※この作品はR-18です。

ようこそ有栖と清隆の教室へ   作:愛奴

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由佳の感じる「帆波の無理」。このままでは破綻すると感じている。この理由は何なのか?

テスト準備中に「終わったら」の約束の元、有栖、由佳、帆波が同じ時を過ごします。




6月2週
53. 一之瀬帆波の陰


「テストが終わったら」と約束した通り、由佳のアレンジで一之瀬と遊ぶことになった。ランチを一緒にということで少し静かなレストランで待ち合わせた。私はスキニーのデニムに厚手の白のTシャツ姿だ。由佳は膝上丈の花柄のワンピースといういでたちだ。

 

レストラン入り口で一之瀬と会った、一之瀬は綿のスカートに薄い水色のブラウスだ。ストロベリーブロンドの髪の毛によく似合う。

「こんにちは、一之瀬さん。」

「あ、そうか、こんにちはだね。綾瀬さん。由佳もね」

きれいな顔だ。笑顔もとても素敵だ。3人で予約席に案内され、各自、食べたいものを注文した。

「綾瀬さん。有栖と呼んでいいかな?」

「はい。いいですよ。じゃ私も帆波と呼ばせていいただくわ。」

「今日はごめんね。この前言ったように早く有栖とお話ししたかったの。」

この子のコミュニケーション能力も大したものだ。櫛田とは少し違うが、変なオーラもなく、人に近づける。

「あの時もそう言ってましたね。一体なぜでしょうか?」

私も自分のスタイルを崩さずに会話を続けた。

 

「あのね、私、由佳のこと、とっても好きなの。」

 

いきなり、何を言い出すのか。由佳も恥ずかしいのか下向いている。

 

「でね、由佳ったら、入学のころから、いつもつまらなそうに、退屈そうにしてたんだけど、4月の中ごろから、急に明るくなって、楽しそうに学校に来るようになったの、」

 

あぁ、4月中旬ね。ちょうど由佳が清隆に抱かれた頃だ。なるほど、そんな感じだったのね。

 

「どうしたかのなぁと思って、よく見ていると、ちょうど有栖と由佳が一緒にいることが多くなった頃からなの。」

「あぁ、ちょうどその頃だったわね、由佳?」

「はい、お姉さまとお会いしたのがその頃です。」

由佳に話を振ると顔を少し赤らめる。(由佳、かわいい)。

「由佳を元気にできる有栖ってどんな人なのか、それから気になって、というわけです。」

「そうですか・・帆波、由佳はあげませんよ。」

いたずらっぽく言ってみると

「きゃはー、先制攻撃されたぁ」

一之瀬もとおどけて返す。私も、冗談、冗談といって笑う。この会話の限りでは、一之瀬に陰はない。単に由佳のこと気になって、元気にしてくれたと思っている私に興味があるだけだ。

「そんな特別なことはしていません。逆に由佳がなついてくれているので私も元気になれているくらいですよ。」

由佳の頭を撫でる。一之瀬がそれを見て、顔を赤らめる。

「うう。由佳も嬉しそうにしている。うらやましい。」

小声でつぶやいたのが聞こえた。

 

「帆波、Bクラスの方はどんな感じなの?確か帆波がリーダーなのよね」

一瞬、表情が曇ったが、すぐに笑顔に打ち消された。

「うん。よくまとまってるよ。多分1年で一番まとまっているんじゃないかな。」

「すごいわね。よく30人もまとめられるわね。帆波の人柄かな?」

褒めるようなことを言うと、また曇る。一之瀬は善人というのが評判だけど、こういう時に出る一瞬の表情を隠せない。その点櫛田は特別だ。いかなる状況においても表情には出さずに、いなすことができる。特に最近では清隆の躾もあり、徹底している。

「別にすごいことをしているわけじゃない。みんなが協力してくれているだけ。」

決して自分に能力があるとは思っていなさそうだ。

「でも、すごいよ。Dクラスなんて桔梗がようやくまとめあげたレベルよ」

「うん、聞いてる。桔梗さん、頑張ってるよね。いつも笑顔で天使みたい。私もあんな感じで屈託なく笑ってみたいよ。」

櫛田の仮面に騙されている。人を見る目は人並みか。ちょうどここで頼んだ料理がだされたので、3人で食べ始める。

「由佳も、そうだけど、有栖もすごく綺麗に食べる。」

私たち二人の所作に驚いているようだ。

「由佳、話してないの?」

小声で聞くと、頷いた。

「帆波。由佳の生家は料亭なの。だからそのあたりの所作は躾の一環だったらしいわよ。私の方は、財界ですから、たしなみとして。」

「え、すごい。そっかぁ。うち、貧乏だったから、そんな教養ないんだよねぇ。私も由佳の真似をしようとやってみるけど、どうしてもぎこちなくなって。」

「そうね。由佳はずば抜けているの。日本茶、紅茶、コーヒー全部違う飲み方なの。感心するわよ。」

「お姉さまっ」興奮気味になると由佳が指摘してくる。

 

「有栖。面白い。由佳のことホント好きなんだ。」と笑う。

「ごめんなさい。由佳の話になると変なスイッチが入ってしまうんです。」

恥ずかしそうに言うと、由佳が慰めるように頭を撫でてくれた。

「ううぅ。。仲良すぎ。」

一之瀬の顔が赤くなっている。

 

「ともかく、女性として食事の所作はとても大事。自然になるまで繰り返すしかありません。幸いなことに一日3回は練習する機会があります。」

「うにゃぁ。頑張ってみるよ。」

「わからないことは由佳に聞けばちゃんと教えてくれますよ。」

 

 

「お姉さま、綾小路君と付き合い始めました。」

 

由佳が何気に言った。おそらく一之瀬の陰の部分を露出させるためだろう。ここまでの会話の中でも、表情が曇ることが何度もあった。入学以来、一之瀬と一緒にいる由佳にとって、何が引き金になるかを理解しているからだろう。

実際、私たちが付き合い始めたことは学年中に広まっている。普通なら、まずそこに興味の矛先が向かい、質問攻めになる。恋バナは一番盛り上がる話題のはずだ。でも、一之瀬は一切そこに触れようとしなかった。

 

「そうよね。有栖、綾小路君と付き合っているんだよね。」

 

少し顔が引きつっているように見える。笑顔がぎこちない。

「ええ、清隆君とは仲良くしてます。」

「いつも仲良く登校してる。」

由佳がつまらなさそうにいうが、これも演技だ。

「帆波は気になる人とか、いないのですか?」

 

「わ、わたしはいいかな。」

顔から表情が消えた。

 

「あら、帆波は男の人苦手なの?」

「興味ない。」

「学校じゃ、男子と仲良くしゃべってる。」

「友達はいい。大事。でも、それ以上はいらない。」

あの一之瀬の顔が曇っている。ここでこれ以上攻め込むと逆効果だと思い、話題を変える。

 

 

「帆波さん。お洒落とかは興味あるでしょ。今日のブラウスの色、髪の毛によく合ってる。」由佳が相応の話題を振ってくれた。

「由佳も素敵だよ。ミニワンピースなんて、私着られない。」

「それに有栖。ボーイッシュだけどとってもチャーミング。」

やっと笑顔が戻った。

「いつも制服ばかりでしょ。土日位は思い切った格好もいいですよ。」

「うん。今日のお姉さま、いつもより“おんなおんな”しています。」

「にゃははぁ。なに、由佳、“おんなおんな”って?」

一之瀬のツボに入ったようだ。

「だって、スキニーのデニムですよ。細い足首から綺麗な曲線でお尻につながって、細いウェスト。でTシャツもインしてるから、そこからおっぱいまで外から見えちゃってます。」

いつもはスカートだったり、ブレザーだったりで、体の線は見えにくい。そう考えると今日はかなり色っぽい、というかエロい。ま、由佳とはいつも裸で抱き合ったりするから、そっちの方がエロいはずだが。

「あぁ確かに有栖ってスタイルいいよね。」

「帆波に言われたくありません。」

「そうです。そんないいおっぱいしてるのに。」

「ううぅ」

一之瀬が胸を両手でブロックする。

「由佳はおっぱい星人だからね。」

「えええっ、由佳ってそうなの?」

「そうですよ。大きなおっぱいが憧れなんです。」

「ひえぇぇぇ」

「そうそう、この前は愛理ちゃんとお風呂に入って、大変だったんですよ。」

「あ、愛理ちゃんって・・雫でしょ。」

「そう。大きくてとっても柔らかいの。」

由佳が手を揉むようにふわふわさせている。

「帆波さん、今度触らせて。」

 

「む、むり。わ、私、汚れている。」

 

最後の言葉は聞こえないふりをした。由佳も聞き取ったようだ。

「由佳。ちょっと落ち着いて。」と由佳を抱きしめ、落ち着かせた。

 

その後、適当な話題でしばらく話した後、一之瀬と別れた。

 

 

「お姉さま、どうでした?」

「由佳の言う通りね。陰があります。」

「なんだと思いますか?」

由佳の話によると、日頃でも恋バナになると、急に話を逸らしたり、その場から立ち去ったりしている。決して男女間の恋愛ネタ、下ネタには入ってこない。らしい。

 

「男に対する嫌悪感なんでしょうか?それに汚れていると言ってました。」

 

「おそらく・・過去に男関係で大きな罪を犯した。その罪の意識が帆波を縛り付けている。」

「やっぱりその方向ですよね。」

「解放されれば、もっと気楽に生きられるのに。」

 

能力はあるし、人を引き付ける力も特級だ。でも、由佳が言っていたように今のままでは破綻する。

 

「何とかなりませんか?大切な友達なんです。それに、Bクラスをコントロールするには、どうしても彼女が欲しいんです。」

 

「由佳、それはあなたの宿題。自分で何とかしてみなさい。必要に応じてサポートするし、アドバイスもする。」

 

これは由佳の仕事だ。自分の仕事は責任もってあたらせる必要がある。甘やかしてはいられない。

 

「わかりました。困ったときは相談します。」

由佳にも私の気持ちが通じたようだ。きりっとした表情でそう答えた。

―――――――――――――――――――

 

一之瀬Side

 

私は男には興味はない。別に嫌いではない。友人としてお話ししたり、遊んだりするのは楽しい。でも、男の人を好きには「ならない」。「好きになったその先にある行為に自信がない」。愛し合う二人はセックスをして、互いに深くわかりあうと聞いている。でも、私は分かり合えるようなセックスができる気がしない。

 

あの時、私は人であることをやめた。単に人形、そういわゆるダッチワイフになった。私を抱いた男達は気持ちよかったと言った。でも、人形になっている私には分かるはずもない。高校に進学しても、多くの男子生徒に声をかけられた。目立つ髪の毛、ボリュームのある身体だから仕方ない。好意の先にはセックスがあると思うと、誘われても迷惑に感じるだけだった。

 

母と妹の3人で生活していた。うちは貧乏だった。お金がなかった。でも、何とか生活出来ていた。母がどれだけ懸命に働いていたかなんて知らなかった。多分、そういう姿を見せないように働いていたんだろう。受験を控えた中学3年の夏、過労で母が倒れた。その時初めて母がどう働いていたか知った。二人の娘を育てるために、昼夜を問わず働いていたと。

 

病院に妹と見舞いに行くと、妹が母に「ヘアクリップを買ってもらう約束」について病床に伏せる母に涙を流して訴えている。どうやら誕生日プレゼントとしてヘアクリップが欲しくて、母にお願いしていたんだろう。まだ子供だ、母の状況を鑑みず、病室で癇癪を起している。何とかなだめて、二人で帰路についた。帰り道で、ヘアクリップについて聞くとやはり誕生日プレゼントにねだっていたらしい。ネットで調べると、3万円以上するものだった。いままで何かをねだるようなことはなかった妹だから、よほど欲しかったのだろう。

 

母が入院した夜、家じゅうを探したが、お金がなかった。家計簿があったので確認して驚いた。収入と支出の額がほぼ同じだった。つまり、貯蓄はなく、母の給料がすべて支出に回されている。漕ぐのをやめるとたちどころに止まってしまう自転車操業だった。ヘアクリップ費用を捻出するために、アルバイトでシフトを増やした結果が過労での入院だ。

 

 

「お金がいる」

 

 

母の入院代、治療代も必要だし、電気代、水道代、食費。。。すべてにお金が必要。中学生の私が稼げる額なんて、たかが知れている。

 

「このままでは何も食べられない」

 

ひもじい生活なんてしたことがないし、妹に我慢させたくもなかった。

 

 

「お金がいる」

 

 

ネットでいろいろと調べた。学校もあるので、短時間で、高収入で、すぐに支払われ、中学生にできる・・・。

 

ひとつだけあった・・

 

 

「援助交際」

 

 

まともな仕事では稼げない。お金を稼ぐということだけが私の頭を支配して、それがどれだけ罪深いものなのか考える余裕なんてなかった。

 

何をするのかわかっている。その行為に対して、中学生の私の身体は適していた。胸は大きく、既にEカップあった。腰は細く、比較的大きなお尻でもあった。この時ほど自分の身体をありがたく思ったことはなかった。

 

あるサイトで出会い方、相場、注意点なんかを確認し、まず、私の「処女」を買ってくれる人を探した。すぐにコンタクトがあった。

私は特徴的なストロベリーブロンドの髪の毛をウィックで隠した。ほぼ同じ色でうっすらと生えていた陰毛もそり落とした。慣れてない化粧をしてその男と会った。

 

40代のサラリーマンと言っていた。中学生であることを証明しろと言われたので、顔写真や個人のわかるものは見えないようにして学生証を見せた。紳士的な人だったのだろう、危険な感じは受けなったので助かった。そのままラブホテルに行って、抱かれた。

キスだけは拒んだ、また、コンドームはつけてもらうことを条件とした。それ以外はなんでもよかった。身体中を舐められ、胸を揉まれ、乳首をつままれた。そして、私は処女を失った。ティッシュで後始末をしていた時、その証拠をぼんやりと見つめた。

その日は痛くて気持ち悪いだけだった。でも、私の手は10万というお金を握られていた。

 

家に帰り、浴室で身体中を洗った。だけど、どれだけ洗っても汚れが取れない気がした。泣きながら何度も何度も洗った。

 

布団に入って、いろいろと考えた。されたことを思い出すと悪寒で身体が震えた。でも、1時間足らず我慢すれば、大金が入る。そうたった1時間だ。

まだまだお金がいる。母の入院費、通院費、家賃、食費。なんとか妹と二人で生活し続けるためのお金が必要だった。男に股を開き、性行為をすることに抵抗はあったが、お金の魅力に勝てなかった。

 

すぐに妹にヘアクリップを買ってあげた。可愛い笑顔ですごく喜んでくれたけど、私の心は沈んだままだった。「だってそのお金は汚いお金」。

 

処女ではないが、いい身体した中学生というだけですぐに客が付いた。何をされても我慢した。

身体を舐められても

まんこに指を入れられても

臭いおちんちんを口に入れられても

我慢した。

それに、まんこを舐められても気持ち悪いだけだった。なのに、どうして舐めたり舐められたりしたいのか不思議だった。ちんちんを入れられても薄いゴム一枚が「これはセックスではない。ゴムの棒を入れられているだけ」と思い込ませてくれた。そして私は人であることを手放した。そう、射精のお相手をする人形になった。感じている声をだすと早く終わってくれる。入れる前にちんちんをさんざん口でしてあげると、早く終わる。

 

そうやって1時間の我慢の後、私の手には5万円が握らされる。そのまま帰って、家でお風呂に入り、身体中を何度も洗った。

 

中学生にはそぐわないエッチな下着や、お化粧道具、露出度の高い洋服が増えていった。

 

そんな生活を2か月ほど続けると、母が退院して、家に戻ってきた。やっと前の暮らしに戻れると思うとほっとした。

 

でも、その夜、ふとしたことから、私の持ち物がおかしいことを母に気づかれた。タンスの中をすべて見られた。

「帆波、何してたの?どうやってお金を稼いだの?」

震えながら問い詰める母に私は嘘をつけなかった。そしてここ2か月のことを話した。

 

「ばかっ」

 

初めて母に頬をはたかれた。

 

「帆波、ごめんなさい・・私が、倒れたばっかりに・・」

 

母は私を抱きしめて、泣き崩れた。一晩そうやって過ごした。そしてそのとき私は犯した罪の大きさに気が付いた。

 

援助交際・・聞こえはいいが、単に自分の身体を売る「売春」だ。法律で禁止されている。そんなことよりも、母の自責の念の方が私の心に重くのしかかった。大事に育ててくれた母を裏切り傷つけた。母を泣かせた。まともに合わせる顔がない。

 

そして半年以上、私は自分の部屋に引き籠った。

「どうすればよかったのか」

「この先どうすればいいのか」

そんな問いに対する答えを探し求めた。いくら考えても答えは見つからなかった。

 

 

ようやく部屋から出られるようになった時、母に抱き締められた。

「ご、ごめんなさい。私、悪いことした。悪い子だった。」

「いいの。いいの。元気で生きていればいいの。」

涙が枯れるまで母は私を抱きしめてくれた。

 

その後、中学校に行かず、そのまま高度育成高校を受験した。授業料無料、全寮制、寮費無料。知っている人は誰もいない。もう一度自分を見つめ、大切にするために。

 




かなり重い過去を持って、高育に進学してきました。そのトラウマを背負って高校生活を過ごしていくのでしょうか?

由佳は帆波が欲しいと思っています。さて、この後、帆波の成長や如何に。

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