びに酔ってたこと。
携帯に着信が入るたびに、思い出すんです。あの時の狂った興奮。A子からのLINE「なんで?」の三文字を見る度に、温泉の湯気の中で理性を失っていった自分を、冷静に見つめてしまう。人に話せるものじゃない。でも、書かないと、私の中で腐っていきそうで……。
旅館の布団の中で、何度もイキました。深夜2時。時計の秒針の音だけが、私たちの時間を刻んでました。今、この時間を思い出すだけで、体が震えて。あまりに幸せすぎて、怖くなるくらい。布団の中で、お父さんの腕に抱かれながら「ずっとこうしていたい」って。そう言った自分の声が、まるで他人の声のように聞こえて。
窓の外が白み始めた頃、私たちはまだ起きてて。お父さんの胸に耳を当てて、鼓動を聞きながら。その音が、この世で一番安らげる音に思えて。A子のパパなのに、愛する人の心音として。今、それを思い出すたび、吐き気がするくらいの罪悪感なのに、あの時は、この上ない幸せだったんです。
朝食も部屋で。仲居さんが入ってくる度に、父娘の演技に戻って。でも今なら分かります。その演技自体に酔ってた。禁断の関係を隠す緊張感に、むしろ興奮してた。最低です。でも、それが心地よくて。今、この手記を書きながら、その時の気持ちを思い出すのが怖いくらい。
チェックアウトの時、フロントで「お嬢様とご一緒でしたね」って言われて。私、嬉しそうに頷いてた。その数時間後には、A子に全てを見られることになるなんて知らずに。電車の中、また会う約束して。次は箱根って。でも、もう二度と会えないんです。
今、真夜中の2時。あの時と同じ時間。でも、耳に届くのは携帯の着信音だけ。A子からのLINE、お母さんからの着信、全部無視して。だって、あの時の幸せを思い出すと、今でも体が熱くなって。それが怖くて、怖くて。私、まだお父さんのことを……。ああ、誰か、この気持ち、消してください。
※※※
あの時の私たち、本当の親子みたいな顔して帰ってきて。私の家の前で降りる時、A子が塾から早退して帰ってくるなんて、想像もしてなかった。玄関でお父さんが「また連絡するね」って。最後のキスをした時、背後でドアが開く音も気付かなくて。
A子の悲鳴みたいな声。振り向いた時の、凍りついたような表情。お父さんが何か言おうとしたけど、A子は走って家の中に消えて。私もお父さんも、その場で固まってて。雷に打たれたみたいに。
三日経った今も、あの瞬間から時間が止まったまま。A子からのLINE「なんで?」って三文字。お母さんからの着信履歴。学校からの欠席確認の電話。全部、現実なのに、まるで映画の中の出来事みたい。
温泉旅行の写真、全部消しました。でも、消せないものがいっぱいあって。首筋のキスマーク。太ももの内側の痣。お父さんの香水の匂いが染みついた制服。そして、この胸の中の、言葉にできない気持ち。
今朝、お母さんから最後通告みたいなLINEが来ました。「明日、A子の両親と話し合いがあります。あなたも来なさい」。でも、どうやって行けばいいんでしょう。どんな顔をすればいいんでしょう。A子の前で、お母さんの前で。
一番怖いのは、まだお父さんに会いたいって思ってしまうこと。愛してるって思ってしまうこと。これって、私の中で、一生消えないのかな。誰にも言えない。誰も分かってくれない。でも、この気持ちを殺さなきゃ、生きていけない。
明日、全てが終わります。でも、この三日間、必死で書いた告白が、きっと私の記憶を永遠に縛り付けるんだと思います。あの時の幸せも、この絶望も、そして消せない愛も。ごめんなさい、A子。私、本当に、最低な親友だった。
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