新作です。
ボチボチ全体的に投稿再開していきたいので、応援よろしくお願いします。
「モンキー・D・ガープ中将! ジョー・ジャックハート准将! お疲れ様です!」
『お疲れ様です!!』
「あぁ、お疲れ」
偉大なる航路のおよそ中間地点に存在する島、マリンフォード。
海軍本部が置かれ要塞と化したその島を、多くの海軍たちが拠点とし、日夜訓練に励んでいる。
そんな若い海兵たちが港に揃って出迎えていたのは、とある軍艦を迎え入れるためだった。
「つーかうるせぇよてめぇら。敬礼なんぞに力入れずにもっと訓練に力入れろや」
『はっ!』
「返事だけは立派だな、こいつら」
「少なくともお前さんのだるそうな挨拶よりは聞いていて気持ちのいい挨拶じゃろ」
「んなこと言われても野郎の野太い声なんざ聞きたくねぇよ」
「相変わらずじゃのぉ」
偉大なる航路の後半、通称"新世界"と呼ばれている海での海賊討伐任務。
その任務に出ていた部隊の出迎えのためだ。
「で、クソジジイ。次の俺の仕事は?」
「ワシも知らん。というか、働きすぎじゃろジャックハート。この前何歳になったと言っておった?」
「8」
「ワシより60近くも下か」
「60も上とかジジイ過ぎんだろ俺の上司。そろそろ死ぬんじゃね、お前」
「何を言うかこのクソガキがッ!」
その部隊の先頭を歩く、大小二つの姿。
一つ、海軍の英雄と呼ばれる伝説の海兵、老兵ガープ。
一つ、海軍入隊僅か6ヶ月で
今と昔の海軍の時代を作り、作ってきた二人が帰ってきたのだ。
「ってかまだ准将なんだな、俺。てっきり少将まで上がってるもんかと」
「十分おかしすぎるわい。普通ならまだ8歳では入隊がほぼ認められておらんし、入隊して6ヶ月の時はまだ三等兵がえぇとこじゃろ。しかも支部じゃなくて本部なら尚更じゃ」
「カスどもと違って、覇気と六式使えっからな」
「まあ確かに、それがあれば前半の海なら余裕じゃわい。両方をお前さんレベルで扱える者は中将クラスにもそうはおらんしの」
"新世界"での任務をこなしてきたばかりとは思えない程に、普段通りの会話をしながら歩く二人。
彼らの直属の部下である海兵たちもその後ろを規則正しく歩き、付いていく。
「それにお前さん、覇王色も持っとるんじゃろ?」
「あぁ。つっても、使ったら向こうがすぐ気絶して面白くねぇからな。雑魚が多すぎる時だけ使ってる」
「その年齢なら、素質があったとしてもポンポンとは使えんもんじゃが」
「ケハハッ! 俺をそこらのカスどもと一緒にすんなよ。発現自体は数百万人に一人らしいが、俺はその中でも上澄みってだけのことだろ」
彼らの向かう先は海軍元帥、センゴクが待つ部屋。
今回の任務が無事に終了したことを報告するためだ。
「で、まだ俺が准将な理由聞いてねぇんだけど」
「そんなに地位にこだわるか? まあいいじゃろ。実を言うとな、大将は既に3人埋まっておって、中将と少将も人数が多い。そんな状態でまだ若いお前さんを無理に昇進させる必要はないという考えがあるんじゃ」
「なるほどな。ま、気になってたのも俺より弱い中将や少将に舐められてんじゃねぇかってのが気に食わねぇだけだ」
「そりゃ大丈夫じゃろ。既に実力だけなら中将の半分より上じゃもん。流石に本部所属の海兵でお前さんを舐めとる人間はおらんよ」
「ならいい」
廊下を歩き、階段を昇りながら会話を進めていく。
8歳の子どもと伝説の海兵の会話とは思えない次元の会話に、彼らの後ろにつく部下たちの額に汗が浮かぶ。
「ジャックハート、もうじき着くぞ」
「あぁ。おいマージ! そいつらそこに待機させとけ。んでお前は倉庫に行って消耗した武器の補充と俺の秘書に報告な」
「はっ! 総員、待機!」
『はっ!』
ジャックハートが自らの後ろに控えていた海兵、ヴィルセルタス・マージ中尉に指示を飛ばす。
一人を除く部下全員が敬礼をしたことを確認したジャックハートの目の前には、センゴク元帥が待つ部屋の扉。
「めんどくさいのぉ、ジャックハート」
「だな、マジでだるいわ」
その扉をノックすることなく、ガープが勢いよく開け放った。
「センゴクー! 帰ってきたぞー!」
「こっちの死者は0人。海賊どもは死んだら"悪魔の実"が復活しちまうんで、きっちり全員半殺しにしてます」
「お前たちは……。ノックや報告ぐらいもう少しまともにできんのか」
「えー。出来るけどめんどくさいんじゃ」
「端的な報告でしょ」
「はぁ……」
乱雑に、そしてあまりに軽く行われた報告に、嘆息を漏らす人物。
彼こそが、この海軍という組織を実質的にまとめている、センゴクである。
「センゴク、茶くれ」
「俺はいいっす」
「全く……。まあお前たち二人については報告の丁寧さは期待していなかったからな」
「そう褒めるなセンゴク」
「俺ぁクソジジイのスタイルに合わせてるだけっすよ。サカズキさんとの任務とかなら真面目なんで」
「分かっておる」
「何ィ! どういうことじゃ、ジャックハート!」
「俺がちゃんとやろうとするとあんた面倒事全部押し付けてくるだろ」
だが、そんな海軍のトップへの任務の成果報告を行う場とはとても考えられない程に、ガープとジャックハートの態度はあまりにも雑。
ガープはセンゴクの自室にある食器棚にセンゴクの許可を貰うことなく向かい、ジャックハートは自分の数倍は離れている上司たちに対して既に砕けた口調で話を進めていく。
「おっと、そうだジャックハート准将。次のお前の仕事だが」
「何すか」
「おいセンゴク。ジャックハートがいくら強いとは言っても、まだ8歳じゃ。入隊して半年、ずっと任務ばかりじゃろ」
「俺は別にいい。で、どこに?」
「"東の海"だ」
「何?」
勝手にとった湯呑にセンゴクが用意していた茶を注ぐガープからの労いの言葉も意に介さず、ジャックハートはセンゴクからの仕事を引き受けた。
その内容は、まさかの──
「だから、"東の海"でのパトロールだ。今回はお前の上に誰も付けない。お前が現場の最高責任者として、部隊を動かすように」
──この世界で、"最弱"と評される海でのパトロールだった。
「メンバーの選定は俺が?」
「あぁ。ついでに、近々入隊予定の者のリストもお前に渡しておく。他の者よりも先に、お前の部隊に引き抜きたい者を選んでおくように。仕事の詳細はカリファ君に伝えているから、彼女から聞いてくれ」
「分かりました。では」
「あぁ」
最低限の仕事の内容を聞き、ジャックハートがセンゴクの部屋を出る。
老兵二人。
死線をくぐり抜けてきた二人だからこそ、視線を合わせずとも、意思の疎通が出来ていた。
「上からの指示か、センゴク」
「あぁ。どうやら、一刻も早く昇進させたいらしい。史上最年少昇進を繰り返す時代の寵児。世界政府の新戦力としての広告塔扱いしたいようでな」
「相変わらずアホなこと考えおるのぉ。で、ジャックハートの"東の海"での仕事ってなんじゃ?」
「言った通りパトロールだ。……ま、ジャックハートにとっては弱い海賊しかいないからな。慰安旅行のようなものだ」
「甘いのぉ、センゴクお爺ちゃんは」
「若い芽を潰したくないのはお前と同じだ」
それは僅か8歳で海軍本部准将まで上り詰めたジャックハートについて。
"覇気"や"六式"といった技能・体技を既に十分に扱えているとは言っても、まだ無茶をさせていい年齢ではない。
ガープもその考えであったが、仕事を振ったセンゴクも同様の考えであった。
「ガープ。お前から見て現時点でのジャックハートの強さはどれぐらいだ?」
「イカれとるわい。覇気と戦いの技術だけなら全盛期のワシより既に上じゃ。筋力や間合いも考えて、8歳であれなら5年後には海軍史上最強の海兵になるじゃろ」
「そうか。現時点での強さは具体的にはどれくらいだ?」
「一月前くらいかの。プライベートで揉め事を起こして、ドフラミンゴのとこの幹部連中を半分ほど半殺しにしたらしい」
「なら、3億の懸賞首ぐらいなら問題ないか」
「なるほど。そういう意味でも"東の海"か」
「あぁ。"東の海"の海賊相手なら、目を閉じて戦っても問題ないだろう。それに確か最近、妙なことが起きていてな」
「妙なこと?」
センゴクがジャックハートを向かわせた"東の海"は、この世界の中でも最弱の海として知られている。
良く言えば平和なのだが、だからこそそこを根城にしようとする、"偉大なる航路"帰りの海賊たちもいる。
とはいえ。
自宅での休養とさせなかったのには、一つの理由があった。
「およそ一年前。ジンベエが王下七武海に加入したときに釈放した魚人、覚えているか」
「確か……アーロンじゃったか」
「あぁ。取り調べをしていた者から極度の人間嫌いな魚人と聞いていたのだが、奴が向かったとされる"東の海"から全くと言っていい程報告が上がっておらんのだ」
「ふむ……。匂うな」
センゴクやガープ、ジャックハートの強さと地位から考えれば、極々小さな脅威。
魚人、アーロン。
彼を釈放してから約一年が経過しているにも関わらず、一切の報告が上がってこないのだ。
「考えられる線は四つ。完全に改心したか、機を伺っているか、報告役の海兵すらも倒しているか」
「買われているか、か。最後のは考えたくないのぉ」
「だが、"東の海"に配属した海兵ならば、万が一ということもある。ガープ、お前が一番良く分かっているだろう」
「まあ確かに、"偉大なる航路"での航海経験のある魚人と正面から戦える者など、そうはおらんか」
経過観察がてらのパトロール。
それが、今回ジャックハートに与えられた"東の海"での仕事内容だ。
「だがまあ、ジャックハートならそのどれでも片手間で解決するじゃろ。ほぼ寝るか飯かで終わりじゃな」
「後は、カリファ君に持たせた資料にも書いたんだが、各地の観光名所巡りをするような航路を立てている」
「ぶわっはっはっは! ええのぉ、それ!」
仕事とは言うものの、既にガープや他の中将、大将達との仕事により、8歳という若さで"新世界"での戦いすら経験しているジャックハート。
彼ならば、何の苦もせず終わらせてくるであろうと、老兵二人は考察していた。
◇
海軍本部を出てしばらく。
出航待ちの軍艦や帰還した軍艦が立ち並ぶマリンフォードの港を、ジャックハートは歩いていた。
「カリファちゃん。センゴクさんから貰ってる資料は?」
「こちらになります」
横を歩くカリファから今回の"東の海"への航行の仕事内容が記載された資料を受け取る。
その様子を、ジャックハートの部下たちは後ろを歩きながら眺めていた。
「なあ、カリファさんって確か……」
「あぁ。
「さ、サイファーポール……。そんな人を秘書にするって、ジャックハート准将ってどれだけ強いんだよ……」
資料に目を通しながら軍艦へと向かうジャックハート。
その隣を秘書であるカリファが、さらにその後ろをジャックハート部隊の海兵たちが付き従っていく。
「……チッ。センゴクさん、随分とぬりぃ仕事よこしやがって」
「ですが、必要な任務かと。"東の海"に常駐している海兵では、魚人の海賊相手に十分に戦えないと思われます」
「んな雑魚を給料出して雇ってる意味が分からねぇな。つっても、元々やる気のあった奴をカスな海に配属しちまったせいって可能性もあるか」
「それでも、海兵として"東の海"に来るレベルの海賊を、魚人相手といえど相手できないのは問題があると思います。センゴク元帥に進言いたしますか?」
「いや、いい。センゴクさんやガープ曰く、俺はまだ8歳だからな。その辺は大人の海兵に任せりゃいいだろ」
「承知いたしました」
先ほどのセンゴク、ガープ両名との会話で自分がまだ子どもであるが故に、実力に見合った地位への昇進や今更"東の海"への任務を割り振られることなどを根に持っているのか、現少将・中将の大人たちに人員整備については丸投げする。
「じゃあまあ、そろそろ行くか。おいマージ、今回の任務、お前らも全員強制参加だ。"東の海"へのパトロールなんざ屁でもねぇだろ」
「はっ! ち、ちなみに航路はどちらを?」
「あ? 最速で行って帰ってくんだから"凪の帯"突っ切るに決まってんだろ。アホかお前。俺は先にカリファちゃんと部屋で
「か、かしこまりましたぁ! 総員、急げ!」
『はっ!』
丸投げついでに、今回の巡回ルートへの航行についても部下に丸投げする。
ルートは簡単。
"凪の帯"を横切って"東の海"へ行き、ローグタウンを起点として、アーロンが潜伏していそうな場所を調査するというもの。
「ジャックハート准将。その、お前ら、というのは……」
「ガープと俺の新世界の任務に着いてきてた奴ら。それ以外誰がいるんだよ」
「かしこまりました!」
先ほどジャックハートがガープと共にセンゴクの元へと任務の報告を行った一瞬。
その一瞬だけ休むことが許されたジャックハートの部下たちに向けて伝えられたのは、全員が再度彼の任務に帯同するというもの。
「ジャックハート様。よろしいのですか? 部下の方たちも疲労が溜まっているかと思うのですが」
──カリファさん、マジ天使!
「あぁ。8歳の俺に完敗するような奴らだぞ。船内でも休みは取れるんだし、死ぬ気で強くなれ」
──ジャックハート准将、マジ悪魔……
僅か8歳という年齢で海軍本部の准将、それも限りなく少将に近い立場に就いているジャックハート。
更に言えば、普段から絡んでいる海兵もガープやセンゴク、大将や中将たちとも同じ任務にあたることが多い彼にとって、海兵としての強さの基準は限りなく高いものとなっている。
「"覇王色"の才能が無いのは仕方ないが、それならそれで"武装色"や"見聞色"は鍛えられるだろ。俺のを見て学べって言っておいてくれ」
「承知いたしました」
──つっても、カリファさんがジャックハート准将にベタ惚れなせいで、一瞬で地獄一色になっちまうんだよなぁ……
大忙しで出航の準備を進める海兵たちの耳に入る、ジャックハートとカリファの会話。
初めに見せたカリファの優しさすら、ジャックハートの無邪気な悪意に取り込まれてしまい、目的地までの航路が地獄のような道中になったことが確定してしまった。
「さて。さっさとしろよ、お前ら。"凪の帯"突っ切って行くっつっても微妙に遠いからな、"ローグタウン"は」
『はっ!』
だが、そんな感情を口に出すわけにはいかず。
部下たちは"ローグタウン"への出向に向けての準備を進めるのであった。
「ったく、新世界がちょっと荒れてるってのにこんな呑気な任務でいいのかねぇ」
◇
同時刻、"東の海"のとある島にて
とある種族の海賊たちが、
「なぁおい! まだダメなのかよ、
「シャハハハハハ! ……
『おぉ!』
その一団の先頭に、集団に向かい合うようにして立つ、一人の海賊。
長い、ノコギリのような鼻を天に向け、その海賊は意気揚々と叫ぶ。
「カスしかいねぇ人間どもは殺さなきゃならねぇ! "
「良いのかよ、アーロンさん!」
「あぁ、この一年で十分分かった。この海は海兵すら腐ってやがる。"偉大なる航路"から戻ってきた俺らを相手に正面切ってやり合おうなんて奴はいねぇ。自分の命と手柄欲しさに、少しばかりの金で見逃してやるときたもんだ」
「はっ! 同族をそんな簡単に売るのかよ、人間ってのは」
その男の名は、アーロン。
この"アーロン一味"の船長を担う、ノコギリザメの魚人である。
「流石は下等種族だろ? シャハハハ、だがお陰で、随分と動きやすくなった。そして、ようやくだ。さっきも言ったが同胞よ! ようやく暴れる準備が整った!」
「それで、アーロンさん。目的地は?」
「シャハハハ! 焦るなクロオビ。そんなもんは"この島"を出てから決めりゃあいい」
「ニュ~。ってことは、
「あぁ」
アーロンの放つ言葉一つ一つに呼応するかのように魚人たちのボルテージが上がっていく。
そんな中、エイの魚人とタコの魚人が冷静に目的地についてアーロンとの話を進める。
「こそこそ略奪しやすい島を調べてから向かうなんてのは、下等種族相手にすることじゃねぇ。目的地も無く適当に航海を進めて、
「ニュ~。それやると、途中から飽きてくんだよな~。島が中々見つからないとめんどくさくなってくるし」
「シャハハハハ! ハチよ、そう急ぐことはねぇ。どうせ支配できるなら、その過程を楽しまねぇとな」
特徴的である飛び出た口をさらに尖らせるタコの魚人、ハチ。
そんな彼を見て、アーロンはこれからこの"東の海"で起こすことは、自分たちの完全優位で進むことを疑っていなかった。
「お前たち! 出航は明日だ! しっかり英気を養えよ! なんせこれから、初めの島に着くまでは
『おぉっ!』
島の一角で、魚人たちが鬨の声を上げる。
◇
「ジャックハート様、まだお仕事を?」
「あぁ。カリファちゃんも色々と疲れただろ? 先に休んでいてもいいぞ」
「問題ありません。確かに凄かったですが、お望みとあればいつまででもお付き合いいたします」
「助かる」
"凪の帯"、海上。
夜もすっかり更け、船はゆっくりと海を進んでいる。
甲板ではジャックハートの部下たちが交代制で見張りを立てている中、その上司である彼は自室での事務仕事に当たっていた。
「何をご覧になっているのですか?」
少し暗くした室内灯と、彼の手元を照らす蝋燭の灯り。
自分にとって集中しやすい環境を整えて椅子に座り、机に向かうジャックハート。
そんな彼の元に、白く美しい四肢に珠のような水滴を帯びさせたままほんのりを赤らめ、胸元から臀部までを一枚のタオルだけで隠した、カリファが接近する。
「出航前にセンゴクさんから貰ったリストだ」
「こんなに……。お目にかかる者は?」
「この子」
椅子に座るジャックハートが見ている書類を確認するため、タオルに身を包んだカリファが屈む。
顔の横に先ほどまでたっぷりと味わっていた二つの果実が現れるも、慣れた様子で一瞥もせずに書類に目を通し続ける。
「たしぎって子だ。名前からして恐らく"ワノ国"の生まれか、外に出た親がつけたんだろ。ウチの部隊には純剣士がいないからな。面倒見てみるのも面白そうだ」
「本音は?」
「今の内から俺好みの女に調教する」
「もう。私だけでは満足できないということかしら」
「女は妊娠したらしばらくは無茶させられないだろ。複数人居れば同時に楽しめる」
「嫉妬しちゃうわね。こんなにも頑張ってるのに」
「今でもカリファちゃんとヒナちゃん、アインちゃんの3人を見てるだろ」
「さらに増やす、という話です」
彼の視線の先には、一人の黒髪の少女の写真が貼られた書類があった。
彼女の名は"たしぎ"。
世界に散らばり、悪党たちの手に渡ってしまった名刀たちを集めたいという意思で、海兵を志願したようだ。
「ケハハハ、今更だろ。俺のとこに来てるっつういくつかの縁談を受けるとしたら、まだまだ増えるぞ」
「全く……。ですが、確かにそれぐらいしてもらわないと困ります。私たちが惚れた人ですので」
「だろ?」
他にめぼしい海兵志望者がいなかったのか。
たしぎの書類だけを横に置いておき、それ以外の束を裏向けて雑に放り投げる。
「よろしいのですか?」
「あぁ。どいつもこいつも教科書通りの
「では、たしぎさんだけを加入させる、と?」
「俺の希望では、な。男でも良さそうな奴がいたらセンゴクさんが選ぶだろ。まあ、他のとこで死線くぐって、俺のとこに来たいってんなら別だが」
海軍に入隊して僅か半年の8歳。
だが准将であるジャックハートの逸脱した昇進の速さには、当初海軍内部でも賛否があった。
それでも、上がり続ける役職でも変わらず結果を残し続け、さらには既に三種類の覇気を実用レベルで扱えるということもあり、現在では若い海兵を中心に、彼の部隊への異動願いが増えていた。
「ちなみに、ジャックハート様の訓練は?」
「女はセックス、男には一方的な
「ふふっ。なら、女性はここに来たら離れられないわね」
「ケハハハ。俺好みの女ならもちろん手放す気なんざある訳ねぇよ」
ジャックハートが椅子から降りる。
その仕草に一瞬だけ身構えるカリファ。
何かを期待するように椅子から降りた自分を見るカリファの表情を見て、ジャックハートは嗤う。
「もちろん、お前もな。シャワー浴びてくる。ベッドの中でいい子で待ってろ」
「……はい」
僅か8歳。
だが既に海軍本部に所属している女海兵を手籠めにし、諜報機関であるサイファーポールからも引き抜いているジャックハート。
「アインちゃん達には内緒だからな」
これは、近い将来史上最強の海兵として名を轟かせるであろう少年の、別の世界線のお話。
過去、感想全てに返信しようとしてしんどくなってしまった経験があるので、頂いた感想全てに返信することは難しいかも知れません。
ですが、もちろん頂いた感想や評価には全て目を通させていただきますので、よろしくお願いいたします。