※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 一部 二人の水輝   作:伊駒辰葉

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エピタイがひどい!w
作者のためのものなので諦めて頂けると……(汗)
エロシーンはありません。


水輝の目的はこれだと思う(by.優一郎)

 がらんとした何もない部屋の壁にもたれて優一郎は深々とため息を吐いた。手にしていた携帯端末を白衣にしまいこむ。

 

「気ぃ落とすな。まあ、たまには女に振られることもあるさ」

 

 部屋を見回しながら透が笑う。優一郎は少しだけ眉を寄せて透を見た。以前から豪快な性格とは思っていたが、性別が変わっても性格は変わらないらしい。多輝との通信中に途中で勝手なちゃちゃを入れたのも透だ。

 

「多輝が拗ねるのはいつもの事ですし」

 

 苛立ちに近いものを感じて優一郎は言い返した。珍しそうに壁紙を触っていた透が優一郎を横目に見る。

 

「まだ未練たらたらだな。確かにあいつ、具合いいからな」

 

 笑いながら透が指で壁紙をなぞる。苺の模様を指先で辿り、透は楽しそうに笑っている。優一郎は腕組みをしてそんな透を睨むように見た。力を回復するために寝ていたところを無理やり起きたために、頭が少しぐらつく。

 

「姉さんっ!」

 

 鋭い声で呼んだ優一郎を透が見て笑う。ついつい以前までの癖で透を姉と呼んでしまう。

 

「だから姉さんって呼ぶなつってるだろ。せめて兄さんと呼べ」

 

 笑いながら言って透が壁に寄りかかる。広々とした部屋には何もなく、本来のサイズよりずっと広く感じられる。

 

「いや、多輝と先にやったのはおまえだから、おまえが兄さんか」

 

 そう言ってから透がおかしそうに笑う。優一郎は鋭い目で透を睨みつけた。

 

「だから、そんなマジになるなよ。元はと言えば、あいつの性質をきちんと把握してなかったおまえが悪いんだろうが?」

 

 唇を引き結んだ優一郎を見て透が言う。優一郎は肩に入っていた力を抜いた。いつの間にか身体が緊張していたらしい。

 

「そうですね。僕が多輝を苦しめていたんですから」

 

 自嘲をこめて優一郎はそう言った。すると透が軽く眉を寄せる。

 

「まあな。あいつは一人の男に縛られるような性質じゃ無いんだよ。不特定多数の男に抱かれて、快感を感じるタイプなんだ」

 

 そう言って透が納得したように何度か頷く。優一郎は難しい顔をして考えを巡らせた。確かに多輝は透や学に抱かれて感じていたらしい。抱かれても抱かれても物足りず、最後は失神するまでひたすら男を求めていたようだ。

 

「もちろん。あいつはおまえのことも嫌いじゃない。だけど、おまえ一人に縛られるのは嫌なんだよ。まあ、そのあたりの感覚はそれぞれ違うもんだから、男なら器量大きく細かい事に拘るな」

 

 ゆっくりと部屋を歩きながら透が言う。優一郎は眉を寄せて視線を床に向けた。広々とした部屋の中に透の足音がやけに大きく響く。

 

「まあ、あいつの問題は後に置いとくとして。おまえの持ってる情報を教えてくれ」

 

 優一郎は頷いて促されるままに話を始めた。水輝がかつての水輝とはまるで別人のようになり、突然攻撃されたこと。檻に閉じ込められ、白銀を使って佑と分離されたことまでを優一郎は話した。口許に手を当てて黙っていた透が伏せていた顔を上げる。

 

「そうか。あいつと分離したか。魂同じって言っても育った環境が違えば別人だからな。身体を共有してるほうが無理があったと俺は思うぜ」

 

 そう言ってから透が顎をしゃくる。

 

「それで、白銀はどうなったか、おまえは知ってるのか?」

 

 優一郎は佑から読んだ記憶を基に白銀の最期を話して聞かせた。だが佑の立場から見た話からだからなのか、何となく言葉の端々に嫌悪の滲む内容になってしまう。話しつつも優一郎は自分の喋っている言葉に困惑した。

 

「最低だな……。白銀逝って良しとか思っちまう俺は、薄情者なんだろうか……」

 

 腕組みをした透がしかめ面をして言う。嫌がる佑を抱いた時の白銀は、多少は水輝の力に影響されていたかも知れないが、話していたのは自分の意志でだ。しかも白銀は嫌がる佑を見て嬉しげにしていたらしい。

 

「だからと言って、水輝さんの行為が正当化されるわけではありません。そもそも抱かせたのは水輝さんなわけですし」

 

 複雑な面持ちをして優一郎は言った。白銀を刺したのは確かに水輝だ。そして白銀の器は消えた。だがその際に通常なら力で構成するべきところの器が、白銀の場合は何故か薄かった。だから水輝も割と簡単に吸収することが出来たのだろう。恐らく白銀は力の使い方を本当にまるで理解していなかったのだ。

 

「それで、本命の話を聞こうか。あのアホの目的はなんだ?」

 

 それまでうろうろと歩き回っていた透が優一郎の正面で足を止める。

 

「主龍神を討ち、その力を吸収することです」

 

 透を見据えて優一郎はきっぱりと言った。佑の記憶、そこに残されていた立城の言葉、和也の漏らした話などを総合するとどうしてもそういう結論に落ち着く。

 

「そして多輝も、水輝さんのターゲットの中の一人に入っています」

 

 僕は幸いにもターゲットからは外れていたようですが。そう続けて優一郎は苦笑した。もしも水輝が優一郎を吸収するつもりなら、檻の中にわざわざ捕らえたりはしなかっただろう。例え佑を分離するために捕らえたとしても、その後もずっと生かしている意味がない。




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