以前、有栖が清隆に聞いた「付き合うって?」ということから始まります。
そんな日常の一コマとなります。
今日、清隆は櫛田を再教育するために自分の部屋を使うというので、私と由佳の二人でゆっくりとお話しできるいい機会だ。由佳も生理中で、時間があっても清隆とセックスはしない。由佳に私の部屋に来てもらった。
「由佳さん、一つ教えてください。」
「お姉さまが、私に教えを乞うなんて珍しいです。」
「よく、誰それが付き合い始めた。とか、誰それは付き合っている。という話題がありますが、そもそも付き合うとは、どのようなことでしょう。」
「改まって、聞かれると困ってしまいます。たぶん、特定の相手と特別な関係にあることでしょうか。」
「特別な関係?」
「そうですね。言い換えると、マーキング?でしょうか。」
「つまり、この人は自分のだから、誰も手を出すな。ってことですか?」
少し前のめりになって聞いてしまった。
「そんな感じだと。」由佳も真剣に考えて、話してくれている。
「そこに至るまでのステップはどのようなものでしょうか?」
「私にも経験がないので・・・。中学の時の先輩から聞いた話です。まず、お互いに近い関係になります。例えばクラスメートとか、部活とかです。その後、他の仲間よりも近くなって、意識し始めます。」
「あぁ、この人いいなぁ。とかですか?」
「そうです。その意識が、好意、「好き」であるとわかると、相手に振り向いてもらう必要があります。」
「なるほど、一方的な好意から双方向の好意に変えるわけですね。」
「その頃には、お互いに好意を持っているかもしれませんが、まだ表に出せません。」
「え?よくわかりません。伝えればいいのでは?」
「そうですね。ただ、伝えたとき、もし「ごめん、何も思っていない」と拒絶された時のことを考えてしまうのでしょう。」
「そういうことですか・・」
「はい。でも、そのうち今の関係では満足できなくなって、決意します。この場合、友達に押されたりすることもあるそうです。」
「告白っていう儀式ですね。」
「はい。それで、相手に自分の好意を伝えます。」
「拒絶もありますよね。」
「もう、ここまで来ると拒絶の怖さは通り越しているんだと思います。告白することで、相手の気持ちを教えてもらえます。」
「Yes or Noですね。」
「いろいろなパターンがあるらしいです。理想的なのは、自分も好きでした。次に、好かれているとは思わなかった。最悪なのは、他に好きな人がいます。他にもいろいろとあります。」
「なるほど。これではっきりするわけですね。」
「はい。ほかに好きな人がいる。という返事以外なら、成功です。」
「一方通行でも?」
「相手に自分のことを意識させることができます。可能性が大きくなるわけです。「じゃ、よく知りあうために、付き合ってみようか」となることも多くあるそうです。だいたい、告白を起点として、OKの場合、付き合っている仲。となるようです。」
「お互いに好意があって付き合う場合と、よく知るために付き合う場合があるわけですね。」
「お互いに好意があっても、すべてを知っているわけではないので、付き合って、知っていくことになると思います。」
「つまり、お付き合いするというのは、特定の相手とお互いによく知りあうために近づいている関係ということになりますね。」
「その定義でもいいかと思います。その関係の中に、他人が入り込まないようにするため、「付き合っている」「彼氏、彼女である」と公表するのでしょう。」
「いま、よく知ろうとしている途中だから、邪魔をするな。って言う感じですね。」
「はい。そのよく知ろうとする期間で、自分の思いと違いすぎると「別れる」という結末になります。」
「では、思う通りだったとすると。」
「私たちの年代なら・・、そう・・あ、あれです。」と言いよどむ。
「あぁ、セックスする仲になるということですね。」(こういう恥ずかしがりなところ、可愛いすぎる)。
「はい。ただ、あ、あれも良し悪しがあって、それが思いと違うと、別れることになるそうです。」
顔を赤らめ、下を向いている。
「付き合っている間は、何をするものなのでしょうか?」
「相手を知るためもあって、とにかく共にする時間を長くとります。ま、好きな相手と一緒にいたい。というだけですが。お買い物や、食事、お出かけ、二人だけで過ごすようになります。」
「いわゆるデートですね。その中にはセックスも入りますよね。」
セックスと私が言うと、由佳が恥ずかしそうにする。行為中はあんなに淫らにエッチになっているのに、平常時は少女の様に恥ずかしがっている。(少しいじめたくなってきた)。
「・・・はい。ただ、そういう仲になるまではやはり時間がかかると思います。」
「良し悪しがあるなら、早く分かった方がいいのではありませんか?」
「あれは特別な行為ですから、お互いによく知りあって、その上で、よりよく知るための行為ですから、そう簡単には進まないかと・・」
「セックスって、あんなに、相手のことを大切に思えるようになれる行為なのにですか?」
驚いたので少し大きな声なる。
「お、お姉さまと、わ、私は、へ、変なんです。だいぶ、おかしいんです。」
しばらく無言が続く。
「ふぅ。一息入れましょう。」と入れ直したお茶を二人で啜る。
「由佳さんも私もおかしいか・・」とつぶやくように言う。
「お姉さまのことははっきりと教えてもらっていないので、よくわかりません。でも、私は・・・綾小路君を見かけたのが、たしか火曜日で、木曜日には抱かれに行きました。」
「私の場合は、入学の日に5年ぶりくらいに再会して、その日に抱かれました。」
『変ですね。』二人の声がそろい、見つめ合って笑った。
「由佳さんから見て、清隆と私は付き合っていますか?」変な質問である。
「もう、そういう次元の話でないように思います。」
「どういう関係に見えますか?」
「お姉さま、綾小路君とデートってします?」
「お買い物はしました。」
「手を繋いで歩いたりは?」
「したことありませんね。でも・・よく身体ごと繋がっています。」
「そ、それは知っています・・。では、最初に告白しましたか?」
「告白・・。改まって、好きです。とか、付き合ってくださいとは言っていません。」
「なんと、伝えたんですか?」
「清隆の女になりたい。今日、貫かれたい。と伝えました。」
平然と由佳を見つめて言うと
「つ、つらぬかれたい・・。ですか。」
由佳の顔が真っ赤になった。なぜか子宮がキュンとする。(あぁ、抱きしめたい)。
「つまり、お姉さまと綾小路君は、付き合っているとは言えません。」
「やはり、よく知ろうという間柄でも、付き合ってるという関係ではないのですね。では彼氏、彼女でもないのでしょうか?」
「いや、彼氏、彼女というのは付き合っている人たちのことです。」
「なぜか、浮世離れしている気がします。」
「あ、そうしましょう。浮世離れした関係。」
「では、清隆と由佳さんの関係は?」
「あ、それは簡単です。お姉さまから最初に言われたように、セフレ、2号、愛人、妾という立場です。」
「う~ん。セフレは相手を大事に思うでしょうか、楽しくセックスできればよし。という程度では?」
「意外と可愛がられていますし、大事にもされています。」
「では、愛人。がいいですね。由佳さんは清隆の愛人です。」
「近くにいさせてもらえれば、何でもいいんです。」
「そういえば、由佳さんも告白していませんよね。」
「はい。あ、私の話はしなくていいです。」
思い出したのだろう、顔を赤らめ下を向く。
「ふふ。由佳さんは運命の人とか言って、おまんこびしょ濡れでしたものね。」
にこりと笑って頭をなでる。
「ううぅ。はずかしい。言わないでください。」
下向きになって腰をくねくねして、恥ずかしがっている。(あぁ、この仕草。萌える)。
「由佳さんが、清隆の愛人。だとすると、私は清隆の・・何でしょうか?」
「おんな。です。それ以外にありません。」
「清隆のおんな。いいですね。」
「お腹もすいてきたし、夕食の準備をしましょう。由佳さんも手伝ってください。」
「部屋に来た時から、お出汁のいいにおいがしてるんですが、何を?」
「あぁ、出汁巻き卵でも作ろうかと思って、出汁を取っていました。」
二人でキッチンに向かった。お鍋に昆布が浸されている。カツオ節のパックも準備されている。
「以前食べた出汁巻き卵がおいしくて、それを再現しようとしているんですが、なかなかうまくいかないものです。かつお節はその場で削りたいのですが、余ってしまうと風味も悪くなります。」
「確かに、自炊レベルで本当においしい料理を作るのは限界がありますよね。」
二人でエプロンをつけ、コンロの前に立った。由佳がスプーンで昆布のだし汁を掬い、味を見る。
「もうちょいですね。」と言ってコンロに火をつけた。
「由佳さん、お料理は?」
「調理自体は人並みです。ただ、調味はできます。」
「調味。ですか。」
調理と調味を分けている。でも、その時はそれほど気にも留めなかった。私は卵をボールに割り、よくかき混ぜ、それを濾して、卵液を作った。調味のため、味見をすると、由佳も私に倣って味見をした。
「もう少し濃い味だといいんですが。」
「スーパーで売っている卵ですからね。では出汁にかかりますね。」
「お姉さま、調味料は、どのような配合を考えていますか?」
そう聞いてきたので、今考えている分量を伝えた。
「卵の味が薄いので、少しお砂糖は控えましょう。みりんは何を?」
「スーパーで手に入ったのは、みりん風調味料でした。これ、少し雑味が出てしまいます。」
「料理酒はありますか?」
「料理酒というか、今、お料理に使っているのは、これです。」
料理酒代わりの酒瓶を見せる。
「あ、吟醸ですね。お酒のまろやかさを出すにはいいかと。」
由佳がみりん風調味料とお酒を少しとって火にかけた。
「これでアルコールを飛ばして、ほんの少しだけ煮詰めます。お酒の風味が雑味を消してくれます。」
あまりに詳しいので不思議に思った。
「由佳さん、どうして、そんなに詳しいの?」
「あ、私、絶対味覚があります。素材の味、調味料の分量から、出来上がりの味までわかりますし。その逆もわかるんです。」
「あぁ、驚きました。私も絶対味覚は持っていますが、由佳さんほどの正確さはありません。」
「やっぱりそうなんですね。お姉さまも持っているんですね。」とあまり驚かない。
「やっぱりって、どういうことですか?」
「内緒です。さぁ、続けましょう。」
はぐらかされた。私は出し汁を沸騰させ、かつお節を一煮立ちさせ、それらを濾した。冷ました後に、卵液をまぜ、調味料を入れ、味を調えた。
「確かにおいしくできるかも。」
私は卵焼き器を火にかけ、卵液を焼いては注ぐを繰り返しながら焦がさないように注意して、ひと塊にした。
「お姉さま、すごい手際いいですね。そこいらの料理人レベルです。」
「ふふ。ありがとうございます。中華鍋も振れますよ。」
いいながら、焼きあがった卵をすまきに移し、形を整えた。
「今日は、出汁巻き卵、蛤の潮汁とご飯です。」
由佳に手伝ってもらいながら、とりわけた昆布だしで潮汁も出来上がった。
「さぁ食べましょう。いただきます。」
「お姉さま、出汁巻き卵はいかがですがか?」
「すごく、美味しい。3回目にしてようやく、再現できました。ありがとうございます。」
「これを目指していた・・。似てるなぁ。」由佳が小さくつぶやいた。
「由佳さん、潮汁はどうですか?」
「とても、いい味です。」
二人とも完食した。
「由佳さん。シャワーを一緒に浴びましょう。」
由佳をシャワーに誘ってみる。
「はぁい」
嬉しそうにしたので、二人で浴室に向かった。初体験の時からみられているので、私に対して恥ずかしさはないようだ。脱衣所で裸になり、二人並んで鏡の前に立った。
「由佳さん、華奢で小さいけど、ほんとにいい身体してるわね。」
胸もしっかりとあって、つんと上を向いている。くびれた腰、小さいけどきゅんと締まったお尻。女の私から見てもいい身体している。
「お姉さまも綺麗です。肌なんてきめ細かくてすべすべです。」
「ブラのサイズは?」
「65Bです。」
「これでBカップ?一度ランジェリーショップに行って、正しく測りましょう。綺麗で、正しい下着をつけると、より引き立ちますよ。」
「お姉さまはいくつなんですか?」
「私は、65Cか60D。由佳さんもアンダーが細いので60Cがベストかもしれません。」
「一緒に行っていただけますか?」遠慮がちに聞いてくる。
「はい、近いうちにお誘いしますね。」
下を向くと股間から、糸が出ているのに気が付いた。
「おや、由佳さん、タンポン派なんですね?」
「はい。先輩に勧められて、それからずっとタンポンです。すっきりしていていいですよ。お風呂も平気ですし」
「私も変えてみようかしら。」
ひとしきり女談義をしてシャワーで洗いっこして浴びた。
「いろいろお話しできて楽しかったです。」
身支度をした由佳があいさつして、部屋に戻っていった。私も清隆から終わったという連絡をもらってので、清隆の部屋に帰ることにした。
色恋沙汰に知識のない有栖と、耳年増の由佳のおしゃべりでした。
そろそろ4月末となります。
その前にもう一話入れます。
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