Re;サノバウィッチの世界へ転生して、青春を謳歌したい 作:ミュウにゃん
保科「え?あ……うん。そうみたいだけど、途中から意識を失って……」
デュアン「……」
綾地「意識を失っていたとき、変なことはありませんでしたか?」
保科「変なことって言われても……身体が妙に熱くなったかな?あと……白昼夢を見たのか、幻聴が聞こえたような気がする」
確定だな。柊史はあの欠片の記憶を読んでしまった。
綾地「幻聴……ですか?」
保科「そう。何か悔しがってる人や、怒ってる人の声とか……。あと好きな人と付き合えて喜んでる声とか。相手が……高安君?っていう名前で、本当に嬉しそうな声が―――ぐわっ!?」
柊史が言い切る前に、綾地さんは柊史の胸ぐらを掴み、揺らす。
おいおい、柊史は気分がわるいのに・・・そんなに揺らしたらヤバいだろ。
綾地「それっ、間違いありませんっ、私が今まで集めた欠片っ」
と泣きながら揺らす。
保科「あ、あ、綾地さん!?」
柊史がどんどん顔を悪くしているぞ
綾地「返して下さい、お願いですからっ」
揺らすスピードが早くなる。あーあ。知らんぞ。
保科「いや、そんな事言われても何が何だか、というか揺らさないで!ヤバいヤバい!危ないって!堤防が、胃液の堤防がぁぁあ!」
綾地「やっぱりあの羽根は心の破片で、保科君が取り込んでしまったんですっ」
更に早くする。おいおい・・・部室が大変なことになるぞ。
デュアン「綾地さん……そろそろやめたほうが」
保科「何を言ってるのか、もう少し詳しく説明を―――いやそれよりもまず揺らさないで!そんなに揺らされたら困る!困るんだって!!デュアン止めてくれぇぇえ」
そうだよな・・・。
デュアン「ごめん……止めたいのは山々なんだが……無理だ」
と満面な笑みで断ることにした。だって・・・今の綾地さんは止められないんだもの。一度ああなったら知らん。放たれた弾丸の様なスピードで興奮した猪をどうやって止めろと?
綾地「困るのは私の方なんです、心の破片を返して下さい」
はぁ~周りが見えてないな。
保科「返せと言われても――いや、本当にダメだって。これ以上揺らされたら、ま、マズイから―――いや、まじでヤバい。襟首掴まないで!しかも、そんなに揺らされたら、出ちゃう、いっぱい出ちゃうっ!」
まぁ、6時間以上経過してるから・・・まだ残ってるかもな。それに水も飲んでるし・・・。
綾地「出して、早く出して下さいっ、いっぱい出して下さいぃっ」
なんか発言がエロいですよ綾地さん・・・というツッコミをしたら、オレが煩悩まみれのヤツだと思われるから思考から外しとこう。
保科「あっあっ!くるぅ、逆流してくる!きちゃうきちゃうぅ!ガクガクさせちゃらめえぇぇぇぇ!うっぷっ―――」
うん。発言を聞かれたら誤解を招くぞ。まぁ、もう17時を回って、お日様がすっかりと沈み始めてる・・・
綾地「返して下さいぃぃ」
保科「■☓◎§〒☆◆ДДД―――――」
オレは、急いで袋を拾い上げ、綾地さんを引き剥がし・・・袋を柊史に渡し・・・吐き出した。
デュアン「水で口の中のものを洗い流せ」
保科「す、すまない」
―――――かれこれ、二人が落ち着くまでに数十分は掛かっただろう。
保科「……はぁ……はぁ……」
漸く、吐き気も収まった保科。
綾地「ごめんなさい、取り乱してしまって……私……」
保科「いや、へ、平気……うん、平気だよ?」
綾地「それで、気分はどうですか?」
保科「吐く物はいたから少しはマシになったよ。スッキリしたって言えるほどじゃないけど」
あんだけ吐いたのに?不快感が残るのは変だな
デュアン「…………」
保科「それであの、話を戻すけど……さっき『返せ』って言ってたよね?心の欠片……だっけ?」
綾地「…………はい」
保科「ガラス瓶に入って突然消えたやつでしょ?それを、オレが取り込んだってことだけど……」
綾地「……はい」
やはり、綾地さんは魔女であることを隠したいのか・・・
保科「そう言われてもなぁ……そもそも、心の欠片って何なの?」
綾地「その前に、正直に答えて下さい。保科君は"魔女"ではないんですか?」
おぉ、どストレートに聞くなあ。だけど、オレからすれば柊史は"魔女"では無いんだよなあ。何というか魔力は感じるけど・・・出来損ない?みたいなものだ。中途半端にジグソーパズルを組み上げた感じ。"魔女見習い"な感じ・・・
保科「魔女?えーっと……なにかの隠語、ってわけでもなさそうだね」
まぁ、日常生活で「魔女」は使わなんよな・・・そもそも、この世界で「魔女」になるためには、「アルプ」と契約しなければならない。
仮に柊史が魔女だとすれば、他人が集めた心の欠片を横取りすることは不可能だ。これは、オレが集めた心の欠片の瓶を千穂子という少女に渡しても、反応はしなかった・・・
まぁ、「譲渡」を使えば渡せるが・・・
綾地「心の破片は……言葉通りです。"人の心の破片"喜怒哀楽を始めとした強い感情の一部です」
保科「…………」
そう説明すると・・・保科は黙り込む。
綾地「その微妙そうな顔、やっぱり誤魔化してるわけじゃなさそうですね」
保科「えっと……綾地さんはそれを集めてるってこといいの?」
綾地「はい」
保科「な……なるほど」
デュアン「ま……普通ならこんな話怪しくてバカバカしいだろうな……さっきの現象を見れば、多少は納得すると思うが……心あたりがあるんじゃないのか?柊史」
保科「……」
綾地「……」
綾地さんは厳しい表情を崩すことはない。今は本音で話してるものな。
保科「んんん――――………」
綾地「やっぱり……こんな怪しげな話、簡単には信じてもらえないと思いますが……」
保科「いや……、まあ……なんというか……非科学的な話だな―とは思ってる。けど、羽根がオレの中へ入ってくるのは一応見てたから……綾地さんの言葉が嘘だとか、妄想だとか、そんな風に思ってるわけじゃない。思ってないけど……どう受け取れば良いのか、ちょっと悩んでて……」
デュアン「心の整理がつかないってやつか?」
保科「うん」
成程・・・な。
綾地「……そうですね。急かしてしまってごめんなさい」
保科「それだけ大事な物なんでしょ?なら、仕方ないよ。えーっと……確認なんだけど、その心の欠片がオレの中にあるって思う理由は光景を見たことだけ?」
綾地「いえ、もう一つ。さっき……『高安』という名前を口にしましたよね?」
保科「あぁ、うん。幻聴で『高安』って聞いた気がするんだ」
綾地「でも保科君はその名前に心当たりはないんですよね?」
と綾地さんは保科に再確認させる。
保科「全然ない。初めて聞いた名前だよ。綾地さんの知ってる人?」
綾地「はい、高安先輩はこの学院の3年の先輩です」
まぁ、普通なら先輩の名前は知らんわな。生徒役員以外は。
保科「へぇ、そうなんだ?」
綾地「つい先月、同じクラスの女子と付き合うことになったらしく、初めての彼女で非常に喜んでいたそうです」
保科「何だか詳しいね、綾地さん」
デュアン「相談を持ちかけられたからな」
綾地「より正確には占ったんです、その高安先輩の交際相手である女の子の恋愛運を……。それで、どうすれば付き合えるようになるか、アドバイスも」
保科「無事交際できるようになって、その時の嬉しい気持ちの一部を、あの瓶に……」
保科「なるほど。じゃあ……オレが聞いた幻聴は、もしかして?」
綾地「欠片に宿った感情といいますか、記憶を読み取ったんじゃないかと……。他にも聞こえたりしませんでしたか?例えば……試験の点数が悪くて困ってる人とか……友達と喧嘩してしまったとか」
保科「いや、それは無い……と思う」
綾地「だったら……部活のレギュラーが取れなくて悩んだり、恋人の浮気に関する悩みはどうですか?」
浮気かあ・・・そんなヤツはろくなやつじゃない。
保科「それは…………聞こえた。レギュラーに悩むというか嫉妬するような声と、浮気に怒ってた声が……。つまりそれも、相談に来た人の悩みで、解決に関わったってことなの?」
綾地「はい、そうです」
と返答する。
保科「それってさ、オカルト研究部でお悩み相談を開いたりしてたのは……"心の欠片"を集めるため?」
綾地「はい……そうです」
んー・・・喋る隙がないな。
保科「心の欠片は強い感情だって言ったよね?なら……悩みを解決させることで、欠片を集められるって認識で合ってる?」
綾地「はい、大まかには。人の心はとても繊細で、バランスが重要になります。ですから、強い感情に偏ると、バランスが崩れて良くないんです」
デュアン「まぁ……簡単に説明すれば、魔女はそのバランスの調整師と思ったほうが良いと思うぞ」
と付け加えることにする。
綾地「はい。デュアンくんの言う通り……大きすぎるとバランスが崩れて、反動が生じてしまうので」
保科「反動って……。例えば、仕事が好きで仕事してるのはいいけど、定年とかで会社を辞めたら無気力になっちゃう人とか?」
仕事中毒は、シオン・アスタールだけにしてくれ。
綾地「そうですね。そういう人も含まれると思います。ですから、心にはバランスを取る必要があって、そのために余計な分を回収したものが"心の欠片"です」
保科「……」
デュアン「納得してないって顔をしてるぞ……まぁ、しょうがないか」
心の整理って大事だよな。
保科「綾地さん、デュアン」
綾地「はい」
デュアン「?」
保科「ひとまずその過程を受け入れたとしてだ……オレは心の破片っていうのを、どうやって返せばいいの?」
綾地「え?あ、それは…………」
オレに目線を合わせる・・・
保科「デュアンは知ってるのか?」
マジか。
デュアン「……簡単に言えば、保科が満足する結果が出ていれば自然と返ってくるとは思うが……これは、あくまでも仮説に過ぎん。お前の満足する結果が分からない。例の悩みを他人に話したくないだろ?……ってなると、相馬さんに聞いたほうが早いと思う」
綾地「七緒に?」
保科「誰?」
綾地「えっと―――」
と、説明しようとすると・・・タイミングをを見計らったかのように、ノックの音が飛び込んだ。
デュアン「はい?」
久島「まだ残ってるの、綾地、デュアン」
デュアン「先生?」
久島「……って、保科じゃないか?」
保科「久島先生?どうしたんです、こんなところで」
久島「それはこちらのセリフだ。キミの方こそ何をしてるんだ、こんなところで」
保科「それは……まぁ……色々と」
久島「……?変なことしてないだろうね」
デュアン「柊史から相談を貰っちゃいましてね……その相談を聞いてたんですよ」
保科「ああ……」
綾地「それよりも先生、どうかしたんですか?」
久島「特別棟を閉める時間。部活の鍵を返却して、早く帰りなさい」
デュアン「え?!もうそんな時間……?」
とオレはスマホの時計を見ると・・・なんとびっくり19時を回っている。
保科「本当だ、外が暗くなってる」
久島「事前申請無しでこれ以上遅くなるようなら、部活停止になりかねないぞ?」
それは困る。オレも綾地さんも・・・欠片の回収効率が悪くなる。
オレは、シュバルツカッツェは相馬さんと一緒にバイトして、客の悩みを解決させたり、居酒屋のバイトで荒稼ぎしているが、綾地さんはそうもいかない。
綾地「で、ですが……」
と綾地さんはそう言うが・・・
デュアン「先生の言う通り……この相談はひとまず明日にしよう。柊史も綾地さんも"時間"は大切だ。ひとまず、この話題は一日置いといた方がいい……そうしたほうが整理がつく」
と説得させる。
綾地「そう……ですね。分かりました」
久島「話は纏まった?だったらほら、早く帰りなさい」
と、俺らは外に出る・・・
保科「えっと……これからどうしようか?」
綾地「さっき言われた通り、ちょっと落ち着いて考えてみます。それに、相談もしたいですから」
保科「あー……さっき、デュアンが言っていた「相馬さん」って人?」
まぁ、アルプだが・・・人になれるから一応人という
綾地「はい。私に、"心の欠片"のことを教えてくれた人に」
保科「なら、今日は解散ってことで良さそうだね。じゃあ、オレは帰るけど……綾地さん、デュアンは?」
綾地「このまま直接行こうと思います」
デュアン「オレは……綾地さんが心配だし着いていくよ」
保科「何か分かったり、試したいことができたら言って。返せるならちゃんと返すから」
綾地「わかりました。ありがとうございます。あの、念のために連絡先を教えてもらってもいいですか?」
保科「ああ、それは勿論」
携帯を取り出し、番号とメルアドを交換する二人・・・
綾地「なにか分かったら連絡させてもらいますね」
保科「デュアンも居るし……じゃあ。また明日だね。さようなら」
デュアン「気をつけて帰れよ」
オレはそう言い、保科は大丈夫と手を振りながら帰った。
綾地「じゃあ……向かいましょうか」
デュアン「だな」
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