姫川友紀さんが兄と近親えっちを楽しんでしまうお話 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
シスコンでブラコンで、シックスナイン、パイズリ、正常位、騎乗位などです。
「やっほ、お兄ちゃんお久しぶり~」
「……おう」
「あー寒っ寒っ、東京の冬は風が冷たいねぇ~」
玄関先に押しかけてきた妹は、高校生が着ていそうなジャージとウインドブレーカー姿で立っていた。そのまま野球部のマネージャー役としてドラマに出られそうだった。
「入れてやるとは言ってないぞ」
「入れて♥」
「やだ」
「入~れ~て~! 文春砲くらっちゃう!」
「はいはい」
よく見ると、かぶっているキャップがキャッツのロゴ入りだった。手にぶら下げている買い物袋から缶ビールがのぞいていた。これでは野球部のマネージャー役なんてありえなかった。
文春砲ならくらうかもしれない。わが妹・姫川友紀は、これでも売り出し中のアイドルだから。
※
「お兄ちゃんテンション低い! かわいい妹が訪ねてきたってのに、どよーんとしてー!」
「寒いからだよ。近ごろは電気代もガス代も気になるし……雪がないだけマシか」
「わぁ、なんか一人暮らしっぽい!」
「お前は……」
「いまは女子寮暮らし! なんだか前のお兄ちゃんみたいだね!」
「野球部のむさくるしいのと一緒にしていいのかよ」
友紀はわが物顔でむさ苦しいアパートの部屋に転がりこんでいった。扉ぐらい閉じていけ、と言っても聞き流されて、けっきょく俺で閉めた。
冬は昔から嫌いな季節だった。手をケガしやすいからボールをあまり握らせてもらえず走りこみや筋トレばっかりだった。野球少年にとって目の前にボールがあるのに握れないことほどもどかしい状況などそうそうない。高校時代に雪かきをやらされたせいでますます嫌いになった。これからの人生で雪国にだけは住まないと決めている。
「ところで、友紀」
「なぁに?」
「どうしてここの住所を知っている」
「なんでだと思う?」
友紀がフローリングに買い物袋をぞんざいに置いたらしく、ゴツンという音がやけに耳に響いた。
振り返ろうとした瞬間、胸元をどんと押されていた。
目も合わせられないほど友紀が近くにいた。
「会いたかったからだよ、お兄ちゃんに」
ウインドブレーカーとジャージのあいだで、冬のからっ風にふさわしくない汗の匂いがこもっていて、口を開いても声すら出なかった。
「……なーんてっ!」
友紀は俺の住所を知らないはずだった。「キャッツの応援で上京するとき宿に使おうとするに決まっているから、友紀に住所を教えないでくれ」と親に頼んでいた。昨シーズンと今シーズンは友紀から「泊めてよ~!」と頼まれたことがあっても押しかけられたことはなかった。
「お母さんがね、心配してたよ」
「へぇ?」
「お兄ちゃんのようす見に行ってきて、って。あたしも東京暮らしになったしー」
「あ、そ。まったく……正月になったら顔出すってのに」
「それじゃお兄ちゃんと二人きりになれないもんっ」
友紀がニヤニヤ笑っていた。八重歯を矯正しなくてもアイドルやれるんだ、と気づいた。
「さすがあたしのお兄ちゃん!」
「どうした」
ワンルームのリビング兼ダイニング兼寝室を見回して、友紀が心底うれしそうに笑った。
「部屋があんまり片づいてない! くつろげるわ~」
「やっぱ追い出してやろうか」
「や~め~て~っ」
友紀を羽交い締めにして追い出すマネをすると、手足をバタバタされて暴れられた。10年ぶりぐらいの取っ組み合いなのでどうもぎこちない。ただでさえ、久々に会う家族はどうしても照れくさいのに。
「……部屋に連れこむ彼女サンとかいないのー?」
「うるせーわい」
「よかった! もし彼女サンと同棲してたらあたしすっごいジャマじゃん」
「はいはい良かったな兄が独り身で」
友紀はウインドブレーカーをハンガーにもかけず、袋から缶ビールを取り出して勝手にテーブルに載せていた。手ぐらい洗えよ、というとなぜかうれしそうに応じられて拍子抜けした。
つまみも買ってきてくれているだろうか、と買い物袋をあさると……袋入りの冷凍枝豆、フライドポテト、ポテチ、0.02ミリの……。
「おい友紀ー」
「なぁに~?」
「お前ぇ、ゴム入ってるぞ-っ」
「あぁ、うん、そだね」
「うん、そだね……じゃねーよ」
「忘れてたの思い出してさぁ。いざってときに無いと困るしー」
俺が実家を出たころの友紀は、ランドセルを背負ってて、男子に混じってグラウンドで白球を追って泥だらけになっていた。いまと似ても似つかない姿を思い出して、勝手に気が遠くなった。
「ではでは、きょうだいの再会を祝しー、これからのご健勝とキャッツの優勝を祈りまして、かんぱーい!」
「かんぱーい」
「ぷはあぁっ! あー効くぅー……あれ、大学ではこういうとき盛り上げコールとかなんとかやらなかった? 盃を乾かすと書いて乾杯だから一気飲みーとか」
しゃべりながら、友紀が自分のグラスに早くもおかわりをついでいた。
「俺の世代ではもう大人しくなってたよ。なんでもちょっと昔にW大だかK大だかのバカがやらかしてうるさくなったんだと」
「うわぁ、なんかヒガみっぽいぞその言い方ー。人気の六大学、実力の東都の名が泣くぞー」
「昔のセパじゃあるまいし」
盆と正月を除くと、友紀と最後に顔を合わせたのは2年ほど前の秋だった。
当時の俺は4回生だった。秋季リーグ戦が終わって、例年なら野球部を引退する立場だったが、わが野球部はリーグ1部で最下位となってしまい、2部首位との入れ替え戦を控えていた。3連戦で2勝すれば1部に残留できるが、2敗してしまえば2部落ちだった。俺たちの代で苦労して1部に這い上がったのに2部落ちで引退となってしまったら……神宮球場と第二球場の距離は、目の前に見えるのに果てしなく遠い。後輩にそんな思いをさせて引退など、心残りなんてものじゃない。1部昇格をかけた入れ替え戦よりもキツいプレッシャーだった。
そこに友紀が応援のため上京してくれた。俺は口では「もう日本シリーズも終わってるぞ」と言ったが、正直うれしかったしプレッシャーもほどよく緩んだ。俺の定位置はライトだったのでうるさいぐらい友紀が近かった。それなりにチームに貢献できた。全体としても2勝1敗で残留を決めてなんとか有終の美を飾った。
「そういえば、友紀はアイドルになったんだよな」
「うん! スカウトされちゃってさー、お兄ちゃんみたいだと思ったよ!」
「外野席のアイドルじゃなくて」
「そっちは卒業かなぁ」
友紀と俺は、主に親父の影響で小さいころから野球をやっていた。俺はスポ少から大学まで続けたし、友紀も中高では野球部のマネージャーを務めていたらしい。贔屓球団はキャッツで、友紀が家族でいちばん熱狂的で親父がその次。俺は高校時代に野球中継を見る暇がないうちに関心が薄れて、友紀ほど入れこんでいない。母さんは野球を見ない……「デッドボールとか自打球とかクロスプレーとか痛そうだから」……ごもっともである。
「卒業できるのか?」
「アイドルになってお給料増えてこれで年間シートも余裕! って思ってたらお仕事が忙しくって。ま、お父さんお母さんは安心してたけど」
缶ビールをあおりながら、友紀がケラケラ笑っていた。後楽園や外苑の外野席ではもっとうるさかった。メガホンからよく通る声を張り上げ、ビールをあおり、飛んだり跳ねたりしてとにかく目立っていた。中継ではよくカメラマンに抜かれていた。「名物ファンって言われるんだよ!」と笑いながら聞かされた。そう言えば聞こえはいいが、兄としてなかなか気恥ずかしい。
「お兄ちゃんはキャッツ見てる? 最近どーよ?」
「あんまり見てない。仕事で疲れるとなぁ。忙しいし、気をつかうし」
「もー。高校とか大学とかの先輩を応援しなくていいの?」
「両チームに分かれてたらどうすんだよ」
「えー」
兄の目から言うのもなんだが、友紀はかわいい。目が大きくて丸いし、鼻や頬のあたりも丸っこくて童顔だが整ってはいる。口がちょっとでかいけれど好みの範囲内だろう。いつからか髪の毛を伸ばし始めた。ストレートというにはモサモサしているが。
大学のリーグ戦のときはキャッツのシーズンがかぶっているので、上京すると神宮にもついでに応援に来てくれた。友紀が外野で騒いでるたびに「妹さんかわいいッスね」と後輩どころか他大や応援団からもよくいじられた。東都にはシニア、高校時代からのライバルやチームメイトがあちこちにいて、そいつらがまた「姫川の妹はかわいい」とウワサを広めやがった。勝った試合のあと、俺が補殺の一つでもとっていたなら「さすが日向のレーザービーム!」などと調子のいいことをまくし立てながらクールダウンもそこそこの腕にべたべた抱きついてきた。いつのまにかウワサが「姫川の妹はかわいいけどブラコンらしい」と変わった。実に狭い世間だった。
「……お仕事、たいへん?」
「どうだか」
「ハッキリしないなぁ」
「高校時代に比べりゃなぁ」
友紀のせいではないが、大学よりも高校時代のほうが野球に打ちこんでいた。「傭兵」として宮崎から遠く東北まで進学して寮暮らしなので、野球以外することがなかった。レギュラーを目指したりしがみついたりで必死だった。セレクションがあるとはいえ、進学のとき勉強で苦労した。
いまは必死にならなくても給料がもらえる。ケガや病気をしたらさほど気兼ねなく休める。同期が活躍してもこっちがしくじっても歯噛みしないで済む。雑用の負担も野球部と比べればないようなものだ。仮にいまから高校時代に戻れるとしても遠慮したい。大学時代には戻りたいかもしれない。
「仕事といえばさぁ」
「おっ、お兄ちゃんったらアイドル・姫川友紀の快進撃チェック済み?」
「野球の話ばっかしすぎだよお前、ほかの人ついてけてないじゃないか」
「ほかに野球の話できるアイドルほとんどいないからいいんだよー!」
「あとトラの球団を意識しすぎだ」
「だってぇ……お兄ちゃん! あたしたちの燃えるキャッツ魂をどこへ置いてきたの!」
「さぁな」
俺は野球部のコネで、ふつうに就活をしていたら書類で落とされそうな会社に入れてもらった。球友にはプロや社会人野球に進んだものも、俺と同様に就職したものも、はたまた起業したものもいるが、俺がいちばん気楽そうだった。
たぶん友紀の仕事のほうがハードだろう。そう判断した理由の半分はビールを飲み干したあとの「ぷはあっ」だったが。
「でも始球式はよかった。プレートから投げる時点で素人離れしてるし、見事なストライクだった」
「でしょー! ねこっぴーにも褒められたよ! お兄ちゃんとキャッチボールしてた甲斐があったね!」
「10年ぐらい前の話だろ」
友紀はすぐ調子に乗るたちだった。それは変わらないようで、褒めてやったそばからジャージをだらしなく着崩して、勝手に俺のベッドにごろ寝しながら漫画を引っ張り出して読んでるような読んでないような。ポテチや枝豆食った手で触るな、と取り上げた。
「お前、父さん母さんが見たら怒られるぞ」
「お兄ちゃん内緒にしといて~♥」
「ビールこぼすなよ」
「はぁ~い」
友紀はベッドに寝転がったまま、枝豆のガラをビニールの開け口めがけて放り投げたが、口の端に弾かれて床に落ちた。俺が実家にいたころよりもものぐさになっている気がした。
「ねぇ」
漫画を取り上げて持ったままの手を、強く引っ張られた。
「これからするコトも内緒にしておいてね」
あっというまもなくベッドに引きずりこまれた。
同じぐらいビールを飲んでいるはずなのに、友紀の肌と息遣いが俺よりずっと熱いと気づいた。
「ふふ……お兄ちゃんったら、ホントに元気ないんだ……あたしなんかに押し倒されちゃって」
「はぁ、お前は元気そうだな。いいな若いって」
「4つしか違わないでしょーっ」
友紀が俺の腹から膝にかけて勝手に乗りかかった。柔らかい重みだった。前開きジャージのファスナーが胸元まで開いていて、その下に白無地のスポーツシャツを着ていてますます高校の女子運動部員のように見えた。白なんて着ているからブラジャーがうっすら透けていた。
「昔はさぁ、お兄ちゃんに押し倒されちゃったら、あたしどうにもならないなぁ……って思ってたんだけどね」
「……はぁ」
いつの話だ、と思った。
俺は高校入学から大学卒業までそれぞれ野球部の寮暮らしだ。大学時代に友紀が押しかけてきたときは「応援しに来たよ! あとキャッツのナイトゲームも観てくから泊めて!」とかほざくのを「ここ野球部の寮だぞ。ムチャ言うな」と追い返していた。高校時代は盆と正月に親戚が集まる時にしか顔を合わせていなかった。俺の中学時代まで遡ると、友紀はスポブラを着けるかどうかとかそういうレベルだった。
「そういえば友紀」
「んー?」
「俺に彼女はいないけど、お前は彼氏いないのか? さっきもゴム切らしたらとかなんとか」
「ちょっとー、あたしアイドルだよ!? 不純な交友は異性も同性も禁止ですー」
実兄とはいえ、ベッドの上で男に乗りかかって「アイドルだよ!?」とはおかしな言い草だった。それにツッコめるうちは悪い冗談で済むはずだった。
「ま、アイドルになる前はいたけどねぇ」
「うんうん」
「いままで付きあった男の子はねぇ、野球好きもそうでもないのもいたけど」
「カテゴリ分けおかしくないか?」
「野球好きじゃない人はダメだね。あたしが野球見てると機嫌悪くするの」
「それはお前がかまってやらないからだろ」
俺の知る限り、野球人は恋愛がダメである。彼女を作れないやつは論外として、彼女を作れるやつも野球でいいところを見せれば自分の株が上がって彼女をほっぽらかしていてもだいじょうぶだ、と口先はともかく心底ではそう信じこんでいて、まさにそのせいで愛想を尽かされ気まずくなって別れるのがお決まりだ。野球エリートの上澄みほどそうなる……サッカーや陸上でも似たりよったりというウワサを聞くが。そういうお決まりは、東都で聞き飽きるほど聞いた。
大学時代の俺の話でもある。
「あと、野球好きもダメだね」
「なんで」
「お兄ちゃんが甲子園や神宮で鳴らしたっていうと気後れしちゃうの」
「俺のせいにするな。それに[[rb:鳴らした > ・・・・]]って。お前が大げさに言うから気後れしたんじゃないか?」
高校時代に寮暮らしで女に不慣れだった元・野球少年たち。そんな連中にとってはキャンパスの女子大生だけで刺激が強いのに、神宮からは新宿も渋谷もすぐ近く。試合が終わればすぐ遊びに行ける。それでいて大学の野球部は(A大やら一部を除けば)一般高校生より縛りがゆるい。大学生活を満喫する。
それでいてリーグ戦が始まると、スタンドに座る偉大な諸先輩やスカウトからの視線にあてられ、かろうじてレギュラーにいる程度の選手まで「自分も、まだプロや社会人野球に手が届くかもしれない」などと思って野球への焼け木杭に火がつく。「野球が恋人」はあながち比喩じゃない。付きあわされる女からしたらたまったものではない。
「それにね」
「まだあるのかよ」
「アイドルになってみたけど……お兄ちゃんぐらいティンとくるヒトなんてなかなかねぇ」
「また俺のせいかよ。お前飲みすぎだよ」
「……会いたかったんだよ、お兄ちゃんに」
酔っ払いは同じ話を延々とループさせる。大学時代に覚えてしまったしょうもない知識。友紀の酒癖はあまり良くないらしい、500ミリリットル2缶かそこらでこの有様か……などと考えた。そう考えられるうちなら俺はだいじょうぶだと思っていた。
俺に馬乗りになっている友紀には、シーリングライトが半分しか当たっていない。その顔を下から見上げると、頬がリンゴのように赤くなっているらしかった。はぁはぁという具合の呼吸が耳障りだった。スポーツシャツが汗に濡れて肌に半ば貼りついていた。
甘ったるい汗の匂いを思い出した。
俺はほんの少しだけ、友紀の女らしい体の柔らかさや匂いやらを知っていた。
「ねえお兄ちゃん」
「おう」
「お兄ちゃんのこと、ずっと好きだったよ」
「まぁ、よく言ってたな。試合中」
「えっちシてみてもいいかなってぐらい」
「……それは初耳だ」
「言ったらヘンに思われそうだから言わなかったけど」
大学で野球を引退した日、入れ替え戦で勝って気が抜けた直後、応援でエキサイトしまくって汗だくだった友紀が勢いで抱きついてきて、そのときの感覚とごちゃまぜになった。
友紀がネコのように背中を丸めて、俺に顔と上体とを迫らせてきた。
「いまはね」
目も合わせられないぐらい近い。
「だいすき♥」
友紀を引き剥がそうとして、失敗して、2人とも腕と足で絡まったままベッドから落ちた。少し格闘したが引き剥がせなかった。空のビール缶がどこかに転がっていった。ガタンゴトンとうるさくしてしまって、隣室や階下の住人が文句を言いに来てくれればよかったのに、けっきょく誰も来なかった。
「お前」
「友紀って呼んで」
床でじたばたするうちに体勢がひっくり返って、俺が上から友紀を押さえつける格好になった。友紀は「長いと手入れがたいへんでさぁ」などと言うくせにワサワサさせたままのロングヘアを、いつもよりもっと乱れさせていた。そのくせニヤニヤ笑っていた。
「帰れ、きょうは……」
「やだ」
「もうお前も東京に住んでるだろ」
「友紀って呼んでよ」
「友紀っ」
「ねぇ……あたしもお兄ちゃんも、もうオトナでしょ?」
「だったら妙なこと言うな」
「あたしここに住みたいなぁ」
息苦しい。心臓がうるさい。俺の頭にもアルコールが回ってしまったのか。
「誰にも迷惑なんてかけない。生活費も半分出すよ。東京でも共稼ぎならじゅうぶんやってけるでしょ?」
「同棲を持ちかける彼女じゃあるまいし」
「きょうそこまでシろ、とは言わないけどさぁ……あたしと、シてみたくない?」
まるで譲歩してあげたかのような大きな顔をしていた。いまさら、この女がアイドル・姫川友紀であることを思い出した。姫川友紀はだいたいいつもこんな明るくて調子のいいハイテンションで場を盛り上げて、なんでも野球に絡めて横からツッコミをもらって賑やかしていた。友紀が本名で活動しているうえに「姫川」という珍しい名字なせいか、職場では妹がアイドルだとバレていた。
「……友紀」
「なぁに?」
「仕事のことは思い出させないでくれ」
「あ、そう言えば仕事あんまりうまく行っていないんだっけ。お母さん心配してたよ」
「そう言えばじゃねぇよ……」
押し倒していたはずの友紀から、肩に手を回されぎゅうぎゅう体重をかけてしがみつかれた。現役だったころにやられていたら「外野手の肩をなんだと思ってるんだ」とぶっ飛ばしてやったのに。
あまりにも近すぎる。
「お母さんが心配してたけど……見てみたら、こんなトコばっか元気でさぁ……?」
「ちょ……お前、どこ触って」
「おちんちんですぅー」
俺のチンポは言い逃れできないほど血が流れこんでしまっていた。酔い潰れたふりしたりフニャチンになったりするにはビールが足りなかった。
「このバカ本気かっ」
「本気かって? さぁねー」
こっちが気力を振り絞って引き剥がそうとした瞬間、友紀があっさり離れた。床にぺたんと座りなおしながらこっちを探るように見ていた。獲物を狙う肉食獣のような目をしていた。
「勃たなかったらあたしの負けでいいけど」
「勝ち負けじゃねぇよ。野球じゃねぇんだぞ」
「知ってる」
友紀が買い物袋をごそごそいじって、もったいぶった手つきでゴムの小さな紙箱をつまみ上げた。
本気なのか。
「申告敬遠だってさせないよ~」
あかんべぇ、と子供っぽく突き出された舌とくちびるが、次の瞬間には噛みついてきて、俺の口を封じていた。
※
「んちゅっ、ちゅぱっ、ぢゅる……っんぐっ……!」
友紀の舌がぐいぐいこちらをこじ開けようとしてくる。ビールの苦味や、ポテチだか枝豆だかの塩気を感じたが、ぬるぬる唾液があふれてきてすぐ薄れる。舌で友紀を押し返す。八重歯がとがっているのがやけにチクチクする。2人床に座ったままベッドにも戻らずキスを続ける。
「んちゅ、れりゅっ……ぷはぁっ。んふふ、しょっぱぁい」
「お互い様だろ」
「初めてじゃないよね」
「……だったらどうする?」
「ウソでしょ。ね、もっとキスしたい」
そう言いながら、友紀が目を閉じてくちびるを突き出す。俺からもしろということか。
「女の子みたいな顔しやがって」
「むー! あたしアイドルー!」
「ビールのおかわりはいかがですか」
「お兄ちゃんのおかわりをちょうだい♥」
もう酒もどうでもいいらしい。もっと飲ませていれば、まだ酔いつぶして水ならぬビールに流す目もあったのに。
とりあえず俺は目を閉じてやらず、「ふぅん」とか「ほぉ」とか意味不明なことをつぶやきながら友紀の顔をじろじろ観察する。相変わらず髪がモサモサしているが、美人と言っていいだろう。目を閉じているとまつ毛の長さが目立つ。口を閉じて静かにしているのもあって、おしとやかに見える。いつも大きな目をいつもネコのようにキョロキョロさせていつも大きな声でしゃべっていたのに、別人のようだ。俺の視線に気づいているのかどうか。こっちが焦らしているのに友紀は焦れったがらない。せっかちのくせに。
「友紀」
「えへへ、色気のある声も出せるじゃん。ドキドキしちゃう」
「お褒めいただきどうも」
「耳だけで濡れちゃいそ」
「そこまでは言わなくていい」
「ふ~ん」
キスを再開する。こんどは最初から舌を絡ませる。さっきよりにも増して俺をこじ開けようとしてくる。十中八九、友紀もキスを経験済みだと察する。嫉妬がちらりと湧く。頬裏や口蓋を舐めたり舐められたり、唾液を飲んだり飲ませたりするうちに、嫉妬が優越感に塗り替えられる。顔も知らぬ連中が「ダメ」だったからこの有様なのだ。人の妹の面倒をちゃんと見てやらんからだ。
「んぷ、んぐ……! ちゅ、れぅ、むぢゅっ、んんぐ、ぁぷ……っ!」
八重歯をこすると、友紀が頬や細い肩をぷるぷるっと震わせる。くすぐったがっているようにも、うれしがっているようにも思える。どっちにしてもかわいい。妹でなければもう惚れている。
友紀の八重歯をもう二度三度とくすぐってからくちびるを離す。細くて透明な唾液の糸が引いておいて思わず見惚れる。そんな絵に描いたようなキスの名残は初体験だった。
「お兄ちゃんさぁ」
「がっつきすぎたかなぁ」
「初めてキスする相手にいきなり舌ぁ突っこむ?」
「ウソつけ、初めてじゃないだろ」
「あたしとお兄ちゃんとでは初めてでしょ!」
「友紀は突っこんできたじゃないか」
「あたしはいいの!」
友紀が意味不明な理屈とともにでーんと胸を張る。
「あ、ちょ……お兄ちゃあん……ん、んーんー!」
ちょっと生意気だと思ったので、ジャージ越しにアンダーバストをむんずとつかむ。
「胸がでかくなったせいか、態度もでかくなったみたいだ」
「育成大成功だね! ……んっ……♥」
「あんまり笑かすなよ、昔を思い出す」
ジャージ姿の若い女を押し倒して乳房をもんでいる。野球漫画のお色気シーンを連想する。友紀は元・野球部のマネージャーと聞いている。いまでもマネージャーのフリならできそうだ……ビールさえなければ。本物の女子高生の「野球部のマネージャー」に高校時代の俺も校則の範囲内でお世話になっていたが、なぜか友紀のほうが本物らしく感じる。本物にしては強烈すぎか。
「言おうと思ってて忘れてたんだが」
「どったの?」
「ブラ透けてるぞ」
「透かしてるのー」
「おいおい、この格好で外歩いてきたんだろ」
「ジャージも上着も着てたもん!」
友紀は胸を揉まれながらニヤニヤ笑っている。余裕ですよと言わんばかりでかわいさ半分小面憎さ半分。もっと手を広げて遠慮なく乳房をがっつりとつかむと、服越しの弾力がぱんぱんに張り詰めていて手のひらを押し返してくる。
「うわぁ、すっかり大きくなって……」
「やぁん、えっちー♥」
「Fぐらいあるか?」
「Fは言いすぎだよー。妹のおっぱいだからって……それとも、おっきめに言っておけばよろこぶって思った?」
友紀はジャージとスポーツシャツを無造作に脱ぎ捨てて、ブラのカップ表示を見せてくれようとしたが、押しとどめる。せっかくなのだから見ていじってやらないと。
ブラは白のレースだった。お嬢様がつけていそうなおしとやかな感じで、でもよく見るとバストの肌の赤らんだ具合もわかるほど透けている。谷間も目が吸いこまれるほど深い。
「気合入ってるなぁ」
「……ま、それが伝わったならいいよ」
「友紀の下着姿って初めて見た。もしかしてふだんからこういう……」
「……だったらどうする?」
「あ、乳首勃ってる」
「えー、そんな早くないよー……きゃんっ……♥」
てっぺんあたりを当てずっぽうに触ったら、意外にいい反応。
「ほら、ブラの上からでも」
「そんなの当てずっぽうで……ふ、ひゃんっ……んんっ……!」
勝負下着をめちゃくちゃにするのは気が引けるので、指先だけで友紀のバストトップあたりをずりずりとくすぐる。友紀がいやんいやんと笑いながら肩をくねくねさせて胸を揺らすのが面白い。こっちが指を止めると、さっきよりも偉そうに胸を張ってみせるところがあざとい。
「ん、ぅ、あっ……は、あっ……おにいちゃ……そ、こぉ……♥」
友紀のブラは装飾多めの隙だらけに見えて、思ったより実用性もあるらしい。こっちが指先で触れても乳首のはっきりした感触はわからない。友紀の甘ったるい声やぴくりと震える肌であたりをつけるだけ。友紀が腕でおっぱいを挟んで膨らみを強調してもずれない。
友紀の背中側に回って、なるべくていねいにホックを外してやる。
「おぉお……」
「ほかの男の子みたいな反応しちゃダメだよー」
調子っぱずれの文句で、これが現実だとかろうじて覚えていられる。支えを失った白いふくらみがぶるんと弾んで、ぷっくりと尖った先端まで見える。ボリュームたっぷりの乳肉がふたつ、友紀の息遣いに合わせてかすかにたぷたぷ浮き沈みしている。
「っん、ふ、あっ、あぅ、んんっ……ちくび、ばっかり、ダメぇ……♥」
「じゃあ、どこがいい?」
「……お兄ちゃんが触りたいトコ……んんふっ……あんっ……♥」
乳首に触れる。きゅっとつまんで驚かせてやるつもりが、俺の想像を飛び越えてビンビンに勃起した感触が伝わってきて、かえってたじろぐ。硬いものほどもろい、みたいに思えてためらう。
けれどもっと触りたい。とりあえず指3本で乳輪ごと取り囲んで、軽くゆっくり力を込める。乳頭の輪郭が歪むか歪まないかの具合でこねる。
「んふ……ふふ、そんな優しいので、いいの……?」
「なんだかな」
「ブラごしのときはいじわるだったのに」
女の胸というのはこんなに柔らかいものなのかとか、女の乳首をいじくりまわすのは初めてだとか、そんなことが頭の中でぐるぐるして勝手に指が止まる。止まるというか、指先がノリで引っつけられたように動かしにくい。実際には女のおっぱいに触った経験があるけれど、友紀より前の女の記憶がかすんでいって初めてのようになってしまう。
「ねぇ、お兄ちゃんっ」
「どうした」
「さっきみたいに……いじわるしてよ、かりかりって」
「する気になったらな」
「ふーん……んっ!? ふ……ぅ、っ……♥」
友紀の背中側から両手を伸ばして、ぷっくりしたままの両乳首を捉えなおす。腕と指に力を込めて逃さないようにしつつ、指先は圧力を加減する。ふわふわした乳房の中腹と、コリコリとした先っぽと、色合いの違う弾力を同時に味わう。
「ん、ダメ、んっ、はぅ、んっ……んぅうっ……!」
友紀は口を尖らせて頭を振る。そのくせ、両腕をアンダーバストで組んでおっぱいを下支えするだけ。まるでこっちがいじりやすいようにアシストしてくれているようだ。それに甘えて、左右の乳首を交互に指で弾く。右の乳首だけを爪を立ててカリカリひっかく。左の乳首を親指の付け根を使ってぐりぐり押し倒す。
「あ、あぅ、んんっ! えう、んんっ……ちくび、ばっかりぃ……♥」
「めちゃくちゃ興奮するわ……」
「わかってるよ♥」
「うぉっ」
俺の股間に友紀がいきなりぐいぐいと尻を押しつけ、ペニスへの不意打ち。情けない声が出てしまう。
「もっとじっくり体を温めてくれてもいいんだけどね……あたしも、どんどん興奮しちゃって……」
言いながら、腰を前後にグラインドさせる。ズボン越しなのにペニスがはっきり尻コキだと感じ取ってしまう。
「ホントはね……おっぱいもませるぐらいでいいかなぁ、って思ってたんだよ……? 元気ないって言ってたけど、お兄ちゃんも男だし、おっぱい押しつけておけば……って」
友紀があやしい声色であやしい理屈を漏らしてくる。確かにたまに言われることではある……男のスポーツ選手が落ちこんでいるとき、おっぱいに反応できたら素人でもなんとかなる軽症、できなかったら素人ではどうしようもない重症か、そいつがホモか。簡潔明瞭にしていい加減なテストである。でも友紀の胸ならたぶんてきめんに効いただろう。
「……それにしては、気合の入った下着だったが。ジャージはともかく」
「そりゃ、まぁ、ねぇ……ひぁっ!?」
この期に及んでシラを切りやがったので、友紀の腰をとっ捕まえて、ついに下のジャージの内側へ手を突っこむ。たぶんブラとお揃いであるショーツが、すでに湿り気を帯びている。当てずっぽうに布をつつくと、それだけで友紀の声が裏返る。
「ははぁん」
「もー、強引なんだから……お兄ちゃんも脱いでよ」
「どうしようかな」
「このー!」
俺は仕事帰りで、背広からジャケットを脱いでネクタイを外して襟をくつろげた格好だった。友紀はシャツのボタンに手をかけて脱がせようとする構えだけ見せて、すぐには脱がさず腕や胸板をべたべた触ってくる。品定めされているようで、脱がされるよりかえって照れくさい。
「うん、なるほどー」
「なに勝手に納得してるんだよ」
「これじゃあ腕力で負けるわけだ」
「あんまり男の腕力を甘く見るんじゃないぞ」
友紀の手が慣れた雰囲気だった。まさかとは思うが、野球部のマネージャーだったときに部員の腕をここまでべたべた触っていたのだろうか。こいつならやりかねない。
「あうっ、ふぁあっ……あそこも、いっちゃう……? ふふっ、あははっ」
友紀のショーツの中に指を入れる。友紀は拒むどころか俺の膝のあいだにずんずん乗りこんで、ニヤニヤしながらこちらを見上げてくる。女の甘酸っぱい匂いが首のあたりからじわりと迫ってくる。モサモサのロングヘアがくすぐったい。
「脱がさないままのが、好きなの?」
「どうだか」
「このー! ……って、前も言ったよこれー……ん、ふぁっ……」
友紀に懐に飛びこまれながら、手マンで迎え撃つ格好に落ち着く。太腿の付け根を探って少しずつ指を動かすと、友紀が上体をこっちに押しつけたままびくびく反応して、こっちが愛撫されている気分にもなる。指を関節一つぶん深く入れると、熱いけれどしんなり濡れた膣襞がきゅうっと狭まって圧迫してくる。もう少しぬめったらやりやすいのだが。
「あ」
「友紀?」
「えぇと……お兄ちゃん、その……言いにくいんだけどさ……」
「あ、きょう生理か?」
「そこまでじゃないよ!?」
「だろうなぁ」
友紀はくちびるを尖らせながらうーうーと唸っている。俺がわざと外したのを見透かして不満がって、そのくせ俺の膝のあいだに居座ったまま。そうやってくちびるを尖らせた勢いでダメだしして「言いにくい」ことを言ってくれればよかった。そこまで簡単な女じゃないってか。
「雰囲気ぶち壊しで悪いんだけどさぁ」
「でも生理ほどじゃないんだろ」
「しつこいなぁ……まぁ、生理現象っちゃ生理現象だけど」
「うんうん」
「お、おしっこ、したくなってきちゃって、さ……」
「うん」
友紀の肩から太腿までを、こっちの腕や胴体や足まで使ってぎゅうと押さえつける。友紀の背中や尻がぷるぷるっと動揺して、もう漏らしたのかと一瞬だけ思った。
「ちょ……お兄ちゃん、あたしの話聞いてた!?」
「俺の倍ぐらいのペースで呑んでたもんなぁ」
「と……トイレ、トイレ行かせてって!」
友紀が俺のふところでばたばたしている。黙ったまま、力ずくで押さえつけなおす。
「あ、あの、ホント、漏れちゃうって……女の子はそんなにもたないんだぞーっ!」
「漏らしてもいいよ」
「よくないよぉー!」
漏らされたら困るとは思っていた。あの友紀が着替えを用意していると思えなかった。けれど余裕を失った物腰がしおらしく俺を誘っているようで、つい引き止めてしまう。マンコの少し上の、ほんのりふっくらしている下腹を指や手のひらで押す。
「やぁあうっうぅ!? こ、こら! ホント漏れちゃうって!」
「そうだな」
「あたしの話聞いてる?」
「聞いてるよ」
「あひっ!? んっ、ひっ……や、やだ、ちょっ、やめ……!」
友紀が体をびくんっびくんと跳ねさせる。こっちは楽しくて仕方がない。それにしても、強引に脱出してトイレに行こうとはしないのか。俺にも友紀を押さえつけておく元気がまだあったのか。それとも本気で抵抗していないのか。いまここで放尿させてやったらどんな顔を見せてくれるだろうか。指をまたマンコまで下げてナカに突っこむと、さっきよりずっとぬるぬるしている。ぐじゅぐじゅぐちゅぐちゅっという音が思ったよりうるさい。
「はぅ、ほぁっ、はぁっ……だ、めぇ……あああっ!」
「思ったよりがまんするじゃないか」
「こ、このっ、ホントに漏らすよ! 漏らしちゃうぞ!?」
「いいよ別に」
「は、離してくれなきゃ、やらせてあげないよ!」
「何を?」
「……ええと、その」
「うん」
「……ぇ、えっち……ひゃわっ!?」
「やらせてあげ」るつもりだったのかよ、と言いかけたが、もう指が動いている。セックスさせてあげるのが想定内で、ションベンさせられるのが想定外なら、ションベン見せてもらおうじゃないか。
「ん、ダメ、んっ、はぅ、ダメ、なのにぃ……うぅう、うーっ……」
ジャージの腰回りのゴムを引っ張って、太腿まで引きずり下ろす。ゴムの反発と化繊のさらさらした感触さえ楽しい。白レースのショーツは濡れて色がくすんで見える。これがビールみたいな黄色に染まるかと思うと、いたずらみたいに興奮する。友紀は俺の腕をぎゅっとつかんで離さないまま、いやいやをするみたいに首を振っている。そこまでだった。逃げようとしない。俺の腕を引き剥がそうともしない。それどころか自分から尻を押しつけてすらいる。
追い打ちに、右手の中指だけで友紀のクリトリスを探る。こりこりと膨れた豆粒みたいなものが簡単に見つかる。それを指先で軽く押したおす。友紀がくちびるを噛み締めて声を詰まらせる。
「あ、ぅ……!」
友紀からがまんにがまんを重ねたという素振りを見せられていたが、その割に指先から感じるションベンらしき水気がちょろちょろと大人しい。クリトリスを2本指でつまんで左右に揺すると、しょろっと音を立てて勢いが増す。それも一瞬だけで、すぐに勢いがか細く衰える。背中を丸めたり太腿を閉じたりしようとする力だけ強い。失禁のようすが隠されて見えなくなる。
「へ、ヘンタイ……」
「うん」
「お兄ちゃんのヘンタイ!」
「うん」
「うん、じゃないからね!?」
友紀の下半身は、ショーツどころかジャージの膝ぐらいまで大きなシミが広がってしまっていた。たいした勢いじゃないと思っていたが、こうして見ると意外と大惨事だ。
「脱ごうか。風邪ひくぞ」
「誰のせいだよー!」
ジャージとショーツをもっと引き下ろす。肉づきのいい太腿がまぶしい。マンコがてらてら濡れて陰毛がしんなりしている。陰毛の先に水の雫がいくつかくっついている。ぬるぬるしている体液だとこうはならなさそうなので、ションベンの名残だろう。
太腿を押さえつけて顔を寄せる。うっすらしたアンモニアみたいな匂いがする。さっきションベン宣言を聞かされてなかったらアンモニアと気づかなかったかもしれないぐらいで、なんだか物足りない。
「……こういうの好きなの?」
「……別に」
「あたしの友達が知ったら幻滅しちゃうかも。みんな『ユッキのお兄ちゃんかっこいいね』って言ってるけど」
言われて、自分が友紀の友達をほとんど知らないことを思い出した。もしかしたら、一人二人ぐらい友紀の隣で俺に声援を送ってくれていたかもしれないのだが。
「お前は?」
「ふふっ……ふーん!」
ジャージとショーツをふくらはぎ、足首まで下ろして抜いてしまった。勢いで靴下も脱げてしまった。足指の根本がこわばっている気がして撫でる。
「ひゅっ!? こ、こんどは足ぃ……?」
「お前ちゃんと靴あってるのか?」
「あぁ、ヒールのせいだね」
「……あぁ、衣装か」
「タコみたいなのできちゃってさ、気をつけてても……いやぁ、これまでスニーカーとかローファーだったから慣れなくてさぁ」
「しかもただ歩くだけじゃなくって、踊るっていうか、飛んだり跳ねたりっていうか」
「そー。アイドルは肉体労働だよ……」
足指のあいだに俺の指を挟みこむ。くすぐったそうに身をよじられる。俺たちは半裸と全裸でいったい何を話しているのか。
「……お兄ちゃんさぁ」
「なんだ」
「勃ったままだね」
「……え?」
「おちんちん」
友紀がまた俺の膝まで距離を詰めてきて、断りなくチンポを撫でてくる。反撃のつもりか。
「好きなの?」
「さぁ……」
「はっきりしないなぁ」
「はっきりしないんだよ」
「じゃあ、もういいや」
言い捨てた言葉と裏腹に、友紀はチンポのほうに顔まで寄せてくる。粘膜に浴びせられる吐息がくすぐったい。負けじと俺もごろりと転がりながら、友紀の太もものあいだに再び顔を突っこむ。
「やだぁ、おしっこ漏らしたままだよー」
「さっきお前が呑んだビールと大差ないよ」
「ぜったい違うって」
お互い床に横に寝転がりながら、股間に向かってしゃべっている。すぐクンニとフェラできる。シックスナインはこれまでの彼女とは未経験だ。ちょっとたじろぐ。
「う、ぉっ……!?」
チンポのカリ首あたりに、温かくぬめった粘膜を押しつけられた。舌か頬裏か。とりあえず俺のほうでも友紀の陰毛に頬ずりする。こうするとさすがにアンモニア臭がくる。妹の知ってはいけないところに踏みいってしまった実感がふつふつ湧いてめまいがする。
「……続けるか」
俺の呼びかけなどどこ吹く風のように、友紀が俺の亀頭を舐めまわしてくる。唾液まみれにされたあと、舌先が鈴口をつつくようになぞってくる。こいつ男のチンポのいじり方わかってやがるな。どうしようか。こっちはそんなにクンニの自信がない。
「はうぅ、んぷっ……ちゅっ、ちゅう……んっ、あふぁっ……♥」
友紀とは逆に、マンコのまわりから舌先を這わせる。ションベンの名残はマンコそのものより、鼠径部や太腿の付け根のほうが濃くて、ツンと鼻を突かれる。舐めれるなら舐めてみろ、なんて具合だ。頬やあごのあたりがしびれて唾液がたまってくるので、それを友紀のマンコやそのまわりにべたべた塗りつけてやる。唾液よりも尿よりも磯っぽい匂いがしてくる。
「んちゅ、れりゅっ……ぷはぁっ……! やっぱり、お兄ちゃんヘンタイみたい……」
「はぁ」
「あたしのおしっこしシちゃったあそこ舐めながら、こんなにおっきくして……」
さっきからずっと勃起したままなのだが、手や尻でいじるのとフェラチオするのでは印象が違うらしい。お互いゆるゆるとクンニ、フェラチオの応酬を続ける。時折、友紀がヘンタイだのなんだのと俺をなじってくる。とても楽しそうに。一度、腰と尻の筋肉を使ってチンポで返事してやったら、ツボに入ってしまったのかしばらく笑いを堪えるのが苦しげなようすに。マンコが隙だらけになったので舌も指も使ってぐじゅぐじゅと責めてやる。一息も責めきらぬうちに友紀がヒザ下をばたばたさせだしたので止めてやる。
「お、お兄ちゃんずるいっ!」
「何が」
「……なんでもっ!」
友紀は失禁直後よりも頬を真っ赤にしながらぷりぷり怒って見せている。怒っているのにかわいい。ずるいのはお前だ。
「ちょっと、お兄ちゃん大人しくしててっ」
言うのと同時に、チンポに柔らかく強い感触。友紀が素早く体を入れ替えていて、むぎゅむぎゅと竿の根本からカリ首あたりまでおっぱいを押しつけられ、とらわれてしまう。パイズリか。黙って上体を起こし、床に腰を下ろした姿勢に変える。
「お兄ちゃんは、おっぱいでシてもらったことある?」
「……ないなぁ」
「でしょー。ヘンタイだもんね」
実を言うと1回だけシてもらった経験がある。大学時代に先輩にソープをおごってもらったとき、お姉さんのおっぱいがとても大きかったのでねだってシてもらった。おっぱいのふわふわとローションのぬるぬるで包みこむ感じで心安らかに射精させてもらった。
友紀のおっぱいは、少しボリュームが控えめで、俺のチンポを覆い尽くすのに少し足りない。それにぱんぱんに弾力があって、汗でぬめっていてもずりゅずりゅ刺激が強い。チンポの根本やまわりにこちこち硬かったりびくびくしなる感触は、胸骨だか胸筋かもしれない。気持ちいいが緊張感もある。
「う、ぐぉ……っ!? ゆ、友紀っ」
「強すぎたかなぁ?」
「すぐ出ちまうよ、フェラしてもらってたし……」
「じゃあ出せば。飲んであげる」
「えぇ……?」
冗談に聞こえたが、パイズリが勢いを増していく。友紀は本気らしい。目が獰猛な肉食獣のように細く切れ上がって、おっぱいの圧力がどしどし行ったり来たりして射精を催促される。
「ふふーんっ。アイドルのおっぱいで精液しぼられてそれ飲ませるなんて、ぜいたくなお兄ちゃんっ♥」
少しだけ抵抗したくなるが、すぐその気が失せた。こっちが食われているはずなのに征服感がじわじわ高まる。そういえばこいつはアイドル・姫川友紀でもあるのだ。始球式でドームの高くて硬いマウンドから堂に入ったオーバースローを投げていた。高校生ぐらいにちょうどよさそうな色っぽいグラビアも思い出した。
もうがまんできなかった。
「ぅ、友紀……!」
「あははっ」
びゅうっ! と勢いよく精子があふれ出る。オナニーで限界まで焦らしたあとだと水鉄砲みたいな音がしてしまうが、それを友紀に聞かれてしまって妙に恥ずかしい。精液が友紀のあごや首にぶつかって、どろっと下に垂れ落ちて、ぎゅうっと寄せられた胸の谷間に白い液だまりをつくっていく。
「うっわぁ、すごい勢いだった……♥ そんなに気持ちよかったの?」
「おう……」
ティッシュを取ってやろうとしたが、その腕を友紀につかまれる。裸の肌を寄せられ、精液の匂いで生臭く鼻を叩かれる。友紀を汚してしまった。
「まだできるでしょ?」
友紀が片手だけでゴムの箱を開けて包みを出してしまう。こいつがきょう俺の部屋に持ちこんだものは、ビール、枝豆、ポテチとゴム。欲望ばっかり。呆れながら興奮する。
「そういやさ」
「なぁに?」
「替えの服と下着は?」
「もう裸だから関係ないよ……」
「あれ洗ったら乾くまでお前なに着るんだ?」
「あ……あるよ!」
どうせ忘れているだろうが、流してしまう。まだこの行為が終わりじゃない、と確かめるためだけに聞いた。俺の魂胆を見透かしてか、友紀が精液もぬぐわずニヤニヤ笑っていた。そのくせベッドに抱えあげてやると、笑みがぎこちなく引きつった。
「1枚でいいの? お兄ちゃんのおちんちん、敏感だし……」
「2枚重ねるとさぁ」
「うん」
「なんか、破けやすくなる。フィットしなくなるからかも」
「それはまずいね……」
友紀をベッドに仰向けに寝かせて、太腿を広げさせて見下ろす。いつでも入れられる姿勢になって、なにかが気になる――「どったの?」――友紀の髪がベッドに散らばっているのが気になる。踏みつけてしまいそうで動きにくい。そう言うと、友紀が脱ぎ捨てたジャージやらウインドブレーカーをごそごそして、どこかのポケットからヘアゴムとヘアピンを出してアップにまとめてくれた。
ヘアピンにあしらわれたビー玉ぐらいに小さいねこっぴーが素知らぬ顔をしていた。
「お、大人っぽいっていうか、色っぽいな」
「髪長くしてるヒトとシたことないでしょ、お兄ちゃん」
「おう」
抱きつかれてキスされる。そのままもう一度ベッドに倒れこむ。キスしたまま入れたくなった。そんなことできるだろうか、まぁしくじったらふつうに入れれば……と思ったが、2度3度位置を直すだけでぬるりと入ってしまった。
「ふぇぷっ、ふぁ、あ、んぷっ……んんっ……! ふ、ふふっ……シちゃった、ね、お兄ちゃん……♥」
くちびるを離したすぐの友紀の顔が、泣きそうにも笑いそうにも見える。入れて一息ついて、腰を動かしているつもりがないのに、にゅるっ、じゅぷっともう動いているかのような刺激をもらう。ぞくぞくするのをなんとかこらえて息をつく。
「ねぇ……お兄ちゃん、気持ちいい……?」
「気持ちいいな……ちょっと、止まってていいか。よすぎて、すぐ出ちまいそう」
「あたしも……」
「友紀?」
「お兄ちゃんのおちんちん、いちばん気持ちいいよ」
挿入したまま、キスしたときよりひどい嫉妬と優越感に襲われる。さっき出したばかりなのにまたすぐに出してしまいそう……というのが、言葉の綾でなくなってしまう。おそるおそる腰を動かす。具合がよすぎる。
何度か抜き差しすると、友紀が俺の背中に手を回してくる。思いっきり指先を立てられているが、爪が整っているのかぜんぜん痛くない。そのくせ抱き寄せてくる力を強く感じる。
「ん、ぅ、あっ……は、あっ……♥」
「友紀……」
「あんまり、これみよがしに手加減しちゃダメだよ……」
「別に、手加減なんて」
「あはは、ウソがへたっぴ」
友紀が、こんどは俺の腰に足まで回してくる。かかとでごつごつ叩かれる。
「お兄ちゃんが、あたしのおまんこの中でね……いつでも、もっと気持ちよくできるんだ、って言ってるよ。おかしくなりそう」
そう言われてしまうと、そのとおりな気がしてくる。それとも俺が知らなかっただけなのか。友紀と、つまり妹とセックスしている自分が、きのうまでと別人のように思えてくる。実際、別人のように変わっていてもおかしくない。こんなに気持ちよくなってしまう相手も、こんなに気持ちよくなってはいけない相手も初めてで、きっと最後だろうから。
「本気で動いていいから」
「うん」
「……本気で動いてよ、ねぇ、お願いだから……」
友紀が苦しげに息を吐いて、首筋あたりを生暖かくくすぐられる。ゆっくりピストンを再開する。膣の中は熱くてぬるぬるで、ときどきぎゅっと狭くなる。奥のほうで細かいひだが絡みついてくる。パイズリより優しいが、逃れがたい刺激だ。腰を小刻みに動かすと、腟内が応じてじんわり抱きついてくる。すがる、というにはちょっと余裕ありげだ。
「あぃっ、ひ、ぁ、おぉぉ……っ♥ お、おにぃ……う、うっ……はう、あううっ……♥」
友紀が切なげに眉を寄せているくせに、口元だけ笑っている。八重歯がちらつくとそれだけで皮膚の内側のどこかにチクチク刺さる。動きはゆっくりとしたまま、ずるずる入り口まで引いて奥底まで押して、とストロークを長くする。
「はっ、はぅ、むっ、む゙ぁ゙……くふっ、うっ……あ゙っ、いいっ、よぉ……」
友紀の喘ぎを聞かされながらチンポやら背中やらをぎゅうぎゅうこすられると、こっちの筋肉や神経を引っこ抜かれて、空隙を快楽で埋められている気分だ。喪失感と充足感がごっちゃになっている。
「ね、ねぇ……出して、出してよ……」
「きついか……?」
「中で、出して……お兄ちゃんの精子、ちょうだい」
腰が抜けそうになるほど興奮させられてしまう。ゴムを着けたはずなのに、友紀に膣内射精して妊娠させてしまったらどうしよう、と震える。友紀が俺の耳元でささやき続ける。
体重をかけて、チンポでどすどすと腟奥を突きまくる。
「あ゙……っ♥ あ゙っ、ゔ……♥」
「友紀、出る、出そうだ……!」
友紀が涙をこぼしている。よだれを垂らしている。ぜぇぜぇと息を乱している。なのに「お兄ちゃんの精子、ちょうだい」というささやきが頭から離れない。もうがまんできない。射精したい。いま俺の下で喘いでいる女は、俺の妹の友紀で、ちょっとおかしくなるぐらいいい女で、俺はこいつの兄なんだと思い出して射精感がますます高まってしまう。
射精して終わらなかったらどうしよう。
「っ……っっうぅぅ……! 出る、出ちゃうね? お兄ちゃん、わかりやすいなぁ……♥」
息が止まるほどきゅうっと締めつけられ、俺の内側でなにか破裂する。もう射精を止められない、とわかった。
「く、ぐぅ、あ、あっ――も、う、あっ……!」
「あっは、ぁ、んぁ……! あーあ、妹のおまんこで……ぁは、はっ、あ゙っ……!」
友紀の腰ががくんと浮き上がって、のしかかっているはずの俺が押し返される。射精が止まらない。びゅるびゅる出している最中も肉襞がねちっこく絡んできて、精液を搾りとる。息が苦しい。心臓がばくばく跳ねて口から飛びでそうだ。視界がチカチカ白んで、友紀の泣き笑いがぼやける。体がこわばって痙攣して、それでもまだ精液を引きずり出される。
「はっ……はぁっ、あぁっ……」
「ふ、ぁう……は、ぁはっ……すっごい顔、してる……イっちゃったんだ? おちんちんも、体も、びくびくして……」
友紀がまた耳元でささやいてくる。AVの台本のようなセリフで絶頂を指摘されて恥ずかしい。オナニーだって誰かに見られたことないのに。いやセックスの経験はあるのだが……というか中出ししてしまったんだが……とにかく恥ずかしいものは恥ずかしい。違う、中出しはしていない。
「……抜くぞ」
一声しぼりだしてから抜いて、ゴムを外す。精液だまりで受けきれなかった精液が、チンポの傘をべっとり白く汚している。息を整えようとする。勃起したままなせいで、吸って吐いてのたびにチンポがわずかに揺れてしまう。
「まだおっきぃね……ホント、元気なんだから」
友紀が、また俺の膝のあいだに首を突っこんでくる。白くべとべとした亀頭をくちびるで甘噛みしてきて、俺は言葉にならないほどふにゃふにゃした声を漏らしてしまう。
「うぇえ、にがぁい……一番搾りとずいぶん違うー」
「人の精液をビールみたいに言うな」
口を尖らせつつ、友紀がチンポへのキスを繰り返す。ちゅっちゅと音を立ててついばむようにキスしたり、舌先だけでぺろぺろと舐めたりする。俺が満更でもなさそうだと察してか、どんどん積極的になる。鈴口を舌先でくすぐってきて、尿道に残ったぶんを吸い出そうとするようにちゅうちゅう吸われる。
勃起がおさまるわけない。
「次はさー、あたしが上でやろうよー」
「お前、そのつもりで……」
「さぁてねー」
友紀が胸板を軽くとんと押してきたので、仰向けに寝転がってやる。膝立ちでまたがられる。下から見上げるおっぱいが、たぷんたぷん揺れて迫力満点で見とれてしまう。ゴムを忘れていて挿入前に危うく気づいて着ける。ケラケラ笑われてちょっと腹が立つ。
「ぜったいお前も忘れてただろ」
「あははっ、いいんじゃないの別に」
「よかねぇよ」
上からのしかかられて、チンポが膣内に飲みこまれる。締めつけられる。正常位のときと同じぐらい頭がやられて言葉を失う。入れる寸前に余裕そうだった友紀も、腰を沈めきるまで何も言おうとしない。俺がじっと見ていると、くちびるを開ける。出てきたのは舌だけだった。
「んべぇーっ……ひゔ、あ……っ、ちょっと、よすぎ、だよぉ……♥」
「やばい、な……」
お互いそれっきり言葉が続かない。動いたら、動けなくなってしまうか、動きを止められなくなってしまうか。それきりだ。いや、ちょっと動いてしまっている。チンポへの締めつけで感じる。はぁ、はぁという息遣いに混じって、かすかにずりゅっ、ぐじゅっ、と水音も聞こえる。
友紀の手が俺の胸に置かれていて、指先で乳首をいじられる。くすぐったいような気持ちいいような感覚が湧いて、声が出てしまうし足腰も力んでしまう。友紀がニヤニヤしている。それからゆっくり腰を動かし始める。
「うふ、あはは、お兄ちゃん敏感……♥」
「む、ぐ……人のことが言えるか……!」
友紀の膣の中は熱くとろけるように柔らかいくせにきつく締まっている。腰を軽くくねらせるぐらいの刺激で、こっちはもう意識が持っていかれそうになる。カリ首が引っかかるところで腰を止められ、それからずぶずぶと沈められる。たまらない。射精を堪えようとして、目を閉じて歯を食いしばる。
「ねぇ、出しちゃう? 出しちゃうよねーっ」
「う、ぅう……友紀ぃ……!」
「妹のおまんこ気持ちいい?」
「気持ちいぃ……!」
「やったぁ♥」
俺を見下ろす友紀の笑顔は、「おまんこ気持ちいい」と褒められたとは思えないほど無邪気で、こっちまで笑ってしまう。テンションが上がったのか、友紀の腰使いが軽快になる。たんったんっと尻で上から叩かれながらぎゅうぎゅう膣内で搾られる。ひとたまりもなく射精。
「あ、あっ……は、ァ……く、うぁあ……っ……!」
出したそばから、つながったまま抱きつかれてキスされる。舌が入ってくるのを受けいれるしかない。唾液を流しこまれて飲みくだす。最初のキスより確かにちょっと苦い。
「んぢゅ、んぷ、ちゅう、んぷ、ぱぁ……っ」
友紀がキスでもっともっととねだってくるが、俺のチンポはさすがに力を失っていく。
「んぷ、んふっ……さすがに、一晩で3発も出すとキツい~?」
笑いながらチンポを抜かれた。友紀がコンドームを引っ剥がして結んでゴミ箱へ放り投げたが、口に弾かれて手前の床に落ちた。
「……お前ぇ」
「あはは、ごめんごめん」
友紀が気まずそうに口元をゆがめて、ベッドから降りてゴムを捨てなおす。
「いやぁ~、やった、やったねぇ。お兄ちゃんのえっち~!」
「……あぁ、そうだな」
「まぁ、元気になったかな? もうあたしのが体力で勝ってるかなぁ~」
友紀は服も着ずにあぐらをかいて、未開封のビール缶を開けて直飲みであおる。
「あーっ! きくーっ! 燃える死闘で勝ったあとのビールがしみわたる! 最高だねっ」
「勝負だったのかよ」
……友紀がほかの男とこれまでうまく行かなかった原因は、もしかしてこのテンションのせいではないだろうか。純粋に兄として心配になる。
「お? お兄ちゃん……その顔は、まだ負けを認めてないなぁ~♥」
このテンションは、ちょっとないだろう。頭に憤りに似た感情がもたげてくる。確かにチンポは精液3発しぼられて参っている。けれどやろうと思えばできるはずだ。
「あっ、ゃ、あ、んんっ……!? やらぁ、おまんこダメぇ……♥」
友紀までにじりよって、またぐらに手を突っこむ。ぐじゅぐじゅ、ぬちゅぬちゅ。中指、人差し指で濡れそぼった肉襞をかきわける。ヘソの裏あたりをぐいぐいこする。親指を曲げてクリトリスも刺激してやる。
「はひゅっ!? ダメ、これだぇ……! やらぁっ! シたく、なっちゃうぅ……!」
「シたいんだろ……? 付きあってやるよ」
嫌がっているのは言葉だけらしい。膣内はいそいそと甘えるように指に絡みついてきてこっちも心地いい。指を抜いてやると寂しそうにひくつく。また入れてやる。
「お゙っ……ん゙ぁ゙っ♥ 待って、まってまって……ちが、ぁ、お゙っ♥」
友紀がさすがにあぐらを保てなくなって、よたよたと逃げ出す。こっちに尻を向けて、マンコから汁を垂れ流して、裸のまま。どこへ逃げるつもりなんだか。
足首をつかんで、引っ張りながらこっちも距離を詰める。でかいケツがちょうど手の届くところまできたので、こんどは肛門側からマンコに指を突っこむ。
「んひぃっ、お゙っ、お……ッ……!」
友紀はぷるぷる首を横に振っていたが、もうそれ以外でぜんぜん拒絶していない。遠慮なくマンコをくじる。俺の指が根元まで埋まると、さらさらした体液がぴゅっとマンコから漏れた。
「まだ付きあってほしいんだろ」
「ほひっ……ほひぃけど、ダメ、ダメだって……ん゙お゙ぉ゙っ♥」
「チンポ勃たなくなったら終わりだと思ったか」
「ひ……っ!? あ゙ぅっ♥ お゙ひゅっ♥」
「気にするな。チンポ勃つようになる前からの付きあいだろ」
友紀のマンコに指を突っこんでクリトリスいじめて喘がせるなんて、きょう初めてした……はずなのだが、やっているとなぜか懐かしい気分になる。実家にいたころ、キャッツがナイトゲームでぶぅぶぅ機嫌の悪い友紀をなだめてやっていた感じに似ている。
「ね、ねぇ、お兄ちゃんっ……ん゙お゙ぉ゙っ♥ ぎゃっ、ひ、ひた噛んじゃうぅうっ……!」
「なんだ?」
「ホントにさっ、お兄ちゃんと一緒に住むっ、毎日えっちするのっ♥」
「はいはい」
「うはぁ!? ぁ、あァ、ぉお……っ……ほ、本気だよぉっ! あたしだって、もうオトナで……!」
「ここかな」
「あああイぃっ!? そこ、ぃいから、ダメッ……ぉ、お金だって稼いでるもんっ、誰にも迷惑っ……んひぃっ!? ふひっ、あ゙ぁっ、あ゙っひっ」
「酔っ払ってるときにまじめな話をするな。するなら素面でしろ」
「んぐうっ、あお゙……ぉお゙イグ……ぅ……っ!」
友紀がびくんびくんっ! と大きく痙攣してから、床に突っ伏す。突っ伏したあともうまく力が入らないらしく、でかケツがぶるぶる怯えるように細かく震えている。
いつのまにか勃起が復活していた。偶然、ゴムの箱が手の届くところに落ちていた。
「じゃあ、これで最後な」
「さいごだめぇ……! あたし、ぃ……あ、あっ……んひぃっ、お゙っ、おッぐ、んんっあ……っ!」
友紀の尻をつかんで、後ろから押し沈めるように挿入する。寝バックで、つい思いっきり体重をかけてしまう。ぐぇええ……と情けない悲鳴を聞く。
「あ、ごめん……」
「ぁ……だ、めぇ……も……っお、っ……!」
けれど悲鳴をあげたいのはこっちもだった。友紀の腟内がキツすぎる。さっき指でほぐしてやったはずなのに、処女みたいに狭くてきつい。もし膣口が声を出せたらきゃんきゃんわめいて耳が痛くなりそうな感じだ。なんとか肘と膝を立てて自重を支え、友紀の奥まで押しこむ。アップにまとめた髪が頬をくすぐる。
「友紀、悪い、もう出る……」
友紀は床と自分の両手のあいだに顔を突っ伏していて、俺からだと表情が見えなかった。あごやこめかみの感じからして、笑っている気はした。あえなく射精した。びゅくっ、どくんっ、どぷぷっ、という精液の濁りがチンポで感じられた。4回目とは思えないほど濃厚だった。
「っ……ぉ、にぃ……っっうぅー……ぅ……」
ベッドまで引き上げてやろうとして、友紀が泣いていたことに気づいた。ようやく罪悪感らしきものが湧いてきた。それを紛らわせるのに、缶ビールやらなにやらの片づけがちょうどよかった。
※
「おに゙ぃ゙ちゃんお゙はよ゙うっ!」
「……おう、おはよう」
目覚めると、友紀が勝手に俺のワイシャツを着て爽やかな笑顔。がらがらのハスキーボイス。頭を抱えてこみ上げてきた笑いをごまかした。
「ゔぅうー……ごほんっ。あー、たいへんだった。タフなゲームだった!」
俺が笑いを抑えているあいだに、ハスキー加減がだいぶマシになっていた。アイドルならではの裏技でもあるのか、それとも最初にわざと大げさなガラガラ声を聞かせてきたのか。
「ねぇお兄ちゃん! あたしもここ住みたい! 延長12回でも水道橋から終電間に合う!」
「お前やっぱり遠征の宿代を浮かせようと……」
「いやいや、いまは女子寮住まいだよ」
「そっか。でもアイドル・姫川友紀は大忙しなんだろ?」
「そうなんだよねぇ。あんまり変わらないかぁ」
暖房つけっぱなしだったせいか寒くなかった。おかげで友紀に風邪を引かせずすみそうだ。光熱費で懐がお寒くなりそうなのはがんばって忘れた。
「もうこうなったら野球アイドルを極めて、ベンチからレポートとか目指したらいいんじゃないか」
「グラウンドレベル? プレッシャー感じちゃうよ。外野なら賑やかすだけでも最低限だけど……」
言ってちょっと後悔した。俺は体験しないまま引退したが、選手以外の立場でベンチに座ると独特の気苦労があるらしかった。かつて友紀からは「チームがピンチなのにスコアブックつけるしかできないときなんてアタマがおかしくなりそうだった」などと愚痴られた。
「それはそれとしてさ……お兄ちゃん、元気出た?」
「どこ見ながら聞いてんだよバカ」
「あははっ、こんどからお兄ちゃんもあたしを応援してね!」
なお、兄妹でセックスしたことはバレなかったが、友紀のブラコンはさらに有名になってしまった。友紀の「応援」には、こっそり行かなければならない。
(おしまい)