BL警報!! えーと、ちょっとグロ? というか、ヤバい?
耳元で破裂音が鳴る。平手で叩かれた頬を押さえて順は目の前に立つ和也を睨みつけた。和也は怒りに目を吊り上げている。
「……ったいなあ……。理由も聞かずに殴るってどういうことよ」
苛立ちと怒りに任せて順はそう吐き捨てた。すると立て続けに二発、三発と平手が飛んでくる。されるがままに左右の頬を叩かれた順は再度、揮われた和也の右手を振り払った。
「言っとくけどな! 俺もいいかげん、切れるぞ!?」
好き放題殴りやがって。そう喚いて順は踵を返した。どこに行くという低い和也の問いかけを無視して部屋の入り口に向かう。
吉良瀬の屋敷の一室、執事の部屋を訪れたところで順は和也に叩かれた。ただでさえ機嫌が悪かったのに、いきなりこれだ。順は怒りに任せて大股で部屋を横切った。すると足早に近づいた和也が無造作に順のシャツをつかんで力任せに引く。
「オレはすぐに来いと言わなかったか?」
床に引き倒した順を和也が乱暴に蹴る。わき腹を強打された順は思わず目を見張って身体を丸めた。続けざまに肩や腹を何度も踏まれる。しばし痛みを堪えていた順は怒声を上げて身を起こした。
「だから、理由くらい聞けよ!」
そう喚いた順を和也がこぶしで殴りつける。順は歯軋りをして殴られた腹を押さえた。重いこぶしの入った腹がずきずきと痛む。
「理由なんざ、聞かなくても判ってんだよ」
唇を歪めて言いながら和也が両手の指の関節を鳴らす。順はじりじりと間合いを取りながら唇の端に流れた血を指で拭った。
透の危険を察知して佑を抑えたまではよかった。透は順が割り込んだことに何やら酷く落ち込んでいたらしいが、とりあえず命は助かったのだ。後のことは透が自分で考えればいいだけだ。
だがどうも間が悪い。順は殴りかかってきた和也を避け、身体を捻って肘を打ち出した。右腕を伸ばしたまま、和也が左手で順の肘を受け止める。だが順はそこで足を蹴上げて膝で和也の腹を打った。
ベッドに突っ込んだ和也がゆらりと身を起こす。順は佑に切られた手を舐めながら斜に構えた。構えも何もなく立つ順を和也が鋭い目で睨む。
「あれからどれだけ時間が経ってると思うんだ」
呟くように言って順は床を蹴った。一気に間を詰めた順に和也が右腕を振るう。身を素早く屈めてそれを避けたところで、順は重い衝撃を受けて目を見張った。
「直線的なんだよ、てめえの攻撃は」
嘲笑いながら言って和也が順の髪をつかむ。順は呻きながら和也の腕をつかんだ。和也が低い声で嗤いながら順の胸から生えた漆黒の鎌をつかむ。器の中で強制的に黒宝珠が大きな鎌へと変化したのだ。
「い、やだ、離せ……!」
順は奥歯を食いしばって和也を睨みつけた。和也が嗤いながら鎌の柄を握った手をじりじりと動かす。激しい痛みが胸から腹に、また胸にと移動する。順は苦しい息を吐きながら仰け反った。
「火龍神の忘れ形見か」
意味ありげに笑って和也が鎌の柄をゆっくりと引いては押し込む。鎌が動くたびに激痛に晒され、順は掠れた声で呻いた。次第に痛みが判らなくなってくる。順は薄く目を開けて和也を睨んだ。
あの時、奈月が言葉を発した瞬間、大切なものが器の中から音もなく消えた。火龍神の火藍から貰い受けた大事な緋宝珠だ。決して使うことはなかったが、それはずっと順が大切に持っていたものだ。
透はその火藍と順の子供だ。力を自分たちの知らないところで混ぜられ、作られた存在ではあるが、順は透のことも大切に思ってきた。
痛みがどんどん別のものに変わる。順は熱い息を吐いて身を震わせた。
「いてえのが気持ちいいんだろ? 傷つけられりゃ、そんだけ感じるんだろ?」
にやにやと笑いながら和也が鎌の柄を握る手の動きを速くする。順は目を見張って仰け反り、膝を砕けさせた。和也が順の髪を握っていた手を素早く動かす。その手で力任せに肩をつかまれ、順は力なく首を横に振った。
「ちがっ! いやだっ! やめっ! あああっ!」
「違わねえ。てめえはオレに痛めつけられるのが何よりも好きなんだよ」
嘲笑を浮かべて吐き捨てた和也が乱暴に順をベッドに振り捨てる。痛みから解放された順は慌てて身を起こそうとした。だが身体になかなか力が入らず、思うように動けない。
和也が唇を歪めて順を蹴りつける。身を起こしかけていた順は目いっぱい蹴りつけられて壁に打ち付けられた。頭を打った瞬間に目の前に火花が散る。
「違う、俺は」
ぐらつく頭を押さえて順は小声で呻いた。和也が大きな鎌を肩に担いで足を振り上げる。うつ伏せに倒れていた順は鋭い痛みを感じて声を上げた。どっと冷たい汗が全身から噴きだす。和也は折れてしまった順の腕を踏みにじりながらにやにやと笑った。
「判らなけりゃ、何度でも調教してやるぞ? ほれ」
順は目を見張って声にならない叫びを上げた。今度は踏まれた肩が砕ける。続いて和也は順の着ていた服を引き裂き、手にした鎌を軽々と振るった。鎌の刃の先端が順の背を切りつける。
鎌に傷つけられた順の背から血が滴り落ちる。順は痛みに呻きながらかたく目を閉じた。酷く鋭い痛みがゆっくりと別の何かに変わって行く。痛みが痺れになって頭の芯を揺らし、熱いものが腰から下腹部に溜まる。
あ、まだ調教の入り口でしたねw
それにしても仲良いなあ……w