※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 一部 二人の水輝   作:伊駒辰葉

103 / 183
ちょっと短いのですが、この後でエロシーンが続くのでここで切りました。
ここにはエロシーンはありません。


もしこれが一瞬で破られるようなら、もうどうしようもない結界

「あの……。それなら大丈夫よ」

 

 控え目な声で言って斎姫が頷く。多輝は訝りの顔で斎姫を見やった。

 

「大丈夫って?」

「わたしの中には、優くんの一部が存在しているって、言ったわよね?」

 

 斎姫がそう言いながら胸をそっと押さえる。あ、と小さな声を漏らして多輝は斎姫の胸元を見つめた。

 

「プログラムの判断に従って、指示をだすわ。結界も、実際には最近はわたしが維持してたから解くのも簡単よ。既にこの学校を覆うように幾重にも結界張ってあるから、ここと向こうの間の結界は無くしても何の問題も無いし」

「え、そうなのか?」

 

 多輝は何度か瞬きをしてから改めて絵美佳と向き合った。それなら、と多輝は頷いた。

 

「あんたのカードでは長期維持用の結界張れないようだから頼まなかったけど、あの幼稚園児とか淫魔王とかお姫様とあたしでとりあえず『もしこれが一瞬で破られるようなら、もうどうしようもない結界』を張ったから。安心しなさい」

 

 ずらずらと言ってから絵美佳が頷く。どうしようもない、と呟いてから多輝は顔をしかめた。確かにそんな結界が一瞬で蹴散らされるなら、どんな抵抗をしても無駄な気がする。

 

 多輝は絵美佳に言われた通りに地下の二つの施設を繋ぐトンネルを掘った。二つの施設の間にある地下鉄を避けるため、階段を設えた通路を作る。続いて多輝は掘り抜いたトンネルの表面をしっかりと固定するためにセメントで固めた。出来上がった通路に明かりを付けて行くのは手作業だ。

 

 多輝が作業を終えた頃には施設にはいい香りが漂い始めていた。どうやら食事の準備が進んでいるらしい。多輝は一息つくために通路の階段に腰掛けた。煙草をスカートのポケットから引っ張り出して咥える。出来たての通路は点々と灯る明かりに照らされている。

 

 足音が聞こえてくる。多輝は煙草を吸いながら目を上げた。白衣を着た透が物珍しそうに周囲を見回している。いつの間にか男性に戻ったようだ。

 

「よう、お疲れさん」

 

 片手を上げて挨拶をした透に多輝はおう、と片手を上げて答えた。腰掛けていた多輝の隣に透が腰を下ろす。多輝は何となくスカートのポケットを探って煙草の箱を透に差し向けた。だが透が首を横に振る。どうやら煙草を吸う習性はないらしい。

 

「ローテーション決めてるんだけどさ。おまえ、昼と夕と深夜のどれがいい?」

「別におれは寝なくてもいいし、一日中でもいいけど?」

 

 多輝は煙草の箱をスカートのポケットに戻しながら答えた。灰皿代わりの空き缶に灰を落とす。

 

「おまえはそれでもいいだろうけど、由梨佳さんはどーするんだよ? 最低限、セックスする時間は必用だろ?」

「あ、そうか。じゃあ、深夜は避けてくれればいいかな」

 

 自分はよくても由梨佳は休んだ方がいいだろう。そう思いながら多輝は言った。

 

「じゃあ、斎姫と同じ夕番でいいな? 優一郎の命の関係もあるだろうし」

 

 携帯端末を操作しながら透が言う。多輝はああ、と頷いた。何気なく透の手元を覗き込む。携帯端末の画面には朝、昼、夕、深夜の四枠のローテーションの表が表示されている。自然と透の方に身体を傾ける格好で多輝はまじまじとその画面を見つめた。

 

「夕番は夕方四時から深夜零時までだ。その他の時間は男に戻っててもいいからな」

「あ、何だ。そうなのか」

 

 多輝はぱっと明るい顔をして目を上げた。そこで透に近づきすぎていたことに気付く。ごめん、と詫びて多輝は傾けていた身体を起こした。

 

「おまえさ、あんま無防備にしてると押し倒したくなるから注意してくれ」

 

 優一郎に殺されたくねーからな。そう言って透が笑う。まさか、と苦笑して多輝は肩を竦めた。

 

「殺すなんて物騒なことするわけねえだろ」

 

 横を向いて煙を吐き出してから多輝は唇に煙草を戻した。深く息を吸ってから再び煙を吐く。缶に短くなった煙草を放り込んでから多輝は身体を伸ばした。ずっとこの格好でいなくて済むと思うと少しだけ気分が楽になる。

 

「いやな。斎姫に、お前ら三人を抱いていいかどうか、プログラムを介して問い合わせてもらったんだ。斎姫と要は本人の同意が得られれば抱いていいけど、おまえは緊急事態で本当にどうしようも無い時以外はダメだってさ」

 

 携帯端末を白衣のポケットに戻しながら透が言う。ああ、と苦笑して多輝は頷いた。

 

「おれはいいんだけどな。優一郎は嫌らしい」

 

 軽く言って多輝は肩を竦めた。すると透が横目に多輝を見る。

 

「そんなら、これくらいはいいかな?」

 

 そう言うなり、透が素早く多輝の唇を奪う。驚きに目を見張った多輝の唇を割り開き、透が舌を滑り込ませてくる。多輝は思わず目を閉じて微かな呻きを漏らした。ずっと我慢していた情欲に火が点く。身体から力が抜け、多輝は無意識に透の白衣を握りしめた。

 

「やっぱ、かなり気ぃ張ってただろ。おまえ」

 

 唇を離してそう言って透が多輝の胸に手を伸ばす。薄い布越しに乳房を揉まれた多輝は掠れた声を漏らして透にすがりついた。触れられた場所がやけに熱い。




この結界は後でもも結界とか言われますw
それにしても多輝のまほーは多彩ですね!
(器用貧乏ともいう)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。