ARIA A SECRET SCHOOL DAYS 作:真夜中のミネルヴァ
ネオ・ヴェネツィア、24月24日、午後2時少し前。
温泉郷――。
「アリシアさんは、クンニリングスはきらいですか?」
幼い唇がつむぎだす、おそろしい言葉。
「……どうして……そんなことを訊くの?……おかしなこと、ばっかり……」
「わかってるでしょ? ボクがキミのにおい、大好きってこと」
「………」
「アソコのにおい……」
「……バカ……」
「バカって言った、白き妖精さんが……」
「……言うわ、それくらい……おバカさん相手に、いつもニコニコなんてしていられないから……」
「ごめんなさい……」
薔薇色に染まるアリシアの広いおでこに、アキトは額をこつん、とのせて甘えてくる。
「でもボク、どうしてもキミのにおいをたしかめておきたいんだ……忘れないように記憶にしっかり焼きつけておきたくて……」
アリシアのまん丸に開いた碧い瞳の奥をじっと覗き込むようにして、臆面もなく誘惑する。
「マンホームに帰る前に……」
とどめのひとこと。
それをいえば、もう自分がイヤとは言えないのを知っていて。
「……ずるいわ……」
「うん……ずるいですね……でも、キミと半年も会えないなんて、辛すぎるから……」
「………」
「ボクは、キミが好き……大好き……」
胸に手を這わせ、たっぷりと重量感のある肉房の感触を確かめるように丹念に包んで愛撫しながら、指の間に乳先をはさんで戯れる。ちょっぴり拗ねた顔を保とうとしても、アリシアは甘い刺激にすぐに表情をくずしてしまうのだった。
「ん……」
形のいい鼻を鳴らして切なげに視線を流している。
少年は女の変化を見届けると、細っそりとやわらかな体を強く抱きすくめ、なぐさめの口づけをしながら淡褐色の体が白い美肉の上を這いおりていくのだった。
抱かれている女の身からすると、体を撫でる手の温もり、感触に自分がどれほど大切にされているのかが分かるやり方で。
慈しむような愛撫は屈折する女の心をやすやすと
「だ、だめ……イヤ……」
「やさしいひと……ボクのアリシアさん……」
首、胸、脇腹の愛撫をあっさりおさらいすると、今度は女の命を求めて、少年は一気に体を沈ませてくる。
「ああ……アキトさん……」
ヘアに吐息がかかって、アリシアが後悔を感じる間もなく両の内腿に手が副えられて股間を分けられてしまった。求められるままに、ぐったり気だるい敗北感をいだきながらアリシアは体を開くのだった。
赤ちゃんを産むときのような女が最も無防備な姿に。
相手の顔前に秘密をくまなく、すみずみまでさらけだす大胆な体位。
片脚を肩に担がれて、アキトが満足するまではもう脚を閉じることさえ許されなくなってしまう。
「スゴいなぁ、キミは……」
股間にうずくまったアキトの嘆声が聞こえてくる。無情にも見られたくない場所を指で左右にひろげながら。
哀しいぬめり感とともに冷えた外気が奥の方にまで届くと、恥部をかばいたいという衝動をおさえて、アリシアは両手で顔を覆って辱めに堪えた。
「……あんまり……見ないで……そんなところばっかり……」
「きれいだよ、どこもみんなピンク色で……花びらに似てる……ずっとずっとステキだけど……」
「……羞かしい……」
「どうして? こんなにキレイでカワイイのに……」
柔肉を指圧する加減で、めくりかえった襞と襞の間にもじっと視線が注がれているのを感じるのだ。冷気の代わりにほのかな温もりが迫って、目を閉じていてもアキトが顔を寄せてくるのがわかるのだった。
唇が落ちるのを覚悟して身をかたくする。
けれどもどうしたことか、アキトはなかなかそれをしようとはしないのだった。ただ、しくしく鼻を鳴らして、しどけない谷間を嗅ぎまわるばかり。
「……ああ……そんな、ダメ……」
汚れたままの、きっとひどいことになっているに違いない肉うろを、明るい陽光のもとでつぶさに検分されて、アリシアは心細くて情けなかった。
鮮やかな肉の感覚に逃げられない分、かえって羞恥心ばかりがつのってしまう。
「大丈夫……すごくいい香りがするから……」
「エッチ……」
「ホメられちゃったっ」
「誉めてないわっ」
アリシアは子供がイヤイヤをするように顔を左右にうちふって抗うが、けして聞き届けられることはないのだった。
脚を閉じようともじもじ体を蠢かせ、逆に腰をしっかり抱きとられてしまって身動きを封じられ、途方に暮れた碧い瞳を空に泳がせた。
「ああ……おねがい……もう堪忍……」
「おねだり? かわいがってほしい?」
アキトはワケ知りに意地悪を言ってアリシアを困らせる。
「でもボク、まだしばらくこうしていたいな……舐めるとキミだけのにおいじゃなくなってしまうような気がして……」
口づけの代わりにふわふわした飴色のヘアの中に顔を埋めてきて、鼻先で長めの毛足を梳きながら興奮に乾いた声でささやいた。
長くとどまって蒸れたくさむらの匂いを貪ると、また熱く湿った谷間に戻り、そこを菱に広げて顔を埋めるようにして鼻先をくぐらせる。
「……いいにおい……アリシアさんのにおい……本当になんていいにおいがするんだろう……」
不穏に粘つく肉芽の
「とてもキミらしいにおい……こころのやさしいステキなお姉さんのにおいがする……」
「……いわないで……」
「まだ信じてくれないんですね、ボクの本当の気持ち……」
「……?……」
「セックスのにおいが好きって感じるのは、その女の子のことが大好きっていうのと、とても近いことだと思うんです……だってボク、クンニリングスってアリシアさんにしかしたいと思ったことないから。晃さんにも、灯里ちゃんにも。二人のことは大好きだけど、でも、キミを好きっていう気持ちとはちがうから……」
まっすぐな、そのうえ少しもデリカシーの無い言葉で口説きながら、アキトの体がまたゆっくり這い戻ってきた。
今度はアリシアの両脚を肩に担いだままで。
「だから今日は、ボクがキミにどんなことをするのか見ていてください」
「……?……」
「実際に見ないと、キミにはわかってもらえないみたいですから」
「待って……イヤよっ、こんなのっ……」
太腿にひっかけた腕に力をのせて、アリシアの体をまた不自然に折り畳もうとしている。
「やっぱり許して欲しいな、さっきやりかけたこと」
一度は取り下げた要求の形を変えての再提案だった。
無理押しするのではなく既成事実を積み上げて、女が拒みきれなくなっているのを見透かした上であらためて譲歩を迫る、いつものやり口。
あくまでもこちらの諒解を取りつけてから、というのがアキトの閨でのこだわりだった。
「キミとの関係に悔いを残したくないから……」
「また、そんな言い方をするのね……ずるいわ……」
「うん……でも、今日だけはボクのためにガマンして……ボクの女神さま……」
「………」
「さぁ膝を抱えて……キミのだいじなところにキスしますから……」
結局、言いなりになるしかないのね、と、アリシアはあきらめて目を閉じた。
アキトは肩に担いでいた両脚をアリシアの腕にゆだねると、すっかり脱力したアリシアの腰を膝の上に導いて、ちょうどレスリングのエビ固めの要領で逆向きになった胴に腕をからめて押さえ込む。
それは最初、無理にとらされた時よりもさらにあられもない形。
かばうこともできずに、丸見えの秘所をパートナーの面前に高々と突き上げる、この上なく大胆な体位だった。
アリシアの両足はM字どころかVの字を描いていて、ふつうなら金色にけぶる下生えにひっそりと隠されていた愛らしいワレメが空を見上げているのだ。
脚を大きく広げているために長い谷間がぷくっと割れて、淡い色あいをした秘密の花びらが開花の時を待ちかねているように
常の清潔感にあふれた清楚な美貌からすると、あまりにもギャップのあるスノーホワイトらしからぬ姿。
しかも白昼、それも屋外で。
「……ひどいわ、こんなの……」
「目を開けて」
片手でユサユサと豊かな乳房をあやしながらアキトが命じた。
「見ていてって言ったでしょ、ボクがすること」
薄く開いた瞼に、乱れたヘアの向こうでうれしそうにする顔が見えている。欲しくてたまらなかったおもちゃをプレゼントされた子供のような笑顔の。
それが真顔になって黒い瞳を絡みつかせてきた。
「キミにこんな格好させてごめんね。でも、明るいところでキミのからだをすみずみまで見ておきたかったから……かわいいキレイな顔といっしょに……」
両手の指先に秘密の
股間に置かれたアキトの顔が沈んで……。
はぁっ――!
身構えていたところとは別の、尾骨の下のあいせつなくぼみになま温かい感触が起こって、アリシアは驚きに息をのんだ。
「そ、そこっ、イヤぁ……」
くすぐったくて、かなしい、女にとっての秘中の秘、いちばんいけないところに、いきなり舌をはりつかせてきたのだ。
悩ましい感覚に、碧い瞳がたちまち潤んで輝きを増していく。
「そこ? そこって、どこ?」
アキトは伏せていた顔をあげて、大きく開いた股の間でアリシアの反応をうかがっていた。
幸せそうな顔をして、
「どこをどうされるのがイヤなの?」と、惨い質問を繰り返している。
返事を待ちながら、ときおり、チロチロと、そこ、という場所を舐めてアリシアの気を散らそうとさえしているのだ。
「そんな、ダメ……いけない……」
「キミのからだにダメなところなんて、どこにもないから……」
「やめて……ああ、そんなこと……しないで……」
「ホラ、目を閉じちゃダメだって言ったでしょ、ボクがキミの体をどんなふうにするかしっかり見てないと……ボクのこと、忘れないで欲しいから……」
恥毛の向こうから、女の哀しいまなざしをたぐり寄せながら、彼が顔を伏せていた。
「……あなたを忘れるなんて……そんなこと……できるはずないでしょ……」
見つめ合いながらの罪深いところへの口唇愛撫。
恐れを知らない動きをする舌の感触が悩ましい。
彼の両手が腰骨をしっかり支え、じっくりとお尻の穴を舐めとられて、心はもうくじけてしまいそう。
その前に、体の方が先に負けてしまっていた。
「気持ちいい?」
「…………」
「お尻の穴でも感じるようになってるなんて、ステキだな……キミのからだ……」
それをあたしに教えたのは、あなたでしょ――。
アリシアは思うが言葉にはできずに、
「……ちがうわ……」
頼りなげに首を振ることしかできなかった。
「じゃあ、このヌルヌルはなぁに……?」
谷間でくつろいでいた花襞の潤みを掻き取るようにして、少年の舌がそこをねぶって湿った音を立てている。お尻の穴を舐められただけで、恥ずかしい肉の合間が情けないほどぬかるんでいるのがわかってアリシアは唇をかんだ。
「ステキだな、キミは蜜の量もとても多いから」
「………」
初めてアキトから量が多い、と言われた時はちょっとショックだったのだ。なんだかひどくだらしのない女だと思われてしまったように感じて。
股間から糸を引いて体液を滴らせたりすると情けなくなって、はたして他の女の子たちは自分とは違うのだろうかと屈折してしまう。
「男はね、いっぱい蜜をあふれさせてくれる女の子が大好きなんだよ。だから嬉しかった。アリシアさんが裸になったらもっとキレイでスゴいんだって知った時は……本当に幸せだったなぁ、キミの初めてを舐めさせてもらったとき、ピクピク腰をわななかせて、喉を潤してくれるくらいたっぷりあふれさせてくれたから……」
ただ穏やかそうな容姿からは窺い知れないほどのあまりにも好色な性向には、たとえ年の差があっても尻込みさせられていて、その関係は今になるまで少しも変わってはいないのだった。
「もう、いじわる、言わないで……」
「そうだった、瓶でも持ってくればよかったな、キミの蜜を集めて持ち帰られるように……」
と、不穏なことを口にして悔やんでいる風だったアキトが、不意に何かを思いついたようにパッと表情を輝かせて、アリシアはつぶらな瞳を
彼がこんな顔をする時は、たいてい良からぬことを考えているのを経験を通して学んでいるからだった。
「ねぇ、アリシアさん……」
アリシアの股間から口の周りを濡らしたままの顔を上げると、おもねりを含ませた笑みでこちらを窺う。
「なぁに……?」
「今夜はクリスマス・イヴだよね……」
「そうね……」
そんな特別な夜にマンホームに帰ってしまうなんて――。
胸中に抱えた不満を、表情にもにじませている。
せめて年を越してから、冬休みの間に戻ることにすればいいのに、と、何度も思ったし、それを彼には伝えてもいた。
ただ、ネオ・ヴェネチア発着便ではクリスマス・イブ発便がとりわけ安価で、あまり裕福とは言えない奨学生のアキトには他に選択肢がなかったのだった。
それならもっと自分を頼ってくれれば……と、ついアリシアは恨んでしまう。“往復”の旅費ぐらい、プリマウンディーネの自分にすれば、そんなに負担にはならないからだ。
それを切り出せなかったのは、独立心のあるアキトが易々と受けてくれるとも思えなかったから。
彼は彼女が庇護者であろうとするのを望まない――。
またアリシア自身も、迂闊にパトロンのような振る舞いになることを恐れていた。
年は少し離れてはいても
ただでさえ背徳感が常に
それは嫌だった。
「クリスマスプレゼント……リクエストしてもいいですか?」
「いいけど……」
アリシアは口淀む。
既にAQUAの地産の素材を使った油絵の具のセットを贈るつもりで用意していたのだが、その渡し方に頭を悩ませていたのだった。
対外的にアキトとの関係は今も誰にも秘密。
だから表立って手渡しするわけにもいかず、彼のドミトリーに送るわけにもいかずに、はて、如何したものかと考えあぐねている。
十四歳の男子との恋愛はタブーでこそなかったが、ここAQUAでも、そう易々と受け容れられるものでもなかった。なによりアキトの身辺を騒がせてしまうことにもなる。
そうなれば……。
関係を続けることもできなくなってしまうかもしれない。
「ボク、欲しいものがあるんだけど……」
「あたしも、あなたに渡したいものがあるの……クリスマスプレゼントよ……でも渡し方がわからなくて……」
その解答は彼の方から簡単に提示された。
アキトがこのスパで使っていたロッカーの番号とその鍵の暗証番号を告げられたのだ。ここを去るときにバッグを一つ残しておくから、それを回収して中に入れてもらえればいいと。後はバッグを街にある旅行代理店にゴンドラ客からの忘れ物だと言って持っていけば、出発前までには宇宙港の手荷物受付カウンターに届けてもらえるハズだ、という段取りだった。
まるで彼女の行動を見透かしていたように用意がいい、と相変わらずの周到さに舌を巻いたが、実際は彼には彼の狙いがあってそうしていたのだった。
その企みを聞かされているうちに、アリシアの顔はまた曇っていく。
「どうしてそんなものが欲しいのぉ……」
あまりのことに思わず不満が口をついて出てしまうのだ。
「それは……キミがアリシアさんだから……この世でいちばん美しい女のひとだからにきまってるでしょ……キミのセックスは、この宇宙のどこよりも遠く彼方にある、手の届かない神秘だから……」
「………」
「ボク、こういうことが、ずっとできなくなっちゃうんだよ……こういうことが」
「あっ♡……んんん……ダメっ……アキトさんっ」
こういうこと――を、アキトはして、たちまちアリシアは身を
相手の面前に弱点を晒したままでの交渉は、そもそも万にひとつの勝ち目の無いことを思い知らされている。
性器にディープキスを交えられては是非もなく、要求を丸呑みするしかなかったのだった。
バッグに入れることを求められたのは、今日、身につけていた肌着の上下、それと――。
「タンポンはね、なるべくいっぱい蜜を吸うように、膣からすぐに取り出さないでしばらく入れっぱなしにしておいたものだと、もっと嬉しいな」
アキトの嗜好には時に忍び難いと感じることも少なくなかったが、女陰が大好物だと言って
今も膣の中に舌を入れられて、肉うろに溜まった分泌物を舐り取られている。
女の汚物を疎むどころか進んで求められて、自分はそれを許してしまっている。
どのみち、もう引き返せないところにまで来ていた。
「あたしの……においが好き……?」
「うん、大好きっ」
少年の顔はどこまでも晴れやかで曇りが無い。
「そう……それなら好きなだけおあがりなさい……でも女の子にとってはすごく恥ずかしいのよ……大好きな男のひとに汚らしいところを知られてしまうのって……」
「汚いだなんて、アリシアさんのからだに汚いところなんてあるはずがないのに……」
少年は女の粘膜を広く舐めるようにして、アリシアはたまらず目を閉じて歓びに身をまかせる形になる。
なんど経験してもアキトの愛撫は哀しくて悔しくて、そして羞しいもの……。
でもそれ以上に、身も心もとろけてしまいそうなほどの甘美な歓びへと誘ってくれるものでもあった。
「キミをこうして抱けないなんて、ボク、おかしくなっちゃいそうだから……だから、アリシアさんには惨めな思いをさせることになって気の毒だとは思うけど……ボクの願いを叶えてください……キミのにおいを感じるものがそばにあれば、独りでいるのにも耐えられると思うから……」
いろんな意味で、もうお手上げ。後は条件闘争に持ち込む他はなかった。
「じゃあ、アキトさんも約束、守ってくれますか?」
「約束――?」
「本当に戻ってきてくださいね……必ず……」
たとえ半年もの間だとしても、恋人の姿を失って、自分だってどうなるかわからなかったのだ。はたして今までのように平穏な日々を送れるかものかどうか……。
それどころか、故郷に帰ってしまった彼がまたここへ戻ってきてくれるのか、何よりも気がかり。
どんなに愛し合って、将来を約束しあった恋人同士でも、去る者は日々に疎し――。
遠距離恋愛は距離に比例して移ろいやすいもの。
3億キロ――。
この途方もない彼方に最愛の人が去っていく悲しみは、愛を知ってしまった女の身には耐え難く感じられる。
こんなに才能に溢れた男の子――。
きっと誰も放ってっおいてはくれないだろう、女の子だったら気になって仕方がなくなるにちがいない。そのうち彼だって、遠く離れた年上の女のことなんて忘れてしまうかもしれない……。
「……ボクがキミのことを忘れる? そんなことがあるハズないのに……それを案じるのはキミよりもボクの方なんだけどな……だから今日はキミがボクを忘れないように、呪いをかけようと思って……」
「呪い――?!」
「いまこうしているのも、そのひとつ……誇り高いスノーホワイトをこんな格好にしているのも……それからもうひとつ、別の呪いがあるんだけど、それはまた後で……」
少年が両手を伸ばしてきてアリシアの両手を探っていた。股間を顔に密着させたまま、指と指を交互に絡めてしっかりと握り合う。
それは体を一つにしているときとは別の一体感があって、官能の歓びと合わせてアリシアの胸をふるわせる。
「もう手加減するつもり、ないから……いろんなひどいことをキミにするよ……キミが絶対にボクを忘れられないように……」
「……まぁ、こわい……うふふっ……」
アリシアも瞳に涙を滲ませながら、精一杯の笑顔を向けていた。
彼と共に歩いたこの一年足らずのできごとが走馬灯のように蘇る。
夜の儀――で、運命の出逢いを果たしてから、いろいろなことがあった……。
体の関係を結んでから始まった、不思議な恋の物語――。
そして今日のこのデートは、もしかしたらもう二度と会えなくなるかもしれない二人にとっての惜別の逢瀬なのだ。
互いの心と体に、魂に永遠の絆となるものを残して悔いのないものとしなければ……。
セックスは男と女が契りを結ぶための儀式、お互いをどれほど許しあえるかを確かめ合う神聖な愛のいとなみだった。
アリシアも気持ちをひとつにする。
「……あたしのこの体は、みんなあなたのものよ……あなただけのもの……」
「違いますよアリシアさん……ボクたち二人のものです……」
「……!?……」
「キミが歓んでいる時、ボクはもっと嬉しい、キミが悲しんでいる時、ボクはもっと辛いから……」
「アキトさん……」
「キミを誰にも渡さない……渡すもんか……」
「ええ、あたしもあなたを……誰にも渡さないわ……」
アキトが再び顔を寄せてきて、アリシアは甘い刺戟に身をのけぞらせて堪えていた。が、口づけに彼の抱える哀しみを感じると、歓びのなかにも迫り来る別れの時を思って、また瞳に涙が滲んでくるのだった。