ARIA A SECRET SCHOOL DAYS 作:真夜中のミネルヴァ
ARIA A SECRET LIFE AS UNDINEから
「どうもありがとうございます、アリシアさん」
迷路のように入組んだネオ・ヴェネツィアの水路。とある狭い交差のひとつで、まだ若い母親が娘の帰りを出迎えて言った。
「お待ちになりませんでしたか? 少し遠回りをしてしまったものですから」
「いえ、私もたった今来たところなんです。さすがですね、約束の時間にぴったりで。本当にすみません、わざわざ自宅近くまで送っていただいて。アギー、アリシアさんにちゃんとお礼を言いなさい」
「ありがとう、アリシアのお姉さん」
幼い少女は母親の手にうながされるとニッコリ笑んでアリシアを見上げた。
「こちらこそアガサちゃん、ありがとう」
アリシアも晴れやかな笑顔で少女に応えた。
ネオ・ヴェネツィアでは新年休暇後の閏一月と夏休み前の閏七月の年に二回(標準歴で年に一度)、地元の小中学生の学外教育活動の一環としてゴンドラ観光の体験をさせていて、協会の全面強力のもと各ゴンドラ会社のエース、もしくはエース級のウンディーネたちは幼い乗客を乗せて街のあちこちを行き交っていた。
今夏はプライマリースクールが二校、ミッドスクール一校、都合三校、参加数二百名ほどの生徒たちは、それぞれ六~七人ずつ三十余りの白いゴンドラに分乗して、ネオ・ヴェネツィアきってのウンディーネたちによる豪華なゴンドラ遊覧を楽しんだのだった。
遊覧の最後は一人一人の子供たちを自宅近くに待ち合わせた親元まで送り届けるのがきまりで、アリシアはほぼスケジュール通りにいま六人目の少女を無事に母親の手に返したところだった。
「えーと、最後のあなたは……スコラダルテ(美術学校)の柊くんね……」
アリシアは名簿を見ながら読み上げた。自分の背中にまだ母と娘が手を振っているのに応えて会釈を返しながら。
親娘にまで届くようにやや声を響かせて――。
「サンタルチアの駅までお送りすればいいのかしら?」
名簿には各家庭の希望の待ち合わせ場所が記載されていたが、最後の一人は中学生で保護者欄は空欄になっている。
「いえ、ボクはそのへんに置き去りにして下さい。後は一人で大丈夫です。こう見えても、もう第九学年ですから」
「あら、置き去りだなんてそんな無責任なことはできないわ」
「みんなと四時の列車で帰ることになっているんですけど、ちょっと寄りたいところがあって」
時刻は三時少し前。
「まぁ寄り道?」
「アリシアさんは広場に戻られるんですよね? じゃあ途中にあるヴァポレットのポートのどこかで……この近くだと、アルセナーレかな……あのあたりで降ろしていただけませんか」
「それはかまわないけど……」
シナリオがあるわけでも口裏をあわせているわけでもなく、ごく自然な会話を装う。誰に聞かれてもミッドスクールの生徒と行事に参加しているウンディーネに見えるように。
アルセナーレ界隈は造船所跡地を今もそのままにしているため、街の中心地のほど近くにあるにもかかわらず観光スポットからは外れていて、昼間でも通りには人影がまばらでひっそりとしているのだった。
「じゃあ近道しちゃうわね」
アリシアは
年下の児童たちと興ずる子供子供した明るい声とは違う、しっとりとした大人の男の香り。
それとなくあたりを見回して、近くに人が居ないのを確かめるとアリシアはわざと晴れやかな声をつくった。
「ここ、満潮時には水に浸かって危ないから、シングルの子たちには通らないようにと言ってるんだけど今日は特別ね、うふふっ」
赤煉瓦の建物の一階部分に黒錆で被われた水門があって、反対側の水路への抜け道になっていた。
「通り抜けできなくなるまで、まだ少し時間があるみたいだから……」
「じゃあ急がないと、ボクが扉を開きますのでアリシアさんはそのままでいてください」
言うなり少年は機敏に
ガッシャン――。
背にした鉄門が自重で自然に閉じた。
するとたちまち暗闇が寄せてくる。それとともに街の生活音からも切り離されて隧道内は時ならぬ静けさにつつまれてしまうのだった。
目が慣れるまでの間、闇と静けさとで鋭敏になった小鼻をひくつかせて、アリシアは
苔や水草の少し黴臭くて、どこか懐かしい匂いのわけを。
それに――。
チョークと木炭、それに油絵の具の混じった日なたっぽいにおいが少しずつ自分の方へと近づいてくるのがわかる。
肌に馴染んだ好ましいにおい――。
視線を落とすと、もうすぐ足下まで来ているのだった。
少年は無言のまま
アリシアもすぐに内腿を開き加減にして少年の行為を容易にしている。
期待と不安とで胸をドキドキさせながら。
女の秘密の匂いを好んで求めるアキトのしぐさには、アリシアはいつでも心をかきみだされてしまうのだ。
嬉しくて哀しくて……愛おしくて……。
恥ずかしさは恋人たちにとって無くてはならない甘美な媚薬。
男が女の匂いにかしずくのは恭順と忠誠の誓いの儀式にも
そして、口づけというありふれた行為が隠しもっていた、ありとあらゆる可能性について……。
さらにどのような行為が可能なのか、男と女がどれほど互いを許し合い、愛を名分にして淫らに大胆に振る舞うものなのか。
どれもみんなアキトが女の心と体に時間をかけてゆっくりと教えてくれたことだった。
そうしたことに初めはおずおずと応じていたアリシアも、今では二人がなによりも情熱をかたむけて取り組むいとなみにもなっている。
だからといって狎れて恥ずかしくなくなったというのではない。
アリシアは今この瞬間も畏れを感じている。自分の醜い臭いがこの年若いかけがえのない恋人を辟易させてしまうのではないか、疎まれてしまうことにはならないかと。
ただそれは常にアリシアの思いすごしで、少年はいつでもやわらかな口づけの洗礼によって安堵と歓びをもたらしてくれるのだった。
たとえ肌着の上からでも女の矜持をくすぐらずにはおかないうやうやしい接吻の雨。
ワンピースのスカートの中にすっかり潜り込んだ少年は、アリシアの肌着に両手をかけて脱がそうとしている。
易々とお尻を剝き出しにされ、股布が潤んだ肌に貼りついているのを強く意識させられながら白い肌着は足首まで引き降ろされて、そのままアキトのポケットの中へと消えていった。
制服の下で無防備にされた下半身に少年のあたたかな吐息がかかる。アリシアは目を閉じて、アキトの口づけがヘアの中に落ちてくるのを待っていた。が、予想に反していきなりディープキスになったのだ。
アキトは舌をナイフのように固くして密やかな粘膜の襞を切り分けた。そのまま女の最も感じやすい花芯を捉えて口の中に閉じ込めてしまう。ぬるっと温かくて おっつけるような感触のものが寄り添い、肉芽のまわりをなぞり、ちゅくっと吸い出されてアリシアの清楚な唇が悲鳴をあげるような形に開かれた。が、声をあげまい と白い喉をわななかせて必死に堪える。
万がいちにも誰かに聞き咎められて、誤摩化しようのない事態になることを恐れたからだった。
声を出しちゃダメ……ああっ、でもっ……あっ、はうっ――。
繊細な真珠がやさしく丹念に舐めとられて、アリシアの体がピンっと張りつめた。それはあまりにも残酷な仕打ち。女の泣き所が手加減なくまっすぐ責め苛まれている。
アリシアにできることはただ両手でオールをしっかり握りしめて、倒れまいと脚を開いてなんとかバランスを取ることだけだった。
すかさず少年は内腿の間に体を入れてきて、アリシアは男の顔に跨がるような恰好にされてしまう。二つのシルエットが一つになって股間と顔とがぴったり密着した。
暗く静かな隧道内で、アリシアのせつなげに乱れた息づかいにときおり湿った口づけの音が混じっている。
少年の繰り出す愛撫がこわいほど心地良いのだった。
襞の間を何度も行き来する舌の感触、丸まった肉びらは頬張られて舌と唇とでひとつひとつ丁寧に羽を展げられる。
秘密のくぼみのただの一つも、アキトの舌と唇はそっとしておいてはくれないのだ。
迷いの無い動きでしっかりと探りを入れられ、匂いを嗅ぎ取られ、恥ずかしい分泌物の味を確かめられてしまう。
いつもならたっぷり時間をかけて、焦らしたり慰めたりしながら少しずつ歓びの高みへと誘ってくれるところが、今日はキスが始まったと同時にクライマックスへと舞い上がっていた。
さながら大交響曲のダイジェスト版のようにホットパート部分だけを繫いで、アリシアの感じやすいところを外さずに、いちばん好ましい手順と方法で刺戟してくれている。
いいきもち……ああ、なんてやさしい……。
スカートの中で繰り広げられる愛と情熱のドラマにアリシアの心と体はとろけてしまいそう。なにより秘所への愛撫にも増して嬉しいのは、アキトの歓びがしっかり感じとれることだった。まるでおっぱいをねだる乳飲み子のように女の潤いを無心に舐めとっている。
だからアリシアも少年が望むまま、求められるままに脚を開いた。
必要とされて、そして与えられるものがあること、それは女にとって最も満たされる経験……。
だから……。
おそるおそる手を伸ばして盛り上がったスカート越しに恋人の頭をそっと撫でてみる。自分にこのうえない歓びで満たしてくれる、たった一人の特別な人に愛情と感謝を込めて。
左右からお尻の肉をぐいっと掴まれて、谷間をひろげようとしている少年の手のたくましさに、怯えながらも目覚めた体が期待におののいてしまうのだ。柔らかな肉がもみしだかれるたびに、谷間から潤いがじゅわんと滴りそうになっていた。
あんっ――♡。
敏感な肉芽が
あまりにも甘やかな刺戟に驚いて体が反射的に逃れようとしても、すぐにまた熱い口の中に捉えられて官能の底なし沼に引きずりこまれていく。
アキトの愛撫からはけして逃れられない――。
そう思い知らされることがまた新鮮な歓びにつながっていた。
自分でも触れるのを躊躇うようなデリケートなところ、女の本性そのものといってもいい秘密の尖りに磨きをかけられていると、瞳の奥に極彩色の火花が散って体の力が抜けてしまいそうになる。
アリシアがわずかでも隙をみせると、少年はすかさず股をくぐって背後にもまわりこんでくるのだ。タブーを知らない貪欲な舌先で女の尾骨の下に咲く淡い翳りをとらえ、今度はじっくりと隅々まで探るような動きをみせて肉の味を楽しみはじめた。
女の弱みを熟知して、わけへだてすることなく存分に愛情を注いでくれる男の口づけ。
悪いことをいっぱい知っていて、とても要求の多い十五歳の男の子の禁断の愛技。
舐めたり吸ったり突ついたり。
そんなことまで――! と、アリシアがたじろぐような酷いことでもアキトはけして怯んだり躊躇ったりすることはなかった。
いけない、と思いながらすっかり愛撫になついた体は恋人の口づけが待ちきれずに自ら腰を動かして求めてしまうまでになっている。
前も後ろも表も裏も、アリシアは女の秘密のすべてをさらして、どこまでも甘美な肉欲の果実に手を伸ばした。
もう少し……。
あと、もう少し……。
う、ううっ……。
残酷な指に深く肛を犯されて、堪えきれずに、ああっ――と、声をあげて乱れた。
夏の白い制服の薄い生地をとおして、開いた両足の間に差し入れられた少年の褐色の腕が透けて見える。
さながらアリシアは大きな指人形のよう。
恋人の思いのままに切ない声で甘える、この世で最も美しいフィンガーパペットだ。
憎い指にピン留めされて身動きを封じられ、しどけなくぬかるんだ膣穴をチュクチュク吸われながらぺろん、とクリトリスを舐めあげられる。
逸楽の三つのポイントを捉えられて、女の体に深刻なまでの快感を生みだしていた。
罪深い淫肉が熱い体液にぐっしょりと重たくなって、ただひたすらその時が来るを待ちかねている。
声は忍んだ。それだけはダメ、と。
ひとたび我をなくしてしまったら、どこまで転げ堕ちていってしまうかわからなかったからだ。
愚かさ故に何もかも失ってしまうのかもしれない――。
そんな畏れがアリシアをかろうじて現実に踏みとどまらせている。
でも……いまは……いまだけは……おねがいっ……あたしっ……。
アリシアは喉許を長くさらして天を仰いだ。
きつく目を瞑って、刻々と紡ぎ出される肉体の歓びに意識を集中させる。ハミングバードのように長い睫がふるえている。
あたしの……からだ……。
とけるわ……。
とけちゃう……。
ああ……。
全身に緊張が漲った。
まるで自分が矢になったようだった。解き放たれる瞬間を待って限界まで引き絞られた弓に掛かる一本の矢に。
やがてオールをにぎりしめた立ったままの姿勢でふわりと浮き上がるような、不思議な感覚に包まれるとアリシアの視界は白光におおわれてしまうのだった。
……いっ、いい……いっちゃうっ……あたしっ……。
声にならない悲鳴をあげてアリシアの体が優雅にしなる。編み上げた長い金髪を揺らして高く高く舞い上がっていくのだった。
隧道の天井を突き抜けて尖塔を遥かに見下ろす天の高みにまで。
女であることの幸せを体の隅々にまでいきわたらせて。
……ステキ……ああ……こんなにステキなこと……。
実際はとても静かに、ほんの少しだけ息づかいをせつなくして、ほんの少しのあいだ息をのみこんだだけの、じつにアリシアらしいつつましさで歓びを迎え入れていたのだったが……。
アキトさん……。
大好き……。
愛してるわ……。
胸にためていた息を長く吐いてアリシアは閉じていた瞼をゆっくり開いた。迫りくる煉瓦造りの天井を、まだ視線のさだまらない眼差しをしばし不思議そうにして。
歓びの余韻を残してかわいいお尻はスカートの中、男の子の両手に包まれてピクピクしている。
秘密の口づけは肉欲を汲みだそうとするときとは違って、歓び果てた女の体をいたわる穏やかなものになっていた。
情熱的なクンニリングスから事後のクリーニングへと。アキトが敏感な部分をつとめて刺激しないようにしているのがわかるのだ。
やさしくて思いやりのこもった口づけ、だから余計にアリシアはせつなくなる。
気持ちが性愛の酔いから醒めて清明になっていく分、恋人の心根までがはっきりと窺えるからだった。
アキトの接吻は惜別の口づけだった。
自分がどれほど深く愛されているかを感じずにはいられないキス。女のいちばん敏感な肌で思い知らされる愛する男の情の深さ。
アリシアの胸の中でききわけのない女心が悲鳴をあげている。
本当はもっとかわいがって欲しかった。いっときの体の飢えは満たされても心までは満たされたとはいえないのだ。
いつもならたっぷり時間をかけた愛撫の後はアキトの胸に抱かれて、まどろみのなかで体に宿った熱が冷めるのを待つのが習いになっている。
髪を愛でられて、背中を撫でられて、強い羞恥に気後れしているアリシアが自信をとりもどすまで倦まずに睦みごとを囁きかけてくれる。
とっくん、とっくん――。
アキトの胸の鼓動を感じながら、息づかいを間近に感じながら。
それは女にとって体を愛されるのと変わらないいちばんのお気に入り、安らぎの居所。
恋人から「大好き」と説かれるたびに心が歓喜にうちふるえる。だからアリシアも自分の思いのたけを言葉にできるのだった。
かけがえのない時間。
けれども今日はほんの束の間のデート。トンネルに入って二人だけになってからは言葉さえも交わしていなかった。
デートはデートでも淫らな恥ずかしいキスをかわすだけの、とても不自然な忍び逢い。ただ肉欲を満たすだけの交歓であるなら、あまりにもあさましくて哀しい。
イヤっ――。
……そんなのは……嫌……。
スカートの中に潜ったままのアキトの唇が落ちてくる。
潤んだ谷間の中に息づくとりわけ敏感な部分を避けて、その少し上のあたり、ヘアとの境目あたりへのねんごろな接吻となった。
はっきりわかるお別れのキスに、もうおしまいなの――? と、欲望に目覚めた体が抗議している。けれども初めは光の点のようだった出口が見る間に大きく明るくなっていた。隧道が塞がるまでにはまだ間はあっても、これ以上帰りが遅れるのは不自然に見えてしまうかもしれない。周囲に有らぬ疑念――実際は”有らぬ”どころではなかったが――を抱かせてしまうのは今は絶対に避けなければならなかった。
股間に当て布されるのを感じて、アリシアはどうにか自分の今の気持ちをおさえつけた。少年は左右の腰骨のあたりで手を蠢かせていて、どうやら脱いだものとは別の肌着をつけられているらしかった。
やっぱり穿いていたのは取られちゃうのね……。
仕方がないわ、と、アリシアの口許に困ったような、それでいてどこか満足げな微苦笑がつくられる。愛しあった後でアキトにその日、身につけていた下着を奪われてしまうのは半ばお定まりになっていたからだ。
初めの頃はとてもショックで抵抗感があったが、馴れもあるのだろう今ではそれほどでもなくなっている。
恥ずかしいのが半分、嬉しいのが半分といった案配。
アキトが興味本位などではなくて本当に自分のひそやかな匂いを愛してくれていると信じられるからだった。ありのままを受け容れられているという安心感はなにものにもかえがたいこと。
だって持ち主の元に返るんだもの――。
そもそも身につけていたのは満二十歳のお祝いにアキトからプレゼントされたものだった。大胆なローライズでちょっぴり勇気の居るデザインだったので、そのまま穿くこともなくチェストの抽き出しの奥に大事に仕舞いこんでいたのだ。
それがアキトにはお気に召さなかったらしく、前のデートの時には「今度逢うときは絶対に穿いてきて」と念をおされていた。だから今朝は仕方なく身につけてみることにしたおろしたて。ヘアを隠しきれないほどの浅いフロントは普段ならとても制服の下に纏うインナーとして相応しくないもの。ゴンドラの
幸い今日は子供相手でその点についてはあまり気遣いをする必要はなかったのだが。
そして今、身につけさせられているのはさらにエロティックなデザインであるのは間違いなかった。両サイドがほどけるというもっと脱ぎやすい、脱がせやすいもの。
ほんとうにイケナイ子なんだから。こんな下着、いったいどこで手に入れてくるのかしら……。
実際には覚悟していた以上に大胆なもので、あとでそれを知ったアリシアは羞恥に呻いてしまったくらい。股布がない薄手の白生地は逸楽の余韻のしどけない分泌物を吸って見事に透けてしまっていた。亜麻色のヘアばかりか秘密の唇の形までくっきり浮き上がらせていて何も穿いていないのと変わらなかったのだ。
アキトさんにはかなわないな――。
分ってはいても、年下の男の子、ということがアリシアを屈折させて背徳感を刺激している。タブーを犯している意識は羞恥心と綾なして恋と性愛のアラベスクを織りなすには欠かせない朱い糸なのだった。
こんなにものめりこんでしまうなんて……。
恋を知らずに年を重ねるものだとばかり勝手に思いこんでいた自分が、僅かの間に変わってしまっていた。
わたしが穢れを知らない白き妖精ですって? 男の子とのふしだらな行為に耽る愚かな女なのに……。
そのおマセな少年は最後の最後にアリシアに熱烈なディープキスをして締めくくると、もぐりこんでいたスカートの中から出てきて、何も言わずに舳先へと戻っていってしまうのだった。手にした肌着を裏返して汚れを確かめると、まだ幼い鼻先を寄せてにおいを嗅ぎはじめた。
いつものような慰めの言葉もなく、そうされるのがアリシアを孤独に心細くさせている。
あんまりへんなことしないで……。
アリシアは碧い瞳を眩しげにハラハラしながら少年のしぐさを見まもっていたが、アキトが自分の汚れ物の匂いを気に入ってくれたらしいと感じると、安堵にごくりと喉をならすのだった。
女にとって汚れた肌着ほど疎ましいものはない。
おりものの醜い臭いを吸いこんだそれは、とても他人には見せられない、委ねられない秘密。
それなのに、その羞恥と懊悩の極みともいえる生々しい現実を、アキトは知り尽くしているばかりか、好いてくれている。
泣きたくなるくらいはずかしくて、泣きたくなるくらいうれしいこと。
心と体を許し合った恋人の間では、たとえ汚臭や淫臭であっても好ましく、愛おしく感じるもの。それはアキトと深く結ばれることで学んだことだった。
アリシアもアキトの雄の匂いには強く惹かれているからだ。むしろ今もアキトに対して同じようにお返しをさせてもらえいないのが不満なくらいに。
わたしだって、アキトさんのこと、もっといっぱい知りたいのに……。
いけないこと、不道徳な禁忌を犯すことが絆となる愛と性のとても不思議なたくらみ。
ああ……みんなアキトさんがいけないのよ……。
アリシアはまた股間がしどけなく潤んでくるのを感じて、きつく両脚を閉ざして堪えるのだった。
揺れる思いに翻弄されるアリシアをよそに、アキトはすっかり満たされたようすで、奪い取った肌着を丁寧にたたんでいる。彼らしい周到さで用意していた密封式のビニール袋に入れ、蜜に汚れた口のまわりを丁寧に拭ったティシューもその中に入れて封じると上着の内ポケットの中にしまい込んだ。
さながら戦利品のようにして。
少年がそれを持ち帰ってどうするかをアリシアは知っている。
「そんなことキマッテルじゃないですか。大好きなアリシアさんのにおいを嗅ぎながらかわいいキミのことを思い出していっぱいマスターベーションをするためだって」
以前にアキトからはっきりとそう告げられたからだ。
それなら――。
と、アリシアは思う。
男の子が独り寝の寂しさを紛らわせるために好きな女の子の匂いを求めるのなら、女の子だって同じ……。
けれどもそれはけしてアキトには容れてはもらえないこと。
「花はその美しさ、かぐわしいにおいを愛されるもので、主語が逆転すると統語エラーないしはB級ホラー」
アリシアのおそるおそるに切出した遠回しな希望は、冗談とも本気ともとれるアキト流の言い回しで即座に打ち消されていたからだった。
ずるい……。
アリシアはせつないため息をひとつ吐いた。
甘美な、あまりにも甘美な経験を重ねているのはたいていは自分一人。
アキトは自身の欲望に対してはストイックで、それはベッドの中でも今日のような束の間のデートでも同じだった。
少年の情熱はいつでも女を逸楽へと追いやることに向けられている。
アリシアは強い男の腕の中で愛されて可愛がられて、身のはかなさを繰り返し教え込まれるばかり。自分に与えられた役割が体をひらき弱みを晒して屈服の喘ぎをあげて容赦と慈悲を願うことなのだということを。
ひどいな、ずるいな、アキトさんは……あたしをこんなにして、こんなあたしをひとりにして……また行ってしまうのね……。
ゴンドラの舳が隧道を抜け外の陽射しが少年の黒髪を眩く斜めに切り取った。
「あの、ボク、このあたりで大丈夫ですから」
淫らに情を通じた昏さなど微塵も窺わせない明るい男の子の声で、屈託の無い男の子の顔をしたアキトがこちらを振り返って言った。
「あら、そう?」
アリシアもしわがれた生臭みのある声にならないように精一杯声を作って応じる。
「じゃあ、この先の舟寄せに停めるわね……」
ひと気の絶えた細い水路の先に午後の陽射しにさんざめくキャナルの水面が見える。
人々が暮らす平和で明るい外の世界、日常が。
きっと二人であの輝きの中を、誰にも咎められることなく……。
それがアリシアの希いだった。
季節がめぐり、またあの秋が来れば……。
ただそれはまだ半年以上も先のこと。
ゴンドラが岸から離れてもアリシアの瞳は翔け去っていく後ろ姿を追っていた。外でのアキトがけして振り返ったりしないことを知っていても、もしかしたら今日はと思うと目を離すことができなかったのだ。
少年が通りの先をついと折れて見えなくなってからもアリシアはまだあたりを名残惜しげに見つめていた。
なんて未練がましいのかしら……こんなことではきっとアキトさんに嫌われちゃうわ……うふふ……。
目頭に滲む涙を指で拭う。
だれかに見られても気どられないほどの自然なしぐさで、けれども勘のいい同性たちの目を欺くことまではできなかったであろうほどの危うさで。
アリシアはものういため息をひとつして、恋に酔った女の顔からウンディーネに戻った。再び漕ぎ出したゴンドラは軽やかに水にのり、妖精たちが舞い踊る光の国へと還っていくのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「おう、遅かったじゃねぇか」
「ごめんなさぁい晃ちゃん、うっかり遠回りしちゃったのぉ」
行事本部が置かれた広場前には既に子供たちを送り終えて戻ってきたウンディーネたちが数多くいて華やかな賑わいをみせている。
アリシアも主催者である協会の事務本部に運行伝票の返却を済ませると、晃の居るオープンカフェテーブルにやってきたのだった。
「ま、オレはいいけどさ、賭け、っとあんまデカい声じゃいえねぇが約束は約束だからな」
あらかじめ三人――の間でのとりきめで、一番最後に戻ってきた者が午後のカフェを奢るということになっていた。もちろんスイーツ、軽食も込みで。
「ええ、わかってるわ晃ちゃん……あらアテナちゃんは?」
運河の上からはたしかに見かけたアテナの姿が無くていぶかしむ。
「あいつもいまさっき戻ってここに居たんだが、どこいっちまったのかな……居た居た、あんなところでガキとじゃれてる」
半ばあきれ顔の晃の視線の先に、両手にグラスを持ったまま小さな子供たちにまとわりつかれて途方にくれかけている三大妖精の一人が居た。
どうやらセイレーンは乗せた子供たちのほとんどを出発会場まで連れ戻ってきてしまったらしいのだ。これには保護者側の都合もあったのかもしれないが、普通は運営側が配慮して組み合わせを入れ替える等して、ひとつのゴンドラに纏まらないようにしていた。
子供というものは、ひとりひとりは素直で従順でもいったん数がまとまると、気のいいウンディーネにはたちまち手ごわい難敵に変貌してしまうことがあるからだった。
しかし今回は運営側の上手の手から水が漏れてしまったようだ。
「見ろ、あーなるから止しとけっていったのに」
小さな手が伸びてオレンジプラネットの制服のスカートのあたりをつかんで離そうとしない。幼い子供たちはみな短いながらも冒険を共にした美しき艇長と、もっと一緒に”遊びたい”のだ。
ひと仕事を片付けた後の至福の一杯を友の待つテーブルに届けようとジュースを手に広場を游ぐウンディーネの姿は、子供たちにとってはさながら護衛艦なしで大海にのろのろと出てきた甲板を艦載機でいっぱいにした空母だ。たちまち無慈悲な魚雷の航跡が四方八方から集中する。
傍目にも当事者には事態の収拾は困難に映っていた。
「どれ、ひとつオレサマが行ってガキどもをどやしつけてくるか、ったく保護者はいったいどこに居るんだよ」
「待って晃ちゃん、ホラ……」
アリシアは押っ取り刀で立ち上がる晃を制した。今しも事務方から両耳を頭にぴたっとはりつけて血相を変えて飛び出してくるオレンジ色のシープドッグの姿が見えたからだった。群がるコバンザメをひとつひとつ引きはがし、迷子に色を失った親元へと送り届ける。抵抗するものには氷のような眼光で震え上らせ、たちまち事態を収集していくのだった。
お見事――。
「ほう、ちんまいのも居たのか、ってことはアリシア、オマエんとこのも来てるのか?」
「ええ、今朝から裏方さんでがんばってくれているワ。あら、そちらは来てないの?」
もちろんお祭り好きの藍華も参加したがったがファミリーの法事と重なったため、母親に首根っ子をくわえられた子猫のように否応も無く見知らぬ町へ連れて行かれたとのことである。
ろくに顔も知らない親類縁者等に会うために、まるで興味のない話を延々聞かされて神妙に相づちをうつために。
お気の毒――。
「アリシアちゃん、お疲れさま」
「ありがとう、大変だったわね、子供たちのお相手」
「最近の親どもはガキのしつけがなってないんじゃないのか? ウンディーネは幼稚園の先生じゃねぇってのに」
アテナは曖昧に頬笑みながら三つのグラスをテーブルに置くと席に着いた。
「晃ちゃんはなに?」
「ソーダとジンジャーとレモネードか……じゃあジンジャーにしとくか」
「アリシアちゃんは?」
「わたしはいちばん最後だったから何でもいいわ」
「じゃあレモネードでいい?」
「ええ」
たったひとりでも世界を停める力がある希有の美女が、三人そろってひとつのテーブルを占めていればその周辺一帯は幽谷のような静けさにつつまれる。
何人も立ち入りを躊躇う女神たちのティータイム。
「それで話はできたのか?」
おもむろに晃に問われてアリシアはすなおに頷いた。何を訊かれているのかはわかる。
「そっか、良かったな……」
「うん……ありがとう、二人にはとても感謝してるわ……」
アキトが自分のゴンドラに配されたのが偶然などではないことをアリシアは察していた。結果として誰か――きっとその中にはアテナも居るに違いない――がワリを食うハメになったであろうことも。
名簿の取り扱いは現場でいくらでも融通が利くからだ。
晃も、そしてアテナも、アリシアと件の少年が親密な間柄であることを知っていた。以来、内々に気にかけて二人を応援してくれているのだった。ただそれ以上立ち入ろうとはしないこともアリシアにはありがたかった。
どんなに親しい間柄でも打ち明けられないことはある。
もちろんアリシアも二人のプライバシーには触れない。できる範囲で力になることはあっても。それが暗黙のルールだった。
互いを尊重し強い絆で結ばれているからこその思いやり。
追う恋、待つ恋、忍ぶ恋――。
それぞれが言葉にできない”おんな”を生きている……。
「さてと、そろそろ店も開く頃合いだろうし、河岸をかえるか」
晃は給仕の青年に片手をあげると人差し指の爪で手のひらにさっと一本線を描いた。
潮がひくように広場から賑わいが移ろい日常へと戻っていく。
出払っていたウンディーネたちはみな帰ってきたのか、行事本部も後片付けをはじめていた。両手や片手に手袋をした少女たちがダンボール箱を胸に抱えて甲斐甲斐しく行き来する様は微笑ましい。
「ここのチップは晃サマが出しとくからよ」
なんで何にもしないヤツにチップが要るんだろうな、とぶつぶつ言いながらポケットの小銭を探るしぐさもドキッとするほどサマになっていて、アリシアはあらためて晃というかけがえのない畏友の存在を嬉しく思うのだった。
その上手の手からコインが一つこぼれて落ちた。
ちゃりん――。
「おっといけね……」
身を屈めて丸テーブルの下を覗く晃にアリシアとアテナは椅子をひいて立ち上がる。
「あ、あ、あ……と、あったあった……ん……ん?……」
コインに手を伸ばしながら晃は怪訝そうな面持ちでアリシアの顔を見上げた。
「なぁアリシア、おまえの靴下になんか紙が刺さってるみたいなんだが……」
「え? 紙? あら……」
アリシアは自分の足もとに目を遣って、左足の靴下の間に二つ折りにした白い紙が覗いていることに気がついた。手に取るとそれはまぎれもなくメモで、折り目を開くと内には日付と時間、そして場所が記されている。
アキトの筆跡で。
単に情報を羅列しただけのあっさりとしたものだったが、デートの誘いのようでもあってアリシアは思いがけない発見に目をみはった。
「なんだ? まさか次のデートってワケじゃあるまいな?」
晃が耳許で囁いて、アリシアは「うん……」と、小さく頷く。
「よかったねぇアリシアちゃん」
「ありがとう、アテナちゃん……」
「チっ、仲がいいことで。にしてもコ生意気なガキだな、天下のプリマウンディーネをメモひとつで呼びつけるなんてな」
「そんなこと……」
「ンな怨めしそうな目でオレをみんなって」
「あたし……」
「いいからいいから……ったくしょうがねぇなぁ、おまえらには世話が焼けるぜ、大事な伝言がこうもあぶなっかしくちゃな。気づかずに無くしちまったらどうすんだよ」
晃に肩を叩かれてアリシアはすまなそうな顔で目を伏せた。が、胸もとは女の喜びをはらんで豊かな曲線を描いているのだった。すぐにまた逢えると思うと抑えようとしても気持ちが自然に踊ってしまう。
「靴下にメモを突っ込まれても気がつかないなんておまえらしくないな。ナニやってんだよ」
「なにって……」
晃は何気ない言葉をかけたつもりだったが、アリシアの白い頬がたちまち朱に染まっていくのを見て、たちどころにその意味を察したのだった。晃の頬にも朱が差してくる。アリシアは晃の表情の変化に気がつくとさらに真っ赤になった。
白い制服にみごとに紅潮した顔が映える。
常の端然として玲瓏な白き妖精らしからぬ取り乱しぶりは、事件と言えるほど唐突な出来事だったかもしれない。
けれども二人の友の背に庇われてそれに気がつくものは広場には他に誰も居なかったようである。
「……にしてもあのガキ……とんでもねぇな……」
「ちがうの……」
つぶらな瞳をしばたたかせて言葉を探すが、アリシアは見つからないままに細い肩を窄めてうつむいた。長い金髪の間に覗く耳の先までピンク色になっている。
「晃ちゃん、アリシアちゃんをいじめちゃだめ」
「あ、ああ……ワリぃ……」
「だいじょうぶ、アリシアちゃんはアリシアちゃんだから」
アテナはアリシアの背中を「よしよし」とでもいうようにさすっている。
こうした時、万事に茫洋とした友人の性格はありがたかった。知っていて知らないフリ、気がついていても気がつかないフリをしてくれる。
アテナの場合それが身についていて、ごく自然にできるのだった。
彼女を良く知らない人からすると鈍いのではないかとさえ映る鷹揚さ。けれどもその内側には熱い情熱と豊かな感受性を抱いていることをアリシアは知っている。
もの静かな湖面のような心は彼方に木の葉が落ちるだけでさざ波が立つほど繊細で、それに気がつかないのは、こちらが喧噪に馴れて心の鏡がくすんでしまっているからだ。
ただひとつ確かなのは、やり方は違っても晃もアテナも、どちらもアリシアの身を案じてくれていることだった。
だから、二人にはいつかきちんと伝えなくてはいけないと思う。
アキトへの気持ちと自分の覚悟について。
「ごめんなさい……わたし……」
「オイ、ナニ昼間っから酔っぱらってんだぁ、よしっ、酔い覚ましにいっちょうとっときのスイーツでもガブりに行くとするか」
もうその話はオシマイと言うように、強引に話題を代えた晃が肩に腕をまわしてきた。幼い頃から親しんだ男の子っぽい感触にはいつでも安心感があってホッとさせられる。
「そうね、晃ちゃんいいお店みつけたんでしょ?」
「オウよ、先週ウイッチベーカリーの出店がこの町にもできたって話でな、ウチの後輩たちが騒いでたんだが、なんでもブラウニーが絶品だとかでサ」
その店の話はアリシアも灯里から聞かされていた。近頃は町の事情については灯里の方が明るくて、大概のニュースは後輩のフィルターを通して接するようになっていた。
「うん、あのチョコレートブラウニー楽しみ。おみやげにもできるし」
アテナは既にブラウニーを頬張っているように陶然となって言った。
「オマエんとこは頭数が多いから土産にするとなると大変だぞ、聞いたところじゃけっこうするみたいだし」
「でも今日はみんなにお世話になったから」
「うん、そうだな……オレもそうすっかな……ウチも大所帯だしな、いったい幾つ要るんだか……シングルがひいふうみいよぉ……」
「じゃあ急がないと、あのお店、あまり数を焼かないって話よ」
アリシアがそう言うと、晃はニヤッと白い歯を見せてひとさし指の背で軽くアリシアの顎の先を突つついた。アリシアはいつもの笑顔で応える。
「ナビゲートよろしくね晃ちゃん」
「へいへい」
アリシアを真ん中に、とびきりの美女三人が仲良く身を寄せて広場を後にする。
石畳の上を足どりも軽くまさに妖精のように。
シエスタが終わりネオ・ヴェネツィアの通りにはまた活気が戻りはじめていた。そこかしこの店舗で軒先にぶら下がっていたCLOSEDのパネルがひっくり返されて”営業中”になっている。
夏の陽は高く夕暮れにはまだ間があった。
アリシアは友の腰に廻した手の温もりをとても愛おしく感じながら、いまのひとときを大切に思うのだった。
既に一人一人が自分の道を歩きはじめている。晃もアテナも、そして自分自身も。それぞれが昨日とは違う今日を生きている。そして明日になればまた別の自分と出逢うことになるのかもしれない。
けれども、どんなに時を重ねてもけして変わらないものもあった。
友情、愛情……人の心のもっとも尊くて美しいもの。
「わたし、好きよ……大好き……晃ちゃんのこと、アテナちゃんのこと……」
アリシアはひとりごちるように呟いた。今の気持ちをたしかめるように。
「え? なんだって?」
「ううん、なんでもない」
「わたしもアリシアちゃんのこと大好き」
すぐそばに真剣なまなざしのアテナの顔があった。
「うん」
アリシアは思わず相好をくずして頷いた。そんな二人をみつめる晃の瞳は穏やかな光をたたえている。
「なんだそんなことかよ」
「だって……」
言いつのろうとするアリシアを晃は男の子っぽい笑顔で制すると言った。
「きまってんだろ、そういうのはなぁ、口にするだけヤボってもんだ」