ARIA A SECRET SCHOOL DAYS 作:真夜中のミネルヴァ
京都、下鴨神社裏、民泊施設、午後2時過ぎ――。
「……ああ、そんな……きたないのに……」
「大切に守られたあかちゃんが産まれてくるところが、汚ないはずがないじゃないですか……先生のならなおさらです……だって先生は、きっと女神さまなんだから……それに、とってもいいにおいがしますよ……」
「………」
「……ボク、先生のことが大好きだから……」
少年は、また両手の親指でアリシアの股間を左右からたくって、閉じていた唇を菱にひろげて花の形をあらわにする。
貼りついた粘膜がぷりっと爆ぜて深い谷の奥までさらし、つつましげな一対の花びらが花蜜の糸をきらめかせてくつろいだ。
どれほど見返しても、けして飽くことのない女神、白き妖精の秘所。
憧れの女性の性器をじっくりと観察しながら、無理に交わりを果たさなくて本当に良かったと思う。
こんなに美しい姿をしたものを傷つけてはいけないのだ。やっぱりミス・パーフェクトは完璧なままであるべきだった。
元よりクンニをするのが何よりの夢だったのだから、彼女の股間のにおいと味を知ることで欲望は満たされている。敬愛する女教師のからだの成り立ちを仔細に知ることさえできれば、それで十分過ぎるほど満足なのだった。
こんなにも美しい女性が、このようなお味がして、こんなにも凄いにおいがするなんて!
こんなに綺麗で可愛い顔をしているのに……。
それは嬉しい驚きであり、すばらしい発見だった。この世界のあらゆるものを一瞬で陳腐化させる、神聖で深淵な秘密。
だからクンニさえできれば、交わるのはずっと先でも良いのだ。
もっともっと丹念に舐めて、彼女のにおいと味を、性器の姿や感触と共に頭にしっかりと刻みつけておきたい。
それにまだお尻の穴だって舐めていなかったし、腋の下やお臍だってちゃんと
先生のカラダはみんなボクのもの――。
誰にも渡さない!
いまを境に、これからは先生が授業をしている時でも、どんなに美しく愛くるしい装いでいる時でも、全裸に剥いた時の彼女を思い出して、しょっぱい蜜の味と好ましい凄いにおいとともに肉体の隅々まで二重写しにできるようになる。
なんてステキなことだろう!
でも、それだけでは不十分――。
先生には恋人として、セックスメイトとして、こちらが望めばいつでも体を開いてくれるようになってもらわないと。
だからしっかりと歓びを体験させて、経験の浅い女性が感じる心の障りを取り除いておかなくては、少年はそう思うのだ。
それには彼女を軽度の性的倒錯へと導くことが必要で、クンニリングスはそのためには欠かせないプレイなのだった。
体を通じて秘密を分ち合うことで男と女の親密さが育まれ、心の絆を深めることにも繋がるという性の企みを、少年は自身の経験としてではなく本能として既に身に備え、わきまえていたようである。
これまでは、その生来の能力を眠らせたままで発揮する機会を得なかったが、アリシア・フローレンスという傑出したひとりの女性との出逢いによって、彼は自身の才能を急速に開花させつつあったのだった。
女性に強い羞恥を感じさせることや障罪感を刺激することは、むしろ性的な結びつきを求める際には必要なことで、閨では積極的に取り入れるべきであることをごく自然なことのように感じていた。
その中で性器接吻、クンニリングスはとりわけ親密な愛情深いいとなみで、身持ちのいい女性にとっては初めての際にこそハードルは高いが、ひとたびそれを乗り越えると、もたらす歓びは心身に深刻な影響を刻んで忘れがたいものになり、さらにこちらが愛情をこめればこめるほど、その効果が大きくなるものであるのを少年は良く心得ていたのだ。
弱冠十四歳にして、既に腕利きの男妾もかくやの身の処しようぶり。
ただ、少年が売色夫などとは決定的に違うのは、彼がそうした強い情熱、思いを向ける相手がたった一人、アリシアに対してだけ、という点にある。
彼女以外の女性には、仮に魅力を感じてもそれは性的という意味はなくて、人としてという以上のものにはなりえなかった。
いきおい通俗的なものへの関心も希薄で、要するに彼の心象においては、アリシア・フローレンスという興味の大部を占める特別――と、それ以外の日常的なものとがくっきりと選り分けられているようである。
こうした少年自身の性向もあって、ことアリシアに向き合う際になると、どのような逸脱も辞さないアブノーマルな嗜好が、普段の温和な貌をかなぐり捨てて今は表になっていた。
はたして、このような相手と初夜――午後もまだ陽の高いうちのことだったが――を迎える側の女にとっては身も心も負担となるものなのだが、同時に少年が誇らしげに訴えた彼女の肉への忠誠は、わずかな慰めとなったのかもしれない。
実際、アリシアの性器臭を好ましく感じた少年は、初めての際、少しも躊躇いを感じることなく顔を寄せることができて、許した女性の方に負い目や恥をかかせることもなく体の相性の良さを確かめ合うことにもなっていたし、愛撫自体も俄然、気持ちのこもったものになってアリシアにとっても目眩く官能の歓びは、強い羞恥に見合うかそれ以上のものにもなっていたのだった。
だから少年が交わりを望まずに再び体位を下方へとずらしていった時にも、脚を開かされて顔を寄せられても、最初の時ほどの恐れはなくて、申し訳ないと思いながらも自身の匂いに
一方で少年は、恋人の体臭に馴染んでからは彼女のにおいに包まれることを切望するようになっていて、においの強い恥垢も彼にとっては至高のご褒美、ご馳走となって、アリシアにしか作り得ないにおいと味わいを大いに喜んだのだった。
探れば探るほど、その度に甘美な秘密をあらわにしていく美しい女体。
貴重な処女の
宝物として永久に保存するために――。
アリシアには悩ましい汚物も少年には女神の貴重な身印で、自分が汚してしまった後では取り返しがつかなくなるからだった。
こうした異常な倒錯的行為をごく当然にやり抜けるほど少年のフェティシストぶりも、ことアリシアに対しては徹底していて板に付いていた。
それゆえにクンニリングスの次は、たくらみ通りにアニリングスもしっかり経験するつもりでいる。
会陰の下側の、柔らかいお尻の肉の合間に出来た涙の形をした陰影も指で分けて奥に隠されていた部分にも外気をあてた。
「きれい……」
少年が確信する、この世でもっとも可憐な花が二輪。
もっとも、それはいささか美化しすぎていたかもしれない。その形状の類似から軟体動物や多肉植物にも喩えられる女性器は、艶かしい、と表現されるのがせいぜいで、好奇心の強い少年たちが18禁のアダルトサイトで目にしたものはたいていが奇妙でグロテスクな姿形をしていた。
色素が沈着していて、湿った部分につづく乾いた部分がなんともいえない現実的な生活感があって、およそ口に含もうなどとは考えない代物。
ただ、そういったものに較べるとアリシアのそれはまるで違っているのだった。輝く白い肌の真ん中に赤みのさした桜色のクレヴァスが深くて、熱帯の鮮やかな珊瑚や南国の風味の強い果実を思わせる。谷間の粘膜全体がしっとりと潤んでいて見るからに敏感そうでデリケートなのだ。
けっして乱暴に扱ったり傷つけたりしてはいけないもの、と少年に教えるやわらかな姿。
クリトリスはフード付きのマントで恥ずかしそうに顔を隠した妖精のようにも見える。マントの襟のあたりを胸元に寄せるようにカールさせた、俯きかげんの、
可愛らしいピンクの妖精さん――。
その形容は少年をすこしばかり満足させたかもしれない。
白き妖精の秘密がピンクの妖精であること。誰も知らない、きっとアリシア自身でさえ知らないこと。
少年はさらにもう一つの秘密をよく確かめようとして、弱々しい悲鳴をあげて哀切な思いをうったえるのを無視して膝裏に腕をかけると、一気に力をそえて女体を丸めにかかった。
裏返った両膝を白い繊手にあずけ、誇り高い美神におしめを替える時のような屈従の姿勢をとらせると、顔前に迫り濃厚な香をたてて少年を誘う剥き出された裏口を観察する。
みごとに開いて絢爛たる存在感を見せている性器とは異なり、こちらは日陰に咲く白い花。見るからに薄い肌の繊細な小じわがつくる色白の花冠は夜明けの月見草のような清楚さで、だからこそ控えめなアリシアらしくて少年の興味をひきつけてやまないのだった。
「きれい……これがお尻の穴だなんて信じられない……」
見ているだけで自然に口中に唾液が溢れてくる。
「ああ、みないでっ……そんなとこまでみないでアキトくんっ……」
指でひろげて内側の粘膜とのあいまいな境目もしっかり確かめると、少年はそこに鼻先を寄せてにおいをたしかめた。
「すてき……先生のにおい……」
この寂れたホテルに来て、ほんのりと甘い香りのするアリシアと唇を重ねたときには、彼女がこんなにも大胆に秘密をさらけだすようになるとはとても想像していなかった。
ソフトなクンニだってさせてもらえるかわからなかったのだ。キスを交わして抱き合うだけでも最初のデートの戦果としては十分としようと、彼女から嫌われないために、初めからあまり多くを望みすぎないように戒めてもいたのだ。
しかし実際にはアリシアの唇からもうひとつの唇、もうひとつのお口までの隔たりは遠く離れていたものではなく、むしろあっけないほどやすやすと辿り着くことができたのだった。
だが、それがどれほどの幸運によってもたらされた最果てであることか。
手を伸ばしても届く筈の無い天上の女神が傍らに舞い降りて、あさましい願いの全てを聞き届けてくれたのだから。
少年に陰部の検分をされている時の彼女は、喉もとに哀しみの腱をくっきりとさせてただ堪えている。地上の穢れを一身に受ける覚悟を決めたように。
そのアリシアが驚き、当惑し、畏れ、そして肉体の歓びのなかに沈んでいく、その一部始終を観察するのは男にとってこのうえない幸福であるにちがいない。
この体位の魅力は何よりも美しい顔を見ながら、反応を窺いながらそれができることにあった。どこをどのようにすると深刻な影響を与えられるか、すばらしい女体にめくるめく変化をもたらすかをつぶさに確認できることに。
じっくり味をみようとぺたりと舌を貼つけて、端正な顔が辛そうに目を細める愛らしい変化に胸をときめかせる。はじめて禁忌の口唇愛撫に挑んだ時の驚愕に両目を見開いた顔と、およそアリシアらしからぬ厭わしい表情とは違って、いまは諦めと悔い、そしてひたひたと寄せてくる快感への畏れと期待とが見え隠れしていた。
少年は海のような碧い瞳にはっきりと官能の陰が堕ちるまで、丹念に舌を使って粘膜の刺激的な味わいを楽しむことにする。白っぽくくちゃっと集まった乙女の襞を鼻先でつつきながら無垢なおりものの、ブルーチーズにも似た力強いにおいに恍惚とするのだった。
次第に高まる吐息の乱れが耳に心地よかった。ときおり堪えきれなくなったように、あっ、と小さな喘ぎ声がこぼれる。
もうすこし……。
アリシアの気持ちが、先に走り出した体をとぼとぼと追いかけはじめるのが感じられる。括約筋がひくついて、薄い粘膜の下の筋肉の感触が舌先にとても新鮮なのだった。まわりをまばらに囲む産毛のような飾り毛に混じって、尾骨の間にやや長めの毛があるのが舌に触れると、少年は愛おしさに気が狂いそうになりながらそこを無心になめまわし、後ろのお口にも唇を重ねてアリシアに悲痛な声をあげさせた。
「いけない……」
「大丈夫ですよ――」
キスは、はじめは粘膜どうしを軽く触れ合わせるだけ。
女の子が長い脚を大きく開いてする親密な接吻であることを除けば、幼い少年と少女のファーストキスのように軽やかなもの。相手への好意と賛美を伝えるための挨拶。
もちろん、それだけですませるつもりはなかった。
「先生、ボクを見て……」
興奮に乾いた声音で命じる。
目を瞑ったままでいるアリシアに、
「目をそらさないで」
「おねがい……それは……それはイヤなの……」
何かを察したのかアリシアが小首を振ってイヤイヤをしている。幼気な仕草が愛らしくて好奇をそそり、それは少年の淫らな情熱の炎に油を注ぐようなものだった。
「ダメですよ――」
「だって……だって……わたし……」
美しい肉体の上に君臨する圧政者となった少年は、
見つめ合いながら少年は中指の先をくぐらせた。そこは舌を使っての愛撫と指によるマッサージによって既にほぐれていて大した抵抗もなく、ぬるン、と挿入るのだった。
つぶらな両目が潤みを増して細めた瞼に繊細な嫌悪の皺が浮く。くもりのない笑顔が印象的なアリシアの愛憎半ばする複雑な表情。
やさしい年上の女性にこんなにも女くさい顔をさせていることが少年は嬉しかった。
きっとお尻の穴を弄られたり舐められたりすることなど考えたことも無かったに違いない。しかし実際には美しい女性ほど、より多くの異性から濃厚な愛撫を求められがちなことぐらい、ちょっと考えれば誰だって気がつくことだった。
寵愛と濃い愛撫とは殆ど同じことだと思う。
そして彼女は誰よりも愛されるべき存在。
少年はさらに指をゆっくり出し入れさせてアリシアの表情と肉体の変化を楽しむことにする。熱くぬめって締めつける粘膜の感触がすばらしかった。体を通して女の心根を間近に感じるようになっている。
「目を閉じないで、しっかりボクを見て」
「ああ……アキトくん、イヤよ……」
「でも体はそうは言ってないみたいですよ。ホラこんなにヌルヌルしてる」
「………」
目の前にある肉色の花がはっきりとヒクついていて、ふきだした透明な蜜をしとどにまとうようになっていた。水飴のような、でもちょっとしょっぱい味わいのする、とても尊い女の子の蜜。女性特有の器官が感じているとわかる変化。
「スゴイな、先生のカラダは……とても敏感だから……ステキ……」
指でお尻を愛しながら花びらに溜まった蜜を舐めとる。
フードの下で恥ずかしがり屋の妖精さんが頭をもたげているのがわかると、少年は尖らせた舌で根元の分け目を探ってアリシアに泣き顔をさせるのだった。
「……アキトくぅん……」
愛撫の濃度が増して、うわごとのように自分の名前を呼ぶ声に応える代わりに少年は行為に思いをのせて、女の子の体にじかに自分の気持ちをうったえかけている。
「だめ……ああ、だめよ……」
傷つけないようにとりわけ慎重に開発を進めて、裏のお口がほどよいひらき加減になったところで指を引き抜き、肉が寄せてきて穴を塞ぐ前にすかさず舌をこじいれディープキスをこころみた。
それは少年にとってもはや冒険でも愛情の誇張的表現でもなく純粋に、探求、なのだった。
非のうちどころのない肉体の隅々まで知悉するという歓喜の行為だ。
むっちり汗ばむ分厚い尻肉の谷間に顔を密着させ、初々しい粘膜を奥の方まで味わうという禁じ手。舌を拒んで締めつける括約筋の仄かな苦みにスリルを覚えながら、少年は気高くもやわらかな美貌に暗い諦めの影が落ちていくのを満足げに見まもるのだった。たとえ一瞬たりとも汚穢な行為をしているなどとは思わずに。
色素の沈着していない粘膜はとてもデリケートで清潔そうに見えて、排泄器官とは思えなかったからだ。
背徳の口づけを受けて、柔らかい下腹部に副えた手のひらに肉のふるえが伝わってくる、しなやかな筋肉がビクビクと痙攣をしているのが感じられるようになっている。
絶望した女のうめき声を耳にして、昂揚感に気も狂わんばかりになった少年はためらわずに、そこを強く吸いあげて女の肉の味をどこまでも自分のものにするのだった。
「やめてっ、アキトくんっ……いけないっ……」
自身の肉体が奏でる官能の旋律に戸惑い、抗いながらも体を開いていく姿に少年は今度こそアリシアを本気でオルガスムスまで誘うことにする。
感じやすい体は天からの贈り物なのだ。
おとなしい彼女が甘い声でひっきりなしに囀るようになるまで、男と女の肉の摂理に従って自ら歓びを求めるようになるまで手加減無く追いつめていく。
伏せていたとっておきのカードを切ることにして。
これまでの愛撫でどこが感じやすいところか、どこをどのように責めると格段に反応が良くなるかを学んでいる。
幾重にも張り巡らされた水掘や堡塁によって堅固に守られていた神秘は、いまや周囲の掘り割りをすっかり埋め尽くされて裸にされた平城のようなものなのだった。
アリシアは自ら両膝を抱えて青白い腿の裏側を長々とさらしていて、少年はいつでもどこからでも攻め上がって、玉座にチェックをかけ続けることができるのだ。
自然に頬がだらしなく緩んできて、少年はしっとりすべすべの内腿に頬を寄せ唇を圧しあてた。
いったいこれほどの歓びが他にあるかしら?
こんなにも美しい女性が自分だけにあられもない姿を見せてくれているなんて。
あの白き妖精のアリシア・フローレンス先生が、まんぐり返しになっているのだから。
女神さまが、羞かしい性器もお尻の穴もすっかりさらけ出してっ!
こんなことっ、もしかしたら、夢? とも想像してみる。
本当の自分はいまもドミトリーに居て、提出期限の迫った課題に取り組みながら、うっかり眠りこけてしまっただけなのだとしたら……?
目が覚めればまたいつものスコラダルテでの生活が待っていて……ネオ・ヴェネチアを見つめて、切ない思いを抱えながら、いつでもアリシアさんの姿を追っている毎日……しがない貧乏画学生で……でも、良くしてくれる灯里ちゃんが居て、藍華ちゃんが居て、アリスちゃんが居る……晃先生も、そしてアテナ先生も……ウンディーネ……。
あれ……ウンディーネってなんだっけ……?
どこかで聞いたことがあるようなのだがイメージがまとまらない。
変だな……ボク、やっぱり夢を見ているのかな……。
そうだ、アリシアさんはウンディーネとしてここに来ているんだった――。
夜の儀で、ボクと初めてのセックスをするために……。
でも……ここは……どこ……?
夜の儀って……?
とても懐かしい感覚だけはあって、でも思い出しそうになると記憶がすり抜けていく、寝覚めの微睡の時のまるで夢と現の間を彷徨っているような、ふわふわした奇妙な感じ。
しかし、目の前でたちのぼる散文的な生々しいにおいがリアルであることを教えていた。
普段のアリシアの玲瓏な容姿からは窺い知れない、また逆にとてもアリシアらしいともいえる豊かで複雑な香り、におい。
仮にもしもそれがアリシアのものではなかったとしたら、少年は顔を
ただ恋に酔うあまりに全てが好ましく歓びに満ち溢れているのだった。飴色の茂みからひっそりとつつましげな排泄口までの湿原はこの世にまたとない桃源郷なのだ。なにもかもが完全で、あるべき姿形をとっている。
少年はまた親指でやわらかな
「ステキです、アリシアさんのお花……だからもっともっとステキなキモチになって欲しくて……」
眩しそうに目を細めて自分を見つめる碧い瞳の、その問いかけるような眼差しには怯えと、そしてかすかな期待がちらついているのだった。
良好な術野を得た少年は、外科医が患部の状態を確かめるように剥き出されたままのお尻の穴を指のはらで押えて女体の反応を窺う。唇を結んだアリシアの表情が甘く崩れていくのに胸を熱くしびれさせながら、さらに滑らかな会陰にも指をおくって円を描くようにその一帯を指圧した。すると桜に色づき蜜をまとった肉のフリルがウネウネと匂いたつように身を蠢かせるのだった。
「こうすると気持ちがいいですか?」
「………」
会陰は肛門とともに女の心と体のリミッターを外すもう一つの急所。八の字を描く筋肉の交点を押えると明らかに花冠に潤みが増してきて体の締まりがほどけていくのがわかるようになっていく。
「でも、やっぱりいちばん気持ちがいいのはここですよね……?」
包皮のフードの上から敏感な肉芽を口に含むと舌を柔らかくして廻りを丹念になぞった。すると、きっと極度の快感のためなのだろうアリシアは瞳をうつろにして、膝を抱える腕に力を込めるようになってさらに体を開いていったのだ。
少年の口唇愛撫をさらに受けやすくなるように。
「……んん……」
長くふくんで女の熱が盛り上がった頃合いを見計らってひと休み、両手でじっくりと白い体をなでまわしながら豊満な乳房のふくらみを包む。きめ細やかな肌はうっすらと汗をまとってしっとり手のひらに吸いつくよう。マシュマロのような柔らかな肉の手触りはいくら確かめてもけして飽くことはなかった。
「すごいなぁ、先生のカラダ……あったかくて、柔らかくて……すっごくいいにおいがする……」
発情のサインを示して尖る乳先を指先で擦りながら、股間にも顔を寄せて女の体に官能の大三角形を描いた。
じっくり、ゆっくり……。
愛撫はあくまでもやさしく。
けして痛めないように、傷つけないように、丁寧にというのが相手への思いやり。恋人を信じてもっともか弱い部分をゆだねてくれているのだから。
少年は壊れ物を扱うような慎重さで、それでも更なる試練をアリシアの体に与えることにする。
もっとも感じやすい秘密の三連星にはひとつひとつを、あるいはふたつまでを同時に刺戟することはあってもまだ致命の愛撫を試みては居なかったのだ。
女体に拷問のような快感をもたらすともいう三点同時仕置きの奥義。
それを経験したい、この類いまれな女性に経験させてみたい。そのときいったいどんなふうになるのか見てみたかった。
片手を飴色の和毛に覆われた下腹部に副えて支えながら、もう一方の手の中指に処女の障りをくぐらせてそっと奥へと忍ばせる。温かくぬめって吸いつくような感触が不思議な女陰の細径。自分が既に感じやすいところを知悉しているのを指の動きで教えて、さらに恥骨の裏側を探るようにして包皮の中に隠れていた肉真珠を押し出してやる。と、とたんにアリシアに驚きの表情があらわれたのだ。自分の知らなかった秘密のスイッチを押されたようなショックと当惑の顔が。
両手で前後から挟むようにして少年の掌中にすっぽりと包まれた女性の器官。粘膜を通して骨っぽい感触をなぞろうとすると、ひゃぁっ! っと、声にならない悲鳴を発してアリシアの背中がぐっとエビ反りになる。そのまま下腹部だけビクビク戦慄させて固まった。
思いがけない大きな反応に少年は目をみはった。
(やっぱりココ、先生でも凄く感じるんだ……)
『女のコのトリセツ』にあったとおりにアリシアの体の中にも享楽の秘孔を見つけだした少年は、指を曲げて粘膜を掻き出すような強い刺戟を与える代わりに、下腹部に副えていたもう一方の手も責めに加えることにした。親指の腹で裏のお口に蓋をする。
しどけなくペタつく滑らかな粘膜の中心から繊細な皺をのばすようにしつこく円を描き、ときにほぐれた肛に指先を浅くくぐらせてアリシアの体と心の両方にさらなる追い込みをかけていく。
「だっ、ダメぇっ……」
屈服の声で喘ぐのを無視して指を、
ぷすりっ――。
今度は人差し指で深く穿っての二穴同時愛撫。
その指使いはもはや十四歳の少年のものではなく、女体の扱いに自信をみなぎらせた男の手並みだった。
肌を合わせ、ほんの一刻あまりの間にアリシアが変えられていったように、少年もまた大人の男への階段を一気に駆け上っている。
「ああ、おねがいよっ、そこはっ……それはイヤなのっ、アキトさんっ……」
膣穴を責めると肛門がギュッと締まり、反対に後ろを弄ると前がヒクついて、粘りのある潤いがたっぷりと指にからんでくるのだった。まるで熱い蜜壷をこねているような心地の良さに少年は好気の目を輝かせた。
「すごい、またこんなにヌルヌルしてきた……かわいいっ……」
しどけなくなった女体のリアルな変化に、抑えたくても自然に頬が弛んでしまう。男の強い手指の前に女の肉はどこまでも頼りなげでか弱いのだ。その脆さが少年の雄を目覚めさせ女への愛しさをつのらせている。
中指をひき抜くとぐっちゃりした襞の奥からにおいの強い粘液がぷくっと吹き出して、赤みを増してうねうねとした粘膜の上にひろがっていった。透明な中にも白いものが混じったアリシアの膣蜜。少年はすかさず顔を寄せるとひとしずくも漏らさぬように丹念に舐めとる。
顔中をべとべとにして、アリシアにしかつくりえない匂いにまみれて。
脳みそがとけてしまいそうな昂揚感の中、これまで何度もそうしていたように、少年はひとりだけこっそり精を放った。
アリシアに気取られぬように汚れたティッシュを丸めて脇へと押しやる。
烈しい情熱のままに振る舞うと、我を忘れてもっと残酷になってしまいそうで怖かったのだ。
気をやってスッキリすると、また醒めた頭で充実した女体へと挑みかかる。
「気持ちいいですか?」
「あ、ああっ……あたしっ……あたし、おかしくなるっ!」
哀切な二つの穴をあやされ、丁寧に虐められ、訴えはなかば悲鳴になっていた。でもまだあと一カ所、肝腎の急所に対しては息を吐きかけるだけにしている。
(すばらしいオルガスムスへの道のりは長く、時間をかけて……)
乱れた吐息に、ひきつるように起伏するたわわな胸の表情の変化を観察しながら、少年は自分に言い聞かせた。
新鮮な感覚を保ったままでいるには、愛撫にもアクセントやリズムが必要なのだ。
若い女体は歓喜の旋律を奏でるための肉の楽器。どんな名器も奏者しだいでガラクタになってしまうように、愛撫をする側の巧拙によって紡ぎだされる命の旋律は苦痛にも歓びにもなる。
刺戟が強すぎないように、陳腐にならないように責めては休み、ときに意表をついて急所をとらえる。メリハリと意外性、それとパートナーの思いへのちょっとした想像力が歓びを持続させるコツだった。
どれもガイドブックにあったアドバイスだったが、なかでもいちばん今の自分の胸に落ちる一節を少年は思い出していた。
愛情は女の子のカラダに最も伝わりやすい魔法の言葉――。
少年の両手はふたたび乳房への愛撫にもどって、あられもなく開きっ放しの股間に顔を埋めた。
熱が引いて感度を増した嗅覚に女の性器臭がいっそう濃く香る。舌をぺろりとやって、肉汁の微妙な味わいの違いに気づいて少年は嬉しくなった。
またひとつ神秘に迫ったように感じて。
こんなに女の人を好きになれるなんて――!
気になったクラスメートは居ても、このようにしたいと感じたことは一度もなかったからだ。
その自分がいま夢中になって女のひそやかな蜜を貪っている。
きっとアリシアのことを今も遥か遠くに感じているから――と、少年は認めた。ただそれは自分一人に限ったことではなく、誰だってそうだとも思う。
女神の、黄金色の柔毛のサリサリした感触に憧れないものなど、どこにも居るはずがないのだから。
少年は両手で秘密の谷間を左右にひろげると歓喜の眼差しで、いままで口に含んでいたものを凝視した。
初めてひらいた時よりもずっと赤みが増して、全体がぼてっとした感じになっている。莢の中から顔を覗かせている敏感な真珠、恥毛はしだいにまばらになってぷっくりとした肉の盛り上がりをみせているドテの部分を彩り、肛の廻りではプラチナに輝く産毛の一本一本が数えられるほどになっていた。
その素朴な生えっぷりに胸が熱くときめくのだった。
左右一対の花襞はどこかまだ固い蕾のようで、いまだ畝の名残をとどめているよう。
小さな愛くるしいお口と、その下側にある処女の帳、滑らかな会陰の肌と羞恥の窄まり。
饐えたチーズのようなにおいが懐かしくなって唇を寄せると、舌の動きに気持ちをのせる。
自分を哀しげにみつめる碧い瞳が閉じられ、半ば開いた口からせつないため息がこぼれはじめた。
愛撫が進むとアリシアは大きく声を発して乱れるようなことはなくて、むしろいっそうおとなしくなるのだった。それまで少年を諌めたり哀訴していたのが、観念したように口をつぐみ、どこまでも従順になる。
だから少年も言葉にする代わりに、目で、行為で自分の望みを、願いを伝えるようにした。その方がずっと互いの気持ちが伝わるような気がして。
ひっ――。
小さく啼いて手のひらの中にあった下腹部が痙攣する。
少年は逃すまいとして華奢な腰に廻した腕に力をこめた。雪のように真っ白い肌を薄紅色に染めて、汗ばんだ体が密着した肌に熱く燃えている。
瞼を固く閉じて指を噛むしぐさがいじらしかった。眉間に浮いた懊悩の縦じわは穢れを纏うことへの恐れと、人として生きることの歓びとのあいだで揺れる心の裡を映しているよう。喉もとに浮きあがる筋が深い影をつくって荒い息づかいにわなないている。
静謐な女性がみせる精一杯の反応、切羽詰まった様子に感動して、少年は秘密の口づけに「心配しないで」と言わせる。舌と唇を柔らかくして粘膜のそちこちに囁きかけた。それは心からの気持ちに他ならないのだった。
どんなに乱れても、どんなにあられもない姿をさらしても、アリシアはどこまでも白き妖精だったからだ。しどけない体液にまみれ、濃厚な牝のにおいをはなちながら、なおくもりを知らない心と魂の清潔な美貌。
少年は寸毫の恐れもためらいもなく、彼女の体が分泌する、彼女にしかつくりえないさまざまな甘露を丹念に舐めとっている。
深い畏敬の念をもって、恭しくおしいただくようにして。
愛おしい女性の尊いものを口に含み、五感の全てを研ぎすまして感じる目もくらむような歓び。
それは心やさしい女神の流す涙を代償に、自分ひとりだけが満たされる一方的なものだった。天にも上る満ち足りた気持ちに較べれば、拙い愛戯によって彼女が受ける肉の見返りなど、ただの押しつけにすぎないつまらないものなのかもしれない。
だから、せいいっぱいの愛情をこめて、誓う。
「ごめんなさい、先生……」
そう言うとアリシアは薄く瞼をひらいて潤んだ瞳を少年に向けた。捕われの獣の哀しげなまなざしで。
「おねがいアキトさん……やめないで……いま、やめられたら……あたし……」
「うん……」
少年は穏やかに頬笑み返すと、可憐な菊花に拇の腹を副えて刺戟を加えながら、中指でまた熱くぬかるんだ肉壷の中を探りはじめた。
水の豊かなネオ・ヴェネチアの裏側の砂漠ではスパイクたちがドンパチやっていて
ほわッとさせられたと思ったら、偶然なんてないわ、っと現実に引き戻される
ホント、これが偶然なわけがない