ARIA A SECRET SCHOOL DAYS 作:真夜中のミネルヴァ
3
突然、何が起きたのか、アリシアはびっくりしたように大きな目を瞠った。
ボックスプリーツの中のまろやかなお尻が、ピクンっとハネる。悲鳴をあげるような形に開かれる口もと。
灯里は固唾をのんで凝視する。
でも、女教師はけして声を上げることはなかった。
もしも啼いてしまったら、きっと、しんとした館内にそれとわかる悩ましい声が響いてしまったことだろう。それだけは――と、懸命に押し殺しているよう。
幼い女の子が涙をこらえるように、綺麗にととのった長い指を口にくわえて。
すぼめた肩をたよりなげに、きつく閉じられた瞼。長い睫が蜂鳥の羽のように細かくふるえている。
素朴な無地のスカートの中で繰り広げられている男と女のドラマ、苦悩と逸楽とが綾なす官能のアラベスク。
声にならない声で喘ぎ続けるアリシアの、必死の姿が少女の目と胸をとらえてはなさない。
上気した顔、わななく白い喉もと、額にはうっすらと脂汗をにじませている。
スノーホワイトの女の命がもえていた。
(きれい……アリシアさん……)
いつしか少女の吐息も熱を含んでくるのだった。
きっと彼は赦してはくれないのだ。年上の恋人が禁断の果実を口にして、甘さに身をとろけさせるまで。
かよわい女体にくわえる男の仕置き、無慈悲な口づけ。
女はただ啼きながら追いつめられていくしかない。
やがて――。
伸ばした足にぴん、っと緊張がみなぎり、形のいいヒップがぶるぶるっと痙攣したかと思うと、アリシアは胸に留めていた熱い息をひっそり長く吐いたのだった。
静かに、彼女らしいつつましさで歓びを迎えいれたのだと少女にはわかった。
もの憂げにアリシアが脚をおろすと、スカートの中から見なれた顔が現れた。
いつもとは違ってずっと大人びた雰囲気になって。
思いをとげ、満たされた男の顔をして、やわらかく笑んでアリシアを見上げている。
反対にアリシアは目のまわりと頬を薔薇色に染め、少年の好奇のまなざしを眩しそうに受けとめていた。
端整な顔の上に、いくつもの屈折した感情がよぎる。
欠点なんてなにひとつないと思っていた女性対して、少女がはじめて見た脆さと孤独。慰撫を待つ姿が頼りなげだった。
抱いてください――。
たとえ言葉にしなくても、アリシアがそうねがっているのが感じられる。
歳が少しはなれていても女の子同士、一緒に暮らしていれば気がつくこともある、わかることもあった。
今ではたくさんの思いを共有していた。
辱めをうけた直後、彼女のように身持ちのいい女性であれば、きっとこんなふうに男の子と顔を合わせているのだって辛いにちがいない。
だって、あんなに恥ずかしいこと……。
同性なら、こうしたとき、女の体がどんなにしどけなくなるものか知っている。
それをつぶさに知られて、自分だったら、とてもたえられないと思った。
ところが、彼の方には美しい獲物をまだ解き放つつもりはないらしく、アリシアの太腿の間に半身を潜りこませたまま、スカートの裾を持ち上げるようにしていた。
先生をもっとよく見たい――。
そんなふうに言っているよう。
教師と生徒という立場が逆転して、羞恥と慈愛の二つの視線が絡み合う。
言葉にならない目と目だけの会話。
何を求められているか分かったのか、アリシアの愁いがいっそう深まった。
眉間にうっすらと浮いていた懊悩の縦じわが濃さを増し、碧い瞳が力なく伏せられる。
それでも若いパートナーから無言の催促をうけると、いたいけな感じでこくんとうなずくのだった。躊躇いながらの白い指先が、おそるおそる手繰るようにしてスカートをたくし上げていく。
普段は見せることのない女の子っぽいしぐさで。
やがて、肌着をつけていない剥きだしの下腹部があらわれて、やっぱり少女は目を丸くした。
アリシアは腿をハの字にしたまま、少年の顔前に股間をさらしているのだ。慎ましく閉じられているイメージしかなかった長い脚を開いて。
目を惹かずにはいられない見事に白い下半身。
女性らしい甘やかな丸みを帯びながら、その下にある筋肉の上質さを感じずにはいられない締まった足腰、すっきりした下腹部と肉づきよく張り切ったヒップライン。
そして――。