機械ですけども!w
「え、おれだけでやるんじゃないのか?」
部屋の形を作るだけなら一人でも出来る。多輝は慌てて透を呼び止めてそう訊ねた。ドアを開けた透が肩越しに多輝を振り返る。
「設計図も持たずにどうする気だよ? それに、学校の地下に存在しながら別々に分かれていた施設が一つになる、歴史的な瞬間だからな」
そう言ってから透がさっさと部屋を出て行く。優一郎がそれに続き、多輝は渋々とその後をついていった。通路を進んで階段を昇った後、廊下の真ん中辺りで透が立ち止まる。多輝は指示されるままに地のカードを使って壁の向こうに大きな部屋を作った。ドアを設えて、地面をくりぬいた部屋の内側に補強をかける。セメントで塗り固めた壁に壁材を張り巡らせ、壁紙を貼る。そこまでの作業を終えて多輝は透に言った。
「これでいいんだろ? じゃ、おれは部屋に戻ってるから」
それだけ告げて多輝はさっさと自分の部屋に向かって歩き出した。
「多輝、待ってくれないか? 君にはどうしても伝えておかなければいけない事があるんだ」
背中から真剣な優一郎の声が聞こえてくる。だが多輝は振り返らずに後で聞く、と早口で答えた。訝りの顔でドアを開いた透が驚いたような声を上げ、優一郎がその声に振り返る。多輝は何か失敗してしまったかと舌打ちをして仕方なく引き返した。
ドアから部屋を覗きこんだ多輝は呻きを漏らして額を押さえた。部屋に貼られた壁紙が苺の模様になっている。大小とりどりの愛らしい苺の描かれた壁紙の貼られた部屋の中央に立って透が多輝をうろんな目で見る。
「多輝。おまえって、ホントにイチゴが好きなのな」
急に吹き出した透が腹を抱えて笑い出す。多輝はふて腐れた顔でごめん、と声を投げてからドアから離れた。出来るだけ何も考えないようにして壁紙を貼ってしまったために、模様がつい見慣れたものになってしまったようだ。
「ま、なごむし、これでいいだろう。この部屋はイチゴの間と名付けよう」
まだ笑っている透を少し睨んでから多輝はそれじゃあ、とその場を離れようとした。だがすれ違った瞬間、優一郎が多輝の腕をつかむ。多輝はびくん、と身を震わせて反射的に優一郎の手を振り解いた。
「多輝。本当に重要な話なんだ」
真剣そのものの顔で優一郎が言う。だが多輝は俯いて歯を食いしばった。
「だから! 後で聞くっつってんだろう!」
声を荒らげて言ってから多輝はその場を駆け出した。後ろから優一郎の呼び止める声が聞こえる。だがそれを無視して多輝は階段を駆け下りた。廊下を走って自分の部屋に飛び込む。ベッドにいた由梨佳が自慰の手を止めて驚いたような顔で多輝を見る。
多輝は持っていた杖を放り出して息を吐いた。その瞬間、由梨佳の股間から聞き慣れたメロディが響く。慌てた様子で由梨佳が股間を探る。
「多輝くん、優一郎さんからよ。切り替えるわ」
そう言って由梨佳が指先で股間を弄る。多輝は壁に寄りかかって右手を胸にあてがった。さっさと男に戻ってこの言いようのない感覚から逃れたい。
『多輝。君を半ば放置するような結果になった事は謝る。嫌われても仕方ないと覚悟している。でも、この話だけは聞いてくれないか? 君の、命に関わることなんだ』
それを聞いた多輝はぴくりと眉を上げた。
「だから後で聞くっつってんだろう。しつこいぞ、てめえ」
宝珠の位置を探りながら手で胸をなぞる。目的の宝珠を指先の感覚で捉えて多輝は一気に手を胸に突き込んだ。その瞬間、襲い掛かってきた痛みに思わず呻きが漏れる。
『そーだぞ優一郎。未練がましいぞ。男は引き際が肝心だって』
今度は透の声が聞こえてくる。多輝は煩い、と呻いて見つけた宝珠に指を突き立てた。痛みに身を折った多輝の身体に纏わりついていた衣装が消える。床に放り出されていた杖が消え、靴やストッキングが消え失せる。一糸纏わぬ姿になった多輝は痛みを堪えながら顔を上げた。
『多輝……。わかった。姉さんに伝えておくから、後で聞いてくれ……』
消沈した声が届いた後、通信が切れる。多輝は目を閉じて俯き、一気に力を放出した。男の姿に戻ったところで深く息を吐く。苛々と頭をかいた多輝はふと視線を感じてベッドの由梨佳を見た。
「多輝くん……。良かったの?」
心配顔をした由梨佳が小声で言う。多輝はああ、と頷いて苦笑した。
「まあ、別に優一郎が要らないんならいいし。おれの態度がそう見えたなら、仕方ないんじゃねえか?」
多輝はベッドに腰掛けて由梨佳を抱き寄せた。足を開いて座っていた由梨佳が小さな悲鳴を上げて多輝に寄りかかる。
「きゃっ! 多輝くんっ! もう、我慢できないっ! 身体が勝手に……。ああっ!」
由梨佳の下腹部から低い音がし始める。多輝は微笑みを浮かべて由梨佳をベッドに押し倒した。唇を塞いで舌を絡める。そうしつつ、多輝はするすると由梨佳の服を解いていった。
「先に入れるぞ。足、開いて」
自慰をしていたために由梨佳の股間は剥き出しになっている。多輝は由梨佳の股間に手を滑らせて濡れ具合を確認した。由梨佳が言われるままに足を開く。
「あっ、んっ! やだ、こんなに反応して、恥ずかしい……」
消え入りそうな声で由梨佳が言う。多輝は苦笑してペニスを膣口にあてがった。
「そか? おれは由梨佳のそういうとことか、すげえ好き」
そう言ってから多輝はゆっくりとペニスを由梨佳の膣内に挿入した。由梨佳が多輝の背を抱いて甘えた声を上げる。多輝はほっとしたものを感じて由梨佳の胸に頭を乗せた。まるで子供を抱くように由梨佳が優しく多輝の頭を撫でる。
「んっ、駄目……。ギアーがっ!」
耳障りな音がしてペニスを受け入れていた膣口が急に緩む。どうやらギアが外れてしまったらしい。多輝は少しの間考えて、このまま続けるかどうするかと訊ねた。
この頃もまだ機械がまともに書けていない現実……悲しい。