月明かりが障子越しに淡く差し込む静寂の中、フゥリは精霊界の館で落ち着かない様子で寝返りを打っていた。
「はぁ……全然寝れません…」
相手決闘者が繰り出してきた強力なモンスターに対して、いつも通りに相手に装備させた諸刃の剣で危なげなく対応できた。
勝利を決めた瞬間のマスターの温かな笑顔と、かけられた言葉の数々が胸の奥で熱が帯びる。
「今日も褒められた……えへへ…」
思い出すだけで頬が熱くなる。わたしは布団に顔を埋めて、こみ上げてくる笑みを隠した。
厳格な家柄で育ったわたしにとって、個人として認められ、褒められることなどほぼなかった。
幼い頃からただ家の名に恥じぬよう、優秀な御巫となるべくしての務めを果たすことだけを求められてきた。
それだけに、マスターの言葉より一層強く心に響いていた…。
その瞬間、高ぶったのか、ふわりと自分に宿る霊獣の力でできた狐耳と尻尾が現れた。慌てて制御しようとするも興奮を抑えることができない。
珠の御巫としての評価ではない。舞の天才としての称賛でもない。ただ、フゥリという一つの存在としての存在を認めてくれている。
(マスターはちゃんと私を見てくれている……よね)
布団をぎゅっと抱きしめ、ゴロゴロと転がるように体を動かす。普段の凛とした姿からは想像もつかないほど、抑えきれない興奮に翻弄されていた。
何度深呼吸をしても収まらない気持ちに、フゥリは静かに布団から出て起き上がる。
微かな障子越しの月光に照らされた部屋の中をキョロキョロと見回す。
「さらに念を入れて…」
出現した黄緑の狐耳が、館には私しかいないが念のため周囲の気配を探るように小刻みに動かし探る。廊下からは夜風の音だけが聞こえ他の気配は一切感じられない。
確認が終わると足音を忍ばせながら、部屋の隅にある隠し棚に手を伸ばす。
『アショカ・ピラー』と呼ばれる石柱の模型だった。
代々から大切に扱ってきた品の一つではあるが、なぜこれほど重要視されているのかその理由は知らない。そもそも、なぜこのような小さなレプリカまで作られているのかも謎だった。
「家の歴史の中でも、意味不明な謎の一つね……オーパーツか何かなのかな?」
フゥリは小さく苦笑を浮かべながらそのレプリカの裏側にあるくぼみを押した。
ブィィィィィィィン!
古めかしい石柱のレプリカは突如として震え始め、マスターの世界でいう電動マッサージ器へと姿を変える。
寝間着の上から首筋に触れると、布越しに伝わる刺激に思わず身震いする。くすぐったさと心地よさが混ざり合い、徐々に体の奥から熱が湧き上がってくるのを感じた。
「んっ…ぁ…」
小さな声が漏れそうになり慌てて布団の中に潜り込む。 枕を押しつけて声を押し殺しながらも、耐えるような表情はすぐに微かな恍惚感を帯びたものへと変化していく。
手は徐々に胸に向かっていき、寝間着の上から成長途中にもかかわらず大きく育っている胸を中心に優しくなでるように刺激を始める。
先端でくるくると円を描くように這わせると次第に先が固くなっていき背徳感を感じてしまう。はしたないことと思っているのに心臓の鼓動は速まってしまう…。
手がこわばり突起の先に触れる。その瞬間に電気が走ったかのような衝撃が走る。ビクリと硬直した手は先端を押しつぶすように動いてしまい、震えるアショカ・ピラーを押しつけてしまった…。
「っ!?……むぐぅ!!」
衣服越しとは思えないほどの快感に体がびくりと跳ね上がる。大きく声が漏れそうだったので口をつぐみ必死に堪える。
かつて、御巫見習い時代に日々の重圧で押しつぶされそうな時のストレス発散が支えの一つとなっていた。しかし…。
(昔と感じ方が全然違う……気持ちいい…)
昔感じた快感はどこか嫌なものを忘れるための現実逃避に過ぎなかった……。今は純粋に感情に従った行為をのめり込み快楽に浸りきっている差をフゥリは理解していなかった。
マスターの笑顔が脳裏に浮かぶたびに、体の熱は増していく一方だった。
(あっ…マス、ター…もっと、わたしのこと…)
吐息交じりの呻きが布団の中で広がっている。稀代の御巫が普段は決して見せない蕩けた素顔がこの時ばかりは抑えきれていなかった。
(マスター……ますたぁ……私は…んっ!……貴方が…)
ついに我慢しきれなくなり太ももに当て始めてから徐々に股へ向かっていく。
膝から太ももへと這わせていく振動に呼吸は次第に乱れていく。勝手に漏れ出す声を布団を噛みしめることで、声を押し殺そうとする。
「んぐぅーっ!…んんっ!……んんぅぅっ!!!!」
震えるアショカ・ピラーの丸い先端部分が下着越しから一番大事なところに押し付ける。
擦るようにグリグリと当たるこの硬い感触だけでも、高揚していて敏感な神経は早くないうちに絶頂に達することができるが……。
カチッっと底のくぼみをさらに強く押す。
ヴィィィィィィィィィィィィ!
「んっ!…んっぅぅぅぅぅ!!!!」
証拠がじわじわと浸みてきていた下着はすでに透けてしまっている。ぽたり、ぽたりと布団の中に垂れて甘い露が滴っていく…。
強烈な刺激は触れているだけでも十分な刺激を与えているというのに、貪欲でまだまだ足りないかのようにその両手で持ち下腹部に押し付ける。
(ああああダメっ!!…し、痺れっ!!……あああぁぁぁっ…クるっっ!!!)
布団を強く握りしめ、枕を全力で噛みながらびくびくと痙攣させながら、抑え込めきれない快楽に頭を小刻みに左右に振る。そして、下半身の全ての性感帯を同時にめちゃくちゃにされたような快感に襲われる。
「っっっっっっあ゛!!…んぐぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙!!!!!!」
枕と布団を通したごもった声と共に、布団が大きく震える。
しばらくして体の緊張が解けていく心地よさに身を委ねる。夜の静寂が戻り、ゆっくりと布団から顔を出したフゥリの頬はこれまで以上に紅潮し、髪は少し乱れていた。
「…シちゃった……うぅ…はしたないぃ……申し訳ございませんマスター…」
罪悪感と満足感が入り混じった表情で天井を見つめる。
しかし、マスターの顔が再び脳裏に浮かび上がると興奮を隠せず霊獣の狐耳が姿を現す。
フゥリの手は再び今は静かなアショカ・ピラーに伸びていく。良家の娘としての理性はすでにどこかへ消え失せていた。
「もう一度だけなら……いいよね…」
囁くような声と共に再び布団の中で握っている物から小さな震えが始まる。フゥリは再び布団の中に潜り込み快感を貪る行為を再開するのであった。