というか、冒頭からエロですw
なんか頭がぐらぐらする。白銀はぼんやりとした目を開いて額を押さえた。何故だろう。視界がやけに不安定に揺れている。それにこの軋みは一体なんだろう。のろのろと考えを巡らせた白銀は首を傾げた。
「あっ、白銀様! お目覚め、ですか?」
聞き覚えのある声を耳にして白銀は何度か瞬きをした。何気なく声のした方を見てぎょっとする。仰向けに横たわる白銀に槙花が跨っているのだ。槙花はうっすらと笑みを浮かべてブラウスのボタンを一つずつ外していった。胸を強調するデザインの服だからなのか、それとも元々の槙花のサイズが大きいのか、はだけたブラウスから二つの膨らみがぷるんと弾けるようにして現れる。絶句して目を見張った白銀の手を槙花が胸に導く。
「あはっ。昨日、ひらいてもらったばかりなんですよぉ」
甘い鼻にかかる声で言いながら槙花が腰を揺する。白銀はそこで漸く自分のペニスが槙花に咥え込まれていることに気がついた。狭い膣内で擦られ、反射的に仰け反った白銀が無意識に槙花の乳房を握る。槙花は甘えた声を漏らして腰を上下に忙しなく動かした。
「あっ、んっ、くうぅんっ!」
さっきから視界がぐらついていたのは、槙花が白銀を咥えこんで腰を揺すっていたかららしい。遅まきながらそのことに気がついた白銀は慌てて槙花を押し退けようとした。だが槙花がそんな白銀の上で卑猥に腰をくねらせる。その瞬間、白銀はたまらないものを感じて思わず腰を突き上げた。
「白銀様ぁ……精液、いっぱいだしてくださぁい」
甘ったるい声に触発され、白銀は槙花の腰を両手につかんだ。妖しく笑んだ槙花が身体を倒す。白銀は頭を起こして夢中で槙花の乳首に吸い付いた。成り行きのままに槙花を貪りながら、白銀はどうしてこんなことになっているのかを考えようとした。だが眠る前のことがどうしても思い出せない。
槙花が鎖の音を立てながら激しく腰を揺する。槙花は首だけではなく、手や足にも銀色の輪がはめ込まれていた。そこから伸びた鎖が槙花が揺れるたびにしゃらんと涼しい音を立てるのだ。日常からかけ離れた光景にくらりとするものを感じながら、白銀は槙花の腰を両腕に抱いた。
「くふあっ! 白銀さまっ! くあああんっ!」
小柄な槙花の身体が反り返る。白銀は唐突に襲ってきた快感に思わず声を漏らした。それまではじわじわと段階的に水位の上がっていた衝動が、一気に弾ける。白銀は昂奮に任せて槙花の身体を揺すった。絶頂に達して収縮していた槙花の膣内に射精する。槙花は断続的な声を漏らして腰をひくつかせた。
「くうっ! うふっ! うふぅううんっ!」
高い声で鳴いた槙花が白銀の唇に吸い付く。白銀は昂奮のままに槙花の唇を貪った。舌を絡めて互いの唾液を混ぜる。
深く長いキスが終わった後、槙花は笑みを浮かべて白銀の身体の上から降りた。快楽の余韻にぼんやりとする白銀のペニスを今度は口で愛撫し始める。一度射精して敏感になっているペニスに遠慮のない愛撫を加えられ、白銀は程なく二度目の射精をした。槙花が美味そうに精液を飲み下す。
やがて槙花が汚れを綺麗に拭き取って部屋を後にする。白銀は何がなんだか判らないままにしばしぼんやりとベッドの上で過ごした。槙花のことが強烈に印象に残っていて、何を疑問に思うことも出来ない。
「おはよう。よく眠れたか?」
そう言って水輝が部屋に姿を現したのはそれからしばらく経ってからだった。槙花の用意してくれた服に着替えを終えていた白銀は、水輝に勧められるままにソファに腰掛けた。やけに大きな部屋だ。かなりのサイズのソファやベッドなどの家具が置いてあるのに部屋にはまだ十分な余裕がある。
「はあ……。すみません、酔っていてよく覚えてないんです」
昨日のことをまだ思い出せずにいた白銀は頭をかきながら素直にそう打ち明けた。すると水輝が軽く笑って肩を竦める。白銀は曖昧に笑ってすみません、ともう一度詫びた。
今日の水輝は漆黒の服を身に着けている。時折、水輝のことは見かけるのだがこんな印象だっただろうか。そんなことを思いながら白銀は内心で首を傾げた。何故かは判らないが、今日の水輝はやけに近づきがたい感じがする。
「まあ、無理に思い出すこともないだろう。必要ならその内に思い出す」
柔らかな笑みを浮かべて言う水輝に白銀はそうですね、と頷いてみせた。そこでふと思い出して白銀は訊ねた。
「あの、吉良瀬さんは?」
「ああ、佑か?」
笑みを浮かべたまま、水輝が煙草を引っ張り出す。先に勧められて白銀は丁重にそれを断った。そうか、と頷いて水輝が煙草を咥える。のんびりと火を点けてから水輝は煙を細長く吐いた。
「消えたよ」
哀しそうな顔をして水輝がぽつりと呟く。白銀は眉を寄せて間の抜けた声を漏らした。消えた、と口の中で呟く。どういう意味だろう。そう考えていると水輝が言葉を継ぐ。
「死んだ、と言った方が判り易いか?」
「え!?」
白銀は目を見張って慌てて立ち上がった。昨日会った佑はとても病に冒されているようには見えなかった。もしかして事故だろうか。だが佑は自分で龍神だと言っていたのだ。人のように事故や病気で死ぬとは考え難い。
「嘘、ですよね?」
緊張に乾ききった喉の痛みを堪えて白銀はそう呟いた。だが水輝は落ち込んだ表情で静かに首を横に振る。白銀は愕然として力なくソファに座った。
「だって……あんなに……元気そうで」
「元々、佑は不安定な存在だった。いや、ある意味では現実にはいない存在だった、と言ったほうがいいかな」
落胆した面持ちをしたまま、水輝が小声で話を始める。白銀は昨日見た元気そうな佑の姿を思い浮かべて顔を歪めた。
「ちゃんと彼女はいたよ! 俺と話をしたんだ!」
胸を締め付けられる苦しさに顔をしかめて白銀は声を吐き出した。水輝がそんな白銀を痛ましそうに見つめ、次いで力なく肩を落とす。
「佑は、自分以外の全ての存在にとって自分はまやかしに過ぎないと言っていた」
そう言って水輝は哀しそうに少しだけ笑った。これまで何度か水輝を見たことはあるが、こんなに哀しそうにしていたことは一度もない。白銀は緊張に身をかたくして重苦しい顔で水輝の話に聞き入っていた。
「佑は優一郎……吉良優一郎という少年が性を女に変質させた際に表れる、第二の人格、だった」
優一郎が表れれば佑は消え、佑が表れれば優一郎は消える。二つの人格は魂に同居はしているが、同時に存在することはないのだと水輝は語った。白銀はそれを聞いて慌てて首を振った。
白銀が役得ぽく見えますがそーでもないです……。