機械ですけども!w
すすり泣きながら多輝は優一郎を見つめた。朝に戻ってきた優一郎はベッドで安らかな寝息を立てている最中だ。再会の喜びに浸る間もなく、優一郎はさっさとベッドに入って眠ってしまったのだ。
多輝は床に座り込んで声を殺して泣いていた。昨日、あれだけ透と学に抱かれたのに、優一郎に会った途端に情欲が深まってしまった。おかげで多輝はあれから一人で股間を弄る羽目に陥っていた。
「何だよ……折角、やっと……戻って、来たと、思ったのに」
優一郎の眠りを妨げないよう、出来るだけ絞った声で言いながら多輝は指先でクリトリスを捏ねた。
多輝は慣れた地下の自分の部屋に居た。優一郎の地下施設と透のいる地下の研究室のあるフロアを繋げているので、当番でない時間は地下の自分の部屋で過ごしているのだ。
由梨佳が気の毒そうな顔をして多輝の傍に淹れたての紅茶を置く。多輝はぐすぐすと鼻を啜って左手で紅茶のカップを取った。
「多輝くん。優一郎さんはとても消耗してらっしゃるわ」
「判ってるよ、そんなこと」
泣きながらそう答えて多輝は熱い紅茶を啜った。ずっと耐えてきた情欲はおさまるどころか深まる一方だ。多輝はしゃくりあげながらカップを床に戻し、両手で股間を弄った。
「斎姫さんは、会っても居ないのよ? それでも、学校に行って生徒会長としての職務をまっとうしてらっしゃるんだから」
傍に膝をついた由梨佳がごく小さな声で言う。多輝はうう、と呻いて弱々しく頷いた。
「そうだよな、おれ、情けないよな」
やっぱり男に戻った方がいいのかも知れない。鼻を啜って言ってから多輝は股間から手を離した。ぺたんと両足を床についてから深いため息を吐く。
ふと、部屋の電話が鳴る。多輝はのろのろと立ち上がって部屋の隅にある電話台に寄った。愛らしいフリルのついた苺柄のハンカチの上で鳴る内線電話を取る。
「もしもし」
多輝は涙を手の甲で拭きながら答えた。
『よう。多輝か? 俺だ。俺』
「……透? 何かあったのか?」
優一郎を起こさないように出来るだけ小さな声で多輝は訊ねた。昨日、奈月のところに水輝が姿を現したという報告は聞いている。もしかしてまた何事かあったのだろうか。
『いや。優一郎の様子はどうか聞きたくてな。桜に訊いてみたんだが。要領を得ないつーか、有用な情報全然しらねーでやんの』
多輝はベッドの優一郎を振り返ってから小声で言った。
「悪い。優一郎はすげえ疲れてるらしくて、いま寝てるんだ」
こみ上げてくる涙を堪えて多輝はそう言った。由梨佳の言う通り、斎姫が頑張っているのに自分だけが泣いているのも情けない話だ。やっぱり男に戻った方がいいのだろう。そう考えながら多輝は一人で納得して頷いた。
『それじゃー仕方ねーなあ。そうだ多輝。今、暇か?』
「あ、うん……でも」
多輝はちらりと優一郎を振り返った。だが優一郎が起きる気配はない。何があったのかは知らないが、疲れているなら眠って回復する方が早い。それにここでずっと優一郎を見ていたところで早く回復する訳でもない。多輝は電話の下に敷いたハンカチの柄をなんとなく指でたどりながら唇を尖らせた。
『どうしたんだよ? ちょっとおまえに相談したいことがあるんだ』
怪訝そうな透の声に悪い、と詫びてから多輝はしっかりと背筋を伸ばした。
「ええと、何だ? あ、その前にちょっと男に戻るから待ってくれ」
男に戻った方が落ち着いて話も聞けるだろう。そう考えて言った多輝にすぐに透が言う。
『いや、イチゴのままで来てくれ。魔法使ってもらうかもしれねーから』
「え……あ、ああ。判った」
そう返事をしてから多輝は電話を切った。疲れた息を吐いてとぼとぼと由梨佳のいるところに戻る。紅茶を飲み干してから、多輝は転がしていた杖を取り上げた。昨日、あのまま眠ってしまったためにまだ変身を解いてはいないのだ。
「ごめん。ちょっと透のとこ行って来る。何か相談があるらしい」
目許に残った涙を指で拭って多輝は由梨佳に告げた。いってらっしゃい、とにっこり笑った由梨佳がふと多輝を呼び止める。早速、転移しようとしていた多輝は眉を寄せて由梨佳を見た。
「あの、多輝くん、自慰をしてていいかしら?」
「えっ、ここで?」
多輝は驚いた顔をして由梨佳と優一郎とを見比べた。由梨佳はヒューマノイドだ。ストレスを感じたら性的快楽が必要になる。だが、ここには優一郎が眠っている。由梨佳は優一郎の作成したヒューマノイドではあるが、何となく自慰をしているところを見せるのは嫌だ。そう感じた多輝は優一郎を移動させることにした。
起きるなよ、と心の中で呟いて多輝は眠る優一郎を両腕に抱え上げた。
「ごめんなさい。多輝くん……どうしても我慢できなくて……」
申し訳なさそうに由梨佳が詫びる。多輝は出来るだけ優しく由梨佳に笑ってみせた。
「大丈夫。すぐに用事済ませて戻るから。そしたら男に戻って抱いていいか?」
多輝は腕に抱く優一郎から出来るだけ意識を逸らして由梨佳に訊ねた。由梨佳がベッドに移動して早速、自慰を始める。
「多輝くん、ありがとう。もしかしたら、このまま自慰が止まらなくなっちゃうかもしれないから。お願いするわ」
上目遣いに見つめる由梨佳に判った、と頷いて多輝は部屋を出た。
多輝も今は機械なのでどっちにしろ機械のエロということに!w