※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 一部 二人の水輝   作:伊駒辰葉

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ちょっとだけエロシーンがあるような?
ふわっとしてるのでこれをエロシーンと言っていいのか微妙なところです(汗)


空の主、天の主 2

「空の主って翠のこと?」

「翠龍神は天空の王だ。空の主は檻にいたあれだ」

 

 クッションに頭を乗せ、腕で本を支えた水輝が抑揚のない声で答える。

 

「優一郎のことなんだ。あいつにそんな立派な二つ名があったのね。そう言えば、わたしは、光の標って呼ばれてたみたいだけど……」

 

 近寄っていいものか判らず、佑はソファから少し離れた場所に立っていた。俯きがちに言った佑を見もせずに水輝が言葉を継ぐ。

 

「空の主、光の標、斎の宮」

 

 そう告げてから水輝が本を下ろして佑を横目に見る。視線を受けた佑は無意識に緊張した。

 

「この三者は一つの組だ。世界を動かす鍵だな」

 

 胸に本を乗せた水輝が大きく伸びをする。水輝の帯びる力は昨日までより確実に濃くなっている。逆に渚は気配がすっかり薄くなっているのだ。

 

「どうして、一度に取り込んでしまわなかったの? 渚さん。まだけっこう力残ってるじゃない?」

 

 不思議に思って佑はそう訊ねた。そうだな、と呟いて水輝が首を反らして天井を仰ぐ。その口許に薄い笑みが浮かぶ。

 

「大きさがな。もう少し畳んだ方が食いやすい。見誤っていた」

 

 囁くように言って水輝が頭の後ろに手を組み合わせる。佑は静かに水輝に近づいた。

 

「たしかに、水輝さんの中、もう一杯ね」

 

 目を細めて水輝を見つめ、佑は頷いた。意識を研ぎ澄ませると水輝の中に満ちた力がよく見えるようになる。水輝はちらりと佑を見てから微かに笑った。

 

「この程度はすぐに畳める。久しぶりだから多少、時間はかかるがな」

 

 そう言いながら水輝が天井に手を差し伸べる。佑は何となく水輝の手の先を見た。だがそこには天井があるだけで他には何もない。

 

 昨日の暴れていた様と比べると今の水輝は嘘のように穏やかだ。天井に手を掲げていた水輝が喉の奥で小さく笑ってから手を戻す。

 

「水輝さんの目的のためには、あとどれくらい食べなきゃならないの?」

「食えるだけ」

 

 佑の質問にあっさり答えてから水輝はまた本を持ち上げた。深い茶色の表紙にはタイトルや作者名はない。縁に飾りが付けられているだけだ。

 

「みんな、食べてしまうの……?」

 

 小さな声で佑は問い掛けた。ああ、と頷いた水輝が本のページをめくる。当り前のように答えた水輝を佑はじっと見つめた。本に隠れていて見えないが、水輝の顔には嗤いが浮かんでいるような気がする。

 

「あの! わたしを食べる時は言ってね! 水輝さんが美味しく食べられるように努力するから!」

 

 佑は懸命な面持ちでそう告げた。すると水輝が本を下ろして身を起こす。手招きをされるままに佑は水輝の正面に立った。本を脇に退けた水輝が佑の手を取り、引き寄せる。されるがままに身を屈めた佑の唇がふさがれる。佑は驚きに目を見張って動きを止めた。割り開かれた唇の間から水輝の舌が滑り込む。その途端に佑の口の中には血の味が広がった。

 

 むっとするような血の匂いが口の中を満たす。佑は慌てて身を起こそうとした。血だらけになった舌で佑の口の中を愛撫しながら水輝が手に力をこめる。佑は避けることも出来ず、水輝の流した血を飲み込んだ。

 

 その瞬間、どくん、と身体の奥が脈打つ。血の混じった唾液の糸を引きながら水輝が佑を離す。

 

「んっ……なんだか、へんなかんじ……」

 

 胸を押さえて佑はとろんとした目で呟いた。唇から垂れた血を啜りながら水輝が嗤う。舐めろ、と言われて佑はふらふらと水輝に顔を寄せた。突き出された水輝の舌に舌を這わせる。佑は水輝の流した血を音を立てて舐め始めた。

 

「んくっ! これで……わたし……美味しく……なるの……?」

 

 水輝の血を舐めながら佑は蕩けた顔で呟いた。水輝が嗤って佑を抱き寄せる。佑に触れた部分から水輝がどんどん傷ついて行く。佑は命じられるままに水輝の舌を舐め、唇を吸い、首筋に歯を立てた。その瞬間、びくんと水輝が震える。

 

 口の中に流れてくる血がどんどん甘くなってくる。佑は甘い香りを深く吸い込みながら水輝の首筋を舐めた。ソファに寄りかかって横を向いた水輝の呼吸は少し荒い。

 

「なんだか……わたしが逆に……水輝さんを……食べているみたい」

 

 苦笑して佑は水輝の首筋をそっと指で撫でた。水輝が荒い息を吐きながら軽く呻く。

 

「ああ。食わせてるんだよ」

 

 囁きに似た声で答えた水輝の目は少し潤んでいる。

 

「水輝さん……。わたしのことは……便利に使ってね。……わたしは……水輝さんのために……存在するんだから」

 

 首筋に走った傷に舌を這わせながら佑は蕩けた顔で呟いた。じっとりとショーツが濡れていることが判る。水輝は掠れた声を漏らして身体を傾けた。斜めに傾いた水輝の首筋に佑は吸い付いた。

 

 手を取られて股間に導かれる。佑が服越しに股間に触れた直後、水輝は小さな呻きを漏らして唇を噛んだ。

 

「ごめんなさいっ! 水輝さん、痛かった?」

 

 慌てて言って佑は身を起こした。水輝の流した血が服に染み込んでいる。黒い服に深い闇色の染みを見止めて佑は小さな悲鳴を上げた。水輝は全身で息をしながら身体を震わせている。よく見ると水輝の股間にもじんわりと血が染み込んでいた。

 

「大丈夫!? 水輝さん!」

 

 心配顔で佑はそう問い掛けた。だが水輝は苦しげに息を吐いているだけで返事をしない。近づこうにも、触れれば水輝が余計に傷つくと考えた佑はどうすることも出来ずうろたえた。

 

 佑は唇を引き結んで自分の持つ光の属性を抑えた。そのままで力を導いて治療の術に変換する。佑は作り出した治療術を水輝に向けて放った。柔らかな丸い光が水輝に向かう。

 

 不意に水輝が左手を鋭く振るって光を払う。佑は驚きに息を飲んで目を見張った。水輝の手刀に弾かれた力があっという間に霧散する。




痛々しいですけども、エロとしてはふわっとしてるんですよ!w
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