担任達が居酒屋に集まりました。
入学後1か月。それぞれ何を感じているのか?
Sシステムを1年生全員に説明した日、我々、担任4人が居酒屋に集まった。
「皆、お疲れさま。今日集まってくれて感謝する。」
Aクラス担任の真島が音頭を取る。Bクラス担任、星之宮。Cクラス担任、坂上。Dクラス担任、茶柱がグラスを手に乾杯の格好をした。
「じゃ、まずクラスの状況から共有しようか。」
「私のAクラスから始める。葛城君をリーダーとしてまとまりつつある。なかなかのリーダーシップを見せている。どのような立場になるのか、今はよく見えないが神室さんが女子を中心にまとめている。彼女が鍵だ。」
「鍵というと」と坂上が聞くと
「くっつくのか、反発するのか、見えてこない。神室さんにそのような実力がある様には思えなかったが、4月中旬からグループを作り葛城君に近づいている。」
「小テストは70点か。まぁ中学時代は優秀だったってことね。」星之宮が小テスト結果を説明した。
「他にも、町田君や山村さん、真田君も70点。このレベルは毎年いる。」
「じゃ、Bクラスね。Bクラスは一之瀬さんが委員長としてまとめているわ。かなりの支持率で、彼女に表立って反発できる生徒はいないのが現状。ただ、仲の良い立川さんは意見できるみたい。滅茶苦茶短気で、けんかっ早いけど、頭脳は神崎君。体力は柴田君がずば抜けている。小テストは一之瀬さんは70点だけど、神崎君は80点。ダークホースとして立川さんの85点。」
「85点だと。配点的に、あの3問のうち、2問解けたことになる。」
真島が驚く。
「いや、それほど驚くことでもない。立川さんの入試結果はTop5に入っている。」
坂上が静かに言った。
「そ、Bクラスは一之瀬さんリーダーとして、参謀に神崎君と立川さんがついて、クラスをまとめていくことになると思うわ。」
「だいたい、立川はどうしてBクラスなんだ。それだけの学力ならAクラスが相当だろう。」
茶柱が聞く。
「どうやら、中学時代の友好関係が影響しているとされているわ。学校をさぼって高校生と一緒になって遊びまわっていたらしいわよ。」
「その情報があるくらい遊びまわっていても、あの2問が解ける。天才かもな。」
真島がつぶやいた。
「あと、彼女、とても面白いわよ。」
「何がだ?」
怪訝そうな顔つきで茶柱が問いかける。
「学食のコンサルでポイントを稼ごうとしている。この前のパスタ事件、覚えているでしょ。あれ、彼女の仕業よ。」
「一体、何を考えているんだか。」
坂上が静かにつぶやいた。
「次はCクラスか。こちらは龍園君がリーダーとなった。あの大柄のアルベルト君さえも従えている。暴力で誰も反発できなくなった。ただ彼も小テストは70点取れている。暴力だけでなく、学力も高い方だ。また、知将として小テスト80点の金田君が付いている。あとは孤立しているが椎名さんが80点。でも彼女はクラスになじもうとしていない。今後が心配だ。」
「今回、クラスポイントがBクラスに迫るものだったけど。」と星之宮が質問すると
「あれは、入学式の次の週の中頃かな、龍園君が皆に警告したんだ。授業を静かに受けろ、遅刻等は厳禁だと。」
「つまり、Sシステムを看破していたと?」
真島が真剣な顔で聞く。
「おそらくな。入学式の前の説明で、龍園君は「来月は何ポイントだ」と質問しましたからね。」
「あの二人とは繋がっているのか。」
茶柱が驚いてきくが
「それはない。彼が独自で考え出したものだろう。学年で3人がSシステムを看破したといういことだ。」
「Cクラスも侮れないね。」
星之宮がつぶやいた。
「じゃ、最後に、5月で前代未聞の0ポイントをたたき出した、佐枝ちゃんところのDクラスは?」
星之宮がおどけていう。
「星之宮、うるさい。Dクラスは、ばらばらだ。全くまとまろうとしない。櫛田グループが最大勢力だが、リーダーとかそういう思いは全くない。単なる友達仲間だ。入試トップの高円寺も協調性は0。堀北も0。授業にならないのは感じているだろう。」
「わかる。」
「ひどいな。」
「ひどいね。」
少し静かになった。
「あの二人はどうなんだ?」
真島がその静けさを破った。
「あぁ、綾小路と綾瀬か。あの二人はまったく何もしてない。Sシステムを看破しただけで、Dクラスを引っ張ろうとかいう意思が皆無だ。小テストも入試もお遊びの一環だ。」
「お遊びって?」星之宮が聞くと
「入試結果をよく見てみろ。綾小路は全教科50点、小テストも50点、綾瀬は全教科30点、小テストも30点。ありえないだろ。それに、あいつら、小テストのあの3問を正答している。綾瀬はわざと他の問題の回答をずらした。ずらしてなければ満点だった。」
「え、点数を調整しているの?入試は配点なんか、書いてなかったはず。」
星之宮がつぶやく。
「おそらく、難易度や問題数から割り出したんだろう。遊ぶように。」
坂上がいう。
「星之宮は私が下剋上を狙ってるとか思うかもしれんが、狙おうにもあのクラスでは無理だ、リーダーも出ていない。クラス闘争で重要なのはリーダーシップだ。これを発揮できる生徒がいなければ戦えないだろ。」
茶柱はあきらめ口調だ。
「ところで、綾小路君と綾瀬さんは仲がいいのか?」
真島が問う。
「席が前後というだけで、たまに話す程度だ。教室の監視カメラも確認した。たまに昼食を他の人とも一緒に取っているが、繋がっているようには思えない。しいて言うなら、綾小路はCクラスの椎名とよく会っている。」
「そこは繋がっているのか?」
坂上が聞く。
「それが、どうやらそうでもなさそうだ。図書館で一緒に本を読み、その講評をしあっている。綾瀬がそこに加わることもあるらしい。これは図書館の司書からの情報だ。」
「いずれにせよ、綾小路くんと綾瀬さんは互いにSシステムを看破したというのは分かっているはずだが・・。解せない。」
腕を組んで首をかしげながら坂上がつぶやく。
「あの二人が組んで、動き出すと台風の目どころじゃなくなる。ひょっとするとSシステムそのものが崩壊するかもな。」
真島が真面目な口調でいった。
「しかし、わがAクラスには、そんな飛び抜けた生徒がいない。安心なのか不安なのか・・」
「まぁ、3週間後の中間テスト、各クラスがどのように乗り切るか、見ものだな。」
真島がまとめた。
「そういえば、理事長の娘も有栖だったな。」
真島がつぶやく。
「でも、先天性の心疾患で、まともに歩けないそうよ。中学校もほとんど行かなくて、今は療養施設に入っていると聞いているわ。」
保険医の星之宮が答えた。
「まれにみる天才らしい。」
坂上がポツリという。
「天は二物を与えずか。理事長もつらかろう。」で、この話は終わった。
その後、酒を飲みながら、入試の結果を4人で確認した。上から高円寺、一之瀬、立川、金田、堀北、椎名。
「ほらな。1位と5位がDクラスで孤独路線を走っているんだ。2位と3位がBクラス。これに抜群のチームワーク。星之宮、お前のところなら上が狙えるだろ。」
茶柱が騒ぐ。
「次は小テストな。」上から90高円寺、85立川、80神崎、80金田、80椎名、80堀北、80平田。
「ここでも協調性0の高円寺と堀北。2位と3位タイがBクラス。あと二人の3位タイがCクラス。星之宮、ラッキーだな。すぐにAと入れ代わるぞ。」
茶柱は、もうやけくそである。
4人でわいわい騒ぎながら、飲み明かし、毎月1日に集まる約束をして、その夜は解散となった。
有栖が清隆とただならぬ関係にあり、Bクラスの由佳もそれに加わろうとしている。さらにAクラスの真澄が有栖のコマで、Dクラスの桔梗は清隆に従属し、Cクラスのひよりが有栖と繋がりつつあることは、誰の気にも留められていない。。
どうやら坂柳有栖は療養施設に行ったことになっているようです。
ひと月のまとめとして、担任の飲み会は入れていきます。
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