※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 一部 二人の水輝   作:伊駒辰葉

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マジカルプリンセスいちごというのは多輝の別名というか。
そんな感じのものだと思ってもらえれば!
エロシーンはありません。


マジカルプリンセスいちご、活躍中!★ 1

 首にかけていたアクセサリを外して両手に包む。多輝はそこで泣きそうな顔で由梨佳と斎姫を見た。魔の退治をする以外でこんなことをする羽目になるとは思わなかった。

 

『ええと……見られてると恥ずかしいんだけど』

 

 魔法のカードを使うには絶対の条件がある。マジカルプリンセスいちごの扮装をしなければならないということだ。いや、扮装そのものはおまけなのだが、鍵である杖を出そうとするとどうしても衣装が変わってしまうのだ。

 

『ええー。イチゴちゃんの変身シーン見たかったのに』

 

 不服そうに斎姫が言えば、由梨佳がにっこりと笑う。

 

『多輝くん。わたしはかまわないわよね?』

『あう、ええと』

 

 多輝は二人を見比べて泣きそうに顔を歪めた。確かに由梨佳はいつも多輝の傍にいるため、扮装する瞬間を見ていることも多いのだろう。だが、大抵は多輝も切羽詰っているために扮装する瞬間は周囲のことは特に気にならないのだ。ちなみに蒼はそういう瞬間を狙って多輝の写真を集めているのだが、多輝自身は知らないことだ。

 

 かと言って斎姫にだけ見るなとも言い難い。多輝はしばし迷ってから諦めのため息を吐いた。それまで唇を尖らせていた斎姫がぱっと明るい顔になる。多輝は仕方なくアクセサリのヘッドを包み込んだ両手を掲げた。

 

「星の力を秘めし鍵よ」

 

 半ばやけくそで多輝は呪文を口にした。これだけは実際に口にしなければ効果はないだろう。何しろ水輝がカードを使えるようにしてくれた時に言えと言っていたのだ。

 

 多輝の両手の中でアクセサリが光を帯びる。やがて淡い光を放ちながらアクセサリは浮き上がった。多輝は手を掲げたまま目を閉じて次の呪文を紡いだ。

 

「真の姿を我の前に示せ。契約のもと、苺が命じる」

 

 風もないのに多輝の服の裾がふわりと浮く。同時に多輝の足元には光の陣が現れた。複雑な紋様を記されたこの陣にどんな意味があるのか、多輝には判らない。

 

「レリーズ!」

 

 多輝が呪文を結んだ瞬間、アクセサリの鎖が消え、ヘッド部分が杖に転じる。多輝の身に纏っていた服が消え、代わりにフリルのたっぷりとついた服が現れる。瞬く間に扮装を終えた多輝は杖をつかんでくるりとその場で回った。

 

「マジカルプリンセスいちご、ただいま参上!」

 

 いつもの癖でポーズをとってしまってから多輝ははっと我に返った。多輝を見ていた二人が感心したように拍手している。変身を終えた多輝の足元の陣は音もなく消え、杖が帯びていた光も失せた。多輝は両手にピンク色をした杖を握りしめて泣きそうな顔で二人を見た。

 

『あの、ええと……終わったけど』

 

 他にかける言葉が見つからず、多輝は小声で言った。

 

『すごーい! 可愛い! かっこいい!』

 

 嬉しそうに言ったのは斎姫だ。拍手をして何度も頷いている。対する由梨佳は見慣れているからか、拍手をしてにこやかに笑みを浮かべている。多輝は恥ずかしさに俯きながら頭をかいた。

 

 今日の多輝の服には作り物の天使の羽根がついている。ふんわりと広がったスカートの中には真っ白なフリルのついたパニエが重ねられている。真っ白なタイツと赤い靴、ワンピースはピンクだ。胸を強調するように腰が細く作られたワンピースの襟元には大きなリボンがついている。帽子はワンピースと同じピンクで白い羽根が一枚あしらわれている。どういう仕組みになっているのかは知らないが、変身するたびに服は違う。多輝は自分の格好を見下ろして泣きたくなった。

 

『では、行きましょう。アースのカードを使って地中を転移して』

 

 急に真面目な顔をして斎姫が言う。ソファに由梨佳と向かい合わせに座っていた斎姫が股間を弄り始める。どうやらプログラムを操作しているようだ。多輝はそんな斎姫に頷いてみせた。

 

『待って! 由梨佳さんには、回線だけ繋いだ状態でここで待機して欲しいの。もし、わたしたちに何かあった時のバックアップのために』

 

 立ち上がりかけていた由梨佳に斎姫がそう声をかける。由梨佳は斎姫と多輝とを見比べて頷いた。

 

『わかったわ。心配だけど。世界の平和を守るためにがんばってね!』

 

 そう言いながら由梨佳が目を潤ませる。やけにノリがいいな、と呟いて多輝は頭をかいた。斎姫が静かに多輝の傍に並ぶ。促されるままに多輝はスカートのポケットから一枚のカードを取り出した。

 

『座標は、さっき転送した通りよ。さあ、お願い』

 

 頷いてから多輝はふと眉を寄せた。

 

『あの、呪文は?』

 

 カードを使う際にはちょっとした言葉を紡ぐことになっている。そのことを多輝は説明した。すると斎姫が少し眉を寄せて口許に手を当てる。

 

『待って、検索するから』

 

 そう言って斎姫が右手で左の胸を、左手で股間を探る。右手で服越しに乳首を触り、左手で股間を探る斎姫から多輝は思わず目を逸らした。しばしの後、唐突に優一郎の声が響く。

 

『地よ我等がために道を開かん』

 

 どうやらそれが指定された呪文らしい。了解、と呟いて多輝はカードを指に挟んで宙に放り上げた。ふわりと浮き上がったカードが宙で回転する。

 

「地よ! 我等がために道を開かん!」

 

 多輝は両手に握った杖を振り上げた。ふわりと落ちてきたカードを杖の先で叩く。

 

「アース!」

 

 呪文を結んだ瞬間、二人の姿は溶けて消えた。視界が歪んで暗く沈む。しばしの後、多輝の視界は急に開けた。多輝と斎姫は顔を見合わせて慌てて物陰に潜んだ。




魔法少女は憧れですよね!w
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