船上試験はあえなく終了の方向となりました。そのディスカッションの中で、Kのイベントが入ります。
過去に何があったのか、これからどうなるのか・・・
もう全員がこの宝石試験が終了したと同然であることを知っている。各クラスのリーダーから、Dクラス櫛田桔梗との契約の内容が説明され、決められたこと以外は絶対に行わないという方針が徹底されている。当然、その契約内容を他クラスに漏らすことすら制限されている。船上での特別試験「宝石試験」は、このまま終わるだろう。
Aクラス
-50クラスポイント
+1000万プライベートポイント
(700万を櫛田へ)
Bクラス
クラスポイント増減なし
+1150万プライベートポイント
(550万を櫛田へ)
Cクラス
-100クラスポイント
+850万プライベートポイント
(600万を櫛田へ)
Dクラス
+150クラスポイント
+1150万プライベートポイント
+150万プライベートポイント(結果3)
(600万を由佳へ)
これで、櫛田に1850万、由佳に600万か。オレ達のクラスもCクラスに昇格する。9月1日が楽しみだ。櫛田にもご褒美を与えておかないとな。
終わったと同然だが、試験を終了させられたグループを除き、グループディスカッションは行われる。グループメンバーは1日2回、指定の部屋に集まり、1時間その部屋で適当に過ごす。だれも優待者を探すような無駄なことはしない。ただ、最終的な回答期限を待つだけだ。
ある者は周りに声をかけ、トランプやテーブルゲームをしている。またある者は読書にふけるといった感じで、第1回目のディスカッションの時のようなぎすぎすした感じはない。
4回目のディスカッションタイムでオレは同じグループの幸村と世間話をしていた。
「ねぇ、軽井沢さん。聞きたいことがあるんだけど。」
「なに?」
軽井沢がけだるそうに顔を上げ、
「友達のリカが、夏休み前にあなたにモールの喫茶店で意地悪されたって言ってるんだけど・・」
「カフェで順番待ちしてたら、割り込まれて突き飛ばされたって。」
Cクラスの真鍋と山下が軽井沢の前に立ち、何やらいちゃもんを付けている。
「そんなこと知らないわよ。」
一瞬、顔を上げたがそっけなく答えると、端末に目を落とした。
「ちょっと、シカトしてんじゃないわよ。」
真鍋が声を荒げる。軽井沢は聞こえていないような感じで、完全無視している。
「本当にあんただったのか、もう一度リカに確認する。」
山下に写真を撮られそうになるのを軽井沢が必死に拒んだ。
「ちょっと、勝手に何するのよ!」
振り払った手が山下の持つ端末に当たり、床に落ちた。それを山下が拾いながら声を荒げる。
「何か写真撮られるとまずいことでもあるの?」
かなり声も大きく雰囲気が悪いため、皆が興味深げに注目しているのに気づいたのか
「ちっ。まぁ、いいわ。もしあなただったら、リカに謝ってよ。」
と言い残して、足早に部屋を後にした。
解散となってデッキに向かう途中で、軽井沢の姿が目に入った。そっと近づくと平田と話していた。
「ねぇ、平田君、助けてくれるっていう約束だよね。」
「うん。守るよ。助けるよ」
「だったら、Cクラスの真鍋と山下を黙らせてよ。」
「誰かを傷つけたり、暴力で黙らせたりしても、何の解決にもならない。もし、軽井沢さんがリカって子に意地悪したんなら、一緒に謝りに行こうよ。」
「そんなことできない。だから頼んでるのに。」
「付き合うふりをするのは良いけど、君一人に肩入れすることしないって、最初に言ったよね。」
「じゃ、私がどうなってもいいっていうの。」
軽井沢の語気が険しくなる。平田が何を言っても聞く耳持たずの状態だ。
「嘘つき、もういい。あんたなんか必要ない。」
軽井沢が平田に捨て台詞を吐いてその場を後にした。
「あ、綾小路君・・聞かれたかな。」
「あぁ。聞くつもりがなくても、こんなところで、大きな声をだしていれば・・な」
「そう・・だよね。」
「平田も大変だな。」
「気づいているかもしれないけど、僕たちは付き合っているふりをしているだけ。」
「あぁ、そうだな。距離感もずっと変わらないしな。」
平田は軽井沢との馴れ初めをぽつりぽつりと話し始めた。
やはり軽井沢から守ってほしいと頼まれ、付き合うふりをしていた。中学時代にひどい虐めにあっており、未だ傷が癒えていないらしい。
次のディスカッションが終わった後、また、Cクラスの二人が軽井沢に絡んだ。
「ねぇ、リカに確認したらやっぱり、やっぱりあんただって言ってたよ。」
「私じゃない。人違いだって言ってるでしょ。」
「おい、嫌がっているじゃないか。」
つかみ合いになりそうな雰囲気の中、Aクラスの町田が仲裁に入りその場を収めた。軽井沢は町田と一緒に部屋を出た。
「絶対にリカに頭下げさせるから」
真鍋たちも一言を残して部屋を出た。
なるほど、寄生先を変えたか・・
深い闇があるな。使えるかもな・・
オレは軽井沢に平田を装ってメールを出し、軽井沢を船の下層にある機械室に呼び出した。同時に真鍋たちにはその場所に軽井沢が行くことを教えた。オレは以前、有栖からもらった小型カメラを適当な場所にセットして、その場を後にした。
時間になると軽井沢が現れた。
「平田君、なんでこんなところに・・・」
平田に呼び出されたと思っている軽井沢は周りをきょろきょろとし、平田が来るのを待っている。すると、真鍋と山下がその場にやってきた。
「なんで・・・」
後ずさりする軽井沢を真鍋たちが追い詰めた。
「じゃ、始めようか、軽井沢の土下座撮影会。ははっ」
山下が端末を構え、撮影を始める。
軽井沢の身体が小刻みに震え、脚も震えているのがカメラからの映像で確認できる。
「ははぁん。やっぱ、あんたさぁ・・・」
「虐められていたんでしょ。」
軽井沢のそむけた顔がゆがみ、不安そうな表情に変わった。呼吸も粗くなっている。真鍋はそれを見逃さない。
「はは・・やっぱ、そうじゃん・・」
真鍋が軽井沢の髪の毛を鷲掴みにして、上を向かせる。
「はっはぁ。いい気味だぜ。過去を隠して、高校デビューか。」
「はい、でも、残念。これからもお前の地獄は続くんだよ。」
「お、思い出した。確かにカフェで並んでいるときに・・あの時は端末に夢中になっていて・・」
「あ、謝るから、そのリカって子に謝るから。」
「はん。謝ればここから逃れられるとでも・・・知ってるよね・・・」
「い、いや。やめて。」
真鍋が軽井沢の髪の毛を掴んでいる。軽井沢の目からだんだんと力が抜けていく。
「可愛い顔してるのに、ちょっと汚れているみたいね。」
真鍋は近くにあった掃除用のバケツから濡れたぞうきんを取り出した。
「ほらぁ、拭いてやるよ。」
明らかに汚れている雑巾で軽井沢の顔を拭きあげる。
「や、止めて・・お願いだから。」
「キャンキャンとうるさいわね。真鍋、ちょっとどいて。」
山下が,真鍋に場所を変わるように言うと、そのバケツに入っている水を頭から浴びせた。
「ふふ、いじめられっ子にはお似合いだよ。」
「ち、あぁ苛つく目つきだ。ちょっとかわいいと思って」
山下が髪の毛を引っ張りながら、右手を振りかぶった。
ぱん
その手が軽井沢の頬をはたいた。
ぱん
ぱん
ぱん
だんだんとその音が強くなる。
「ははぁ、こ、これ、気持ちいい。」
蕩けるような顔つきで山下がびんたを繰り返している。軽井沢の頬が赤くはれてきているのがわかる。
「2学期から楽しみしてな。楽しい生活がまってるわよ」
さんざん軽井沢をいたぶった後、そう言葉を吐いて立ち去った。
二人が立ち去った後、オレがゆっくりと近づくと泣いている軽井沢が顔を上げた。
「結局、いじめられっ子の本質は変わらなかったようだな。」
「そ、そんなことない。」
「オレは平田との関係やお前が昔いじめられていたこともすべて知っている。」
軽井沢の表情がおびえたものに変わる。
「何が目的なの・・・身体が目的なら・・・いいわよ。好きにすればいい。」
しゃがんだまま、静かに股を開いた。
「抵抗しないのか?」
「ねぇ、知ってる?自分ではどうしようもない現実を突きつけられたとき、人はどうするか?抵抗を諦めるのよ。あぁ私は捕食される。ただそう無機質に考える。泣き叫びもあばれもせず、ただただ受け入れる。私は貴方にいじめられているわけじゃない。ただ弱みを掴まれただけ。」
目は光を失い、まさに絶望という表情だ。
「お前の受けた本当の痛みは何だ?異常なおびえ方、身体さえ明け渡すほどのもっと決定的な何かを隠しているんじゃないのか。」
その言葉に軽井沢はゆっくりと立ち上がり、スカートをまくり上げると、そのままショーツを少し下げた。
軽井沢の下腹部、ちょうど恥丘の少し上には5センチくらいの入れ墨が施されていた。
二重円に十字が重なり、外円には放射状に短い直線が描かれている。いわゆるおまんこマークだ。股上の短いショーツだと隠しきれないほどの位置だ。
「私の人生は終わっているの。こんな入れ墨の所為で・・・」
「無理やり入れられたか・・・」
「誰が好き好んでこんなところにこんなマークいれるの・・」
軽井沢の目からは涙がこぼれ落ちている。
「これがお前の闇か」
「絶望にはいろいろな種類がある。お前の体験したそれも間違いなく絶望だろう。だがもっと深い闇もある。心に闇を持つもの同志はひかれあう。そしてより強い方がその闇を包み込んでいく。」
「な、なんなのよあんた。」
「一つ約束できることがある。この先お前を守ってやれる。誰もお前に手を出せないようにしてやる。」
「な、なにをすれば・・」
「オレの手駒になれ。」
「手駒?・・言われた通りにすれば、ま、守ってくれるの?」
「あぁ、約束だ。」
「わかった。いうとおりにする。」
「そのまえに・・・少し待ってろ。」
オレは有栖に電話をかけた。
「有栖か?入れ墨って消せるものか?」
隣に由佳もいて、スピーカーにして聞いていることがわかる。多分カメラから送られてくる動画も見ていただろう。
「父もその筋の方と知り合いで、ほとんどわからない程度にまで消せるらしいですよ。」
「いや、まったくわからないというレベルの話をしているんだが・・」
「あ、清隆君。心配なく。少し時間はかかりますが全く分からなくなりますよ。学食の順平はきれいに消しましたよ。」
ねぐらの船室に軽井沢を連れていった。
「あ、綾小路君、ここは?」
「オレが借りている船室だ。中に有栖がいる。相談に乗ってくれる。」
入ると、由佳も当然の様にいる。
「あ、軽井沢さん、いらっしゃい。」
由佳が声をかける。
「ちょ、ちょっと、有栖だけって言ってたのに。」
軽井沢が困惑するが、
「有栖がいると言ったが、有栖だけとは言っていない。でも心配するな。」
「で、その入れ墨を見せて」
有栖がやさしく言うが、軽井沢は抵抗している。
「見せてくれないと、相談にも乗れませんよ。」
「恥ずかしい・・」
消え入りそうな小さな声だ。
「そっか、じゃあ」
有栖が着ている服を脱ぎ始めると、由佳も脱ぎ始めた。
「ちょっと、なに?なに?なんで立川さんまで脱ぐの?え、裸になるの?あ、綾小路がいるのよ。」
すると由佳がオレの近くに来て、
「清隆君も脱ぎます?」
「オレはいい。」
「ちょっと、何言っているの、みんな?」
「まぁ、そういう事だから、軽井沢さんも恥ずかしがらないでね。」
「わ、わかった。」
軽井沢も観念したようで、ゆっくりとスカートをあげ、ショーツを入れ墨の見えるところまで下げた。
「なるほどねぇ。ひどいことする奴らもいたものね。」
「軽井沢さんベッドに横になろうか?」
「お姉さま、ひどいですね。こ、こんなの・・」
由佳が声を詰まらせる。
「でも、このくらいなら、あともなく消せるはずです。」
由佳が力強く言った。
「ほ、ほんとに消せるの?」
「美容形成ですね。皮膚移植となりますが、完全に消せます。」
「由佳、心当たりがあるのか?」
「はい。多分、高円寺コンツェルンの傘下だと思いますが、凄腕の先生がいるらしいです。」
「あぁ、高円寺か。なら確実ね。」
有栖も同意する。希望を見つけた軽井沢の目に力が戻ってきた。
「でも、それは卒業後ね。在学中をどうするか・・・」
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有栖Side
ツインのもう一つベッドでは、清隆が寝そべっており、こちらを見ている。
「ねぇ、有栖。3人はどういう状況なの?」
「あ、私達のことは気にしなくていいですよ。」
軽井沢をベッドに仰向けに寝させ、ショーツをちょうど割れ目が見えるあたりまで引き下げた。濃い目の黒い陰毛が恥丘の下の方から生えている。
「ちょっと、見えちゃう。」
「えぇ、見えていますよ、軽井沢さん、綺麗ですね。」
「地毛は黒なんだ。」
軽井沢が横を向いた。
由佳は清隆のいるベッドに移り、上半身だけ脱いだ清隆を膝枕させている。
隠そうとする両手を遮り、固定すると、もう隠すこともできない。その入れ墨を撫でるように触ると、軽井沢の身体がピクピクと震える。
(あら、この子・・・)
「はぅん・・あぁん・・・」
「ち、違うの」
「なにも心配いりません。感じやすいのは美徳です。」
「ちょっとそのままで。」
ベッドから降りて、持ち込んでいた化粧道具を持って軽井沢の横に座る。チューブやらパウダーをあれこれ入れ墨に塗ってみる。
(うん。大丈夫そうね)
ときおり軽井沢の口から喘ぎ声の様なものが漏れているし、お腹がピクピク動いている。
「うん。これでなんとか。」
その声を聴いて、由佳と清隆がベッドに上がると
「お、すごいな。全く見えない。」
「でしょ、さ、軽井沢さんも見てごらんなさい」
恐る恐る起き上がり、自分の入れ墨のあったところを見る。
「あれっ、消えてる?」
「消えたんじゃなくて、隠しただけ。これでみんなとお風呂も入れますよ。」
「取れないものなのか?」
「えぇ、石鹸でごしごししない限り取れません。」
その後、私は軽井沢にその隠し方を教えた。つまりは耐水性コンシーラーとファンデーションの組み合わせだ。軽井沢の肌色に合わせられる組み合わせを探し出し、周りの肌となじませてあるため、じっと見ないとわからない。
「少し練習が必要だけど、化粧慣れしている軽井沢さんならすぐにできるようになるはず。」
と言って、さっき使ったものを手渡した。
「いいの?」
「はい、どうぞ使ってください。でもセックスすると汗で落ちますから要注意です。」
いたずらっ子の様な顔つきでいう。軽井沢の顔が赤らむ。
「さっきから濡れているでしょ?」
耳元で囁くと
「そ、そんなことない。」
と言いながらも腰をもぞもぞさせている。
「お姉さま、バックなら大丈夫です。」
こちらも可愛い顔してどや顔で言っている。
「あなたたち・・いったい・・そもそもどういう状況?綾小路君って有栖と付き合っているだよね?立川さんは何?」
「あぁ、有栖がオレのおんなで、由佳は愛人だ。」
清隆のその言葉に思わず顔が綻んでしまう。由佳を見ると、恥ずかしそうに下を向いている。
「お、おんな?愛人?あなたたち何言っているの?バカなの?」
「由佳は学年トップクラスよ」
多分、そういうことではないはずだが、由佳をバカ扱いされるのは堪らない。
「はぁぁ、頭が追いつかないけど、まぁいいわ」
「ねぁ、綾小路君、さっき言ってた“手駒”として私は何をすればいい?」
「簡単なことだ。櫛田をサポートしろ。それだけだ。」
清隆の余りにも単純な回答に軽井沢が驚いている。
「サポートって、桔梗ならそんなの必要ないでしょ。今のDクラスは彼女の思うがままよ。」
「だからだ。このままではDクラスは不健全だ。」
「何をすればいいの?」
「お前の意見を真っ向からぶつけろ。特に納得できないときはとことん突き詰めろ。納得できるまでな。納得出来たら櫛田につけ。」
軽井沢が理解できていないような表情をする。
「軽井沢さん、清隆は桔梗をより高みへ成長させたいの。今だと深く考えなくても、クラスは思い通りに動かせてしまう。それでは成長しないでしょ。」
清隆の意向汲み取って説明した。
「わかった。でも、それって私じゃなくてもいいんじゃ。」
「いや、女生徒だけでも束ねられるお前じゃないとできない。」
「わ、わかった。それだけでいいの?」
「あぁ。それだけでいい。」
「ねぇ、あなたたちは、何をしているの?」
「いずれ説明するわ。とにかく清隆の言う通りにして。そうすれば清隆があなたを守ってくれる。」
訳が分からないという顔つきのまま、自室へかえらせた。
「清隆君、これからどうするんですか?」
「あぁ、まずはあの二人を退学させ、Cクラスを折っておく。」
「軽井沢は清隆の手駒として、櫛田の成長に振る。ということですね。」
「あぁ、そうなる。一度絶望を知った人間は強い。」
「ところで、清隆。彼女、そのうち抱かれに来ますよ。」
「そ、そうなのか?」
「えぇ、彼女、セックスに依存していますね。それにすごく性感も開発されています。」
「お姉さまが化粧しているとき、いい表情していましたね。」
「あんなマークを入れられたんです。相当の経験をしているはずです。」
「また一人、清隆君の虜になるに女が増えるということですね。楽しみです。」
「由佳は楽しみなのか?」
「はい、愛する清隆君の周りにいろんな人が増えるのは楽しいことです。」
由佳と目を合わせて、互いに天使の笑顔で微笑んだ。
原作では刺された傷跡でしたよね。今作では入れ墨といたしました。
近々、その経緯も書くことになります。
もうすぐ船から降りますが、もう少しお付き合いください。