※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 一部 二人の水輝   作:伊駒辰葉

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長々と続いてる話の第六部、まやかしの終わりの最初の話です。
ギャグ的なはじまりです……。
エロシーンはありません。


一章
マジカルプリンセスいちごvsファイティングクイーン・カナメ 1


 桃色の短いスカートが翻り、スカートの中の真っ白なフリルが覗く。ウエストが細くくびれたデザインのワンピースを身にまとう少女は杖を片手でバトンのように回し、先端を黒い影に向けて声高に叫んだ。

 

「みんなの夢と希望と明るい明日を護るため、マジカルプリンセスいちご! ただいま参上!」

 

 それまで恐怖に悲鳴を上げていた周辺の人々の顔に明るい表情が浮かぶ。車やバイクが潰れ、アスファルトが剥がれ、めちゃくちゃになった駐車場には一匹の黒いモノが居た。それに対峙しているのは先ほどの少女だ。

 

 少女の名はマジカルプリンセスいちご。人ではなく、獣でもない、獰猛なモノを退治するのが仕事だ。

 

「だがしかし、少女の凛とした横顔はどことなく憂いを帯び」

「帯びてねえ! 変な解説すんな!」

 

 ピンクの杖を持った少女が真っ赤になって怒鳴る。この少女の名は雨宮多輝という。ちなみに多輝の少し後ろに控えているのが蒼と呼ばれる男だ。その隣には年若い女性の姿もある。マイクを手にした蒼は多輝に怒鳴られて怪訝そうに首を傾げた。

 

「ですが、こーして解説をしておかなければ、あらぬ誤解をされないとも限りません」

「だから! わざわざマイク使うな! お前は遊びに来てんのか、それとも仕事してんのか、どっちなんだ!」

 

 真っ赤になって蒼を再度怒鳴りつけ、多輝は肩を震わせた。おやおや、とため息を吐いた蒼の隣にいた女性がのんびりと多輝の背後を指差してみせる。

 

「多輝くん。例の彼女が来るわよ」

 

 女性の名前は吉良由梨佳という。由梨佳は蒼と同様、多輝と行動を共にしている。多輝は慌てて由梨佳が指差した方を見た。駐車場の向こうにはおあつらえ向きに少し背の高いビルがある。大き目のマーケットの駐車場ではまだ黒いモノは蠢いている。

 

「とっとと片付けねえとやばいな」

 

 大きな象ほどはありそうな影に多輝は向き直った。今日は運良く、スプラッタなシーンは見なくて済んだ。この影に限らず、多輝が始末して回っている魔と呼ばれるモノは人を食うことをやけに好むのだ。

 

「蒼! 結界張れ! 由梨佳は住民の避難誘導頼む!」

 

 これだけのサイズがあると大きな魔法を使う以外にない。多輝は舌打ちをしてスカートのポケットからタロットカードのようなカードを取り出した。瞬く間に駐車場全体を薄青い膜の形をした結界が覆い、由梨佳が観客と化していた人々に危険ですから下がってくださいと声を張る。

 

「多輝くん。ちょっと避難してくれそうにないから、結界をアシストするわ。内部コンピュータでシミュレートしてみたけど、八割くらいの力なら外への影響はないはずよ」

 

 真剣な顔で振り返った由梨佳がスカートのポケットに手を入れながら言う。由梨佳は機械仕掛けの身体をしており、股間を弄ることでコンピュータ制御が可能なのだ。

 

「判った。じゃあ頼む」

 

 そう言って多輝は影に向き直った。一枚のカードを宙に放り、バトン上の杖の先端部でカードに触れようとした瞬間。

 

 目の前の影がけたたましい音を立てて弾け飛ぶ。多輝は衝撃を堪えるために懸命に踏ん張った。背後で結界が強化されるのが感じ取れる。多輝はひらひらと落ちてきたカードをつかみ、鋭い舌打ちをした。影は地面に転がってのたうっている。

 

「おほほほほほほほ! 相変わらずとろいですわ!」

 

 女の声がその場に響く。多輝はうんざりしながら肩を落とした。見なくても判る。きっとビルの上にあいつがいるのだ。やれやれとため息を吐いた蒼がマイクを片手に息を吸う。

 

「おおっと、ここでファイティングクイーン・カナメの乱入だー!」

「何だ、その安直な名前は! しかもめいっぱい本名じゃねえか!」

 

 意気揚々とアナウンスした蒼に向かって多輝は出来る限りの小声で言った。ビルの上から高慢に叫んだ女の名は如月要という。ちなみにその背後に見え隠れしているのは、要が付き人同様に扱っている白銀という少年だ。

 

「いえ、要様自らがそうコールしてくれと」

 

 生真面目な表情で蒼が言う。せめてマイクのスイッチは切れ、と呻いてから多輝はビルの上に目を戻した。おおー、とかいう周囲の人々の歓声が聞こえてくる。

 

「とう!」

「うわあ!」

 

 当り前の顔でビルを飛び降りた要の後から白銀が悲愴な顔で落ちてくる。多輝はため息を吐いて蒼に声をかけた。すると蒼が頷いてさりげなく白銀の落下点に力の膜を張る。要はともかく、白銀の方は人間にかなり近いのだ。あの高さから下手に落下すれば大怪我をしてしまう。

 

「毎度毎度お前らは……」

 

 頭痛を堪えるように額を押さえて多輝は呻いた。どうしてこう、要と白銀はいつも邪魔をしてくれるのだろう。華麗なポーズで飛び降りた要はレオタードに近いコスチュームを身に着けている。その背後で大きな機械を抱えて呻いているのが白銀だ。白銀の抱える機械からは太いホースが伸びている。

 

「何でいつも飛び降」

「おほほほほ! 相変わらず愚鈍ですわね!」

 

 白銀のせりふをばっさり遮り、口許に手をあてがって高笑いしながら要が多輝に歩み寄る。多輝は引きつりながら何となく後じさりした。白銀は渋々の態で要の後をついて歩いている。どうやらあの太いホースは要に繋がっているらしい。




1日くらい休もうかと思ったのですが、ビンボー性なのであげてしまいます!w
久しぶりに要が出てきた気がします!w
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