※この作品はR-18です。

FA〇ZA版 マスターデュエル   作:ベルがモット

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聖杯の妖精リース編 -科学者リースの計画-

 薄青く光る小さな体を宙に浮かべながら、私は今日も同じお願いをマスターに向けて口にする。

 

「ねえ、今日こそ《夢幻崩界イヴリース》の姿として呼び出してほしいな☆」

 

 星の仕組みを解き明かした天才科学者の私ことリースは、手のひらに収まるほどの小さなエネルギー体として、マスターの部屋の中を漂っている。本来の姿とは程遠いこの形態に内心では苛立ちを覚えながらも、表面上は《星杯の妖精リース》として可愛らしく振る舞ってみせる。

 

 マスターは予想通りの反応を見せた。机から顔を上げると、困ったような苦笑いを浮かべながら首を横に振る。

 

「いや……絶対、何か企んでいるだろ」

 

 私は妖精の可愛らしい顔のまま、小さく舌打ちをする。カードの世界で起きた一連の出来事を把握しているせいで、私に物理的な干渉をさせたくないらしい。

 

 あちらの世界で私がしてきたこと――星における神の力を手に入れるべく世界を破壊して再構築、そして星の勇者一行に阻止されて失敗。全ての経緯を知っているからこそ、彼は私に物理的な干渉力を与えることを頑なに拒むのだ。

 

「ふぅん、そう」

 

 私は小さな手をひらひらと振りながら、素の口調に戻す。

 

「要するに、貴方は私の能力を恐れているわけね。確かにあちらの世界では星遺物を制御する機構まで作り上げたけれど、こちらにはそんな大層なものはないでしょう? せいぜい電子機器をいじって遊ぶくらいよ。そもそも――」

 

 とはいえ、この世界の『理』というものには少なからず関心がある。カードゲームという形で具現化され、なおかつ精霊という存在での疑似的な召喚システムも、ある意味では興味深い研究対象だ。

 

「それに、このエネルギー体の姿じゃ入力端末ひとつまともに打てないのよ。実体のある形態になりたいのは純粋に研究欲からよ……理解できる?」

 

 今の私は、あくまでカードの精霊。この男――もとい、マスターという存在に完全に依存した不完全な存在。この状況をどう打開すべきか、私は常に頭を悩ませていた。

 

 ――ピンポーン。

 

「あ……、今日はデュエルの約束してたのすっかり忘れてた」

 

 マスターの幼馴染が遊びに来たらしい。席を立とうとするのを見て、私は引っ込もうかと思った。だが、ふと立ち止まる。

 

 ……待てよ。

 

 私の意識に、あちらの世界での記憶が鮮明に蘇る。

 星遺物の鍵の器――あの忌々しい小娘。最初は従順に見えた彼女を、この妖精の姿で内側から精神に直接干渉し、肉体を掌握したことがあった。

 

 最終的には反抗されて自害され、失敗に終わったが、一時的とはいえ完全に支配下に置くことができた。

 

 口元に、ゆっくりと邪悪な笑みが浮かぶ。

 

(そうね。こちらの知的生命体で試したことはないけれど、検証してみるのも悪くないかもしれないわね)

 

 カードゲームの腕前はなかなかのものらしいが、精霊は見えない普通の人間だ。つまり、私の存在に気づくことすらできないし、抵抗力も持ってはいないだろう。

 

 ――都合のいい被験体じゃない。

 

「リース、カードに戻ってくれ。友達が来るから」

「ええ、もちろんよ。大人しく戻るとするわ」

 

 私は適当に返事をしながら、天井の照明器具の裏側へと素早く移動した。こっそりと身を隠しつつ、彼が階下へ降りていく足音を確認する。

 

 しばらくして、階段を上がってくる足音が二つ。マスターの声と、若い女性の明るい声が混じり合いながら近づいてくる。

 

 ドアが開き、二人が部屋に入ってきた。幼馴染は慣れた様子で部屋の椅子に座りながらデッキを取り出している。彼女には私の姿は見えない。絶好のチャンスだ。

 

 二人がデッキを確認し背を向けた瞬間、私は一直線に彼女の口元へと飛び込む。

 

「ん?……っ!!!」

 

 幼馴染の目が大きく見開かれ、喉元を押さえながら苦しそうに咳き込み始めた。だが精霊が見えない彼女には、何が起きているのか理解できないはずだ。

 

 私は彼女の内側から精神に干渉を始める。神経系を掌握して意識の深層へ、段階的に浸透していく。なぜか妙に抵抗が少なかったが、私としては好都合だった。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

 マスターが慌てて駆け寄る。おそらく彼女は膝立ちになり、目は虚ろで、体をガクガクと震わせているところだろう。傍から見れば、発作でも起こしているように見えているはず。

 でも、それも数秒のこと。

 

 すっと震えが止まり、マスターの幼馴染――いえ、私は何事もなかったように立ち上がる。

 

「ん……ふぅ、案外なんとかなるものね」

 

 乗っ取った体で軽く声を出してみる。違和感はあるが、問題ない。手を開いたり閉じたりして、この体の感触を確かめる。

 

「まさか、お前……リース!?」

 

 マスターの顔が青ざめていく。さすがに気づいたようだ。

 

「ご名答。でも騒がないでくれる? 今、肉体の調整をしているところなの」

 

 幼馴染の声で、私の口調で話す。マスターは激しく動揺しながら私の肩を掴んだ。

 

「ふざけるな! 早く戻れ!」

「うるさいわね……少し待ちなさい」

 

 私は彼の手を払いのけながら、さらに深く集中する。この体、悪くはないけれど、過去の私の身体とはかなり違う。この貧相な体型では、私の本来の姿には程遠い。

 

 ――私自身で試すのは初めてだが、トロイメアの創造の変化を応用すれば……

 

 意識を集中させると、内側から押し上げるような感覚と共に、幼馴染の控えめだった胸が徐々に膨らんでいく。Tシャツの布地が引っ張られ、胸元のプリントが歪んでいく。ゆっくりと成長を続ける胸部は、やがて布地の限界を超えて小さな音を立て、Tシャツの縫い目がほつれる。

 

「ん、んっ……!」

 

 腰のラインも変化していく。細すぎた腰回りが適度な肉付きを持ち、女性らしい曲線を描き始める。ヒップラインも同様に、より成熟した女性の形へと変貌していく。ニーハイソックスの太ももの部分がパンパンに張り詰める。

 

 最後に、髪が黒から薄青色へと染まっていく。毛先から徐々に色が変わり、同時に長さも伸びていく。肩までだった髪が、背中を過ぎ、腰まで届く長さへと成長していく。

 

「身体の再構築は及第点といったところかしら……それにしても少し服がきついわね」

 

 変化が一段落したところで、近くの椅子にどさりと座り込み、足を組む。この仕草一つとっても、やはり実体があるというのは素晴らしい。

 

「リース、いい加減にしろ。彼女を解放しろ」

 

 マスターが必死の形相で詰め寄ってくるが、私は涼しい顔で彼を見上げる。

 

「残念だけど、断固として断るわ」

 

 きっぱりと拒否する。こんなチャンス、みすみす逃すはずがない。体の感覚から判断するに、この憑依状態は一時的なものだ。おそらく数時間が限界だろう。

 

 マスターの声には焦りと怒りが混じっているが、その目は私から離れない。これも想定通りの反応ね。

 

 ベッドの下に手を伸ばし、奥の方に隠してあるものを探る。指先に何冊かの薄い本の感触がする。

 

「あら~、こんなところに面白いものがあるわね……」

 

 取り出したのは、明らかに成人向けの薄い本の束。表紙を一冊一冊確認しながら、私は呆れたような、それでいて面白がるような表情を作る。

 

「『霊獣に憑依された巫女が××××』……『見えざる神に乗っ取られた××××の末路』……へぇ、いい趣味してるわね」

 

 数冊を取り出して、表紙を見せつける。マスターの顔が一気に赤くなった。

 

「それは……!」

 

 ページをパラパラとめくりながら、呆れたようにため息をつく。だが内心では納得していた。だからこそ、私のような存在がカードの精霊として顕現できたのだろう。マスターの深層心理が、私のような存在を求めていたのではないかと推測する。

 

「こんなの好きなくせに、私に強く出られるの? 矛盾してない?」

「……それとこれとは話が別だ!」

 

 必死に言い訳をする姿が、なんだか愚かしくて可愛らしく見える。でも、これは交渉の始まりに過ぎない。

 

「ねえ、マスター。取引をしましょう」

 

 私は本を机の上に置き、一歩近づく。

 

「私の目的は、この世界の技術を見たいだけ。貴方のコンピュータとか、インターネットとか、そういうものを実際に触って知識に触れたいの」

 

 さらに一歩。距離が縮まるにつれ、マスターの呼吸が乱れ始める。

 

「そして貴方は――」

 

 顔を近づける。吐息がかかるほどの距離。彼の瞳孔が揺れ、混乱しているのが手に取るように分かる。

 

「理想のシチュエーションを体験できる。悪くない取引だと思わない?」

 

 心理戦において、物理的な距離は強力な武器だ。相手のパーソナルスペースに踏み込むことで、判断力を鈍らせることができる。

 

 私は指を鳴らす。

 

 音と共に、幼馴染のきつくなっていたカジュアルな服装が光に包まれ、代わりに白衣とタイトスカートに変化した。私が最も長く慣れ親しんだ、研究者としての装い。

 

「どう? 初めて出会った時に見たいって話してた、研究者としての姿そのものよ」

 

 内心では、衣装生成は予想以上に力を使い、憑依を維持できる時間が確実に短くなったのを感じる。でもマスターの反応を見る限り、この投資は正解だった。

 

 私は確信を持って、最後の一手を打つ。

 

 マスターに向かって歩み寄り、その胸を軽く押す。バランスを崩した彼は、そのままベッドに倒れ込む。

 床に倒れたマスターは慌てて起き上がろうと手をついた。私はその手を足で軽く払いのける。

 

「そのままでいいわよ」

 

 見下ろしながら、まずは足先でマスターの太ももを軽くなぞる。内側から外側へ、ゆっくりと円を描くように。焦らすような動きで、徐々に中心部へと近づいていく。

 

「んっ……!」

 

 予想通りの反応だ。こちらの世界の人間種も、生理的な興奮状態のメカニズムは同じらしい。血流の増加、体温の上昇、すでに膨張している海綿体。頭の中で冷静に分析し、効率よく処理していけばいい。

 

「雄って単純よね、本当に」

 

 最初は羽根で撫でるような軽いタッチ。それから徐々に圧を強めていく。ぐりぐりと、まるで実験器具のダイヤルを調整するような正確さで、強弱をつけながら刺激を加える。

 

「んっ……や、やめるんだ、リース……」

 

 マスターは抗議の言葉を口にしているが、その視線はチラチラと私のタイトスカートの奥を覗こうとしている。私は意地悪く脚を少し開いて、見えそうで見えない角度を作る。

 

「やめて、と言いながらその視線はどうなのかしら? それに、下半身は正直みたいね」

 

 たかが布一枚見るだけで、たかが物理的な刺激に、ここまで反応するなんて私には理解できない。研究欲とか、知的好奇心とか、もっと崇高な欲求を持ってほしいとは思う。

 

 手を伸ばしてベッドの脇に散らばった薄い本を一冊手に取る。パラパラとページをめくりながら、足での刺激は続ける。

 

「あら、これは足蹴にされる内容ね。『罪宝の魔女に踏まれて』……ほかにも色々あるのね」

 

 独り言のように呟きながら、私は刺激の強度を少し上げる。マスターの呼吸が完全に乱れてい

る。額には汗が浮かび、目は焦点が定まらない。もう限界が近いのが、観察していてよく分かる。

 

「ねえ、マスター」

 

 私は一度足を止め、顔を覗き込む。

 

「この後、私を実体のある精霊として呼び出してくれる? そうしたら……」

 

 しかし――

 

 

「……それは、できない」

 

 

「…………は?」

 

 想定外の拒否に、私は眉をひそめる。

 

 余裕がないはずなのに、強情で反抗的な目を見ると、忌々しい記憶が蘇る。あちらで最後まで抵抗し、私の計画を阻んだあの――

 

「……本当に腹が立つわね」

 

 冷静でいようとしていた私の中で、何かが切れた。らしくない。分かっている。だがこの反抗的な眼差しが、過去の失敗を思い出させる。

 

 ストッキングに包まれた足を直接マスターの下着の中に滑り込ませ、固くなったモノに押し当てる。強く、リズミカルに擦り続け、確実に追い詰める。

 

「ん゙あっ……! リース!!それ…ヤバいっ!!」

 

 歪んだ笑みを浮かべる余裕もなく、容赦なく刺激する。もはや実験でも交渉でもない。ただこの反抗的な意志を打ち砕きたいという、純粋な苛立ちからの行動だった。

 

びゅくっ……びゅるるる……

 

 マスターの体が大きく跳ねる。焦らされて、重くなった精液が陰茎の中を駆け上がり、尿道から出口を求めた精液が勢いよく飛び出す。

 

「あっ……あぁぁ……」

 

あっけなくオーガズムを迎えたようだ。ズボンに染みが広がっていく。耐えることができず、生殖行為と関係ない無意味な射精を行った姿を、私は見下ろしながら鼻で笑う。

 

「……ふん」

 

 私は足を、ベタベタの精液で濡れた下着から引き抜きながら冷笑する。ティッシュでストッキングに付いた精液を拭う。横を見ると、マスターは目を逸らして俯いている。私は嘲笑的に睨みつける。

 

「つい熱くなってしまったわ……まあ、次の手は考えているから」

 

 私はタイトスカートの中の下着をするりと脱ぎ落とし、マスターの上に跨った。白衣の裾が広がり、視界を奪う。

 

「精霊の中には魔力補給として精液で補充するものがいるらしいわね。検証はしていないけど、逆に私から貴方に干渉することができると考えているの」

 

 雄の射精とは一番無防備になる瞬間。原始的で、単純で、だからこそ確実な方法。いくらマスターといってもその時に魔力干渉されたら、ひとたまりもないはず……

 

 私は勝ち誇ったように、マスターの下半身の衣服を剥ぎ取る。これで準備は整った。あとは焦らすだけ焦らして、完全に屈服させるだけ。欲求による身体の反応は正直なものだ。再び陰茎は勃起している。

 

「ふふ、ほんと単純ね」

 

 だが……

 

「あ……あれ?」

 

 体が勝手に動き始める。私の意思とは関係なく、腰が沈み込み、直接行為をする準備を始めている。

 

(違う。これは違う。手だけの物理接触で終わらせるつもりだったのに、なんで体が……?)

 

 私は必死に体を制御しようとするが、まるで別の意思が宿っているかのように、体は行動を続ける。内側から熱いものが込み上げて体の制御が上手くいかない。これは……幼馴染の深層意識?

 

「ちょっ、ちょっと待ちなさい! と、止まって!!」

 

 私の制止も虚しく、体は準備を完了させる。そして何のためらいもなく、一気に腰を落とした。

 

「んっ!? ~~~~っぅぅぅぅ!?」

 

 ブシュリと鈍い水音が聞こえた気がした。一瞬で全身に快楽が走る。あまりの衝撃に、脳が思考することを拒みそうになる。生理現象の一つとしてオーガズムは知っていたが、想像と比較にならないそれが襲いかかり、全身が痙攣する。

 

(な、なんなのよこの体の感度! 身体の制御どころじゃないじゃない!!)

 

 マスターが下から見上げてくる。彼は信じられないという表情をしている。当然だ。私自身ですら状況を理解できていないのだから。

 腰が勝手に動く。まるでこの体の本来の持ち主が、奥底から私を支配しようとしているかのように。

 

「ひぁっ! あっ……んんっ! 違う……これは違うのよ! と、止まっ……んっ!! ん゙ぅ゙ぅ゙ぅっ!!!!!」

 

 また、オーガズムを迎える。口元を押さえても、声が漏れ出てしまう。体が勝手に反応し、私の意思が弱くなるたびに体が快楽を貪欲に求めて暴走していく。

 

 この感覚――

 

 記憶が鮮明に蘇る。あちらの世界で、鍵の継承者の少女を乗っ取った時。最後には彼女の精神に反抗され、私の精神とは別に身体の自由が利かなくなった感覚……

 

 制御できない。幼馴染の残留思念なのか、それとも彼女の体が持つ強い意志なのか。私の思考とは関係なく、体は快楽を求めて激しく動いている。

 

 マスターも私のこんな姿を見て、彼もまた理性を失いかけ、興奮の色に支配されている。あちらからも突き上げられて、突かれるたびに体を大きく震わせてしまう。

 

「止まりなさいマスター!! ん゙っ!! 止まってって言ってるでしょ!!」

 

 以前は、巨大な槍に貫かれて苦痛に満ちた敗北を喫したことがあった……

 

 今回は、快楽に貫かれて――

 

「いやっ!! こんな……はずじゃ……っ! ダメ……もう耐えられなっ……あぁぁ…あっ!!……あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!」

 

 頭から熱を纏った感覚が背骨を通り腰まで到達した瞬間、体が大きくのけ反り返る。ガクガクと腰を震わせながら、下腹部から熱い液体が勢いよく噴き出し、視界と意識が真っ白に染まり、全身から力が抜けていく。

 

 幼馴染の体から、私の精神が強制的に排出される。小さな妖精の姿に戻りながら、私はふらふらと宙へ漂い、魔力が切れてカードの世界へと引き戻されていく。

 

 薄れゆく意識の中で、私は悔しさと、『感情』という計算できない要素、それが私の最大の盲点なのだと改めて思い知った……

 

 ___________

 ________

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 あれから数日が経った。

 

 私は相変わらず、小さな妖精の姿でマスターの部屋を漂っている。あの一件があったが、私たちの関係は特に悪化することもなく、むしろ奇妙な均衡を保っていた。むしろ、取り繕わなくてよくなり、私は気楽になった。

 

「ねえ、今日こそ実体のある精霊として呼び出してくれない?」

 

 私は小さな妖精の姿でマスターの頭の上を飛び回りながら、自論と私の必要性を説いているが、聞き流されている。

 

 マスターのスマートフォンが振動する。彼は画面を確認すると、少し慌てたような表情を見せた。

 

「ちょっと、コンビニに行ってくる。飲み物切らしてたの忘れてた」

 

 適当な理由。明らかに嘘。でも、それも想定通り――

 

 階段を降りる足音が聞こえる。私は素早く窓から外に出て、先回りした。玄関前で待つ幼馴染の姿が見え、私は一直線に彼女の口へと飛び込んだ。もう慣れたものだ。

 

「っん~!」

 

 幼馴染の体が一瞬硬直し、そして弛緩する。私は内側から、今度は慎重に彼女の精神と同調していく。

 音を立てながら体が成長し、服のボタンが弾け飛ぶ。胸部がある程度膨らみ、髪が薄青色に染まりながら伸びていく。

 

 何度か憑依して分かった、抵抗が少ない理由。彼女の中にある欲望――マスターに対して好意を持っているという俗物的だが純粋な想い。それが前回の行動と一致している。

 

「なっ……!」

 

 玄関から入ってきたマスターが、変化する幼馴染――いや、私を見て絶句する。

 完全に変化を終えた私は、素早く玄関のドアを閉め、内側から鍵をかけた。

 

「はぁい、マスター……また、この姿で失礼するわね」

「リース……また勝手に」

 

 私はマスターを壁際に追い詰め、両手を壁について逃げ道を塞ぐ。顔を急接近させ、吐息がかかる距離で囁く。

 

「今日も勝負をしましょう。貴方が最後まで抵抗できたら、私の負け。でも、貴方が堕ちたら――」

 

 耳元で囁く。

 

「私の……勝ち」

 

 これは研究であり、実験であり、そして挑戦だ。なんとなく、結果は見えている。今日もきっと、最後には素体の感情に飲まれ、憑依が解けて、私は負けるのだろう。まあ、それでもいい。

 

 少しずつこの不確定な『感情』という要素を理解することこそが、私の新たな研究課題なのだから。この男とその取り巻く人間を利用する。時間はたっぷりある。

 

 そして、いつかは必ず――

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