Re;サノバウィッチの世界へ転生して、青春を謳歌したい 作:ミュウにゃん
~~~~~~
〈保科柊史Side〉
保科「………もう、朝か」
うぅ・・・一応、寝たはずなんだけど、疲れが全然取れていない。
昨日の図書室での光景が頭から離れず、なんかもう・・・色々と考えてしまう。
なんで綾地さんは、あんなことを・・・?デュアンは黙認していたし、しかもデュアンからは・・・
デュアン『早く謝って来い』
と重圧を掛けてくる・・・ハッキリ言って、怖い。
う~ん・・・まかり間違ってムラムラすることがあったとしてもだ、学院内でなんて・・・普通じゃない。
保科「……綾地さん……
悶々とこんなことを考え込んでいる内に、すっかり夜が明けてしまった。
昨日の反応を考えると、このまま忘れたほうがいいことは分かってるんだけど――――
保科「思春期の男には、刺激が強すぎですよ……」
ってか、デュアンは普通に・・・というより、平気な顔をしてたが・・・アイツもしかして男が好きなんじゃ・・・・と考えていたら・・・携帯のバイブ音が鳴り・・・
『お前、余計なことを考えていただろ。これ以上余計なことを考えたら、文字通り"殺す"ぞ。Byオレは、ちゃんと女の子が好きだ。ただ、綾地さんを恋愛対象や性欲の対象にはならない。ただの幼馴染だからな
Dhuanより』
怖ぇぇ・・・なんでアイツ、オレが思ってたことを分かってたんだ?エスパー?
~~~~~
保科「おはよう」
父親「おはよう、柊史!ん?どうした、なんだか元気がないじゃないか」
保科「あぁ……ちょっと寝不足で。ふぁっ、あぁ~~~……」
大きなあくびをする。
父親「そんな時は朝飯だな。ちゃんと朝飯をたらふく食えよ!」
保科「たらふく食べるのは良いんだが……作るのはオレだけどな」
父親「よろしく!」
本当、元気だなぁ・・・この朝からテンションが高いのがオレの親父――――保科太一だ。
年甲斐もなく元気すぎてちょっとつかれることもあるけど、親子関係は概ね良好。
保科「…………」
太一「今日の朝飯なーにー?」
保科「ご飯に冷や奴、ほうれん草のおひたしに味噌汁。あと、オムレツだ」
太一「いつも通りだな。もっと豪華な朝食もたまにはいいもんだぞ?ロールキャベツとか、父さん大好物だぞ!」
保科「ロールキャベツぅ?朝から面倒くさいこと言うなよ」
だいたいこんな時間で仕込むと、かなり面倒いぞ。前もって言えよ
太一「ちっ。母さんはもっと優しかったのに」
保科「ああ、そうだ。朝の挨拶を忘れてた……。おはよう、母さん」
リビングに飾った写真に声を掛ける。楽しそうに笑っている綺麗な人。これがオレの母親―――保科唯という女性だ。幼い頃に交通事故で死んでからもう10年以上、父子家庭。包丁や火を扱えるような歳になってからは、家事はオレの担当だ。
休日なら夕食を親父が作ってくれることも、たまにはあるが・・・基本的には、自由な時間が多いオレの担当だ。
保科「ああそうだ。夕食だけど、アジの開きでいいか?冷蔵庫にあるの、そろそろ食べないと」
たしか、そろそろ期限が近かった筈だ。
太一「最近手抜きじゃないか?父親に対する愛情が足りないんじゃないだろうか?その点、母さんは愛情があった!機敏に聡くて、心が通じ合ってたっていうのかな……言わずとも父さんの食べたい物を作ってくれたもん」
保科「『もん』とか言うな、気持ち悪い。歳を考えろ、歳を。とにかく夕食はアジの開きな。あと適当に何か惣菜を買ってきてくれ」
太一「それは構わんが……なあ、柊史」
保科「なに?」
太一「魚を焼くぐらいならオレにだって簡単にできるし、少し遅くなるぐらいなら気にしなくていいんだぞ?」
保科「ん……なんの話?」
太一「たまには友達と遊びに行ったりしろということだな……まっ、本来なら彼女でも作って欲しいところなんだが……お前は俺と違ってモテそうにないからなー」
保科「…………」
太一「ともあれ、たまには若者らしくゆっくりしてこいってことだ」
保科「ん……用件ができたときにはそうさせてもらうよ」
太一「柊史よぉ……恋人がいないのはまだしも、ちゃんと友達はいるのか?」
保科「失礼な事を言うな。友達ぐらいちゃんといるさ」
太一「月々いくら?3万円?」
保科「友達料なんて払ってねぇよ!」
そんなやつがいたら、デュアンがキレて・・・相手を再起不能に陥ると思うぞ・・・。アイツは虐めや理不尽には厳しいヤツだからな・・・
太一「それならいいんだけどな……それはともかく、ご飯まだー?」
保科「ご飯はもう炊けてるから自分でよそってくれ」
これが、いつも通りの我が家の朝だ。
~~~~~~
保科「おはよう」
そしてこちらもいつも通りの教室。
保科「……」
綾地さんとデュアンはまだ来てないか。
海道「おはよう。どうかしたのか?」
保科「おはよう、別になんでもないから気にするな」
海道「それで?昨日はどうだった?」
保科「どっ、どうって!?いきなりそんなことを訊かれても!?」
海道「は???そんなに大変だったの
保科「たっ、大変だった"角オナ"!?」
海道「んー……何言ってんの、お前。朝からいきなり下ネタ?」
保科「え!?い、いや、そういうわけじゃないけどっ」
そうだよな、こんなの無理矢理過ぎる。オレも何言ってるんだ?
なんでそんな風に思ってしまったのか・・・。
海道「秋田の代わりに図書室で仕事をしてたんだろう?大丈夫か?もしかして、頼まれた仕事ってかなり大変だったのか?」
保科「あ。あー……仕事だな、仕事。うん、してた。真面目にずっと仕事をしてたぞ!他には何もなかった!それだけの放課後だった!」
海道「……………。変なヤツだな」
保科「(イカンな……過敏になってしまってる)」
だが、こうして話題に上がるだけでも昨日の綾地さんが脳裏をよぎって・・・・よぎってドキドキしてくる。
『柊史よ。綾地さんに変な目で見たら殺すぞ』
とデュアンに釘を差されたので・・・これ以上はやめといたほうが良いな
秋田「おはよー、保科クーン!」
保科「ん?ああ、おはよう、秋田さん」
秋田「昨日はゴメンねー、急にお仕事を代わってもらっちゃって。どうだった?」
保科「ど、どうって!?」
海道「だから何で動揺するわけ?ワケワカメだぜ」
海道そのネタ古いぞ・・・・
秋田「え?何か大変なことあった!?だったら本当にゴメンねー」
保科「え?あ、いや……仕事は大変じゃなかったよ。大丈夫」
秋田「それならいいんだけど……とにかく、昨日はありがとうね。助かっちゃった」
保科「いやいや、そんな……こちらこそ貴重な体験させてもらってありがとうございました」
秋田「……え?ありがとう?」
海道「やっぱりお前同士じゃないかー、何だ早く言えよー!」
保科「だから一緒にしないでくんない?お前、そんなドM発言っばっかり言ってると、仮屋から嫌われるぞ」
海道「うっ……それは困るな」
保科「仕事自体は本当に簡単だったから気にしないで。それより秋田さんの方こそ用事は無事に終わった?」
秋田「うん、おかげさまで!」
保科「ふむ……そうか、ならよかった」
秋田「あっ、そうだ。お礼にクッキーを焼いてきたから、食べて食べてー」
保科「ああ、ありがとう。お昼にでも頂くとするよ」
海道「けどよ秋田、いくら柊史が馬鹿みたいに引き受けるからって、委員会の仕事は本来なら自分でするべきだと思うぞ」
秋田「分かってるよ。でも昨日は本当に特別な日だったの!レアだったの病院だったの!」
保科「病院ってことは、合コンの相手は医者だったの?そりゃすごい」
どんな確率だよ・・・
秋田「……合コンー?何のことー?全然わかんなーい?とにかく昨日はありがとねー★」
無理やりごまかしやがったな・・・
にっこりと笑ってそそくさと離れる秋田さん。
海道「いい笑顔だったな……最後まで崩れず、むしろゴリ押しで乗り切った辺りは流石と言える」
保科「有望なお医者様をゲットできたんじゃないの?あれだけ笑顔を維持できてるんだから」
海道「じゃあお前はその分、文句を言っても良かったと思うけど……まあ、嫌味は言ったから及第点として良しとしておこう」
保科「それくらいは一応な。毎度毎度頼まれると、さすがのオレも困る。不本意であることをちゃんとしておけば……、……アピールになってたよな?」
海道「普通ならな。けど、アイツ……精神的にもタフそうだからなぁ」
保科「……まあ、今回はクッキーももらったし」
海道「それって露骨な『家庭的な私って素敵☆」じゃね?」
保科「そうだと分かっていても、結構嬉しいもんだ」
海道「はぁー……男の
保科「しつこいぞ……海道」
海道「昨日の仕事、本当に大変じゃなかったのか?」
保科「そこは本当に大丈夫だったよ。ちょっと仕事量が多かったけど。ただ……」
海道「ただ……?」
保科「………」
オレが見たことを言っても、普通は信じてくれないだろうな・・・多分。
海道「???なんだよ?どうかしたか?」
いや、昨日の出来事を話したら、デュアンにぶっ殺される未来しかねぇ・・・どうしよう・・・・あっ!
保科「いや、その……もし、もしだぞ?仮の話なんだけど」
海道「なんだよ?」
保科「放課後の図書館でとある女子が―――――」
綾地「……」
うわぁ?!海道の後ろに綾地さん?ってことは・・・この冷たい風を切るような痛みと優しい味が背後から伝わってくるということは・・・
デュアン「図書館でとある女子が……?どうしたんだい?保科柊史くン?」
保科「ひぃ!いや、何でもありません。気にしないでくれ」
笑顔だが、甘い殺意が混ざってる。マジで怖ぇ
海道「???途中でやめられると余計に気になるんですけど……」
綾地「おはようございます、海道君、保科君、デュアン君」
海道「おわ!?い、いたんだ?綾地さん、おはよう」
綾地「何の話をしていたんですか?」
デュアン「オレも聞きたいなァ~」
保科「……いやぁ、別にぃ……何でもありませんです、はい」
綾地「そうですか」
デュアン「そうなのか」
普段の笑顔を取り戻した綾地さんは、自分の席へと向かっていく。
デュアンは普段の表情に戻った。
綾地「おはようございます」
男子学生A「おはよう、綾地さん!」
いつも通りの笑顔。いつもどおりの優雅さ。清楚という言葉がぴったりな女の子。
なのに・・・・・放課後のあの乱れっぷりは、オレの妄想だったのでは?と自分を疑いたくなってきた。
保科「……」
デュアン「……」
海道「なんだなんだ?妙にギクシャクしてないか?まさかとは思うが……綾地さんとデュアンと何かあったのか?」
保科「別になにもないよ。綾地さんとは元々親しい間柄じゃないんだから、ギクシャクって言うほどじゃない」
海道「ふーん……まあいいけど」
話し込んでいると授業のチャイムが鳴った。
デュアン「――――っと、チャイムだ」
保科「ん……あれ?仮屋がまだ来てないな」
海道「珍しいな……休みか?」
突然、扉が豪快に開く。
仮屋「とぉー!セ、セーフ?セーフ?」
海道「先生はまだ来てないな」
仮屋「良かったぁ……はぁ、はぁ……あー、しんど。寝起きの全力疾走は辛い……」
保科「おはよう。遅刻ギリギリなんて珍しいな」
仮屋「大したことじゃないんだけど、寝坊しちゃってさ。おはよ、3人とも」
海道「おはよー。夜更かしでもしてたのか?」
仮屋「例のバイト。もうすぐお給料がもらえて、目標額に達するんだ」
保科「へー。じゃあ……本当に買うんだ、ギター」
仮屋「うん。でさ、思ってた予算よりも少し多めになりそうだから、改めて買うギターについて考えてたら、思った以上に時間が過ぎちゃってね……ふぁ~~~……眠い……」
小さな欠伸をする仮屋。
保科「で?決まったのか?」
仮屋「まだ。でも目星を付けたから、あとは実際に触れてから決めるよ。んー、今から楽しみだー、うひひ」
すると、先生が入ってきた。
久島「全員席に着きなさい、出席を取るよ。名前を呼ぶまでに着席しないと遅刻扱いだ」
なんて横暴だ・・・職権乱用だぞ・・・
仮屋「うわっ!?そんなことになったら、全力疾走してきた意味が!?」
教壇に立ち、出席を取り始めるのは、我らがクラス担任の久島佳苗先生だ。現国の教師で、オレたちの担任の先生だ。
久島「今日も欠席者なし。皆、健康で何よりだ。それでは今日も一日、頑張るように」
クラス全員『はい』
久島「ああ、そうだ。それから保科」
保科「……?はい、何でしょうか?」
久島「昼休み、昼食後でいいから職員室に来るように。少し話ががあるから」
保科「あー……はい。分かりました」
久島「素直でよろしい。では、バックレないように」
保科「ん……了解っす」
久島先生の話って何だろう?昨日の件か?
仮屋「おやおや」
海道「まあまあ」
仮屋「佳苗ちゃんが呼び出すだなんて珍しい。何かしたの?心当たりは?」
保科「んー……心当たりは……そうだなぁ……昨日のことぐらいかな?」
海道「昨日?」
保科「図書館での仕事。作業自体は楽だったけど、時間がかかってさ。結局オレが鍵を閉めて返却しに行ったんだ。多分、そのことで呼ばれたんじゃないか?昨日、何か言いたそうな顔をしてたし」
オレは、呼ばれたんじゃないか?の後に小さく「知らんけど」と海道達に聞こえないように呟いた。
仮屋「ふーん、そうなんだ?」
海道「仕事を代わった上に、呼び出しまでされるとは……貧乏くじだな」
保科「んー……まあ、な」
海道「お?なんだその反応は?」
仮屋「なんだか微妙な返事だぞ?」
保科「なんでもない。それより席に戻った方が良いぞ。事業が始まる」
そして始まるいつも通りの授業。
授業中は大半の学生が黒板に集中するので、オレの感覚を揺さぶるモノは少ない。(昨日の嫉妬とかは別として)
しかし今日はそうじゃない。肌をくすぐるような刺激と口の中に粉薬が残っているような不快感。それだけじゃない、もう一つ。肌を針でチクチクと刺すような痛みとドロドロに溶けた100%カカオチョコレートを食べさせられる苦みが同時に襲ってくるのだ。
多分これは――――
綾地「……」
デュアン「……」
綾地さんとデュアンだろうなぁ、やっぱり。
オレの動向が気になって仕方ないらしい。まあ、それも当然のことだと思う。でも、なぜ、デュアンまで?いや、理由は単純か。綾地さんを守ろうとしているんだろう。
皆にバラされるかもしれない。笑い者にされるかも。軽蔑されるかも。そういう色んなことを考えてしまうよな、やっぱり。
蒸し返すつもりはなかったんだけど・・・誤解は早めに正した方がいいな。
でも、一番の謎はデュアンだ。
そういや、デュアンから、綾地さんの学生証を届けるように仕向けた。もしかして・・・気を使ってくれたのか?
やはり、謎だ。デュアンが綾地さんを庇ってる理由が分からない。
も、もしかして、綾地さんとデュアンは交際関係に?いや、それは本人たちが否認してたな。う~ん、謎だ。
~~~~~~~~~