渚がパニックを起こしてる感じですw
「今から!? ええと、もっ、勿論いいけど……ちょ、ちょっと待って、五分ほど待ってくれない!?」
シャワーを浴びる暇はないだろうが、少なくとも服は取り替えなければならない。いや、その前に壊れた祐をどこかにちゃんと横たえて。いや、その前に茶菓子くらいは用意した方が。余りに焦ったため、渚の頭には色んな考えが一度に巡った。
『あの、お忙しいのなら、ご遠慮しても……』
渚の答えをどう取ったのか、奈月が少し弱い声で言う。渚は慌てて首を横に振った。
「忙しくなんてないわ! 是非、来て頂戴! ただし、五分後ね!」
それだけ言って渚は一方的に電話を切った。それから急いで祐を抱えて立ち上がる。
「大変よ! 奈月が来るわ!」
それまでの享楽も忘れ、渚は焦って叫んだ。嬉しそうに祐の股間を見つめていた波絵が不思議そうな顔をする。
「五分後って、もう近くまでいらしてるんですかぁ?」
「違うわ! 一刻も早く会いたいけれど、私の用意が……ああっ! しまったわ! 祐ちゃんがこれじゃ、誰がお茶を淹れるの!?」
渚は慌てて祐を見下ろしてそう喚いた。祐は渚の両手に抱かれてかくかくと腰を動かしている。
「祐ちゃんは電源切ってぇ、そこの修理室にほうりこんでおけばおっけーでしょう。あと、お茶くらいならぁ、あたしでも淹れられますしぃ」
それともメイドタイプの娘、呼びます? のんびりと言いながら波絵がにやにやと人の悪い笑みを浮かべる。渚は急いで修理室に入って祐をベッドに横たえてから執務室に戻った。慌ただしくスラックスと下着を脱いでもう一つの小部屋に放り込む。
「咲子に替えの服を持たせて! あなたはお茶菓子の用意をお願い! あ、服はスカートにして!」
ずらずらと注文しながら渚は意味もなく執務室の中を歩き回った。はいはい、と苦笑した波絵が肩を竦める。それから波絵は股間に手を当てて指を動かした。
「咲子ちゃん? 聞こえる? 社長室に渚さまの着替え。パンツスーツじゃなくて、スカートでお願い。五分後にVIPなお客さんが来るらしいから、大至急で」
ヒューマノイドの機体は大抵はクリトリスを操作することで通信することが可能だ。少しの間、ぼんやりと波絵を見てから渚ははっと我に返った。慌てて執務机に駆け寄って引き出しからウェットティッシュを取り出す。机の上のティッシュペーパーを数枚抜いてから、渚はウェットティッシュで股間の汚れを拭い始めた。そこでしまった、と声を上げる。
「何で萎えないのよお!」
情けない顔をして渚はがっちりと勃起しているペニスをウェットティッシュで拭った。そうしている間にも執務室に直通のエレベーターから咲子が姿を現す。
「咲子ちゃんはやーい」
笑顔で波絵が言う。咲子は服を波絵に渡すと軽くお辞儀をして再びエレベーターに乗って姿を消した。咲子はフルネームを蓑田咲子といい、扇情的な体型をした愛らしい少女だ。
いや、そんなことは今はいい。渚は咲子にうっかり見とれてしまっていたことに気付いて慌てて股間を見下ろした。やはりペニスはまだしっかりと勃起しきっている。
「渚さん、スカートなら、ぱんつ穿かなきゃ大丈夫ですって。後、三分半しかないんですから諦めたほうがいいですよぉ?」
でも、受け付けからは連絡はありませんけどぉ? 服を抱えて渚に駆け寄りつつ波絵が首を傾げる。渚は慌ただしく股間を拭い終え、波絵から受け取った服に着替えながら早口で言った。
「跳んでくるのよ!」
きっぱりと言うと波絵が何度か瞬きをする。仕方ない。確かに波絵の言う通り、ショーツを身に着けるのは無理そうだ。渚はストッキングを穿いてタイトスカートを身に着けてから壁際の鏡に駆け寄った。手ぐしで髪を整えて全身をチェックする。
「渚さぁん。咲子ちゃんからしつもーん。お茶は何にしますかって?」
片手を上げて波絵が言う。振り返った渚は少しの間考えて紅茶を淹れてくれるようにと頼んだ。それからまた鏡を見てから愕然となる。
「ちょ、ちょっと……これ、目立たない?」
恐る恐る言いながら渚は振り返った。波絵が不思議そうに首を傾げる。渚は自分の股間を指差してみせた。スカートの形がまずいのかも知れない。広がりの少ないタイトスカートの股間部分が少し盛り上がっているのだ。
「こうなったら無理矢理ぱんつ穿いて、押さえ込むしかないかなあ」
うーん、と呻きながら波絵が腕組みをする。渚はスカートをたくし上げて股間を睨みつけた。だがやはりペニスは力いっぱいそそり立っている。出したのだから萎えればいいものを、と呟いてから渚はため息を吐いた。
だが考えてみれば一度や二度で萎えるようなら何人も立て続けにヒューマノイドを抱ける筈もない。これはごく当り前の反応なのだ。そのことに気付いた渚は深々とため息を吐いた。
不意に見知った気配が感じ取れる。渚は慌ててスカートを直して周囲を見回した。呑気に頭の後ろで手を組み合わせていた波絵が不思議そうに首を傾げる。
「あっあれ!? いっ、いらっしゃいませぇっ!」
「まあ! よく来てくれたわ!」
二人の声が重なる。執務室の中央には奈月が翠を連れて現れていた。
この時点では波絵はまだ奈月が転移(テレポート)出来ることを知らなかったんですよね。
渚も説明できる状態ではなかったので仕方ないですけども……w