※この作品はR-18です。

ようこそ有栖と清隆の教室へ   作:愛奴

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2話に渡り、佐倉愛里のお話になります。

今まで出てきませんでしたが、やはり清隆ファミリーになるのでしょうか。

原作にもあったストーカー事件。今作でも踏襲します。


51. 愛里と雫

今日は佐倉と一緒にカメラ屋さんに行くことになり、ケヤキモールで待ち合わせた。

 

ことの発端は2日前、教室の入り口で出合い頭に佐倉とぶつかり、手にしていたカメラを落として壊れてしまったことである。それを修理に出すため付き合って欲しいとのことだった。待ち合わせ場所に行くと、何やら変装しているつもりなのかマスクをした佐倉が下を向いて、ベンチに座っているのが見えた。

「佐倉さん、お待たせしました。」

こちらから挨拶すると、

「あ、わ、私も来たばかりで。き、今日は来てくれてありがと。」

消え入りそうなほど小さな声で言っている。

「今日はもう一人、私の友達も誘っています。」

隣に座ると、遠くから由佳が来るのが見えた。

「由佳。ここです。」

手を振ると、可愛く、手を振りながらとことこと駆けてきた。(もぉ、何してても愛らしい)。

「あ、お姉さま、少し遅れましたか?」

深呼吸して息を整えている。

「大丈夫、まだ5分前です。」

そう言って佐倉の方に視線を移すと。

 

「あ、雫ちゃ、じゃなくて、佐倉さん、こんにちは。立川です。」と挨拶した。

 

佐倉はびっくりしている。

「あ、あ、あ、し、雫って。」

焦りながらあわあわ言っている。

「由佳、佐倉さんが懸命に隠しているんだから、汲んであげないと。全くこの子は・・」

息を吐きながら言うと

「あ、あ、あ、綾瀬さん。」

またしてもあわあわ言っている。

「まぁ、ここではゆっくりできないので、カフェに行きましょう。」

 

「あ、綾瀬さんも気づいていたんですか。」

カフェで注文したあと、佐倉から切り出した。

「入学したころ、一緒にお昼食べたでしょ。そのときに、気付きましたよ。」

「立川さんは、いつごろ。」

「今日、さっきです。急に思い出したので、口に出してしまいました。ごめんなさい。この前、お話ししたときは、全く気にもしていませんでした。」

「き、今日は、わ、分かっちゃいますか?」

マスクで顔を隠す。

「あ、隠しても、その度なしめがねの奥は雫ちゃんです。」

由佳が言う。

「そうよね。最初、私も、この子何してるんだろう?雫ってこんななの?と思っていましたが、見つからないように隠れているとわかってからは、そっと見守っていました。」

「佐倉さん、もったないです。」

佐倉の目を見つめて由佳が真剣顔で言う。

「な、何がでしょう?」

「そんな、可愛くて、スタイル良くて、大きなおっぱいで。」

「そうね。大きなおっぱいで。」私もそこだけ繰り返してみた。

 

「きゃうん」

 

両手で胸を隠し、真っ赤になって下を向いた。(かわいい)。

 

「ね、佐倉さん。何から隠れているのですか?」

優しく問いかけてみた。

 

「お、男の人。み、みんなじろじろと見てくる。」

 

それからぽつりぽつりと話し始めた。要は、身体が成長して皆に変な目で見られるのが嫌だった。このままではだめだと思い、逆療法でそれを見せつける行動をとれば、慣れて気にならなくなるはず。と、モデルのアルバイトを始めた。これでグラビアアイドル雫がうまれた。雫としてカメラのあるところでは、きわどいポーズも平気だが、佐倉の時は、以前よりひどくなったと。今度は雫であることがばれてしまうんじゃないかと、恐怖するようになった。で、誰も知らないこの高校に来たんだけど、やはり癖が抜けなくて今に至る。ということらしい。

 

「神経使って頑なに秘密にするよりも、その一瞬だけ地獄を見ても、あからさまにした方が楽」

 

由佳がいう。おそらく、ママの教えだろう。その教えに由佳はよく従っている。

 

「あ、あなたたちには、そ、そんな秘密ないから・・」

「秘密が、ないか・・」

私は隣に座っている由佳と目を合わせた。

 

「そうですね。別に秘密にしてはいませんが、大々的に公表するものでもありません。あなたが雫だってことと同じです。由佳こっち向いて。」

 

こちらを向いた由佳の顎の下に指をかけ、顔を向けさせた。何をするのか汲んだ由佳が目を閉じ、口を半開きにする。目元がとろんとする。そのままキスをする。

 

「あうっ。な、なにっ」

 

佐倉が驚き、顔を手で覆うが、指の間から見ている。舌を絡めるところを見せつける。

 

「はい。おしまい。あとでね。」

「はぁい。」

由佳は不満そうだが、納得した様だ。

 

「わかりましたか。私と由佳はそういう関係です。別に秘密にしてはいませんが、聞かれたら話せます。」

幸い、店は空いており、佐倉以外には誰も見ていない。

「佐倉さんが、雫であることも同じでは。あまり秘密にしようと気を張ると辛そうです。」

由佳もつけたす。

「あの、それだけではなくて・・ここでは話しづらいので、部屋に来てもらえませんか?」

 

佐倉について歩いていると、由佳が楽しそうにしている。

「由佳は楽しそうですね。」

由佳と手を繋ぎ、そういうと

「お姉さまとこうして歩くの、久しぶりです。嬉しいです。」

頬を染める。(うう、愛しすぎる)。

「きゃうん」

前を歩く佐倉が悶えている。エレベータの中で

「でも、立川さんて本当に可愛いですね。」

由佳の顔を見ながら佐倉がつぶやくように言った。

「ねっ、そう思うよねっ。由佳ってほんとに可愛いわよねっ。」

声を張って言うと、佐倉が驚いている。

「あ、ごめんなさい。由佳のことを言われると、変になるみたいです。」

 

 

「す、少し、着替えてきますので、」

居間でテーブルに座って待っていると

 

「あ、雫ちゃんだ」

 

由佳が驚く。佐倉が雫全開で居間に戻ってきた。髪の毛のまとめ方、洋服の着こなし、姿勢、身振り、全く違う。部屋が一瞬で華やぐ。ここまで変るものなのかと驚いた。

「お部屋では、雫でいるんだ。」

声色、話し方まで違う。さっきまでの佐倉の影も見えない。

 

二重人格か。雫は佐倉が作り上げた偶像だ。こうなりたい、こうありたいという強い願望が雫を作りあげ、佐倉がその不安から雫に逃げる。だから演技ではなく、自然体で雫になってしまう。いずれ、どちらが本来の姿なのかわからなくなり、両方とも壊れる可能性がある。

 

「お姉さま。この子、ちょっとまずいかも。」

 

さすが由佳だ、その危うさに気が付いている。怖いのか私の手をぎゅっと握ってくる。(由佳ってかわいい)。

「雫ちゃん、すこしお話ししませんか?」

座るように薦めると

「いいよ。」

とテーブルに座った。由佳も神妙な面持ちでいる。

「雫ちゃんは佐倉さんのことどのくらい知っているのでしょうか?」

慎重に質問していく。

「あ、愛里のことね。愛里はいつもくよくよと悩んでいるよ。いまは、ストーカーかな。」

佐倉はこれを相談したいのか。

「雫ちゃんは、ストーカーは怖くありませんか?」

「雫はこの部屋から出ないから平気だよ。」

「佐倉にはどのように戻るんですか?」

「う~ん。よくわからないけど、雫は朝起きたことがないよ。不思議だよね。」

あくまで笑顔だ。おそらく、寝ている間に佐倉に戻るんだ。

「ここで、愛里さんに戻れるの?」

「う~ん。嫌だけど、有栖ちゃんの頼みだから、由佳ちゃんもいるし。待ってて。」

そういうと奥にいって、ガサゴソとしている。

 

「お姉さま。どうするんですか?」

由佳が目を合わせて小声で聞いてくる。

「とにかく雫と話していてもらちがあきません。佐倉と話します。」

答えたところで戻ってきた。

「あ、佐倉さんになってる。」

「あ、綾瀬さん。さ、佐倉です。」

私も驚きだ。雫の時は有栖ちゃんと呼ばれた。佐倉では綾瀬呼びだ。

「驚きました。佐倉さん、いや、愛里さん。雫のことをどう思っていますか。」

しっかりと見つめてみる。佐倉の目に『強い心』『恐怖』『綺麗』の3つが浮かんだ。あまりに強い願望と恐怖心から雫に逃避している可能性がある。これなら救い出せる。

「よ、よくわからないんです。ただ、雫でいる時間は不安もなく、と、とても楽しい。」

「いつ頃から、雫ちゃんが出てくるようになったのかしら?」

「た、たまにいたんですが、い、1か月ほど前からは毎日です。」

「雫は愛里さんがストーカーに悩んでいるとおっしゃってましたが。」

「し、雫が、そ、そんなことを・・・」

言葉を詰まらせる。

「じ、実は部屋に来ていただいたのは、そ、相談に乗ってもらえないかと」

だいぶストーカーに悩んでいるようだ。まずはそれを解決しないと、先に進めない。佐倉が机の引き出しから、大量の手紙を取り出しテーブルに置いた。

 

「み、見てください。」

 

それらを由佳と二人で読んでみる。「やっと巡り合えた」「君は僕の神だ」「二人で愛を語ろう」といった、普通に考えても気持ち悪い内容がつらつらと書き記してある。日付を見ると、ちょうど1か月前から届いていることが分かった。

「これは、気持ち悪いのを通り越して、怖くなります。」

由佳がつぶやく。なるほど、これが『恐怖』の原因か。

「どこのだれか目星はついていますか。」

 

「は、はい。か、カメラ店の店員です。」

なるほど、だから今日、付き合って欲しいと。

 

ここからが大切だ、まず優しく問いかけてみよう。

「愛里さん、あなたはどうなりたい?」

 

「わ、私は、つ、強くなりたいんです。」目に力が宿った。

 

「愛里さんにとっての強さって何ですか?」

 

「ひ、人の前でも堂々としていたいんです。」

 

さて、どうしたものか、少し考える。

「わかりました。少し怖い思いをさせますが、頑張れますか。」

「は、はい。お願いします。」

佐倉にこれからの行動を説明し、3人でカメラ店に行った。佐倉にどの男なのか確認する。

 

「あ、あの大柄の人です。」

震えながら答えた。

「愛里さん、大丈夫。お姉さまが助けてくれるから。」

由佳が耳元で優しく囁き、励ます。佐倉も意を決したようで、手紙の束をもって、カウンターに行った。私たちも目立たないように近くに陣取った。

 

「あ、あの。こ、こんなこと、や、やめてください。」

その男に手紙の束を突き返す。

「なんの事。意味がわからない。」

その男はうそぶいているが、身体が震えている。

「と、とにかく、わ、私はあなたのことなんか、き、嫌いです。」

周りには聞き取れないものの、相手する男にははっきりと聞こえるように言い切って、カウンターを後にした。小走りで出口に向かっている。その男は、カウンターからでて、走って佐倉を追いかけた。

店から出たところで、その男が佐倉の腕をつかみ小声で何かを言っている。

 

「由佳、動画。私が出たら警察に連絡。」

といって、由佳が端末を掲げ、二人で後を追いかけた。佐倉が路地に引き込まれる。

 

「し、雫ぅ。なんでそんなこと言うんだよぅ」

「あ、あなたなんて知りません。気持ち悪い。離れて」

「二人で約束したよね。。裏切るなんて許さない。」

佐倉に抱き着き、キスをしようとしている。佐倉はその顔を遠ざけようと必死に手でその顔を押し返している。

「だめ、やめてぇ、だ、だれかぁ」

叫んでいるが、恐怖で声が出ていない。佐倉が壁に押し付けられ、両手を片手で掴まれた。

「へへぇ、これで抵抗できない。雫ぅ。もうオレのものだ。」

空いた片手が佐倉の胸にかかり、揉みこまれた。その瞬間、駆け寄り

 

「お兄さん、それ以上はダメです。」

その腕をつかんで引きはがす。

 

「なんなんだ、お前は。俺と雫の邪魔をするんじゃないっ。」

掴んでいた手が緩み佐倉が開放された。

「愛里さん、逃げて。」

一言、言って、私もその男から距離をとる。

「くそぉ。雫が逃げたじゃないか。許さないぞぉ。」

顔を赤くして、両手を広げて、私に襲い掛かってくる。

 

「お姉さまっ」由佳の叫ぶ声が聞こえた。

 

相手は大柄だ。ならばと、スローモーションのように迫ってくる男との距離を測り、身体の中心にある鳩尾に正拳で突きを入れる。男の上半身が下がってくる。手首を返し、「この角度で、顎先を刈り取る様に、発射」。一瞬、首があらぬ方向を向く。

 

「うがっ」

 

短くうめいてそのまま突っ伏した。私は由佳のそばにいる佐倉に駆け寄り抱きしめた。

「愛里、大丈夫。怖かったね。よく頑張りました。」

抱きしめても、ぶるぶると震えている。由佳も佐倉の頭をそっと撫でている。

 

やがて警官が来た。佐倉がストーカー被害にあっていて、それをやめてもらおうと直談判にきたが、逆上されて乱暴されそうになった。居合わせた私と由佳が、彼女を助けようとした。と事実に基づいて説明した。

 

「あの男、気を失っているんだが。何かしたのかな。」

警官が聞いてくる。

「よくわからないんです。私を追いかけている時に、急に倒れたようです。危なかったです。」

こともなげに説明した。その後、警察署にいき、経緯を説明していると、茶柱先生と星之宮先生が迎えに来てくれた。

 

部屋に戻り、経緯を清隆に説明した。結局、その男はストーキング、暴行、強姦未遂で現行犯逮捕された。ただ、意識不明のまま病院で寝ているらしい。当然、職場は解雇で、意識が戻っても数年は塀の中だろう。意識が戻ればの話だ。由佳の撮っていた動画で男が胸を揉むところまでを警察に提出した。

「驚きました。お姉さまってすごすぎです。見えないんですよ」

興奮気味に由佳がいう。

「有栖。お疲れ様。久しぶり発射させたみたいだな。」

「はい。でも、トレーニングが必要です。少しなまっていました。清隆がいませんでしたが、こいつならいいかと思い。気持ちよく発射しました。」

話の筋が見えない由佳はどぎまぎしている。

「由佳、あれも有栖の力だ。」

「お姉さま。奥が深いです。たまりません」

頬を染める。(うぅ。かわいすぎ。抱きしめたい)。

 

そのあと、清隆に抱いてもらった。私も興奮していたのか、由佳を交えて盛ったのは言うまでもない。

 

 

 

翌日の放課後、佐倉と由佳と私は理事長室に呼び出された。理事長室には理事長、担任、カメラ店の店長、警察官がいた。

「この度は、私どもの職員が、まことに申し分けありませんでした。」

店長が佐倉に頭を下げる。

「あ、あの、あの人はどうなりましたか?」

佐倉が震えながら聞く

「いま、意識不明なままです。そのまま検挙され、おそらく刑務所に入ることになります。」

警察官が答えた。

「よ、よかった。すごく怖かった。」

佐倉が安心したのか泣き崩れた。

「本当に申し訳ありません。こんなことで償えるとは思いませんが、・・」

「佐倉さん、この度は学校としても謝罪いたします。そのような悩みでも打ち明けられるような体制を検討いたします。」

理事長も頭を下げ、担任もそれに習う。

「佐倉には慰謝料として、カメラ店と学校から合計300万のプライベートポイントが振り込まれる。」

茶柱先生が説明した。

「さ、300。そんないただけません」

佐倉は恐縮したが、

「愛里さん。もらっておきなさい。これまで怖さに耐えてきた見返りとしては、少ないくらいです。」

佐倉の背中をさすりながら私がいう。

 

「立川さんと綾瀬さん。佐倉さんを助けてくれて、感謝します。」

理事長から声がかけられる。

「お前たちには、50万ずつと、それぞれのクラスに50ポイントが送られる。」

茶柱先生が説明した。

 

「佐倉さん、いい友達を持ったね。クラスは違うけど、仲良く楽しく過ごしてください。」

 

最後に理事長が場を閉めた。私は理事長室を出る時、振り返って、父に会釈しながら笑顔を送った。

 

 

理事長室を出て、

「口止めですね。」由佳がつぶやく。本当に頭の回転がいい。

「そうですね。」相槌を打つと

「はぇえ、そ、そうなんですね。」佐倉が驚く。

「ええ、口外無用です。」

「あ、あの、わ、私だけ300万ももらっています。こんなには」

「いいのよ。今までの見返りですよ。」と優しく言っても、

「お二人には感謝しきれません。1/3ずつにさせください。」と強い目で言ってくる。

「仕方ありあませんね。じゃ、いただきましょう。」というと、雫調の笑顔で

「ありがとうございました。」といって、100万ずつ、由佳と私に送付してきた。

「愛里さん。これからが始まりですよ。」と声をかけると由佳が付け加えた。

 

 

「そうです。愛里さん改造計画が始まります。」

 




原作では暴力事件のあたりに出てくるイベントですが、別枠で仕立てました。

愛里さん改造計画・・一体、何をするつもりでしょうか。

共同アカウント
有栖から150万、由佳から150万
合計2185万

Bクラス+50、Dクラス+50が7月1日に反映します。

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