※この作品はR-18です。

【推し】のアラサー   作:MEM推し

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心労

 室田は芸能界でスタッフのアルバイトをしつつ、そちらの仕事がない日は苺プロでアルバイトとして働き始めた。事務員にアクアのマネージャー、時には配信者の撮影の補助など、倒れない程度に仕事を詰めていた。何をやるにしても楽しいという風に意欲を見せていたためにミヤコが色々振ってしまった形だ。

 実際彼女も様々なスキルを身に付けていき、将来的には配信者としてデビューをしたいということでその準備も始めていた。彼女は「MEM」という名前で配信者をやるらしい。

 実際、アイドル志望だったということもあってダンスはとても上手に踊れていた。ファンというだけあってアイの完コピまでやってみせるという、ファンが付きそうな特技を見せつけた。

 ダンスは、である。

 もう一方の歌だが、歌を聞いたアクアとミヤコが同じ意見を突き付ける。

 

「「初期のルビー並みに酷い」」

「小学生と同レベル⁉︎」

「いやいや、あの子もダンスは踊れるのに歌だけはてんでダメだったのよ。リズム感はあるんだけど出力が微妙というか。大丈夫よ。その時のルビーの方が酷かったから」

「歌は結局トレーニングだぞ。声の出し方、体の使い方。そういうので全然治る。まだ十代だから間に合う」

「まだって言ったぁ!ミヤコさん、息子さんが苛めます〜!」

「……本当に、そうやって泣き顔を見てると中学生にしか見えないのよね。骨格とかもそう。芸能界ってたまに時が止まったような不思議な人が現れるのよね」

 

(それをミヤコが言うのか……。全然二十代前半で通用するのに)

 

 アクアは心の中でツッコミつつ、ボイストレーナーを紹介されてお腹から声を出す方法や、ダンスで激しい運動をしても大丈夫なトレーニングをして、ダンスを初配信でやるようだ。

 最近のアクアとしては珍しい休日に、妹のルビーに誘われてカラオケに来ていた。なぜかMEMも誘って。どっちの歌が上か、採点で決着を付けるのだという。

 割とシスコンなところがあるアクアはルビーがそう言うので渋々ついていき、二人が歌うのをずっと聞いていた。本人は適当にジュースを飲みながら聞いているだけ。アクアが歌うことなく二人が交互に曲を入れていった。

 往年の人気曲から女児向けアニメソング、アイドルソングまで。様々なジャンルを歌って表示される点数に一喜一憂する。アクアは手持ち無沙汰になったので唐揚げチャーハンを頼む。カラオケ店の唐揚げとチャーハンは異様に美味しいのでアクアは曲を聞きながらガッツリと食事を摂る。

 

「お兄ちゃん、どうだった⁉︎」

「72点で声を張り上げてもなあ。ルビーはまだ口が回ってないから早口パートがある曲を辞めれば点数が伸びるんじゃないか?」

「アクたん、私は⁉︎」

「MEMは低音が出てない。最終手段は加工すればなんとかなるだろ」

「加工はイヤだー!」

「年齢偽ってデビューする気満々なのに歌を加工するのはイヤなのか……」

 

 二人がアクアの唐揚げを横取りしたり、飲み物を取りに行ったりして休憩を挟みつつアクアに歌うようにリクエストをする。二人が歌っている間に曲を選ぼうとしたが何を歌おうかと悩んでしまう。

 前世の影響で歌えそうなものは二人も知らないような古い曲ばかり。あとはB小町の歌だが、それを歌おうとしたらルビーもMEMもノッてくる。一緒に歌うのが恥ずかしいというわけではなく、アイを思い出してしまうことと、自分の歌への熱意のなさを実感してしまうために歌う気が無かった。

 そうやってデンモク片手に悩んでいると、ルビーが一つ提案をして来た。

 

「お兄ちゃん、ピーマン体操は?」

「有馬の?絶対イヤだ。僕はピーマンが大嫌いなんだ」

「へ〜。アクたんにも好き嫌いがあるんだねえ。二人は学校の行事でピーマン体操踊ったりしたの?」

「わたしは踊ったよ!お兄ちゃんは練習に参加しなさすぎて見学だったけどね」

「何でピーマンを賛美するような歌を歌いながら踊らないといけないんだ……。もっと頑張れよ、アイドル……」

 

 小学校ではその年に有名になった曲を体育祭や六年生を送る会などで歌って踊ったりする。アクアは仕事が忙しくて練習にまともに参加できなかったので不参加だった。踊る演目がピーマン体操と聞いて心底安堵した。

 ここ数年は男性のアイドルグループが毎年ヒット曲を出していたのでそれを踊ることが多かった。ドラマの主題歌だったりして有名になりやすかった。今年はそんなどの女性層にも人気がある男性アイドルグループを抑えてピーマン体操がぶっちぎったのだ。

 アクアが他の人気曲を調べていき、これなら良いかと入れた曲。前世があるルビーは知らなかったが、逆にMEMは知っていた。むしろそんな古い曲を歌おうとする十歳がいるのかと驚いたほどだ。

 

「何?この曲」

「イギリスの超有名バンドだ。その生き様とか功績から伝説って呼ばれるバンドの、一番有名な曲」

 

 アクアは前世でよく聴いてたこともあってしっかりと歌い切る。今世で音感が狂ったということもなく普通に歌ったつもりだったが、声変わりをしていない状態ではカッコいい低音が出なかった。

 それでも91点を叩き出して、ルビーとMEMを驚かせる。

 同じ子役の有馬のように曲こそ出していないものの、アクアは歌うのが得意だった。声変わりをすればもっと高得点だっただろうとも思いながら、リクエストには応えたとマイクをルビーに返す。

 

「お兄ちゃんカッコ良!音楽の時間はサボってたね⁉︎」

「一人だけ浮きたくないんだよ。周りに合わせるのも役者の必須技能だ」

「アクたん、よくこんな古い曲歌えるね?私でも歌えないよ?」

「現場で結構な御年の先輩に勧められて。それで昔の名曲をかなり聞いてた」

「へ〜」

 

 本当はB小町の曲を思い出したくないから他の曲で誤魔化したかっただけだ。馴染みの曲だったから耳にも残っていて、ダウンロードなどもしやすかっただけ。

 この時のカラオケのように三人で出かけることもしばしば。

 MEMが中(・)学(・)生(・)配(・)信(・)者(・)としてデビューした後、アクアは仮面とウィッグを被って女装してMEMの踊ってみた動画に出演している。ルビーも仮面とウィッグを被ってバックダンサーで踊り、B小町の楽曲だったために完璧なダンスを魅せて、あのバックダンサーは誰かと雑談配信で聞かれることが多かった。

 苺プロの環境が良かったのか、MEMは弟たちの学費はもちろん、母親の治療費も払えるほどに売れっ子になった。

 そして更に三年ほどの月日が流れた。アクアは順調に子役としてのステップアップを果たしていて中学一年生になったものの仕事が忙しかったのでまともに学校に通えていなかった。

 そんな折、アクアに事件が起きた。アイを狙った黒幕に狙われたとか、アイとの関係がバレたとかではない。現場でのトラブルであり、アクアは頼れる大人が他におらず、MEMにメッセージを送る。

 家に寄らせて、寝させてほしいという内容にMEMはよくわからないまま了承。撮影も配信もなく、十分な稼ぎがあるために一人暮らしをしていたので平日の夕方でも対応できた。寝るだけなら家に帰っても良いんじゃ?とも思ったものの、可愛い弟分に頼られたら断れなかった。

 カメラで来客を確認したらそこには顔を真っ青にしたアクアが。何があったと驚きながら部屋に連れて行き、ソファで横にして温かくしたタオルで両目を塞いだ。泣き跡はなかったものの、それくらい深刻なものだったとMEMは判断する。

 

「……アクたん。聞かない方が良い?」

「……監督は知ってるし、今日の映像はどうせ母さんに確認される。別に、話すのは、できる」

 

 アクアはアイの事件以降、殺害現場などを見ることにトラウマがあること。演じることにも割と抵抗があるが、やってしまえばできてしまうこと。そういう演技をやった後は大体体調を崩して、酷い時は戻してしまうこと。いつもは五反田のところで世話になっているが、今日はロケハンで遠出していること。

 今日の現場でアクアというギャラの高い俳優を使っているのに視聴率がイマイチだということ。オリジナルドラマだったことを良いことに今日ぶっつけで台本がゴッソリ変わり、アクアが心の闇を抱えた可哀想な子という役柄に変更になり、殺人事件を起こしてしまい、そのまま殺される役を演じた。

 その結果自分が人を殺す役をしたことと、殺された時の演技をしたことのダブルパンチでアクアはノックダウン。MEMの家に辿り着いたことも、戻していないのも割と頑張っているくらいのコンディションだ。

 MEMも苺プロ所属としてアクアとルビーがアイに特別に懐いていたという表の事情は聞かされていた。その慕っていた人が殺されればPTSDになっても仕方がないと考える。そんな悪影響があってもなお仕事をやりきった、まだ幼い少年をお姉さんとして慰めてあげようと、MEMは壊れ物に触るように頭を撫でた。

 

「お兄ちゃんは、よく頑張ってるよ。ミヤコさんにもルビーちゃんにもそんな弱った姿を見せられないんでしょ?ここに二人はいないからさ。良いお兄ちゃんでいる必要はないんだよ。アクア君」

 

 昔のように呼びかける。アダ名で呼ぶのはいつものMEMであり、彼をアクア君と呼ぶのは室田芽衣としての姿だった。

 彼女も姉として家族に心配をかけたくない一心でバイトをしていた。そんな境遇が似通っていて、だからこそ歳上として成長期も迎えていないアクアを慰めてあげたかった。

 日本人らしくない金髪を撫でていると、タオルが若干ズレて光沢が白くなった碧眼が現れた。両親が斎藤夫妻だと聞いているが、MEMは壱護の顔を見たことがなかったのでよっぽどイケメンなのだろうと思っていた。そしてどうしようもない人なのだろうと。

 それにしてはルビーやアクアを見て誰かを思い出しそうな感じがしたが、MEMはそれはないだろうと頭から外してしまう。そのまま頭を撫で続けていると、フイとアクアがMEMから目を逸らした。なんだろうと顔を見てみるとさっきまでの青い顔が嘘のように赤くなっていた。

 熱湯で温めたタオルの効果が出たのだろうかと思って、飲み物でも用意しようかと立ち上がると、アクアの下半身で三角形が出来上がっていることを見てしまい、芽衣は「ヒゥ⁉︎」という声と共に一歩引いてしまった。

 生理現象というのは知っている。弟がいるので理解はある方だ。どうしても処理をしなければならないということを知っているので、こういう事象が発生しても仕方がないとわかっていて、アクアが恥ずかしそうにしていることにちょっと小悪魔的な思考が出てきてしまった。

 

「家族は女の子しかいないし、家だと処理しづらいでしょ?お姉さんが処理してあげようか?」

「……自分の体を安売りするなよ」

「あー、もしかして処理してくれるような女の子いるの?アクたんモテるもんね〜」

「そんな女子いないぞ。付き合ってる女子なんていないし」

「学校でも現場でもモテるんじゃないの?」

「学校にはほとんど行ってないから名前も知らないぞ。現場は、僕に擦り寄ろうとしてくる女子ばかりだからそんなのいないよ」

 

 特定の女子がいないことと、子役の頃から天使やイケメンと呼ばれ続けているアクアが自分のちょっとした行動で反応してくれたのが嬉しいと思ってしまう芽衣。

 今日辛い目に遭ったアクアへ、ちょっとしたご褒美があっても良いんじゃないかと考えてしまった芽衣は、アクアのズボンを降ろす。見えてきた青色のトランクスでもテントが張っており、芽衣はそれにゴクリと生唾を飲みつつ、そのトランクスもえいっと勇気を振り絞って降ろした。

 そこから現れたのは十二歳には思えないほどの大きなモノ。15cmは優に超えている。

 芽衣としても弟たちを風呂に入れさせたことはあるので子供の頃の大きさを知っているからこそ、その大きさに驚いてしまった。ドクドクと脈打つその大きなモノに手を伸ばす。そしてそれを掌で包んだ。

 芽衣としても初めて触る物の感触に、おっかなびっくり手を進める。硬いのに部分部分では柔らかく、そして肉体の中でもかなりの熱を持っていることに驚きを覚えながらも触り続ける。アクアが抑えようとしている声を聞きながら、その肉棒の先から透明な液体が溢れ始めた。

 

「芽衣……ッ!やめっ、んぅ!」

「良いんだよ?我慢しなくて……。そもそも、処理の仕方とか知ってる?したこと、ある?」

「な、ない……っ!家で処理なんて、んっ!できない、だろ……!匂いとか、色々と……!」

「あー、そうだよねえ。結構気付いちゃうから、女家族だと難しいよね。だからさ、ここでスッキリしていこうよ」

 

 芽衣はゆっくりと竿を上下に扱く。どうするのが良いかなんて芽衣も知らないので、全く頼りにならない知識だけだ。それで試行錯誤しながら扱ってみるが、アクアのそれが反応を返すので正解かなあと思いながら嗜虐心を増大させていった。

 MEMとして配信者として売れ出したといえども、登録者は20万人ほど。中堅クラスを名乗っても良いほどの登録者数だが上には上がいる。同じ年齢でもMEMよりも登録者数が上の人気者もいる。

 一方星野アクアを知らないのは極一部と言えるほどに有名な俳優だ。映画やドラマ、CMはもちろん、雑誌などでモデルもやっているので見たことがないと言う日本人は数少ない。ニュース番組へ宣伝で出たり、バラエティなどにも出ているのでよっぽど芸能界に疎くなければ知られている芸能人の一人。

 そんなアクアが、自分の行為で喘いでくれているのだ。それを喜ばない女なんていなかった。

 どんどん呼吸が荒々しくなるアクア。前世ではこういう行為は当然のように経験があったが、今世では初めてだったことと芽衣の容姿が今まで付き合ってきたどの女子よりも可愛いために、昂りを抑えられなかった。

 前世の知識から精通したことはわかっていても処理なんてできなかった。今更動画や画像を見てするというほどスマホのロックは安全ではなく、そういう雑誌も買うことができない。周りの人間を使(・)う(・)ことは失礼だと考えたために自慰に用いようと考えたこともない。

 そのため、今世の体で感じる初めての快感に、そして抑え込んでいた欲望に勝つことができず、最後の一線が彼の剛直を駆け巡った。

 

「もう、無理っ!射精(イ)くッ!」

「きゃあっ⁉︎」

 

 一年以上溜め込んでいた精液は際限なんて知らないとばかりに亀頭から勢いよく発射された。触れていた芽衣の指の間から噴水のごとく漏れ出し、それでも止まらない漏れに芽衣は両手を使ったがそれでも受け止めることはできなかった。

 芽衣の両手が真っ白になっただけではなく、アクアのペニス周辺も真っ白に染めていた。前世も含めてここまで射精したことなどなく、その開放感にぼうっとしていた。芽衣も射精を見るのは初めてで、あまりの量と熱さ、そして匂いにクラクラときていた。

 再起動した芽衣はティッシュで精液を拭き取る。アクアの分もちゃんと綺麗にしたが、ベタベタ感は拭えず、なおかつアクアのソレはまだ天を向いたままだ。

 芽衣はあー、とかうー、とか唸りながら、一つ提案をした。

 

「シャワー、浴びようか?そのままじゃ気持ち悪いだろうし……」

「……うん」

 

 湯船にもお湯を溜めながら二人でシャワーを浴びる。二人とも裸になるのは恥ずかしさがあったが、さっきまでの痴態を考えれば大差がないかと二人して諦めた。

 体を洗った後、向かい合ってお風呂に入る。芽衣は胸を、アクアも勃起しっぱなしの股間部を隠しながら向かい合い、目線は合わない。お湯の暖かさ以外で顔は真っ赤であり、それでもお互いをチラチラと見ては視線を逸らして、というのを繰り返している。

 アクアが前世で学生の頃は女の子が寄ってきて、愛を囁いたためにその愛を知りたくて適当に頷いて、体を重ねたことはあった。そこでは一応儀式めいていたが告白という過程もあったはずだ。

 だが今は二人ともそんな道中のことをすっ飛ばしてこんなことになっている。これはアクアとしてもキャパオーバーだった。

 それでも元大人として、苦言を呈する。

 

「あのさ、芽衣。芽衣も顔を出して配信者をしてるんだからこんな簡単に自分の体を売るようなことをしちゃダメだ。もしそういうのを持ちかけられても断ってくれ。仕事なら母さんたちが頑張って取ってくるから──」

「アクたん。もしかして私がそんな軽い女に見えてる?そんなこと、したことないよ。これからもするつもりない。……流石のお姉さんも怒るよ?」

「いや、だって……。じゃあ何で僕なんかに……」

「アクア、辛そうだったし。それにどこか昔の私に被って見えたからかな。こんなことで慰めになるならって。……それにアクたん、すっごいイケメンなんだから相手をしただけで女としての自尊心を満たせるのっ」

「自尊心って。芽衣だって美少女ライバーとして有名だろ。その可愛さだって売れてる要因だ」

「か、かわっ……⁉︎アクたんは将来刺されそうだねえ」

 

 芽衣は顔を湯船に浸けながらそう言う。

 言われたアクアとしてはシャレにならないことだった。自分の交友関係ではないが前世ではアイのストーカーに殺されている。刺されたわけではないが崖から突き落とされたのだから恨みなどを買うことになりかねないというのは的を射ていた。

 芽衣はアクアのほっぺと鼻を摘みながら、刺されないように忠告をする。

 

「あんまり女の人に気安く可愛いとか言わないこと。アクアの顔と演技で言われたらほとんどの女の子は本気にしちゃうんだから。そうじゃなくてもモテてるんだから、勘違いした女の子による取り合いからの刃傷沙汰とか起こらないとは限らないんだからね」

「……演技って?芽衣とか女子と話してる時に演技なんてしてないんだが……?」

「〜〜〜っ!と、とにかく!辛いなら特定の彼女を作って……っていうのも難しいかぁ。同い年とかちょっと歳上の相手に処理してもらう中学生なんて爛れてるなんてレベルじゃないし……。処理のために付き合うっていうのもなあ。不健全だよぉ。一人部屋ならどうにか部屋で処理して、消臭スプレーを使ってゴミ捨てを率先してやる?けどミヤコさんとルビーちゃんもアクアに知られたくないゴミはあるだろうし……」

 

 芽衣は女目線として考える。アクアの処理事情はなかなか難しそうだ。やっぱり自分で処理してもらい、匂いをどうにかするしかないだろう。そして家族だからこそ、見逃してもらうしかない。お互い様だからと。

 芽衣も弟たちのそういうことは寛大な心で見逃していたのだ。ミヤコとルビーにも同じように見逃してもらうしかないだろう。

 アクアの顔色はこの家に来た最初の時と比べればかなり良くなった。ちゃんと赤みが出ている。

 問題は、元気になりすぎた下半身だ。

 

「そのまま帰すのも、あれだし……。今日は私が手伝うよ。私も全然経験がないから下手かもだけど、我慢してね?」

「え、ちょ、芽衣⁉︎別にしなくても〜〜〜っ!」

 

 結局お風呂でそのまま潜望鏡を。

 それでも治らなかったのでアクアはミヤコに連絡をして体調が悪くなったために現場から近かった芽衣の家に泊まることを伝える。晩御飯を二人で作って食べた後、今度はベッドで処理の続きを。芽衣が綺麗な形の胸でアクアのペニスを挟んだり、口や手を使って芽衣の裸にぶっかけさせたりと普通の中学一年生だったら性癖が壊れかけないことのオンパレードだった。

 アイドル並みに可愛いと言われている、配信者として成功している大人のお姉さん。そんな女性が初めてだと言いながら精一杯奉仕してくれるのだ。これで惹かれない男性がいないはずがない。

 前世があるアクアでもその姿に衝動が止まらず、眠るまでに何度果ててしまったことか。日付が変わっても処理は続き真っ暗な中最後の一発を射精した時には二人とも汗だくで、最低限の後片付けをした後は裸のまま眠ってしまった。

 最後の一線である本番行為だけはお互いにしなかった。ゴムがなかったことと、あくまでこれは処理だったためだ。カーテンから漏れる朝の陽射しで芽衣は目を覚ます。アクアはほとんど中学校に行ってないようなもので、MEMも土日でもなければ朝配信をするような配信者ではない。時間的にはだいぶ余裕があった。

 芽衣が目を覚ましたのは自分のお腹に熱くて硬くて大きなものが当たっていたからだ。朝の生理現象なのか、それともまだ性欲が有り余っているのか。どちらにしても芽衣はこんなことを思う。

 

(昨日も凄かったし、将来アクたんと付き合う女の子は大変そうだなあ。本番はしてないのに手とか腰とか痛いや。……いや、流れもあったとはいえとてつもないことをしちゃったんじゃ⁉︎アクアってまだ十二歳だし、成人してる良い大人がなんてことを……!頭撫でただけで反応しちゃうウブなところにやられちゃったけど、処理できてないなんてことを言い訳にしたってやることやっちゃってるし、本番はしなかったけど、裸も見せちゃってるし、今更ながら恥ずかしくなってきたーーーー⁉︎)

 

 真っ赤になった顔を両手で塞ぐ芽衣。シーツがはだけて胸が丸見えなことは気にしない。ここにいるのは芽衣とアクアだけ。アクアには散々見せてしまい、しかもまだ寝ている。すーすー寝息を立てている金髪の天使は芽衣が軽く撫でても目を覚ましそうにない。

 緩む頬をどうにか戻し、服を着始める。朝ご飯もあげずに家に帰すのは非常識だろうと考えて湯を張ったままのお風呂をもう一度沸かしなおして、簡単な朝食の用意を始める。汗をかいたまま裸で寝てしまったので風邪を引きかねない。

 アクアが目覚めて一緒にお風呂に入った後焼いたパンを食べて、一応体温計で熱を計ったが微熱くらいだった。MEMはアクアを自宅兼事務所まで送り届けてミヤコにアクアを引き渡した。今日は仕事が入っていなかったのでアクアはそのまま学校を休み寝ることにしたらしい。

 MEMは一応事情聴取をされることになった。アクアから話していいと言われているので処理のこと以外は全て隠さず話すことにした。

 全部を聞いたミヤコは顔を白くさせた後、ハァ〜〜〜〜、と大きな溜息をついた後にMEMにお礼を言う。

 

「……ありがとう、MEM。でもそうなのね……。一番に頼るのは五反田監督で、二番があなた。私は三番以下か。ちょっとクルものがあるわね……」

「母親だからこそ伝えたくないってこともあると思います。私も、ガールズバーで働いていたことはお母さんに言えませんでしたから」

「母親。お母さんか……」

 

 ミヤコは暗い顔のままだ。アクアは芽衣に伝えていないが、ミヤコはアクアの本当の母親ではない。母親らしいことなんてほとんどできておらず、アクアの稼ぎもあって苺プロは経営破綻しなかった事情がある。

 学校にほとんど行かず、仕事を頑張りながら暇を見つけて家事をしたりルビーに勉強を教えている。頑張りすぎていてミヤコが止めても家族のために何かをしようとする子供だった。

 失った母親の穴を埋めるように。もう穴に沈まないように。

 今回こうなった原因を聞いて、アクアはアイの死から何も乗り越えていないと改めて思い知った。今までもそういう殺人系はアクアのイメージダウンに繋がるからとシーンNGを出してきた。それがいきなりの台本変更で御破算になった形だ。

 ミヤコは今回の企画書を引っ張り出して脚本家と監督をNG指定にした。苺プロとして絶対に仕事を受けないと決めた瞬間だった。

 アクアが頑張る理由は知っている。ルビーとミヤコが路頭に迷わないようにするためだ。アイの遺産はそこまで多くなく、苺プロも正式な手続きがなかったために副社長だったミヤコが運用できる資産は少なかった。アイ任せのアイドル部門しかなかった弱小芸能プロダクションなんてアイドルがいなくなったら稼ぎがあるわけがない。

 アイがいなくなったらB小町も売り出せるものがなくなって早々に芸能界を去った。アクアが一人で働き、あまり元手がかからない、まだブルーオーシャンだった配信業で当たったからこそ今はちゃんとプロダクションを名乗れるものの、アクアがいなければその元手すらほぼない状況だった。

 残っていた事務所の資産はドーム公演の違約金でほぼ消えたからだ。

 アクアが稼ぐには年齢的に芸能界しかない。そして彼は評判の良い子役であり現場受けが良かった。更に事務所が零細だということと顔を売るためにギャラは知名度に反してだいぶ安いものに設定。そのおかげでプロデューサー側も全然NGを出さない美少年を使い倒せるということで仕事はどんどん来た。

 今ではそれなりのギャラを貰っているが、それも小学校高学年になってからだ。安くて使い易すぎる子役が一人いると他の子役が伸びてこない。それに他の事務所からもやっかみを受けるのである程度事務所が立ち直った段階でギャラを平均よりは少し上くらいに設定。

 一気にギャラを引き上げてしまえば仕事が入らなくなり、大体の予算を決めている企画側からも予算オーバーで出せないと出演を反故にされても困るので子役のトップまでギャラを上げなかった。ギャラを高くしすぎても結局税金で引かれてしまうために、少し高いくらいが一番都合が良かった。

 そこまで考えて頑張ってくれた息子を酷い目に遭わせたのだ。ミヤコの怒りは至極真っ当だった。

 

「……アクア君にとってアイってそこまで特別なんですね」

「それはそうよ。物心着く前からB小町のDVDに釘付け。CDの販促ライブに連れて行ったら兄妹揃ってサイリウムを全力で振り出すし。……とても慕ってたわよ」

「そんなアイドルが幼少期に亡くなったら、あんな我慢しちゃうようになっちゃうんですね。……でもそれは、悲しすぎます」

「アクアにはいつだって芸能界を辞めていいって言ってるんだけどね。俳優はやりたいのか、何か目的があるのか……。辞めたいなんて一度も言わないのよ」

 

 ミヤコはアクアの考えがわからない。幼少期から利発的な子ではあったが、その奥底では何を考えているのか。だからこそミヤコは母親失格だと自分を責める。

 今は寝ている小さな少年へ、今は安らかな眠りを。

 

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