第8章【暁に踊る迷子たち】の幕間。
(睡眠薬、良く効いてますね)
眠ったメモリさんを抱き起こして机の上に横たえる。
無邪気な横顔。
研究者らしからぬ少し甘い体臭。
ゲーゼルシャフトの研究者達が彼女を大切にしている理由も何となく分かる気がする。
(この人には幸せになって欲しい)
ヘルレルムが反転してスパイラルの世界になっても、彼女の存在は多くの人達の安らぎになるはず。
(そのためにも施術しておかないと)
仰向けた彼女の膝を立てて、両脚をМ字に大きく開く。
可愛い下着を脱がせると女性器があらわになる。
控え目な陰毛さえ、この人らしい。
「触診、始めます」
中指にゼリーを取り、固く閉じた割れ目にたっぷり塗りつけていく。
小陰唇をなぞりながら時々クリトリスを刺激すると、眠っているメモリさんが呻きながら身じろぎする。
「ふふ、気持ちいいですか?」
つい嗜虐心に駆られてしまう。
ゼリーとは違う液で滑った中指が、ぬるりと膣に入り込む。
「は、ぁ……」
小さな喘ぎ声も可愛らしい。
「もう一本入れますね」
人差し指も彼女の中に滑り込ませる。
経験が少ないのか、まだ膣壁は硬くて狭い。
「施術に問題ないようですね。口も十分開いてるからしっかり受け入れられそう」
二本の指で子宮の位置、大きさ、子宮口のサイズを確認する。
(本当に良かった)
もし彼女の子宮が未発達なら、教団のアジトで本格的な手術を施さないといけないところだった。
「それじゃ、施術を始めましょうか」
「少し冷たいですよ」
潤滑剤を塗ったクスコをメモリさんの女性器にゆっくりと挿入する。
「ん、んん……」
眉根を寄せて彼女が小さく呻く。
膣口を開いて覗いてみると、少し出血している。
「ごめんなさい。まだ経験なかったんですね」
できるなら初めては素敵な相手に捧げて欲しかったけれど。
(メモリさんも先生みたいな人と出会えてたら良かったのに)
処女膜にメスを入れ、もう一度クスコを固定し直す。
膣鏡の奥に、まだ何も受け入れたことのない子宮が口を開いている。
「これはメモリさんのためだから……」
検体を容器から取り出す。
芥子粒ほどの小ささの、不活性化したスパイラルの欠片。
どんなに弱ったスパイラルでも、活性化した際に被験者の負の感情を喰らって爆発的に大きくなることがある。
(だから子宮に閉じ込めて)
ワンクッション置くことで被験者の精神をスパイラルの侵食から隔離しておく。
心さえ喰われなければ、肉体だけがスパイラル化したサンドリヨンになれる。
これは女性だけの特典だ。
「すぐ終わりますからね」
スパイラルを長ピンセットで摘んで、子宮口から奥にねじ込む。
「う、くっ……!」
「頑張って」
グッと奥に抜けた感触がして、彼女の身体から力が抜ける。
「お疲れさまでした。後は処置して終わりですよ」
止血と痛み止め、感覚遮断もしておこう。
あと数日、ゲーゼルシャフト制圧作戦が始まるまでは生理も止めておかないと。
「……あれ?私、寝ちゃってましたか?」
メモリさんが突っ伏した机から顔を上げてこちらを見る。
「お疲れのようでしたから起こしませんでしたけど、何か急ぎの御用でも?」
「アーニャちゃんのところに行く約束が……」
ふらふらと立ち上がろうとする彼女を、倒れないように横から支える。
「あれ、おかしいな。脚に力が……」
「無理のしすぎですよ。たまには休まないと」
「そう……ですね。そうします」
「部屋まで送りますよ」
もたれかかる彼女の身体から伝わる懐かしい温もり。
……もう少しだけ、プライベートでも楽しみましょうか。