※この作品はR-18です。

姫川友紀さんが兄と近親えっちを楽しんでしまうお話   作:ふりーじ屋/家庭内禁書

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 それぞれ単体でも読めますが、前話と一部の設定を共有してます。
 浮気えっちSSは、夫婦仲がまぁまぁうまく行っている設定のほうが興奮する(※個人の感想です)


>人がよいことをするのは、多くの場合、罰せられずに悪いことができるようになるためである。
(ラ・ロシュフコー『箴言集』道徳的考察、121番)


旧姓・姫川友紀さんが兄と浮気近親えっちを楽しんでしまうお話

「人妻にこんなんなっちゃうなんて……勃ちがイマイチって話、ウソだったのかな?」

「……おい、あっちには……んんっ」

 

 旧姓・姫川友紀は、およそ4年ぶりに兄のくちびるを奪っていた。

 前と同じぐらいアルコールの匂いが邪魔をしていた。

 

「ん、ふっ、ふ……旦那は世話の焼けるおバカな……もし弟がいたらあんな感じだったかも、ねっ」

 

 キスしたあとの笑いが4年前よりいやらしくなってしまったかも、と目だけで続けた。

 

 

 

※

 

『義兄さんはいいかもしれないけど、俺が奥さんだったらこんな義妹ぜったいイヤだぜ』

『さすがにあの子の前ではあの子に味方するよ、でもいまはお兄ちゃんだけだし~』

 

 キスの2時間前、友紀の兄が義弟と友紀の暮らす東京の家を訪問していた。

 兄の訪問について、友紀は数日前に連絡を受けて了承していた。出張のついで、という体裁だった。迎える格好に少し迷って、けっきょくふだんからよく着ているコーディネートに決めた。つまり、ダークグレーにボーダーの入ったノースリーブのセーターに、家事にはちょっとタイトなジーンズであった。ピンク色のエプロンを加えれば“現役”時代の衣装さながらだった。もう新婚ってガラでもないけど、とほんのり気恥ずかしくなった。肩甲骨まで伸びていた髪を、うなじでくるくる軽くまとめておいた。

 

『さすがブラコンで名高い姫川さん家の妹だわ』

『いつの話よ~っ』

『もうずいぶん昔だろう』

『いまのキャッツにも、学生時代の義兄さん知ってるって先輩方がいますよ、選手にもスタッフさんにも』

 

 友紀は4年前に――兄と最後のキスをしてから、少しあと――結婚している。その直前まで、346プロダクションという老舗芸能事務所でアイドル活動をしていた。スカウトされたきっかけは、某在京球団の熱心なファンとして外野席をにぎやかしてホームゲームの名物ファンと化していたことだった。

 当時より立ち居振る舞いが少し落ち着いたが、にぎやかすだけで人の記憶に残る容姿は健在である。

 

『それより義兄さんの話ですよ、奥さんから子供が欲しいって言われて……このあいだ生まれてませんでしたっけ』

『2歳になったよ』

『うわ、人の家の子って本当に成長が早い』

『あたしもついに叔母さんだぁってシンミリしたのも2年以上前……お兄ちゃんやあたしに似てかわいく育ってるんでしょ~、きょう子供は?』

『嫁さんの実家に……あっちの合宿と俺の出張が重なっちゃってて、預かってもらうようもともと頼んでた』

 

 友紀の顔立ちは整っているが目や口が大きい。それでひいき球団の試合の1プレーごとにオーバーな一喜一憂を見せる。よく言えば活発さや愛嬌があり、悪く言えば奥ゆかしさや落ち着きがない。アイドルとして、チアリーダーの向こうを張る――現役時代は公称の身長161センチに対して、スリーサイズ80-57-80だった――スタイルと運動神経を持ち味とした。さらに特技は野球だった。マウンドから18.44メートル離れた捕手にノーバウンド投球ができた。野球の国際大会開催時には、日本代表の番組公式サポーター常連であった。

 

『まぁ飲みなさいお兄ちゃん、元アイドルの……かわいい妹のお酌だぞっ、遠慮は禁物~っ』

『……家主が……きょう飲まないでしょう、俺だけ飲むのは』

『明日から遠征ですんで……先に寝るんで、おかまいなく』

 

 球縁で、友紀はひいき球団に所属する年下の――『高卒から下積みして、ようやくレギュラーが板についてきたってところかな』――プロ野球選手と結婚して、アイドルを引退した。いまは芸能人としての仕事を――『旦那サマが寂しがったり嫉妬したりしちゃうかもだし~♪』――セーブしている。

 

『お兄ちゃんは飲んで潰れたってこっちの家ではいいの、って言いたかったのさ。あっちの家であの子や子供に気疲れしてるんじゃないの?』

 

 そうして友紀は、兄が訪問してきた理由をそれとなく聞き出していった。彼が何か悩んでいるのを察しつつ直には聞かず、いまの生活で兄が神経を使っている物事を挙げさせた。それぞれの負担感を聞き出し、『へぇ~がんばってるじゃんっ』などと褒めあげた。さらに聞き役を続けて不満を浮き上がらせ、話題をしだいに本題のグチに寄せていく算段らしかった。

 友紀の夫は、そんな妻の態度が配偶者への不満をあおって浮気を誘う毒婦めいて見えてしまうらしかった。口に出すばかりでなく、こんどは表情で『俺が奥さんだったらこんな義妹ぜったいいやだぜ』と物語っていた。

 

『なんで2人目欲しいの、ってあの子から聞いてる? ガッコのセンセーでしょ、しかも部活の顧問やってて、いまのあたしよりずっと忙しいでしょうに』

『自分にお姉ちゃんがいて、自分の子にもきょうだいがいたほうがいいと思う……ってさ』

 

 友紀の兄の悩みとは、妻から子作りを求められているが、勃起しきれず挿入に差し支えていることだった。悩みがセックスに関連していたことも、友紀の夫に色眼鏡をかけさせていた。

 

『へぇ、そう……かな? ま! あたしはお兄ちゃんが居てよかったと思ってるけど』

『そんなにいいことあったかな』

『お兄ちゃんもあたしが居てよかったって思ってるでしょ~!?』

『はい、はい、いままさにね』

 

 夫からそう見られつつ、友紀の仕草に誘う色合いがない。ビールを勧めつつ自分でもぐいぐい飲む姿は、いつも夫の前で見せる姿と比べて、ざっくばらんでさえある。

 格好を見ても、肌を出しているのは肩、腕、手と顔だけである。胸元や脚を着衣でしっかり覆っている。

 ただ、バストとヒップのふくらみ、ウエストのくびれ――『この歳ごろになっていまさらわかったんだ……あのころから早苗さんとか瑞樹さんとか、あたしたち後輩に隠れたところでも、めっちゃ努力してたんだなぁって』――それらを透かして見るにじゅうぶんなシルエットだった。

 

『あたしは、例えばねぇ……幼稚園から高校生になるぐらいまで、友だちから“ユッキのお兄ちゃんいいなぁ”って言われるたびにムダに鼻を高くしてたし、むしろ友だちに言わせてたっ』

『ははは、こりゃブラコンで有名にもなりますわな』

 

 友紀の兄は小学生から大学まで野球で活躍し、卒業後に伝手でスポーツ関連の企業に就職した。兄の現役時代には、試合を応援しにいった妹が応援席をにぎやかして名物となっていた。その世代の学生野球関係者のあいだで「姫川の妹はかわいいけどブラコン」と知られ後輩たちにも語り継がれる程度に、兄妹そろって有名であった。

 兄とその妻の馴れ初めもスポーツだった。彼女も別のアマチュアで鳴らしたのち、私立高校で体育の教員兼部活の指導者をしている。

 

『しかし種付け要求シビアだ……出産時期から逆算して、そろそろ仕込めって?』

『種付けとか言うな、サラブレッドじゃあるまいし』

『奥さんこそ仕事とかでプレッシャーきついんじゃありませんか。私学の運動部で、甲子園……じゃなかった、インターハイとか出るぐらいのとこですよね、産休とかゴチャゴチャ言われそう』

『……学生より、先生のほうがプレッシャーきついだろうな。学生のころは自分がいちばんプレッシャー感じてるって思ってたが――』

『――ああっ、こんな時間』

 

 今夜で初めて、友紀が兄の発言を遮った。“こんな時間”と指す時刻は、夫の就寝予定より少し早かった。

 

『アンタ、寝る前にお兄ちゃんに媚び売っとけ~っ、そのあとのお兄ちゃんのグチ付きあうのはあたしだけでもいいから』

『媚び売っとけ、って?』

『アンタが引退を考え始めるお年ごろに、お兄ちゃんが会社のえらいおじさんになってる。引退後の仕事は人脈が命だぞ~っ』

『……あと10年は現役にしがみつけ、ってふうにとっておくよ』

『引退とセカンドキャリア探しならあたしがセンパイだぞ~っ』

『アイドルの引退じゃねぇか』

『友紀の言うことよく聞いてれば間違いないよ、さっきも営業トークばっちりだったし』

『営業トークですか?』

 

 友紀の兄が、話題をまたいで妹のフォローに入った。

 

『……さっき俺に、何に神経使ってますか、それぞれどれぐらい負担に感じてますか、とかなんとか誘導して俺にしゃべらせて自分はずっと聞いてたの……営業トークの定石だな、そうやって相手の不満やニーズを相手自身にはっきりさせるよう誘導する』

『仕事でいっぱいモノ・コト売りつけてますから~、どやぁっ』

『しかしセカンドキャリアなら、球団のOBとか、ほかに聞く相手いくらでもいるだろうに……ああ一つ言うなら、愚妹の言うことを本気にしないこと。媚び売っとけ~とか』

『お兄ちゃんさっきと言ってること真逆!?』

 

 友紀とは異なり、義兄の言葉を本気で聞いてか、それとも年上をおだてるという体育会系の定石に従ったか、友紀の夫が引退後の心構えについてさらに語るよう義兄にせがんだ。

 兄が根負けして口を開いた。

 

『……数学、物理、統計、プログラミング。とにかく数字。小中学校のドリルからちょっとずつでもいい、いますぐ始めたほうがいい』

『だってさ~、アンタ学生時代ちゃんと勉強してた?』

『うっ』

 

 年下からおだてられれば素直に乗せられてやる、というのもまた定石であった。

 

『手前らの商売じゃないかって思うだろうけど……もうアマでも球の回転数とか軌道とか物理データ扱って当たり前って指導者、選手が増えてきてる』

『少年野球でも、ラプソードだのブラストだの使ってるって話なら聞きますね』

『つまり数字をよく扱ってる、これがもっと増えたらどうなるかって話』

『……どうなるんでしょう?』

『いまは世間の人が“理数系できるんだね、野球やってた割には”って甘く見てくれてるけど、10~20年経ったら“理数系できないんだね、野球やってた割には”って変わってるかもしれないし、もしそうなってなかったら日本の野球界はけっこうまずくなってると思う』

『よーし旦那サマったらナイスアシスト! お兄ちゃんの口が滑らかになってきたよ!』

 

 友紀の兄は、酒精と会話の勢いに酔い始めていた。義弟とは言え、現役のプロ野球選手を相手に野球界の将来を憂えるなど、ふだんの彼ならばありえない言動であった。

 

 

 

 友紀の夫が一杯だけ付きあって寝室に引っこんだ。

 それを見送りつつ、兄に背中を向けたまま、友紀がぼそりとつぶやいた。

 

『お兄ちゃんはオンナに何かしてあげようだなんて思い上がったこと考えないの、ワガママはっきり言われたときだけ相手してやればいい』

『友紀はそうだったな』

 

 兄妹何も示し合わせずに、お互いぎりぎりに聞き取れる程度まで声を潜めた。

 

『先んじて察してあげよう、なんて休んでるようなもん』

『バカの考えと同じだ、って言いたいわけだ』

『お兄ちゃんがこうやって羽根を伸ばして、そのあいだにあの子が勝手にためこむ。それでカンシャク起こし始めたら、あたしがあいだで口利いてあげるの』

『それ、妹離れできない兄だなぁ』

 

 友紀がそろりと首だけ振り返らせて、兄へ片目だけの視線を投げた。

 

『お兄ちゃんとあたしは、冷めても褪せても他人になれないでしょ』

 

 兄にはそれだけで通じた。セックスの誘いだった。

 この兄妹が経験してきた肉体関係のうち、もっとも長くもっとも濃いものは、お互いを相手にした近親相姦だった。

 

『俺が使い物になってないって話をしたはずだが、ついさっき』

『歳かな?』

『かもな』

『冗談のつもりだったのに』

 

 ただ、まだ表面上は、久しぶりの交渉でお互いどこまで踏みこんでいいものか探っていた。もし物別れになってもおのおのの体面が守れるよう、あいまいなやりとりにしていた。

 

『接待で、野球以外にもいろいろやるけど……30半ばにもなると、体の動きとか疲労回復とか明らかに鈍って』

『やめろーあたしにも刺さるーっ……あたしもアラサーだよぉ、動けなくもないけど? 現役時代と比べちゃうとね~』

 

 友紀は破顔しながら、肩も胴体も脚もすっかり兄へ向き直る。うなじのヘアゴムを気にするように両手を首の後ろに当てる。ノースリーブで腋下をさらすポーズが、現役時代のグラビアを彷彿とさせた。

 

『腋はいまもちゃんと処理してるよ~、お兄ちゃんだけのためじゃないけど』

『……そこまで言うなら』

 

 兄妹の行為は、それぞれが上京して会社員、アイドルとして駆け出しだったころの5-6年あまりに、スケジュールの合間をぬって不定期に重ねられた。

 

『んふふ、くすぐったい~っ』

『そこまで鼻息荒くないだろ』

『お兄ちゃんの視線がくすぐったいの♥』

 

 もちろん大っぴらにできない関係だった。

 表向きは、アイドル活動に励む妹とそれを応援する兄であるのみだった。裏では、全国規模に売りつけているセックスアピールを発揮して妹が兄を誘惑し、2人して快楽に溺れていた。ふつうの恋なら冷めるほどの月日を経ても、人倫にそむく罪悪感と、余人を出し抜いて快楽を味わう優越感が、何度でも欲望を甦らせた。

 ズルい手段で快楽を得る。それは例えば授業や仕事をサボっての休憩というささやかな快楽でも強烈なストレス解消となる。それでもクセになる。憎からず思う相手とのセックスとなれば、隔絶した享楽となる。

 

『使い物になるかどうかってのは、あたし自身が確かめないと、なんともねぇ……』

『それは、そうだな』

『あたしの誘惑で足りるかなぁ……お兄ちゃんも、あたしがお兄ちゃんのこと言えるか確かめてみなよ』

『友紀……いいのか?』

『よくないに決まってるじゃな~いっ』

『……それも、そうだな』

 

 今夜も欲望と、享楽の記憶とが蘇りつつあった。

 

『ちなみに、きょうはホルターネックなのよ、たまたま』

『え、どこが』

 

 友紀がいきなり軽い声音で聞かせてきた言い草が、兄をかすかに困惑させた。彼女のダークグレーのトップスが、首元をしっかりと隠しているよう見えていた。

 

『ブラがね、ホルターネックなのさ……まず、これで確かめてみよっか……興奮して、フェロモンが着いちゃってるだろうし……♥』

 

 友紀が、うなじから強引にブラのストラップをつまんでぐいぐい伸ばして、トップスのネックラインからお行儀悪く見せつけた。

 

『あ、ごめん忘れてた、久しぶりでさっ』

 

 聞いておきながら、友紀は兄の返事を待たず、くちびるを奪った――『キス、だいたい最初にしてたよね。それが合図』――キスしながらくちびるだけで続けた。唾液にアルコールの匂いが混じっていて、粘膜がおしゃべりで少しかさついていた。

 

『あたしお兄ちゃんとえっちなコトしたいな……お兄ちゃんは、ワガママはっきり言われたときだけ相手してやればいいの』

 

 

 

※

 

「これならいま旦那が起き出しても、まだごまかせるね」

「すぅ、はぁ……すぐ隠せば、間に合うか……?」

「お兄ちゃん、ヘンタイみたいな格好してる~っ」

「お前が持ちかけてきたんだろうが」

 

 友紀は、小半刻前まで夫を交えて兄の相談に乗っていたリビングのソファに戻った。

 服はそのままブラだけ脱いで兄に渡して匂いを嗅がせていた。

 

「そんなにいい匂いする~?」

「する」

 

 兄が存外まじめな面持ちでブラカップに鼻先をこすりつけながらすぅはぁ深呼吸している光景を、しばらく見ていた。

 

「あたしにもちょっと分けて~っ」

 

 そのうち呆れたような無視されているような気分が勝って、兄に横からちょっかいを入れ始める。

 

「ん~、汗くっさいなぁ、我ながら」

「俺はソソるけど」

「あたしもお兄ちゃんのくっさい汗が好きだったよ♥ あ、ドキってした? した?」

「……自分が加齢臭してないか不安になっちゃった」

「……奥さんにも下着の匂い嗅がせてもらったら?」

「それ頼んだら、あいつがショックで実家に帰っちゃわないかって心配が」

 

 ソファに並んで座って、ブラジャーの左右を2人で分け合って匂いを嗅ぐ。数年も近親相姦に耽っていた2人だが、ここまでシュールな痴態は初めてである。倫理観が破綻している2人だが不倫セックスも初めてである。久しぶりと初めてとが重なって、かつてのような逸脱にすぐには走れないでいる。

 

「あの子にドン引きされたら言って。あたしが“うちの兄がヘンタイなコト言ったらぜんぶあたしのせいです~”とかフォローしてあげる」

「それフォローじゃなくて追い打ち……んぎゃっ!?」

「おお、やっぱりカタくなってるっ、ユッキフェロモン効いてる効いてる~?」

 

 まるで10歳以上退行してしまったふうにふざけあう。

 

「人妻のブラだけでこんなんなっちゃうなんて……勃ちがイマイチって話、ウソだったのかな?」

「……おい、あっちには……んんっ」

 

 もう一度キス。

 

「ん、ふっ、ふ……旦那は世話の焼けるおバカな……もし弟がいたらあんな感じだったかも、ねっ」

「妹がお姉ちゃんみたいな顔すると、ちょっとびっくりする」

「えへへ」

 

 罪悪感が深くなりそうなほど、打ち消すようにヘラヘラだらしなく笑ってしまう。けれど打ち消せないほど深刻である、ととうに知っている。

 

「ね、ブラはもういいでしょ……触って、おっぱい……って、あっ!?」

「どうした?」

「指輪……浮気えっちのとき外すんだねぇホントに!」

「嫁さんのときも外すよ、肌に傷つけてしまうかもしれんし」

「……え~っ、もうナマおっぱいのつもりだったの~? まだダメっ、服の上だけ……んっ……」

 

 兄が左手の結婚指輪とブラジャーを彼のかばんへ無造作な手つきでしまう。それを見るだけで、友紀の服の内側でじわじわとした何かがうなじから胸に、お尻から爪先まで染みていく。

 

「さっき確信が持てたんだが……友紀、胸でかくなったな」

「カップ上がっちゃったよ~、前よりも~っとやわやわで、もちもちになっちゃったよ~♥」

 

 友紀はノースリーブのセーターごしに、自分の手でアンダーバスト側から乳房をたゆん、たゆんと揺らす。男を魅了することに慣れきった微笑みも見せつける。

 

「じゃあ友紀、指先でそっと触らせてもらうよ」

「なぁに、前はそんな前置きなく触りに……にゃあっ!? こらっ、ナマおっぱいはまだダメ~っ」

「おっぱいというより腋下だろ……そんな見せつけやがって」

「ん、んっ……見せつけてないもん、だっ……♥」

 

 友紀と並んで座る位置に戻ってきた兄から、ノースリーブからのぞく素肌の乳房のふもとを、そろそろと撫でられる。思わず両肩を振って腋をしめて兄の指を追い出す。ノーブラの乳房がぶるんぶるんと揺れて、裏地に思ったよりこすれて、乳首や乳輪のあたりが早くも切なくなる。

 

「お兄ちゃん……指先で、そっと、だから、ねっ……」

 

 アンダーバストに両の前腕を潜りこませ持ち上げる。さらに上腕で胸を横から寄せる。アイドル時代のどんな仕事より乳房のボリュームを露骨に強調して見せる。兄の視線を両胸ともにしっかり浴びて、すでにじっとり鈍く、べっとり心に張りつくような快楽を催している。

 

「うわぁ、ますますでっかく……お前の乳首どのあたりだっけ」

「は? 前はあんなにコリコリっていじめてくれてたのに忘れちゃったの……!?」

「そういうポーズされると当てたくなるが、どこかなぁ」

「当ててくれなかったらショックで寝こんじゃうかも……んっ、あ、ちょ、フェイントって」

「触るマネをしただけだからな、まだ」

「はいはい、しょうがないなぁお兄ちゃんったら……外したら、ホントに寝ちゃおうかな」

「……プレッシャーだなぁ」

「むーっ、ムダに指をくねくねさせないのっ! やるんなら男らしく潔くスパッと……ぉ……ッ♥」

「お、やった」

 

 友紀は寸前までボリュームを強調して反り気味にしていた背中を、思わず丸めてしまう。深呼吸を2回、3回と終えて、ようやく背中を起こし直す。

 

「や、やってない、お兄ちゃんのバカっ、こんなの当たり損ね……ん……ぉ……っ……♥」

「実を言うとわからなかったんだが、フェイントしたとき、友紀から触られにいってくれた気がして」

「……あたし、別に、そんな……ん、んっ……ち、ちくび、触らせようなんて……んっ……して、ないから……♥」

 

 友紀自身には、乳首が快楽を期待してぷっくりしこりたっている自覚がはっきりある。それがセーターを通して兄の目に視覚的に理解できそうか、目視で確かめようとしてためらう。バストが大きすぎて、友紀の視界からだとあいまいに映る。

 

「んっ、ぅ……ちが、ぅ……ちくび、違うよ、ぉ……♥」

「敏感なところが乳首かなぁ、と思ったんだが」

「そんな、すりすりって……だから、ちがっ……そ、こぉ……♥」

「どこ触ってもいい反応してくれて、なかなか難しい」

「ひふっんっ……! っ……んぅうぅぅ……♥」

 

 兄の指で、乳房の先端近くを、くるくる、すりすり指先で軽く刺激される。それだけで声を必死に抑えなければならなくなる。隣の寝室で夫が寝ている状況もあってか、彼女自身で恐ろしくなるほど過敏になっている。それでも顔や上半身に漏れそうな反応を押さえつける。ソファやスリッパへの八つ当たりめいて、お尻や足がずるずる動いてしまう。

 

「友紀」

「……なぁに?」

「下、脱いだほうがいいんじゃないか、濡れちゃう前に」

 

 友紀の下半身に押しやられた悩ましい動きを、兄はしっかり視野に入れていたらしい。

 

「……は、はあぁあ……? そんな……ええと……乳首っ、じゃない……おっぱいちょっとすりすりってされたぐらいで……いくらお兄ちゃんだからって、そんなあっさり濡らしたり漏らしたりしないし!」

「友紀のまんこの匂いも嗅ぎたいなぁ」

「まだ濡れてないもんっ、あたしだってそこまで欲求不満じゃ……なんならいま手ぇ突っこんでみろ~?」

「それもいいけど、入るかな……んげっ!? 悪かった、デリカシーなかった、ごめんなさい」

「もうっ。いまお腹ぺこってさせるから、ほら、ほら早くっ」

 

 友紀は胸がじれったいあまりに、ジーンズのへそ側の合わせ目に兄の片手を突っこませてしまう。

 

「まだおまんこ濡らしてないでしょ、言うほどじゃあ……んっ……♥」

「あの、友紀……触らせてくれるんなら、ちゃんと触りたいんだが」

「……あたしたちのちゃんと、ってなんだよ~、わかってるくせにぃ」

 

 横乳に触れる直前といい、いまといい、妹へ伺いを立てようという兄の素振りを示されると、つい邪険にしたくなってしまう。久しく遠ざかっていた焼けつくほどの羞恥も背徳も、また茶化してどうにか中和しようとする。

 

「お兄ちゃんは、ホントに……ねだられてから応じてあげるのがちょうどいいのっ、言われる前に察しようなんて女心知ったかぶりやめときなっ」

「友紀相手に知ったかぶろう、なんて……女心さっぱりわからんころを知ってる相手に、かえって間抜けだな」

「わかってるじゃないのさぁ……んっ、ぁ……ちょっとそのま、ま……っ……♥」

 

 中和しきれない。

 友紀の気分が、いっそ兄からこれまでにないほど乱暴に手マンされて無様にイカされたい方向に流されかける。逆に体が、タイトなジーンズとそこにみっちり収めた下腹部とむっちりした太ももとで、兄の手をぎっちり拘束し、圧迫している。体と心で欲望と快楽とがぐるぐる回りながら煮詰まっていく。

 

「あ、ぇ、えと、ぅ、うぅ……って、あ、あーっ、お兄ちゃんチンポ!」

「ぶふっ!?」

「こっちが本題だったでしょ! 勃たないなんて、ウソつきチンポじゃないか~っ♥」

 

 兄を吹き出させてしまうほど唐突に、彼のスラックスに張られたテントをびしりと指差す。

 

「人のおっぱいおっきくなったとか言っておいて。お兄ちゃんのも、前と同じぐらいの大きさはあるようだけど~」

「あの……最近調子悪かったのは、ホントなんだ」

「へぇ、あの子に確かめて……あっはは、冗談だよっ、おっ立てさせた責任、取らせてっ」

 

 兄の手をジーンズの中から追い出しつつ、フェラチオの仕草を見せつける。いままで見たことも考えたこともないほど卑猥に見えてしまえ、とうるさいほど舌なめずりを聞かせる。

 

「本心では、さ。あの子との子供はもうじゅうぶんって思ってたんじゃないの?」

「はぁ……昔はやったな、そういう訳知り顔の心理学」

「……いまのはちゃんと怒ってもよかったのに、ちょうどひどいこと言っちゃってお兄ちゃんに乱暴にされたい気もちょっぴり――」

「――とりあえず抜いてくれ、久しぶりでたまらないんだ」

 

 それきり、兄も妹もしばらく言葉を失った。

 

「……手と口でいい?」

「頼む、友紀」

「あたしも指輪……失くさないようにしないと」

「入れとく場所でよく聞くのは、小銭入れかな」

「あははっ、アドバイスに従っておきます~っ」

 

 兄のスラックスのファスナーを下ろそうとする友紀の手は、フェラチオの仕草より幾分ぎくしゃくしていた。

 

 

 

※

 

「すぅ……はぁ……うん、うーんっ……」

「おい、友紀」

「なぁに?」

「さっきの当てつけか?」

「ふふふ。腋の匂いを嗅いだり、胸にフェイントかけたりしてくれたねぇ」

 

 ソファに座らせた兄のペニスを、友紀はカーペットにひざまずいていまにもくちづけしようというところで、ふいっと遠ざける。天井を指す竿と、先走りでぬるぬるする亀頭とが、びくりと反応してしまう。

 それを無言で眺めつつ、友紀はまず竿に頬ずりして、それから下腹部や陰嚢あたりを嗅ぎ回る。

 

「きょうは仕事してきて……外歩いてきて汗がしみてるから……」

「ボディソープ変えちゃった?」

「……まぁ、うん……よくわかったな……んわっ!?」

 

 兄が“汗臭いだろうに”と続けようとしたらしかったが、総毛立つほどの感覚に襲われてか、潰える。

 友紀は陰嚢を味蕾でこそげるように強くなめて、それから軽く歯を立てている。男にとって快楽と恐怖が入り交じる独特のそれは、かつて友紀と近親相姦に耽っていたころ以来である。

 

「……ああ、うん、いいんだ。お兄ちゃんが別のうちの子になっちゃったんだなぁ、って」

「友紀……は、違うか」

「旦那さんの好みに合わせてあげる奥さんは、あんまりいないと思うよ。せいぜい別々の使うぐらいで」

 

 やりとりのあいだに、兄の雄臭と友紀のよだれの匂いが混じって、ボディソープの違いが霞む。

 

「出そうになったら言ってね、飲まなきゃダメだから」

「う、ぉっ……ゆ、き……っ……!」

 

 言いつつ、裏筋側のカリ首にくちびるを尖らせて、ちゅっちゅっとうるさいほどキスを重ねる。鈴口を喘ぐようにぴくぴく開閉させ、涙のような先走りをあふれさせる。精液を飲んであげてもいいと主張しつつ、射精のがまんを強いる。

 

「……ああ、ごめんお兄ちゃん、精液びゅーびゅー久しぶりだったっけ」

「すまん、その……」

「もっとすまなそうに、して……うん、うんっ、よしっ……へぷ、んぅ、れぅ、んっ……♥」

 

 くちびるで鈴口を覆ったあと、先走りをちゅるちゅる音を立てて吸いながらカリ首まで口腔に収める。舌と口蓋と頬裏をそれぞれ使って、兄の敏感なところをぬるぬる抱擁するふうに刺激する。勃起不全に悩んでいたという言葉と矛盾しすぎている味、熱、大きさ、硬さを味わい、友紀の生殺しだった乳房と女陰とがやるせなく疼く。

 兄の両手が、彼自身のヒザ頭に爪を立てているのが視界の端に入る。片方の手で竿をホールドしたまま、残りの手を近いほうの兄の手に上から重ねる。

 

「友紀……ああ、気持ち良すぎる、もう、すぐ出て……!」

 

 久しぶりの射精が近い、と兄の声だけで確信できる。味わいつつ、夢精はどうだったのだろう、と考える。本番で勃たず寝た翌朝に夢精していたらさぞ気まずかろう、と兄夫婦に筋違いな同情を寄せる。

 

「れぅ、はむ……んくっ、ちゅ、ちゅっ……んぷ、んんふっ……♥」

 

 カリ首をくちびるで、鈴口あたりを舌で覆いながら、鼻ですぅはぁ息をつく。兄の悩ましい反応から一息で射精まで持っていけるつもりになっていたが、友紀にとって意外なほど兄が粘り強く射精を引き延ばせている。

 いつ出されてもいいがこのまま続けたい、と友紀は贅沢な葛藤に浸る。“出そうになったら言ってね”を受けて、兄がぎりぎりより早めに限界を示しているのかもしれない、と妄想する。何もはばからず兄にセックスを要求できる兄妻が孕みたいと願っている子種を――(子供のためってだけで弟か妹作ってあげよう、なんて言わないよね。しかも、それがはかどらずにヘソを曲げるなんて大人げないこと、なかなかしないよね)――口中で受け止めて、ぬちゃぬちゃ味わって噛み締めて、自分の胃にしまって消化してしまう。

 それがもうすぐというだけで頭がゆだってしまう。

 

「んふ、むふ……ぢゅぽ、ぢゅぽっ、ぢゅぽ……ぴちゃ、ぴちゅ、ちゅるっ、ぢゅっ!」

 

 強弱をつけつつ兄のペニスを追いこむ。ついでに兄の下半身の当てられるところあちこちに服ごしのバストを押しつける。兄の手と指が自身のヒザに噛みつくのを諦め、おかしなほど優しげに友紀の髪を撫でてくる。

 

「んあっ、くふぅっ……! んぐ、こくっ、んぅっ……んぷ、ちゅっ、ぢゅぅうぅ……!」

「あ、う……友紀、ぃ……ッ!」

 

 友紀の舌に精液がびしゃ、ぶしゅ、と勢いよく叩きつけられ、口中にあふれかえる。友紀が涙目にさせられるほど濃厚なそれを、くちびるをぎゅうぎゅう引き締めて受け止める。むせないよう気をつけて飲みこむ。さらに、遠慮するな、と告げる代わりに亀頭に吸いつく。

 友紀の記憶より兄の射精が長く多い。頬をふくらませる。あふれる前に、手を竿と自分のくちびるに添えてカバーする。どうにか呼吸しつつ精子臭で嗅覚や肺を占領される。さっき少しだけ愛撫してもらった下半身がうずいて、勝手にジーンズをずりずりこすりあわせて止められない。

 

「友紀、友紀、もう吐き出して……んんぐっ!?」

 

 兄の精液をフェラチオで飲んでやった経験は数え切れないが、そのどれよりも受け止めるのに手間取って、心配されてしまう。うっかり竿に歯を立ててしまう。

 

「んぐ、く、んぐ、こくっ……んんっ……!? ご、ごめん……歯ぁ立てちゃったね……♥」

「ま、まぁだいじょうぶだろ……気持ちよかった……腰が抜けそうだった……」

 

 どうにか精液を飲み干しつつペニスを解放すると、兄の勃起が勢いを残していて、友紀の頬とこめかみのあいだあたりにぺちんと当たる。屈辱感と達成感で震えながらどうにか“ごめん”を絞り出していた。

 

「おっ立てて1発はできる、ってのがわかったところで」

「……ありがとう、友紀」

「できるんなら遠慮しないぞ~♥」

「お前ここまで遠慮してたんだな……ああ、うん、そうだな、遠慮あったよ俺たちにしては」

 

 フェラチオのためにひざまずいたまま、兄の微苦笑を見上げた。友紀は彼が一瞬だけ年下らしく感じられた。本当の姉の気分とはこんなものかもしれない、とつぶやきかけた。

 

「お兄ちゃんから感謝のしるしが欲しいな~! いますぐ! 服脱ぐ前にゴム取ってきて、あっちの部屋から……旦那が寝てるようすも見てきて」

「彼が起きちゃったらどうしようか」

「友紀が酔いつぶれやがってこの部屋に運んでいいか確かめようと、とでも言い訳しといて」

 

 ゴムはベッドサイドの引き出しにある、と兄に教えてやった。兄が暗い寝室で、夫の寝息や寝返りに神経を尖らせつつゴムを探しているようすを脳裏に描いた。

 笑い声をくつくつ抑え、言い訳どおりにソファにごろり身を横たえてタヌキ寝入りする。目を閉じる。彼がフェラチオされていたときの体温がソファに残っている。理由もなく、その名残があるうちに戻ってきて欲しいと気が逸る。

 

 

 

「友紀……取ってきたぞ」

「ん……すぅ……」

「欲張って3枚取ってきちまった」

「ぷふっ……!? んんっ……すぅ……」

 

 兄がいざ戻ってくると、友紀は彼を焦らしたくなった。

 すぐセックスしたい欲望をあえて噛み殺してタヌキ寝入りを続ける――(寝込みを襲われるって……された覚えがないけど、お兄ちゃん、してくれちゃうかなぁ……)――許す前に兄に体を勝手に使われる、という妄想が新鮮な愉悦をふくらませる。

 妄想の矛盾にはすでに気づいている。本当に睡眠中にレイプを完了されれば友紀はそれを知覚できないままである――(お兄ちゃんなら、どうにかごまかすでしょ)――成り立たないと理解しているからこそ、楽しみが無制約にふくらむ。

 

「友紀、友紀……」

「ぁ、んっ……んー……んんっ……すぅ……」

 

 そもそもレイプしてもらう愉悦の時点で、友紀は笑い転げそうになっている。兄と長く肉体関係を続ける中で、したくてたまらないタイミングでしてもらえないことがお互いあってケンカした覚えならばある。彼と同衾しつつ背を向けあって、とうとう終わりかもしれない、と青息を垂れ流して明かした夜さえある。

 

「いつのまにか、おしとやかな寝息になったんだな」

「んんぅうっ……!? んー……んんっ……すぅ……」

 

 あまのじゃくの友紀に合わせてか、兄がいじわるな言い草をしてくれる。あるいは、ゴムを取りにいくあいだに冷静になってしまったか――(これで萎えてたら萎えてたでも……いいけど、そのぶん遊んじゃう)――寝返りのふりをして、乳房を再び横から腕で挟む。現役時代だとかき集めてもここまでむっちり盛り上げられなかった、と思う。現役のころより感度が増している、とあらためて実感する。

 かつてセックスしていたときより淫らで感じやすく貪欲になった、と早く気づいて欲しい。

 

「……ここはおしとやかじゃないが」

「んっ……ぉ……♥ ふ、っうぅ……んんっ……!」

「服の上からでもいい加減にわかるよ、ビンビンじゃないか」

 

 言いつつ、兄の手つきが乳首への刺激を避けている――(焦らしちゃって……ねちっこいなぁ……♥)――乳房のふもとと二の腕とのあいだをむにゅむにゅと、指先を関節一つぶんだけねじ入れてさする。友紀の下腹部で粘膜のひだがむらむらとうごめいて、太もも裏に力を入れてどうにかごまかす。

 快感よりも幸福よりも、いま友紀は期待で融けて焦がれている。

 

「んっ、ふぁぁっ……んっ、んくっ……!」

 

 指がバストのトップに近づいて、セーターごしなのに、乳輪のふちを計ったようになぞる――(乳輪は、そんなにぷっくり、しては、いな、ぃ……♥)――むき出しの乳首がいまつつかれたように勝手にふくらんだ感覚を味わう。背筋が震えながら伸びる。

 

「触るよ、友紀……気持ちいいなぁ……ああ、俺が、触ってて気持ちいいんだって」

 

 乳輪を薄布1枚だけ隔ててくすぐられる。意識そのものをくすぐられているように、兄の指先のことばかり気にさせられる。指先で乳首を撫でられる――(まだ、服、着てる、まま……っ)――乳首をつままれ、こねられ、ひねられ、それへの反発めいて勃起させられる。記憶と想像が先走る。

 

「まんこもそうだったけど、おっぱいも敏感になってる気がするぞ、友紀」

 

 兄の乳首、乳輪愛撫にじれったくさせられる。さっきまでじれったくした報復だろうか、と思うとイライラしながらうれしくなる。

 

「ん゙……♥ そ、こぉ……ッ♥」

「……うん」

 

 兄の両手が、それぞれ親指、人差し指、中指で、友紀の両乳首を取り囲む――(目を閉じたままでも、どの指かわかっちゃう)――ここから力を入れれば、なすすべもなく押しつぶされることもありえる。体全体からすればごく小さな突起2つへの刺激の、その想像だけで背中がのけぞりかけるほど強すぎる快感がやってくる。

 

「やっぱり直がいいなぁ、友紀のおっぱいは」

「ん、んっ……! ぅ、う……っ……」

「生地が伸びちゃったらどうしよう」

 

 指が乳首から離れる。落胆と憤慨が思わず顔に出てしまったとき、兄の指がこんどはセーターの袖ぐりをつまんで――(あれ……ノースリーブでも袖ぐりって言うんだっけ……?)――友紀のセーターをぐいぐいまくりあげようとする。裏地と乳首や乳房がこすれて、嬌声をどうにかノド奥でとどめる。唾液腺がじりじりしびれて、あれだけ濃厚だった精液の気配が薄れている。

 

「えっろいなぁ、友紀のおっぱい」

 

 セーターがずるずると無事にまくりあげられ、デコルテでくしゃくしゃにされる。乳房を丸出しにされてしまう。

 兄のつぶやきの聞こえ具合と、乳房の稜線をそわそわさせる空気のおかげで、兄が乳房の谷間に顔を埋めようとしていると気づく。

 

「んぉ、ぁ……っう、ぉお、ッほおぉ……♥」

 

 右の乳首にくちづけされる。しゃぶられ、唾液を塗りつけられる。歯まで立てられる。加減が軽く、血は出ないはずで、浅い歯型ぐらい残してくれるだろうか――(だめ、だめ、だめ、おっぱい、こんなので、イ、ク……っ……♥)――どうにかソファから転げ落ちずにいる。

 

「ふ、ぁ……は、ぁはっ……ん、んっ……♥」

 

 これがタヌキ寝入りでなかったら悪夢にうなされているだろう、という有り様を兄に見下されている。彼の息遣いの距離感で、どれぐらい見られているか想像できる。頬を赤くして、結んだ髪をソファでくしゃくしゃにして、黒いセーターも首元でくしゃくしゃにされて、おっぱいを丸出しにされている。右の乳首だけが唾液をてかてか塗りつけられほんのり冷える。

 

「あ……ああ、友紀」

「んー……んんっ……すぅ……」

 

 兄から、いきなり気の抜けた響きを聞き取って――(またフェイントかけるつもりかー……? 前フリ入れれば、しょうがないなぁって合わせてくれると思ってるのかな……そろそろ、あたしだって……)――友紀はあえて聞き流そうとした。

 

「ジーンズが濡れてシミに」

「ぉぁあ゙っ!? お兄ちゃっ……あ、こらブラフかましたな!?」

「いや、ここ」

「……だいじょうぶでしょこのぐらいっ、洗濯はあたしがするもんっ」

 

 頬をふくらませながら、兄のスラックスの股間がまたキリキリと内側から突っぱられていることに気づいた。

 

「あたしのおっぱいちゅうちゅうしてるだけでビンビンにしてるくせに」

「友紀とヤリたくて仕方なくって」

「もう、しょうがないなぁ♥」

 

 兄の首と肩に腕を絡ませて浴室に向かう友紀の足取りは、泥酔したような千鳥足だった。

 

 

 

「お兄ちゃん、そーっとだよ、ゆっくりだよ、フリじゃなくて……処女を相手するぐらいのつもりで」

「いいけど、どうしてまた」

「声、うるさくしちゃうと思う」

「それは承った……ちなみに、俺は処女のお相手なんて未経験だ」

「あ、そう……ふ~ん……」

 

 浴室マットはふつうの洗い場用で、正常位で交わるには見るからに狭かった。

 けれど友紀はそこでなければダメと要求した――「ごめん、ぜったい漏らしちゃう……ま、終わったあとで汗を流すのもラクだし?」「お前けっこうビールとか飲んでたもんなぁ」「それもあるけど~……」――兄がマットの上に腰を下ろし、ヒザを曲げつつ両脚を前に投げ出す。

 

「ほら、これなら狭くても」

「……漏らしちゃうんだけど」

「対面座位だよ……髪をまとめてるんなら正常位でもいいが」

「寝るのは狭いよ……そんなら、はい、これ」

「ああ、そうだった! これあるとないとじゃ、腰がだいぶ違うもんなぁ」

「おじさんみたいなこと言う……」

「妹の気遣いが身に沁みてなぁ」

 

 バスタオル2枚のうち1枚を畳んで棒状にして兄に渡す。マットと兄の尻のあいだに座布団のように敷かせる。

 

「じゃ、じゃあ……あたしから、入れる、よ……?」

 

 ついに裸になって兄と正対する。浴室にいるせいか、交わろうとしているここで――(こんなことならもっとしっかりお風呂で洗っておくんだった、いろいろと……!)――背筋がぐずぐずする。

 自分の体から兄のほうへ押して意識を向ける。コンドームを着けたペニスがヘソに届きそうに大きく反り返っている。兄嫁が求めていてお預けされている勃起を味わえてうれしいが、ナマでのセックスが無理と思い出して口惜しくもある。

 

「しっかりホントにでっかくなってるね、ヒザが3つあるかと思った」

「それは大げさだろ……でっかいと言えば、お前のおっぱいだとさ」

「おっぱいだと?」

「これとか、騎乗位とかで……見えにくそうだ」

 

 葛藤を振り捨てようとして、思わず軽口が出る。兄が合わせてくれる。体より先に心を重ねたみたい、と内心でつぶやいてくすぐったくなる。

 

「……あたしが腰下げてくから、お兄ちゃんもチンポ握って、入り口に近づけてね」

「俺も見えにくいな……片手にチンポ、もう片方にまんこを……」

「んひゃっ!? び、敏感なとこ、いきなりは、だめぇ♥」

「だいじょうぶかよ……ほら、もっとこっちの……肩に手、乗せて体重かけろ」

「お兄ちゃんの……元とは言え、野球人の肩に手ぇ突いて乗りかかるのかぁ……」

「足ぷるぷるさせてるくせに……お前もアイドルで人妻なのに、兄貴にまんこおっぴろげて入れようとしてるだろ」

「そーだけどーっ!」

 

 軽口が尽きる。顔が近すぎてアイコンタクトがはかどらない。吐息と手足と粘膜だけで、挿入へと近づけていく。

 

「ふ、ふぁっ、あ……あはっ、はっ、い、いま、そこ……ん、んんっ♥」

「早い、滑る、ズレたっ……そーっとしろとか、ゆっくりしろとかお前が言ってただろっ」

「えへ、へ、ごめん、つい……あたし、えっち、へたっぴになっちゃったかなぁ……♥」

 

 初めて交わったときのように手間取る。長年ずぶずぶと馴れあってきたセックス相手だから、という心の余裕がちょうどよく薄くなるまで、にちゃにちゃ膣口と亀頭をこすりあわせる。

 

「友紀……」

「焦らして、ごめんね……お兄ちゃん、あたし、もう……あっ、ゃ、あ、んんっ……ひ、ん……♥」

 

 膣口が亀頭に割り開かれ、膣肉が竿までぎゅうぎゅうと包みこんでいく。兄の両手が両側から尻肉をがっしりつかんできている。それに身を預けて、一気に膣奥まで突き刺されて、ついでにクリトリスを彼の下腹にこすりつけて、どうしようもなく絶頂したくなる。

 

「友紀、ぃ……ん、ぐっ、んんんっ……!」

「あ、ぁ、あっ……♥ やっぱり、だ、めぇ……あぅっ、んぅぅぅっ、うんぅぅぅっ……♥」

 

 予想以上にあっさり失禁してしまった。びちゃびちゃ、じょろじょろと彼の下腹部や敷いたタオルやマットを雌尿でどんどん濡らしてしまう。膣内でペニスがさらに硬く大きくなったような気がして、被征服感で背骨までしびれてくる。

 

「み、みないで……おにいちゃ……あむっ、んっ!? んっんぷ、んぐ……! ちゅ、れぅ、むぢゅっ、んんぐ、ぁぷ……っ!」

 

 兄からくちびるを奪われるのも4年と少しぶりである。彼の手で肩を抱き寄せられ、乳房がむぎゅむぎゅ苦しくなるほど密着しながらディープキスに持っていかれる。舌の根元をつついてささやかに反撃する。

 

「……んぷっ、は、ぁ……♥ キス、しちゃったぁ……」

「キスも処女みたいが良かったか」

「精液さっき飲んだばっかなのに」

「キスしてたら見てない、ってわかるだろう」

「……それは、それでさぁ、お漏らししながらキスってぇ……あたしが漏らしたんだけどぉ……」

 

 兄が手を友紀の上体を反らさせて、乳房をもみしだいてくる。膣奥までずっぽりはまったペニスがぐりりとスライドされる。目を丸く見開いて、息をこぼすのもやっとの深い快楽に見舞われる。

 

「おぉお゙……ら、め゙……ん゙……ぉおお゙っ……♥」

 

 乳首をつままれぎゅうぎゅうとひねられる。ぶじゅっ、じゃばばっと嬉し泣きのような雌潮を噴き散らしながら首筋まで反らせしまう。あまりに力んで友紀のデコルテがぺこぺこしてるのが目に入ったのか、彼がそこにくちびるを寄せてくる。

 

「そ、こ……あと、ついた、らぁ……ああっ、あぅううぅ……♥」

「きょうだって、首、隠してたじゃないか」

 

 じゅるじゅると、汗かよだれか涙か何かの体液をすすられる。頸動脈が早鐘の心拍を伝えてしまう。

 

「く、おっ……ほっ……♥ お……きゅっ……ぁ、めぇ……っ……」

「これもダメか……動かないでおくか」

「う、ぅううぅぅ……♥」

「フェラで抜いてもらったし、どうにか余裕が」

「……よす……ぃて……め、ぇ……♥」

 

 言いつつ、友紀は小刻みに腰を押しつけてしまう。ペニスと膣肉でつながりあったままへこへこと動かして、前後不覚になるほどの快楽を求めむさぼってしまう。失禁か潮かわからない体液が皮膚と粘膜に挟まれてこすれてぐちゃぐちゃと耳に障る。

 

「んひぃっ、お゙っ、おっぐ、まら、ぁッ……こんな、えっち、ぁ、め……おぼぇ、ちゃった、ら……ぉ、おく……し、しきゅー、とか、ぁあっお゙ッ……♥」

「……泣くほどヨガってくれるのは友紀だけだよ」

「ゔぅー……ぇゔ、ひゅっ、ひゅーっ……も、ぅう……ほかの、おんなの、はなし、する、なんて、ぇ……」

 

 嬌声と喘鳴のあいだでボヤきながら、友紀はパチパチと泡めいて細かく無数に弾ける絶頂感に浸る。アイドルとしてどれだけ男を魅了できるか競って勝利も敗北も味わってきた女体が、兄のたった一言で高まりっぱなしに陥る。

 

「んひぃっ、お゙っ、おっぐ、んんっあ……あ……ィぐ、ゥうぅう……っ……」

「……お前に産ませてやれたらよかったのになぁ」

 

 ペニスを逃すまいとするかのように、膣口がぎりぎりと引き締まる。もし不完全な勃起であったならペニスを痛めていたかもしれないそれを――だから兄嫁は子作りを無理強いできずしょうがなくがまんしていたのだが――いまの兄は息を荒げつつ押し広げる。硬く膣奥へ打ちこんだまま友紀のようすをうかがっている。強いオスのようにいつでも友紀を蹂躙できる構えで、お気に召すままと無言で笑っている。

 ますます融けてしまう。

 

「っぅうぅ……ほしぃ、よぉ……ぁ、ぁあああ、うぅ……言っちゃったぁ……ホントに、ダメ、なのに、なぁ……♥」

 

 友紀が何度も首を振った。乳房がぶるんぶるんと暴れ震えた。ついに彼の手に捉えられ乳首をじりじりねじられた。

 

「あ、あぁああっ、そぇ、くるくるっ、おっぱい、もぉ……あ、ああぁあ……キちゃ……♥」

 

 つい手足を兄の背中に絡ませ、皮膚に爪を立てた。それから四肢も胴もびくびくと痙攣してしばらくおさまらなかった。また体液が2人の胸や下腹部や結合部でこすれあって、ぐちゃぐちゃと浴室を騒がせた。

 

 

 

「あ、ソフトか……ぷはあぁっ! あー効くぅー……お兄ちゃんだとこういうノリでもいいから楽だわ~」

「友紀も、そういうノリが似合うようになってきたかな」

「どういう意味よ~っ」

「ビールの宣伝とかやったら昔より売れそう」

「そうかなぁ」

 

 兄が軽く汗を流したあと、1枚残ったバスタオルで軽く水滴を拭って、冷蔵庫からてきとうに350ミリリットルの缶2本を持ってきた。

 友紀はボディタオルでアンダーバストを洗っていたのを止めて、缶を開けて勢いよくあおった。アイドル時代からなじみのあるスポーツドリンクの味で、ライブ直後のクールダウンを思い出してしまった。

 

「あんだけじょろじょろ景気よく出したあとビールなんてなぁ」

「何笑ってるのさぁ……なんでお兄ちゃんはおしっこ引っかけられて楽しそうにしてるの」

「それが楽しい、って友紀に覚えさせられちゃったからかなぁ……いまに始まったこっちゃないだろ」

「あいかわらずでびっくりしたよ、ちょっと」

 

 それから缶が半ばほど軽くなるまで、2人ともノドの渇きを癒やすのに忙しくて黙っていた。

 

「……なんか、ずるい」

「何がさ」

「あたしだったら……精液とかおしっことか引っかけられたら、お兄ちゃん相手でもブチ切れる自信あるよ」

 

 くちびるを尖らせて主張したが、友紀はすぐそのまま固まった――(さっき精液じゅるじゅる飲んであげた女の言えたこっちゃない)――知ってか知らでか、兄はうん、うんと2呼吸遅れて言い返してきた。

 

「俺だっていきなり引っかけられたら友紀相手でもドン引きする」

「まぁ、そうでしょうね」

「さっきは引っかけられるつもりだったから」

「……なるほど、心の準備ができていれば、ね」

 

 うん、うんと2呼吸あけて、友紀は兄の片腕を引っぱる。汗を流したばかりの巨乳の谷間と両腕で挟みこんでしまう。

 

「延長戦を希望します♥」

「全部飲んでからな、のぼせそうだし」

「お兄ちゃんは飲んでて、どうぞっ」

 

 両腕を引いて、兄をバスチェアに腰掛けさせる。ソファのときと同様、ヒザ立ちで彼の股間に近寄る。

 

「すんすん……っす~……っ……すぅ……うわははっ♥ まだあたしのえっちな匂いがついてる~っ」

「……うっ、ちょっとタンマっ、手を洗って……こら、離しなさい、離せって」

「おしっこ? 勃ってると出ないでしょ」

「もう2発出したから勃たないかも……おぅううっ……!?」

「んふふ、チンポへたったお兄ちゃんも好きになってきちゃった……何がって、反応が♥」

 

 友紀は“絶対に逃さない”と兄へ伝われ、と強い乳圧でくったりした竿を捉える。挟んだままずるずると軽く上下させたあと、亀頭だけぴょこんと谷間から飛び出させる。

 

「お兄ちゃんのおちんちんおつかれさまっ♥ ユッキがやさ~しく、いたわってあげるからね……すり、すり、しゃわしゃわ……かり、かりっ、なんて」

「んゅっぅうっ……!? ゅ、きっ……」

 

 勃起していないペニスをそのままでいいと思いながら愛撫する。初めての経験で、友紀に奇妙な満足感を覚える。直前に“お兄ちゃん相手でも”小水をかけられたら憤激する、と言った舌の根が乾く間もなく、むしろよだれをねっとり口中にためつつ亀頭をすする――(おしっこも精液と同じだと思えば……精液だっておしっこ臭いし……目と髪以外はセーフにしてあげても……)――上目遣いで兄をうかがう。

 

「んー……お兄ちゃん、おちんちん苦しい?」

「えぅ、その、まぁ、敏感になってて……でも、すごくいい……」

「ホントにいい反応するのね……知ってたら、前からもっといじったのになぁ」

 

 兄の弱々しい喘ぎが友紀を浮つかせる。ついさっき自分を快楽漬けにして屈服させたペニスが、もう乳房に包まれてぴく、ぴくと震えるだけになっている。プライドを凹ませるほどの快楽を与えつつ、凹まされたプライドを報復で回復させてくれる。また気持ちよくなれる、と気持ちよくなる前から確信させてくれる。

 

「んんん……っ……んふふ、あはっ♥ お兄ちゃんのえっち、勃起して2回も出したのに、鼻息荒くしてぇ」

「そ、れ、は……っお、ぅ……!」

「あたしが言えたことじゃないけど、声抑えてね……旦那が起きちゃうかもだし……」

 

 女にとって、抱かれたいと思った男が勃起しないとなれば――(抱かれたくない男に勃起されるのに比べると、さほど話題にされないけど……レズやバイだとあるのかなぁ、そういう感じのショックって)――著しくプライドを損なう事態である。

 

「ねぇねぇ、きょうはもう勃たないの?」

「は、は……かも、な……大満足すぎる……」

「じゃああと1回おもらしたら終わりってことで」

「……すまん、いま、何を言ったか、よく聞こえなかったんだが」

「おにいちゃんがおもらししたら、おしまいっ」

「は? おかしいだろそれっ……あ、うっ、あ、くぁ、あっ!」

 

 女は男側に責任転嫁したくなる。そうしてしまえば男側のプライドも負けず劣らず傷つく。とても性的快楽をうんぬんできる気分でなくなる。

 友紀と兄がこれまで耽ってきた近親相姦セックスでも、何度か射精を経て勃たなくなったら――(きょうはこのぐらいでかんべんしてあげるっ)――性欲がくすぶっていたとしてもぐっと飲みこんで、後のスケジュールに追われて身繕いしていた。

 

「ああ、あたしが言うおもらしってのは、おしっこでも精液でも、どっちでもいいよ♥」

「あ、ああぅう、う、ぉ、ぅう、くっ……」

「どっちかはっきりしないとよくないか、前立腺に」

「んぐ、ぅ……友紀ぃ、この……俺のチンポをオモチャだと思ってやがるな」

「ぁ、きゃんっ♥」

 

 兄のペニスがぐったりしたままだったが、兄の意気は再燃したらしい。ぬるぬるのパイズリでもみくちゃにしたりされたりしつつも、手のひらや指先で友紀の乳首を捉えて反撃する。

 

「あ、はっ……んぐ……うっ、おっぱいぃ……もうだめ、だよぉ……♥」

「さっき乳首をちょっとしか相手してやれなかったからな……友紀ももう1回ぐらい潮噴いておくか」

「えええっ、そんなにできるならやってもらおーじゃんっ、やり残しなんてちょっとでもイヤだもん……もうチンポ大満足なのに?」

「指は萎えないから」

「誰かさんにもこのぐらいサービスしてやれよ~!」

「あー……カチンと来た」

「ひぃ゙ッ♥ ぉ゙……おにい、ちゃ……ううゔ、ふうぅ゙……ゔーっ……♥」

 

 乳肉をゆるくこね回される。乳首をぎゅうぎゅう責められる。友紀の肌が、乳房を中心に汗まみれ、よだれまみれに戻されていく。

 

「ぜぇっは、ひ、はっ……あんまり、ひつこぃ、と……お、おっぱい……こっ、こわれ、ちゃう……っ♥」

「よし、すりすり、かりかりってほうがお好みなんだな」

「それじゃあじれったくて頭がおかしくなる~っ!」

「……俺のほうが頭おかしいから」

「あ、はっ、それ、じゃあ……んぐ……うっ、あお゙……ぉお゙ッ、い、いっ……っ……♥」

 

 絶頂で性欲が洗い落とされたあとの、意地の張りあいで続く愛撫の応酬をどこで止めるか、2人ともよくわからなかった。

 けっきょく水分不足で筋肉がつってしまうまで、兄妹ゲンカのような調子の後戯が深夜までびちゃびちゃと続いた。

 

 

 

※

 

「……なんで義兄さんが風呂そうじしてるんです?」

「ちょっと、な」

 

 翌朝、すっきり目覚めた夫が顔を洗おうとすると、よろよろとぎこちないようすでバスブラシを握って浴室の壁や浴槽をそうじする義兄の姿に気づいた。

 

「おーいっ、身内とは言え、客にそうじさせるなよーっ」

「愚兄のせいで夜ふかし、飲みすぎ、だるいから手伝わせてるの……半人前ぐらいにはなるし」

「家事能力……いまは2人でようやく1人前ってところだな」

 

 友紀が朝食を準備する手つきも、よろよろとぎこちなかった。

 

 

 

「あ、ちょっと顔借りるよ」

 

 朝食のテーブルにつこうとした夫と兄に、友紀がスマートフォンを向けた。

 

「写真?」

「あの子に送ってあげるの、『愚兄どもに女の扱いを教育してやってるけど、まだ時間かかりそうです』とでも添えて」

「俺も巻き添えかよ」

「人の振り見て我が振り直せ、って言うでしょ~」

 

 メッセージアプリで画像を送って、さらにもう一言――(愚兄にうんざりしたら、またこっちに送りつけてください……なぁんて)――書きかけて、友紀は笑いをこらえた。

 

「んぐぇぅうぅっ」

「どうした」

「ちょっと、ね……ぉ、ぉぅ……」

「どんだけ飲んだらそんなんなるんだよ……」

 

 夜にさんざん絶頂させられ引き攣れに引き攣れた腹筋が、またキリキリと悲鳴をあげて、友紀をもだえさせた。

 

(おしまい)

 

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