ARIA A SECRET SCHOOL DAYS 作:真夜中のミネルヴァ
女が隠し抜きたい体の弱みを知りつくした上で、なお示される過剰ともいえる真摯なロイヤリティー。
心の傷を慰めるにはあまりある、愛情たっぷりの口づけ。
倦んだり飽いたりすることなく、延々、大好きです――と、直接からだに訴えかけられて、どうして彼を憎めようか、恨みつづける事ができようか……。
辱めを受けて涙を流した後は、それ以前よりもさらにアリシアは少年の心に寄り添っていた。
体はもっと寄せている。
彼のものを中へと導いて――。
ひとつになると、彼はあまり体を使おうをはしなくなるのだった。
互いの体を擦り合わせて性急に欲望だけを満たそうとするセックスを彼は嫌う。
じっとして密着している感覚が続くことを望んているようで、それは初めて結ばれた時からずっとそうなのだった。
「だって、キミのカラダをこれ以上、傷つけてしまいたくはないから……」
今でもアキトは彼女から処女を奪ったことを悔いているようなのだ。
「でも、キミのカラダがとってもやさしくて、素敵なことはわかりますよ」
やがてお互いの熱が溶け合って、いつしか体の中におさめた異物感もなくなり自分と彼との境界が曖昧になっていく……。
アリシアもしばしそれを楽しんでいた。
「ねぇ、アキトさん……」
「なんですか?」
あぐら座の上で抱かれていたアリシアが、ゆっくりと腰を持ち上げて、体で彼の形を確かめようとする。が、アキトはそれをさせまいとして、腰に回していた腕で抱き寄せようとしていた。
恋人の腕から逃れようとするアリシアと、睦み合いながらの主導権の奪い合いとなる。
しかし、ただ愛されている時とは違って、愛し合っている時は、このところ彼も譲ってくれるようになっていて、
「おねがいっ……あたしにっ……あたしにさせてっ……」
アリシアが声を切なくして訴えながら、アキトの肩にかけた両手に力を入れると、背中に回していた腕の戒めを緩めたのだった。
女の下の口がひろげられる感覚をしっかり確かめてから、またおずおずと腰を沈めていって体の奥の方にまで突かれる感覚を味わう。
愛撫とは違う、鈍く重たい充足感。
それもまた悪くないものだった。
あらためて女の体の欲深さを思わずにはいられない。
いろんな方向、入り口から、機を逃さずに歓びを求めようとしている。
幾度かそれを繰り返して、彼の顔が切なくなるのを見届けて、アリシアも満たされていた。
腰を落としてから、両脚を彼の胴体に巻きつけてしがみつき、全身で密着感を味わう。
「愛してるわ……」
「うん……大好きです……先生のことが……でも、先生も変わったね……以前のキミなら、こんなに積極的になるようなことはなかったのに……今はちゃんとボクとセックスをしている」
「あたしだって女よ……大好きな男の人には、素直に好きって言いたいわ」
「キミはいつだってすなおなやさしい女の子ですよ」
「あら、まぁナマイキいって、あたし、これでも柊アキトくんの先生なんですからねっ、うふふっ」
「ええ、だから先生のこと、いっぱい教えてくださいね」
「いいわよ、じゃあ、ひとつ教えてあげるわ……さっきアキトさん、男の子には“好き”が二つあるって言ってたけど、女の子にも三つの“好き”があるの、知ってる?」
「えっ?! 二つじゃなくて三つもあるんですか?」
「ええ――」
「……うーん、さてなにかな? アソコが熱っぽくなってヌルヌルしてくるのと、そうじゃないのと、あと一つは……」
「ちがうわっ! もう、すぐにへんなことと結びつけようとするんだから」
「違うんですか?」
「ぜんぜん違うわね」
「じゃあ、なにかな……男が好き、女が好き……とか?」
「それも違うわ、うふふっ、アキトさんでも知らないことがあるんだ」
腰をもじもじとさせて彼の体の感触を楽しみながら、アリシアは嫣然と微笑む。
「降参します、教えてください」
読書家で、物知りの少年にも知らないことがあるのが、ちょっと優越感をくすぐられて、
「いいわ、教えてあげる」
アリシアは少年の顔をじっと見つめる。
「女の子の好きにはね、好きっていうのと……大好きっていうのと……」
「大好き?」
「ええ、そうよ……それから……」
「それから……?」
「あと一つは……」
アリシアは言葉を区切ると、少しためを作ってから
「だぁーいきらいっ! っていう三つがあるのっ」
少年の顔に理解が広がる。
「じゃあボクは?」
「だぁーいきらいっ! イーッだ、うふふっ」
アリシアが白い歯並みを見せて、薄桜色の唇の口元をニッとさせるのだった。
少年は、彼女はこんな顔もできるんだ、と目を丸くすると、嬉しさに破顔する。
学校にいるときにはけして見ることのなかった普段着の彼女の自然な表情だった。
カラダだけでなく心も晒してくれていると感じて、それもまた愛おしさを掻きたてている。
「難しいんですね……女の子って……」
「そうよ……とっても難しいんだから……」
「じゃあ、もっともっと真面目に勉強しないと……ボクはあまりいい生徒じゃないから……勉強がまだまだ全然足りないみたい……」
「え――!?」
結ばれたままの体勢で、少年は前屈みに倒れて、アリシアの体を組み敷くようにする。
「教えて……ください……先生のカラダのこと……もっともっといっぱい……」
彼女の両手を取ると頭の上へと導いた。
両の腋の下をあらわにする無防備な姿にされる。
その状態で見つめ合った。
はっきりと意思を感じるアキトの眼差しが眩しい。
再び、行為をするものとされる者、強者と弱者……そして男と女になっている。
まるでご馳走を前にした子供のように舌なめずりをしている少年。
彼が何をするつもりでいるかは判っていた。
「アキトさん……」
「お昼ご飯は、ボクが先にご馳走になりますね……もうお腹がぺこぺこだから……こんなに美味しそうなにおいがすると、ボク、もう我慢できなくて」
そういうと少年はアリシアの開いた腋に舌を這わせてくるのだった。
「アキトさん……そういうのは……」
クンニリングスに準じて、抵抗のあるパートへのオーラルプレイ。
こうした差し障りのある口づけを少年はとても好むのだった。
そのまま愛撫の取り仕切る領域が、乳房から脇腹、そして下腹部へと下っていき、易々と両脚を肩にかつぐと、また性器に顔を寄せてくる。
“もうダメよ――”
と、手に言わせようとして、飴色のヘアの髭を生やした少年が、嬉しそうにしているのを見ると立ち止まる。
「本当に変な子ね……女のそんなニオイが好きだなんて……」
「だって心やさしい、美しい女神さまのにおいだから……」
「………」
「オーラルセックスっていうのは、女神と人の間でのみ禁忌ではなくなる、誓いと契りのキスだから……」
少年のその訴えが、すぐに胸に落ちたわけではなかったのかもしれない。
けれども、また仰ぎ見るような眼差しを向けてきているのに気がつくと、アリシアも真顔になって受け止めていた。
そのまま秘所を左右に広げられて顔が伏せられる。
するとすぐに鮮やかな感覚がわいて、小さく悲鳴を発して乱れた。
彼女の体を知り尽くした恋人ならではの、あまりにも甘美な愛撫。
意識の足元が掬われそうになるのを、アリシアはそれでも堪えて瞳を懸命にして恋人の顔を見やる。
こうして二人は互いを見つめ合いながら、また二人にしかできないやり方で心と体の絆を確かめていくのだった。
今日は短めです。
読む方が楽しくて……つい書く方をサボってしまい……
次回はようやくビーチハウスのシーンに
もはやおきまりの生クリームによる女神殺しプレイへ……?