※この作品はR-18です。

欲望に忠実に生きたくて   作:嫉妬憤怒強欲

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主人公のムラ……イライラが募る回です



シャドウガーデン結成(涙)

 拝啓。前世の父さん、母さん。そして兄貴。

 お元気ですか?私は元気……と言っていいのかどうかわかりません。

 私は現在異世界にて新たな人生をスタートしました。

 この世界は前世と違って中世ヨーロッパ並の文明レベルで、魔力という力が存在します。しかしファンタジー小説に出てくるような魔法や魔術が存在せず、魔力自体の使い道は身体と武器の強化がメインとなっております。

 私は死ぬ直前に魔法使いになったというのに……失礼、話が逸れました。

 

 独身貴族だった私は、転生した先で辺境貴族カゲノー男爵家の長男(双子だが出てきたのは俺が先)ディック・カゲノーとして生を受けました。魔剣士と呼ばれる魔力で身体を強化して戦う騎士を代々輩出する家系で、私はこの家の期待の男子として育っております。

 家族構成は両親に二歳上の姉が一人、双子の(クズ)の五人家族で、仲はとても良好(弟以外)です。特に私と同じく期待の星である姉のクレアによく可愛がられています。

 

 弟に関してですが、なんと私が事故死する原因となった変態でした。

 その変態と仲悪く……

 

『ひゃっはあああ!てめぇら金目のモノを出せ!!』

 

 盗賊狩りをしています。

 

……正直地球が恋しいです。

 

 

♢♢

 

 結局、俺は変態(シド)の茶番に付き合わされることとなった。

 いや、最初は断ったんだぞ。誰が好き好んでやるか。

 なのにこっちの心情なんか気にもせずあーだこーだしつこく勧誘してきて、ある時には事故死の元凶のくせに死なせた本人に向かって『キミが転生できたのはある意味僕のお陰じゃん。だから僕に協力して当然でしょ』とかのたまった。

 当然キレた俺は言葉の代わりに右ストレートで返事してやったのだが、後日何もなかったかのようにケロッとして勧誘してくる奴に正直恐怖を覚えてしまった。

 それでも断固拒否の姿勢を貫いたが、奴がある日の深夜に俺を簀巻きにし、担いだまま盗賊狩りに行くという暴挙に奔ったことでとうとう屈してしまったのだ。

 

 以来、夜な夜な屋敷を抜け出して、陰の実力者になるための修行と資金調達(盗賊が奪った金品を奪う)を手伝わされていた。

 いや、意味が分からない。

 陰の実力者になるのにお金に関係があるかどうか疑問だが、シド曰くそれ相応の内装やら設定が必要とのことだ。

 

 意味がわからん(2回目)

 意識高い系みたいだが、絶対に方向性を間違えてる気がする。

 それを何度しても、聞き流すだけでまったく聞く耳を持たないと救いようがない。

 

 今日で大体五年くらいになる。もう十歳だ。

 神様……俺が一体何をしたんだよ?ただ人並みの幸せを求めたはずなのに……こんな人の意見を聞かず自分の事しか考えない社会不適合者の兄弟として転生させたんだ?

 

「ヒャッハー!! てめぇら金目のモノを出せ!!」

 

 もうやだこいつ。

 今日も廃村に潜伏していた盗賊を狩りに行っているが、どっちが盗賊かわかんねえよ。

 

 なんで俺がこんな目に……あぁ、寝不足で頭がおかしくなりそう。

 

「おい!コッチにもなんかいるぞ!先に弱そうな奴を殺れ!」

 

 あぁ?

 

 周りを見渡すと、ローブで身を包んでいる俺に向けて憂さ晴らしの対象(ゴロツキ共)が一斉に襲いかかっきてきていた。

 

 気迫は良いが、どいつもこいつも重心はぶれているし、歩幅も合っていない。フェイントも何もなく、どこに攻撃するかが丸分かりのテレフォンパンチだ。この手の奴とは何度も戦ったがどれも似たり寄ったりだ。

 

 元剣道部の俺から見ても、全員実剣でチャンバラごっこしてるだけの素人にしか見えなかった。

 

「――――っ」

 

 最初の1人の攻撃を必要最低限の動作で受け流し、重心を崩したところで素っ首を刎ね飛ばす。

 

「は?」

 

 残った体が血飛沫を上げながら倒れ、一瞬遅れて首が地面にゴロゴロと転がり、俺の足元で止まる。

 

「どこの誰が、弱そうだって?」

 

 ぐしゃっ

 

 盗賊の頭部(ゴキ○リ)を勢い良く踏みつけ、頭蓋骨を砕いて潰れたトマトのようにひしゃげさせて見せる。

 

「「ひぃっ!」」

 

 悪いがこっちは機嫌が悪いんだよ。お前らで日頃の鬱憤を晴らさせてもらうぞコラ?

 

 

――こいつらは商隊の連中を皆殺しにした後宴会するようなクズどもだ。同情の余地はない。

 

 

 そこから先は戦闘というよりはただの俺の一方的な八つ当たりだった。

 内にもやもやしたものをぶつけるために原型が分からなくなるくらいに次々とバラバラにし、すり潰し、肉塊(ミンチ)へと変えていく。命乞いをする奴や背を向けて逃げようとする奴も例外でなく、30分もかからずに駆除が終わった。

 

「なんか凄く荒れてたみたいだけど、嫌なことでもあった?」

「くたばれ○ス」

「罵声で返事!?」

 

 うるせえ、原因のほとんどがお前なんだよ。

 

 シドの方も既に終わっていて、目の前で商人達が扱っていたであろう荷物を漁っていた。

 本当なら持ち主に返した方がいいのだろうが、商人達に生き残りはいない。このまま放置するのもあれなためシドの行動を止めない。

 

 俺は決して根っからの『善人』という訳ではない。盗賊を斬ったのは敵討ちではなく単なる憂さ晴らしだし。だがせめて墓は作っておくのが筋か。

 

「ん?」

 

 シドが金や美術品を袋に詰めるのに夢中になっている中あるものを見つけた。

 布を被せた鉄の檻があり、檻の覆いを剥ぎ取ってみた。

 

「……おいシド」

「なにー?ってこれは」

 

 檻の中には何というか……腐った肉塊が転がっていた。辛うじて人型は留めているが、性別も年齢もまるで分からなかった。

 

「生きてはいるみたいだね……もしかして悪魔憑き?」

 

『悪魔憑き』

 

 ある日突然に肉体の腐敗が始まり、やがて死に至る。

 その原因は不明とされているが、この世界の最大宗教である聖教は生きた悪魔憑きをいい値で買い取り、浄化と称して処刑している。悪魔の浄化、ただ病人を虐殺しているだけだが、それに民衆は喝采し平和が護られたと教会を讃える。

 

 この世界ではそれが当たり前みたいだが……はっきり言って反吐が出る。

 此処にそれがあるということは、死んだ商人たちは教会に売るつもりだったってことか。

 

……供養しようとしていた俺が馬鹿みたいだ。

 

 

「あれ?この波長は覚えがあるな。魔力暴走だ」

「……魔力暴走?」

「ほら、前に姉さんが魔力を上手く練れなかった時があったでしょ?まあ僕がこっそり治したけど」

「言われてみれば……」

 

 そう言えばシドの奴、姉さんにストレッチを教えながら背中に魔力を流してたな。

 シドがいなかったら姉さんもいずれ…

 

「じゃあこいつのことも治せるのか?」

「え?」

「えっ」

「あ、ああ…うんそうかもね」

「かも?」

「あの時はちょっと試しにやってみただけだし」

「ちょっと試しにって軽すぎだろ。おいまさか自分の姉をモルモット扱いに―――」

「ま、まあ僕に任せてよ!隠れ家に持っていこう」

 

 少しでもこいつを少し見直した俺が馬鹿だったよ。

 

 だけどこいつを治せるのはコイツだけみたいだから仕方ない。

 

 もし弄ぶそうなことをすれば、その時はクズの命日になるだけだ。

 

 

♢♢

 

 

 回収した金品貴重品をカゲノー家の領内の廃墟に移動させ、その中で唯一家として機能している廃屋で、自分の姉すら実験台にしたシド・カゲノー(ドブ○ス○ソ野郎)が魔力を流しながらあれやこれやと操作してみて一ヶ月が過ぎた。

 

 

 すると、なんということでしょう。

 ほとんど腐った肉の塊だったのが、金髪美少女に大変身した。

 

 しかも尖った長い耳の形から察するにエルフ!

 異世界ファンタジーでよく出てくるエルフですよぉ!転生前の地球で何回もオカズにしたことのあるエルフが、今、俺の目の前に!しかも全裸で!

 

 歳は俺達と変わらないくらいで、腰くらいの長さまである金髪。

 精巧に作られた美術品の如き顔立ち。瞳を飾る長い睫毛。

 染み一つない白い肌、まだ発展途上みたいだが僅かにふっくらと盛り上がった二つの胸の膨らみ、その先端に白い肌とは対照的なピンク色の果実みたいな突起。

 股間部に薄っすらと生えた金色の茂みの下に見える浅くも僅かな一筋の溝が奔っている。

 

 ああ…脳が震えるぅ

 

 ヤバいちょっとテンションおかしくなってる。

 

「あんなに腐ってたのに元に戻るんだ」

 

 なんでコイツはこんな平常心なんだ?

 これ見て何も感じないとか、向こう(前世)で死ぬ直前に大木に頭を打ち続けたショックで不能(イン○)になっちゃったのか?いや、森の中を全裸で徘徊していた裸族だから元からそんな感性持ち合わせちゃいないか。

 とりあえずいつまでも裸だと寒いだろうから、俺は近くにあった布を掛けてあげる。

 

「……っうぅ……」

「おっと、どうやら目覚めの時間のようだね。そうだっ!良いこと思いついた」

 

 えっ。

 猛烈に嫌な予感しかしない。

 

「お、おい。何する気だ?」

「ここから『陰の実力者の物語』が始まるよ――」

 

 そう言ってシドは丁度良さそうな高さの木箱に格好付けて座る。片膝を立てた厨二座り……やっぱり意識高い系だな。

 こういう手合いは無視した方が良いと考えていると、丁度その時エルフちゃんが意識を取り戻した。

 

「……えっ」

「……えっと、おはよう」

 

 バッチリ目が合っちゃったよ。

 綺麗な碧眼と目が合っただけでズッキューンってなった。

 心臓と下の部分が。

 

「そ、その……調子どう?」

「っ!? わ、私の身体が……元に戻っている……。あなたが、治してくれたの?」

「いや残念だけど、君の身体を元に戻したのはアイツだよ」

「彼が……」

 

 エルフちゃんに視線を向けられると、シドはわざわざいつもより低い声を作って語り出した。

 超気持ち悪い。

 

「君を蝕んでいた“呪い”は解けた。最早君は自由の身だ」

 

 何言ってんだこいつ?呪いって何の事なんだ?

 普通に”もう治療も必要ないからこの子は自由にどこにでも好きな場所に行っても良い”って言えばいいだろ。

 

「……その“呪い"って?」

 

 あっ、そこに食い付いちゃうの。

 

「あぁ、“呪い”というのは……君達『英雄の子孫』にかけられたものの事さ」

 

 は? 

 

「驚くのも無理はない。だが君も知ってるだろ?……教典に記された三人の英雄が『魔神ディアボロス』を倒し、世界を救った」

「知ってるわ、でもあれってお伽話じゃない?」

「あの話は本当にあった事だ。『魔人ディアボロス』と人間、エルフ、獣人の三人の英雄の話さ。倒された『魔人ディアボロス』は死の間際に英雄たちに呪いをかけた、それが真実だ」

「……そんな」

「そして君はその英雄の子孫だった訳だ。……だがいつしか歴史は捻じ曲げられ英雄の子孫は悪魔憑きとして蔑まれ殺されるようになった」

 

 もうヤダこいつ、よくそんな作り話をスラスラ口に出せるな。

 なんかエルフちゃん信じちゃってるし。

 乙女の純情弄びやがって!!

 

「一体だれがそんな事を、歴史を捻じ曲げたの……」

「その黒幕の正体は……そうだな。黒幕は……まだ教える事は出来ない。君にも危害が及ぶだろう」

 

 あっ、ネタ切れみたいだ。目があっちこっちに泳ぎまくってる。

 だったら初めからそんな法螺を吹くなよ。

 

「構わないわ! 一体何者なのっ‼︎」

 

 逆にエルフちゃんが愚弟に先を促す様に聞く。

 

「そ、そうか……ならば教えよう」

 

 どうしたものかと思いながら、見ていると愚弟と何か視線で俺に助け舟を出すのを求めてきたが、気のせいの可能性もあるな。

 取り敢えず中指を突き立てて返事を返しておく。

 

 シドは俺からの手助けがないと理解したようで、時間を稼ぐためか前髪を弄りだした。そして数秒の静寂が流れた後、何かを思いついたように口を開いた。

 

「──……『ディアボロス教団』」

 

 適当過ぎだろ。捻りもなんもないな。

 

「『魔神ディアボロス』の復活を目論む組織だ。奴らは決して表舞台には出て来ない」

 

 そりゃあシドの頭の中にしか存在しないからな。

 

「そして我々の使命はディアボロス教団の野望を阻止する事だ」

「えっ」

 

 オイ待てこら。

 我々って事は俺も含まれている感じか?

 

「我が名は──『シャドウ』。……陰に潜み陰を狩る者」

 

 何が陰に潜み陰を狩る者だよ。お前は一生日向ぼっこならぬ日陰ボッチでもしてろ。二度と出てくんな。

 もう知らん。付き合ってられん。噓吐きは放置して俺はこっそり帰ろう。

 

「……シャドウ。……そこの人は?同じ顔してるけど、兄弟かなにか?」

 

 バレたわ。エルフちゃん目敏いな。

 

「ああ、我が半身だ」

 

 誰が半身だ誰が。確かに双子だけど。

 お前が同じ子宮の中にいたなんて考えただけでゾッとする。あっやばい蕁麻疹(じんましん)が。

 

「半身……?」

「そう、我を支える男──名は『ナイト』、夜を駆け、陰を狩る者だ」

 

 なんか勝手に名前付けられた。

 なんだよナイトって。夜を英語で言っただけだろ。しかも陰に連想するので夜しか思いつかなかったから適当につけただけだろ。

 

「困難な道のりだろう。だが、僕らが成し遂げなければならない。協力してくれるね?」

「あなたがそれを望むなら、私はこの命を懸けましょう。そして咎人には、死の制裁を……」

 

 この子もこの子でチョロすぎだろ。

 悪魔憑きは迫害の対象になっていて、教会で人間ではなく悪魔として処刑されるから存在自体なかったことにされる。

 何もかも失って傷付いた少女に、あることないこと吹き込んで洗脳してるみたいだ。

 噓だってバレたら無事じゃすまないが。特に馬鹿が。

 

「我等はシャドウガーデン……陰に潜み、陰を狩る者だ……君は今日から『アルファ』と名乗れ」

「アルファ………ええ、わかったわ」

 

 

 はぁ……イライラする。

 こっちのことなんか気にもせず好き勝手しやがって。

 

 

 

♢♢

 

 

「うーん……魔力の核心に近付いた気がするんだけどもう少し練習が必要かな」

「勝手にやってろ」

「あっ、そうだ。ディック、ちょっと練習台になって」

「は?」

「勝手にやってってさっき言ったよね?」

「あっいや、そう言う意味じゃなくて……なに手をワキワキさせてんだ気持ち悪い!!?」

「アルファを治せたんだから問題ないよ。多分」

「多分ってなんだ!?しかも治せたのは殆どまぐれ――っておい、じりじりとにじり寄って来るな。やめろぉぉオオオオオオオオオオ!!!!」

 

 コイツぅ、いつか絶対に○す!

 

 

 





狂人に身体を弄ばれた元独身貴族。
なんとか人の姿は保てたものの、身体の一部がおかしなことに

次回「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲」
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