夏休み中の特別試験を終え、クラス変更があります。
体育祭が予定されていますが、その前に・・・
89. 2学期‐最初の日
「清隆、おはようございます。」
「由佳、起きなさい。」
「あ、お姉さま。おはようございます。清隆君もおはようございます。」
朝6時。3人で大きなベッドの上で目覚めた。今日は9月1日だ。早速、プライベートポイントを確認した。
学校からの振り込みは7万2千ポイント。由佳には12万ポイントだった。早速メールを確認すると、神室からは10万ポイント、椎名からは3万5千ポイントだったと報告が入っていた。
つまり、今日から神崎クラスがA、葛城クラスがB、私達、櫛田クラスがC、そして龍園クラスがDとなる。
「清隆、大体予想通りですね。」
「あぁ、龍園のクラスは退場願った。神崎のところは少し抜き出た感じだな。」
「清隆君、龍園君のところ、低すぎませんか?」
「由佳には話してなったが、二人に退学してもらった。」
「軽井沢さんの一件ですか?」
「そうよ。由佳が特別メニューを考えている間に、あれこれ手を打っていたの。」
朝食を取りながら各クラスの状況を確認し、お茶を飲みながらこれからのことを話した。
「では、私は一足先に行きますね。」
由佳がテーブルから立ち上がり、自室に行って着替えを始めた。
「では、清隆君、お姉さま、行ってきます。」
制服に身を包み、少し緊張した顔つきで登校の挨拶をした。
「由佳、しっかりな。」
清隆が由佳を抱き締めて、軽くキスをした。
「由佳、教室で待っています。」
「はーい。」
すっかり緊張も解け、いつもの可愛い由佳に戻って、玄関を出ていった。
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由佳Side
「おはようございます。」
私は、朝早くから職員室のドアを開けた。この時間なら先生方は出勤しているはずだ。
「おはよう、立川さん。随分と早いが何か用か?」
「あ、真嶋先生、星之宮先生と茶柱先生はいらっしゃいますか?」
「茶柱先生はコーヒーを入れに行った、すぐに戻ってくるだろう。星之宮先生はもうすぐ出勤してくる。」
「折り入って、先生方にお話がありますので、待たせてもらいます。」
真嶋先生が言っていたように星之宮先生が出勤してきた。また、茶柱先生がマグカップを持って戻ってきた。
「おぉ、立川か、おはよう。で、何の話だ?」
これでようやく話ができる。“すぅーっ”と大きく深呼吸した。
「本日付けで、私、立川由佳を茶柱先生のクラスに移動させてください。」
職員室の先生方全員がこちら注視している。
「ごめん、立川さん。何言っているのかわからなかった。もう一度、言ってもらえる?」
星之宮先生の声が震えている。
「私、立川由佳を茶柱先生のクラスに移動させてください。」
「移動って、何言ってるのか、わかってる?今日から私のクラス、いや立川さんのクラスはAクラスなのよ。佐枝ちゃんところって、クラス落ちよ。」
声が大きくなっている。
「はい。わかっています。」
だいたいこういう状況になると予想していた。どれだけ、何を言われても平静を保つことができる。
「わかってるって・・・」
星之宮先生の声が震えている。
「進路は決まっています。この前も言いました。私、クラス闘争に興味ないと。」
にこりと笑って星之宮先生の方を見ると、目をそらした。船の中でのことがあるから当然か。
「立川、クラス移動に2000万ポイント必要だが、それもわかっているのか?」
驚きながらも真剣な顔で茶柱先生が問いかけてきた。
「はい。準備してあります。」
私は端末に残ポイントを表示させ、茶柱先生にそれを見せた。
「2055万。確かにあるな。」
「立川さん、お願い、考え直して、移動させられない。私のクラスに残って。」
「星之宮、落ち着け。生徒が希望し、必要なポイントもある。我々教師には止める権利はない。」
「でも、でも・・」
星之宮先生は私の実力を把握している。クラス内での立ち位置も理解している。私が抜けると大きな穴が開くことがわかっている。だから阻止したいんだろうけど、私はもう決めている。清隆君、お姉さまのクラスに移動し、この先、楽しく高校生活を送ると。
「干渉しちゃだめですよ。」
私は星之宮先生にそっと近づき、聞こえる程度の小声でつぶやいた。星之宮先生は身体を硬直させ、それ以上何も言わなくなった。
「決めているなんだな。」
「はい。」
「では、今から2000万を星之宮先生に振り込んでくれ。クラス担任から学校へ話をする。」
私は端末を操作し、言われたように振り込んだ。
「それでは星之宮先生、よろしくお願いいたします。」
一番きれいな角度でお辞儀をした。
しばらく職員室で待てと言われたので、待っていると、「クラス移動って初めて見た。」「このシステムでは3人目らしいわよ」「この時期に移動って、それもクラス落ち。何を考えているのかしら」と様々な声が聞こえてくる。
やがて、星之宮先生が理事長室から戻ってきて、正式にクラス移動が認められたことを告げられた。
これで、私も同じクラスになれる。自然と顔が綻んでしまう。
二日前の夜、清隆君から、移動のOKが出た。クラスリーダーの神崎君には暴力事件で恩を売ってあるし、特別試験での成果もある。サポートの帆波にも私の大切さを刻み込めたから、私の言うことはきちんと聞いてくれる。船のエステルームでのこともあり、可能な限り早いタイミングでクラス移動を実現しようということだ。
清隆君から2000万の振り込みを受けると、涙が出てきた。
「由佳、なぜ泣く?」
「嬉しくて、ただ嬉しくて・・」
お姉さまが抱き締めてくれた。
「由佳、よく頑張りました。明後日が楽しみです。」
その夜はセックスせず、清隆君に後ろ抱きにしてもらって眠りについた。幸せな夜だった。
そして昨日、帆波さんと会って、クラス移動のことを伝えた。かなりごねられたけど、最後は納得してくれた。
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元Bクラス(現Aクラス) 一之瀬Side
今朝、12万ポイントが振り込まれた。特別試験の結果からみて、今月から私たちはAクラスに昇格する。目標としてきたAクラスに上がれる。でも私の気持ちが晴れることはなかった。
昨日、由佳に呼び出された。
「帆波さん。私、明日、Dクラスに移動します。」
いきなりだった。聞いたとき、声が出ないどころか、目の前から光は失われ、頭の中は白くなり、身体はふらついた。
「な、何言っているの?ク、クラス移動って、ど、どういうこと?」
「うん。清隆君とお姉さまのところ。」
入学した時から、由佳は私の特別な存在だった。とにかく可愛くて、庇護欲を掻き立てられる。寂しそうにしていると元気つけたくなるし、しょんぼりしていると励ましたくなる。そんな由佳に私は何度も助けられた。無理して続けていたリーダーも降ろしてくれたし、とらわれていた罪の意識からも解き放ってくれた。あと、セックスが気持ちいいものだって、男の人に抱かれることが一つの喜びだともわからせてくれた。一つ一つが私を解き放ち、本来の自分に戻ってきたところだった。
「い、嫌だ。」
「帆波さん」
「い、嫌だ。一緒にいたい。」
「無理言わないで。」
「嫌だ。」
私は泣きながら訴えた。単に駄々をこねているだけだとわかっている。何を言っても由佳を今のクラスに留まらせることは不可能だとも知っている。清隆君の愛人であり、有栖からも可愛がられて、一緒に住んでいることも知っている。でも、嫌だ。離れたくない。多分、私は由佳にひどく依存している。何があっても由佳が見守ってくれている。由佳に喜んでほしい。由佳が近くにいるだけで安心していられる。由佳と話すだけで気持ちが晴れていく。だから学校に行けるし、多少のことは我慢できる。
由佳の両手が由佳の胸に押し当てていた私の頭を優しく抱き締める。ずっとそのままでいてくれる。
「ひっく・・ひっく」
しゃっくりがまだだけど、涙は収まってきた。由佳は抱きしめながら、ずっと頭を優しく撫でていてくれる。
「帆波、不安?」
「うん」
「何が怖い?」
「わからない。」
「大丈夫だよ。帆波にはみんながついている。」
「でも由佳がいなくなる。」
「いなくならない。少し離れるだけ。」
「離れたくない。」
「ちゃんと見守ってる。」
「ちゃんとだよ。」
これ以上はだめだと思い、由佳の胸から離れた。
「帆波。どこにいても友達だよ。」
優しく由佳が微笑みかけてくれる。
「うん。わかった。どこにいても友達。」
「一之瀬、大丈夫か?」
朝、教室に入るとぼんやりとしてる私に神崎君が声をかけてくれた。チャイムが鳴って、星之宮先生が入ってきた。
「みんなぁ。いい知らせがあるわぁ・・・今日からあなたたちはAクラスよ。おめでとう。」
教室を揺るがすような歓声が起こる。
「あと、これは残念なお知らせだけど、立川さんがCクラスに移動したわ。」
「へぇ、そうなんだ。」「綾瀬さんと仲良かったしね。」「頭いいのにもったいない。」「なんで、下のクラスに」と口々にいう。「それってまずくない」という声は上がらない。そう、由佳は決して自分の実力を話すことはなかったし、ひけらかすこともなかった。それどころかそんなそぶりさえ見せなかった。私と神崎君以外とはコミュニケーションを取らないようにしていた。多分、この時を予想して、クラス移動しても大ごとにならないように準備していたんだ。
神崎君だけが「うそだろ」と落胆した表情をしていた。
「誰も由佳の本当の実力を知らない。」
私もじっくりと考えてみる。
中間テストで過去問を持ってきたのは桔梗だった。有栖が付き添って一緒に来た。由佳が手引きしてDクラスと話したんだ。その時から不戦条約を結んだ。
無人島試験。由佳は他クラスのリーダーを知っていた。なんで知っていたんだろう?情報を集めたって・・綾小路君か、いや、有栖か、有栖は毎日顔を出して、由佳と話していた。
船上試験。由佳はどこにいたんだろう。電話で優待者は自分と誰と聞いてきた。その後、桔梗の独壇場が始まった。
なんだろう。この感じ・・由佳、綾小路君・・有栖・・桔梗。生徒会長もよく有栖と綾小路君のことを聞いてきたし、由佳のことを一目置いているようなそぶりだった。
「もし、綾小路君、有栖、由佳、桔梗が一つになって、各試験を操作したとしたら・・・」
そんなことはないか。桔梗以外、誰も表に出ていないし、中間テストでも退学者が出たのはDクラスだ。そんなストーリーは漫画の中だけと頭の中から振り払った。
この時、帆波狂信者である白波が小さくつぶやいたことに誰も気が付かなかった。
「これで、邪魔者はいなくなった。も一度帆波ちゃんを・・」
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元Dクラス(現Cクラス) 櫛田Side
チャイムが鳴ると茶柱先生が入ってきた。
「すわれ」
「おまえたち。見直したぞ。今日からCクラスだ。」
今朝、確認したら7万2千ポイントの振り込みがあった。ご主人様の言っていた通り、9月になるとCクラスになった。5月に0ポイントをたたき出した私達からすれば、これは奇跡だ。
おおきな歓声とともに、私を称賛する声が聞こえる。
「桔梗、ありがとう。」「櫛田、すげー」「ついてきてよかったぁ」
大歓声だ。うれしい。身体が震える。(あ、濡れてきた。まずいなぁ)
「静かにしろ。それともう一つ、これもいいお知らせだ。」
「今日、星之宮先生のクラスの立川由佳がこのクラスに移動してきた。」
クラスが静まり返る。
「立川、入れ」
居室の扉が開けられ、立川さんが入ってきた。
「今日からこのクラスに移動しました。立川由佳です。よろしくお願いいたします。」
前にすっと立ち、一言名乗ると、手を下腹部にあて、すごくきれいにお辞儀した。
「おおおおぉぉ」
歓声が起こる。
彼女、とにかく可愛い。ロリータ部門でぶっちぎりのトップだ。詳しくはわからないが女子禁制の親衛隊もあるらしい。おじぎから直っての首を傾げた笑顔。少し顔を赤らめ、下を向く仕草。クラスのほとんどの男子と、半数以上の女子が既にやられている。私にはわかる。あれは作られたものではない。あれが立川さんの独特の所作で自然体だ。私の様に計算して作り込んだものじゃない。
クラス移動。2千万ポイントかかるってご主人様が言ってた。確かに、この前の船上試験で600万をDクラスから立川さんに譲渡した。それでも、2千万は遠すぎる。ご主人様か。いや、そんなに持っているはずがない。予想だけど、ご主人様の手持ちポイントは200か300万程度しかないはず。私の口座には1850万という莫大なポイントがあるけど、これは明日、有栖に渡すことになっている。
立川さん、どうやって確保したんだろう。
それにどうしてこのクラスに移動したんだろう。
今日から元いたクラスはAクラスなのに。有栖を追いかけてきた?もしそうならバカだろう。仲のいい人のいるクラスに移動なんて、この高校ではありえない。Aクラス卒業なら、進路希望が100%叶えられる。みんなその権利欲しさにクラス闘争をしている。
でも、あまり詮索するのはやめよう。無人島試験の時、立川さんのことを言ってたら有栖に睨まれた。女主人の目はとにかく怖い。あれはヤバイやつの目だ。蛇に睨まれた蛙とはよくいったもので、あの目で睨まれると身動きできなくなってしまう。
“ぴこん“というメール着信の音が二回した。確認してみると
ご主人様から“仲良くしてやれ”。女主人からは“仲良くしてあげてください”。
「ま、まさか・・」
いや、詮索するのはやめよう。ちらと見ると、ご主人様は窓から外の方見ている。その前席の女主人は、少し赤い顔をして立川さんを少しうるんだ熱っぽい目で見ていた。
「体調悪いのか。熱でもあるみたい。珍しい。」
その時は単純にそう思った。
「いやぁ。脅かせてくれるじゃないか、立川ドーター。やっと合流かい。はっはっ」
高円寺の声が響く。
「あ、高円寺君。ご贔屓になっています。これからよろしくね。」
そんな高円寺君にものおじすることなく、旧知の友の様に答え、指定された席、そう山内がいた席に着いた。後ろは須藤だ。
「須藤君。よろしくね。」
「あ、あぁ。」
顔を赤らめ下を向いた。そんな須藤を見ていると「ムカッ」とした。なに?この感情?あ、思い出した。これは嫉妬だ。立川さんに嫉妬?須藤がなびいているから?
ないない。それはない。
「櫛田、大丈夫か、随分と首を振っているが」
茶柱先生に指摘されて我に返った。
「あ、すみません。これからのことを考えていました。」
とにかく、船上試験のあと、私のリーダーとしての立場は盤石のものとなった。佐倉も私の前には出ない。須藤は女子からも男子からも頼られる存在になっている。軽井沢と別れた平田はクラスをまとめるため私のサポートをしてくれている。女子をまとめあげられる力のある軽井沢さんだけが懸案だ。
「この環境。身体も気持ちも最高。」
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元Dクラス(現Cクラス) 軽井沢Side
重い身体を引きずるように登校した。夏休みのあの豪華客船でCクラスの真鍋に言われた言葉が頭から離れない。
「2学期から楽しみしてな。楽しい生活がまってるわよ」
つまり、この先私は彼女らに虐められる。もう高校生だ。以前よりもっと陰湿ないじめにあうのだろう。綾小路君が守ってくれると約束してくれたけど、対価としての櫛田さんのサポートはできていない。まだ守ってくれる立場になっていないということだ。
恐る恐る校舎に入るが、何も変わらない。靴箱にも机にも、端末にメールもない。
「いったい・・」
覚悟のうえで登校してきたが、考えすぎだったのか・・いやそんなことはない。経験上、まず“ご挨拶”があってしかるべき。なんだかほっとするような、余計に不安になるような。
先生が体育祭の説明をしているが、頭に入ってこないまま、手駒としての仕事を始めた。
「今回の体育祭、出場メンバーは実力ベースで決めたいんだけど、どうかな」
桔梗の提案、ちょっと受け入れられない。いつもの私なら、放っておいた。でも、
「少しでも櫛田の言葉に・・・」
「ここだ」
「ちょっと、桔梗、それはないでしょ。」
昼休みになって驚くような元Cクラスの情報が飛び込んできた。
「Cクラス、いや今日からDクラスか、女子が二人、退学したらしい。」
う、うそ
綾小路君だ。動画があるって言ってた。それを使って二人を退学させたんだ。
「この先、お前を守ってやれる」
あの約束を守ってくれたんだ。自然と涙がこぼれ落ちた。なんて力強い人なんだ。私の気持ちは一気に綾小路君に傾いた。
「言われたことは、何があっても絶対にやり遂げよう。」
きっと私を守ってくれる。
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元Cクラス(現Dクラス) 龍園Side
朝、確認すると3万5千ポイントの振り込みがあった。つまり、今月のクラスポイントが350と言うことだ。俺たちはDへクラス落ちになることはわかっていた。でも、なぜこんなに少ない。俺の計算では、Dクラス落ちだとしても500ポイントは残るはずだった。
朝のホームルーム開始ギリギリに登校し、教室に入ると雰囲気がおかしい。開始のチャイムが鳴ると坂上が入ってきた。
「おはよう。少し静かにして、席に着きなさい。」
皆が席に着き、静まると、
「皆さん、気付いているものもいるかと思いますが、このクラスは本日からDクラスとなりました。」
「まじかぁ」「うそっ」「やっぱりそうなの」たちまちクラス中がさわがしくなる。
「おい、だまれ・・坂上、なんでこんなにクラスポイントが少ない。」
「龍園君、目上の者には敬語を使いなさい。」
一呼吸おいて
「一昨日、真鍋さんと山下さんが退学しました。これが大きく影響してクラスポイントが350となりました。」
何?、真鍋と山下が退学した?一体、どういうことだ。退学のペナルティが二人で-100。あと50足らない。50・・いじめか。
そういえば、奴ら船の上でDクラスの軽井沢を呼び出すだの言っていた。「絶対にうかつなことはするな」と声をかけたが、何かしたんだな。それを訴えられた。言い逃れできないほどの証拠があったのか。
それにしても話ができすぎている。いじめの現場を押えられた?動画を撮られた?そんな都合よく撮影できるか?この前も感じたDクラスへの違和感・・やはり、誰かが裏でシナリオを書いている・・のか。
そんなことより、無人島試験の後始末だ。他クラスのリーダーの誤認、金田の暴走とリーダーとして指名された。それによって、毎月140万ポイントを神室に送らなければならない。現在26人だから、毎月一人当たり5万4千ポイントを回収して送り続ける。つまり、最低でもクラスポイントが540以上でないと払い続けられない。この苦しさをAクラスに味合わせ、根を上げるのを待つというのが俺の計画だった。それがなぜか、俺が味わうことになっている。
5月から始めたクラス預金は現在約400万。船上試験で確保できた分を含めても650万。5か月持たない。これまで月4万ポイントを徴収してきたが、クラスポイント350では、原資が足らない。
一度神室と話してみるしかない。場合によっては頭を下げよう。
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元Aクラス(現Bクラス)神室
今朝振り込まれたプライベートポイントから、おそらく私たちはBクラスに落ちた。無人島試験でのポイント確保に失敗し、船上試験で50ポイントひかれたのが追い打ちをかけた。ホームルームが始まると、葛城が皆に話したいことがあると真島先生にお願いし、時間を作った。
「みんな聞いてくれ。先生が説明したように、俺たちは今月からBクラスだ・・すべて俺の責任だ。」
私は自分の席に座って、葛城の説明を聞いている。無人島試験で何が起きたか、船上試験で何が起きたか、葛城がどう判断し、決定したかを説明した。言っていることは真実で、何一つ嘘はない。自分の弱さ、判断の甘さをさらけ出した。
正直で裏表なく誠実・・でも、クラス闘争では勝てない。いや、クラス闘争ではない、私の支配人に勝てない。すべて有栖さんが描いたシナリオ。状況に応じて、すぐさまアップデートされ、それを着実に実行するのが私の役割。
2週間のクルーズ旅行が終わるころ、有栖さんに呼び止められた。
「真澄さん、9月からBクラスになります。葛城君が真澄さんにリーダーを譲ります。しっかりと受け止めなさい。あと、龍園が泣きついてくるでしょう。この対応については、後日連絡します。」
そう。無人島試験の時、契約のやばさに有栖さんに助けを求めた。その結果、払う方と貰う方が逆転した。
「そこで、俺を慕ってくれていた仲間には申し訳ないが、俺はリーダーを降り、神室にこのクラスを引っ張ってもらおうと思う。神室は無人島試験ではCクラスからの詐欺めいた契約をないものとしてくれた。また、船上試験では失うポイントを最小限にしてくれた。俺のような弱さもなく、正しく、早く、強い判断ができる。俺はしっかりと神室をサポートする。」
皆も、これまでの流れや、葛城をサポートする私の姿勢を理解している。すぐに賛同する流れになった。
あぁ~、すごい。有栖さんのシナリオ通りだ。
寒気を感じ、ぶるっと、身体が震えた。
「わかりました。お引き受けします。返り咲きましょう。皆が一枚岩になってくれれば、かならずAクラスに上がれます。上げて見せます。」
有栖さんに言われたように、強いリーダーの”ふり”をした。不思議なことにこんな”ふり”をしていると、だんだんとその気になってくるし、何故か力も沸いてくる。
9月開始時点でのクラスポイント
(無人島、宝石、日常減点、他)
葛城クラス
1030→1000 (無+50、宝-50、減-30)
神崎クラス
1000→1200 (無+225、宝±0、減-25)
龍園クラス
640→350 (無±0、宝-100、退ー100、減-40、虐-50)
櫛田クラス
130→720 (無+420、宝+150、減-30、虐+50)
有栖達のアカウント残高(8月1日 2230万)
支出
浴室リフォーム 100万
櫛田への軍資金 20万
8月生活費 10万
クラス変更 2000万
収入
宝石試験(由佳獲得) 600万
9月1日現在:700万
2日には櫛田から1850万入る予定