ARIA A SECRET SCHOOL DAYS 作:真夜中のミネルヴァ
アリシアは両手を頭の上に投げ出して、白い喉元も長く晒して、官能の海に漂っていた。
今、二人は恋人としてではなく、互いをフィアンセとして過ごす初夜――実際には昼前だったが――を迎えていた。
身を重ねる前に、どちらからともなくお布団の上で全裸のままで正座をして向かい合うと、
「ふつつかものですが、どうぞよろしくお願いいたします、旦那さま」
「こちらこそ、行き届かないところばかりの未熟者ですが、どうかよろしくお願いいたします」
両手をついて頭を下げて、新しくまた一段と深まった関係を
多分に儀式めいたものだったが、広く公にできないぶん自分たちの間では区切りとなるような形を欲していたのかもしれない。
平日の午前、人々が勤労の責務を果たしている最中に、教え子との密会にうつつを抜かす愚かな女教師――。
いつもなら感じたであろう、そんな後ろ暗い気持ちも、婚約を果たした今はいくぶん心の整理がついたようにも思う。
まだ張り替えてからさほど時を経ていない、
甘い吐息、乱れた息づかい、時に哀れっぽい声になって慈悲を希いながら、二人の間ではすでに言葉には頼らない形で、それよりも遥かに切実な思いのやりとりが行われているのだった。
親密な男と女にのみ許される、とりわけ敏感な粘膜と粘膜の間で通い合う命の会話、愛情の交歓――。
愛撫が進むとアキトは行為に熱中して、またお口が塞がっていることもあって殆どお喋りをしなくなった。
時折「うつ伏せになって」とか、「今度は四つん這いに」とか「もう少し脚を開いてください」などと指示されることはあっても、体を一つにしているときのように、睦みながら互いのプライベートなお話をする、というようなことにはならない。
その代わりに行為のひとつひとつを念入りに心をこめてくる。
彼女の肉体の弱みを知り尽くしている彼は、けして傷めない形で泣きどころを捉えて実に巧みに追い詰めてくるのだ。
だから、いったん彼の腕の中に堕ちてしまったら、彼女は屈服するまで、彼が満足するまで、その愛撫からは逃れることはできないのだった。
どうしてこんなにいけないことをしたいのかしら――?
目も眩むような歓びに喘ぎながら、アリシアはいつも思う。
女の身であれば愛されている、という確かな感覚があって、そのあまりにも甘美な刺戟に吾を失うほどの幸福の絶頂へと誘われていく。
でも男の子の場合は違う――。
彼は愛情を注いでくれるけれども、自身の歓びにはとんと無関心なのだ。
それでいいのかしら?
片脚に腕がかかってグイッと大きく開かれて、そのまま背後にまわった彼はアリシアの片方の内腿を枕に彼女の体を横抱きにした。
細くしまったウエストのくびれに腕をまわされて、大きく膨らんだお尻の動きを封じると、また秘所に顔を寄せてくる。
アリシアは自ら片脚を持ち上げるようにして、進んでその淫らな接吻に身をまかせるのだった。
彼の舌が何の迷いもなくお尻の穴を舐り始めても、もうそんなに驚かなくなって――。
でも男の子の気持ちは、やっぱりわからない。
どうしてこんなことを望むのか、いくら理由を聞かされてもわからなかった。
きたないだけなのに……。
と、思ってしまう。
女の身体の醜さは、自身がいちばん良く心得ている。
汚いと思うから羞しい。
だからひと目に触れるのを恐れる。
隠しておきたいと思う。
それなのに……。
こんなに酷いことをして、彼はどうしてあんなに幸せそうな顔ができるんだろうと不思議でならなかった。
閉じた障子に差す日の光によって照らし出されて、明るい部屋の中で、女の隠し所をなにもかも彼の面前に晒して、以前の自分ならば思いもつかないような恥ずかしいことも、今は進んで受け容れている。
去年の夏、修学旅行先の京都の民泊で身体の関係になってから後、二人のデートは、とどのつまりは彼女がオーラルセックスに身を委ねることが目的になっていた。
恥ずかしいことをするために、いつも心を躍らせてデートに向かう。
それは身持ちのいいアリシアにとって、心と体に起きた変貌ぶりを自覚せずには居られなくなる、新しい自分との出会いなのだった。
何より口を使うことが大好きな少年は、交わりを避けることで目論見通りにアリシアを倒錯へと誘って行ったのだ。
時を経ずに、彼女は少年のためならどんなことだってできる、と信じられるほどに禁断の恋にのめりこんでしまっていた。
「あ、ああっ……アキトさんっ……」
身をもがかせて、体を捩りながら必死に訴える。
「痛かったですかっ?」
「ううん、ちがうのっ……ちがうわ……」
「じゃあ、なにか……?」
「なんでもないわ……ただ、とってもすてきだから……」
「きもち、いい……?」
「うん……」
「よかった……ボクもとっても幸せです……」
「そう……あたしも……幸せよ……」
クリトリスが包皮の上から指でやさしく撫でられて、敏感な粘膜全体で彼の顔の起伏を感じながら、お尻の穴をしつこく舐られている。
刺戟は、ある時はリズミカルに、また時にテンポを変えて、歓びのうねりが作る絶妙の揺らぎの中、爪先から手の指の先まで全身を快美感が駆け抜けていくのだった。
本当に身も心も蕩けてしまいそうな、それはそれは甘美な、愛情と慈悲に溢れた彼の愛撫。
けれども性器へのペッティングに指と口の両方を使われると、もう後がなくなってしまう。
たった一つを押さえられただけでものたうち回るほどの感じやすい場所を、同時に二箇所も三箇所も苛まれては、羞恥心も躊躇いもあっという間に蒸発して、ただ目眩く陶酔を目指して一気に駆け上っていくしかなかったのだ。
「……いくっ……いっちゃう、あたしっ……やだっ……ああっ……」
普段ならばけして口にはしないような淫らな言葉さえ、瞬間、口走っていた。
その最中、彼女もまた、自身の裡に蓄えた愛の証がついには限界を越えて熱い潤いとなって溢れていくのを、快感に薄れていく意識の中で遠くに感じていたのだった。
どうしてもまとまりきらなくて、いくつかに小分けして上げることにします
今夜の分は短いですが