ARIA A SECRET SCHOOL DAYS 作:真夜中のミネルヴァ
逸楽の後の心地よい疲労感――。
とろんと潤んだ瞳に壁に掛けた丸時計の文字盤が目に入った。時刻は間もなく三時になろうというところ。もう二時間近くもの間ずっとベッドの上で過ごしていたらしい。
愛された――という満たされた気持ちと、でも愛し合ったわけではないわ――という屈折した思いが交錯している。
アリシアは物憂げな熱い息を一つ、長く吐いた。
次の予約は四時四十五分。身支度を整える時間は十分にあるはずだったが、まれに受付時よりもずっと前からカウンターに現れる客も居るため、アリシアはいつも余裕を持って約束よりも三十分ぐらい前には事務室に控えていて不意の来訪に備えることにしていた。そのつもりが、ぐずぐずとなかなか起き上がる気になれない。全身がたっぷり温い水を含んだように重たくなっていて思い切りがつかないのだった。
予約客は四十代の夫婦もの二名。
マンホームからの観光客ということから、きっと時間の管理はしっかりしている、と都合のいい言い訳を見つけて、あと少しだけ、と思って目を閉じる。
ネオ・ヴェネツィアの夏は長く、そして暑い。太陽からの距離が地球の一・五倍もあるにも関わらず気候変化が大きいのは浮き島による気象コントロールが今も完全ではないからだった。
火星テラフォーミング計画が終了して人類の入植が始まって百数十年、徐々に気温の変動幅は縮小しているとはいえ、完全管理のマンホームレベルにまで落ちつくのには、さらに数十年はかかると見積もられている。
そのため夏場(閏六月の中旬から閏八月の末まで)は午後一時を廻ったあたりから日が陰る夕方五時ぐらいまで、街にある多くの店や公共機関は
もっとも午睡といってもこの日のアリシアたちのように、みながみな昼寝をするワケではもちろんなくて、多くは強い陽射し(太陽までの距離は遠くても電離層が希薄なため夏場に関しては短波域の照射量は地球の中緯度地帯よりもやや高いとされている)と高温を避けて室内作業にシフトしたり、会議を兼ねて飲食に長めの時間を割り振るといったことで厳しい夏を乗り切る生活の智慧、ネオ・ヴェネツィアの気候風土に適った習慣でもあった。
なにやってるんだろう……あたし……バカ……。
目を閉じて敬愛する師の顔が頭をよぎると、アリシアの胸はまたかすかな痛みを覚えた。主を失って時間が経っていたために少し黴臭さを感じていたマットは、いまは互いの汗の饐えた臭いが香っている。
生々しい動物的な臭い、男と女のいとなみのにおい……。
今、自分がしどけない寝姿をさらしているベッドは、灯里がアリアカンパニーにやってくるまで自分が使っていた懐かしいベッドだった。それは同時に、開業以来ずっとグランマが使っていたベッドであることを意味している。
アリアカンパニーの三階は常に若手用の居住空間として利用されていて、二つ並んだ個室は常に一室を空けて交互に使うというのがグランマの方針だった。アリシアが入社する以前、現在は灯里が使っている隣の部屋の主だったのはアンナだ。
新人を会社で起居させるというのは、社の成り立ちを体にしみつかせるのと、将来の暖簾分けの可能性を見越して独立心を育むため、そして多感な少女たちのプライバシーへの配慮の意味も含んでいるのだろう。
だからといってグランマもそして早々に寿リタイアをしたアンナさえも、この部屋に異性を招いたことはけっして無かっただろうと思う。
社に所属する乙女たちにとってはきっと聖域とも言える場所での親密な交際。たとえ灯里の気遣いがあったにしても当事者であるアリシアの罪障感が薄らぐわけではなかった。
でも――。
人を愛することを後悔はしていない。それどころか悔いることのないように相手ときちんと向き合うことで、けじめはつけなければならないと思っている。
あのとき、ダメって言ったほうが良かったのかしら……?
そう考えてから、やはり出来ることは何もなかったわ、とアリシアは自分に言い聞かせた。久しぶりのデートで恋人から体を求められて、女の身にできることは限られている。
どうしてもイヤならはねつけるしかなかったが、それでもしも二人の関係に障りができてしまったら――と思うとやっぱり躊躇ってしまう。それに、こちらの都合で相手を傷つけることになるのは嫌だった。
灯里ちゃんがいけないのよ、アキトさんに会社の鍵まで渡してしまうなんて!
胸の内で詰ってみたが、でもそれは全部、建前なのだと判っていた。
本当は……。
あの日――から一年あまり。
その間にもアキトが半年もマンホームに帰ってしまったこともあって、親密なデートができたのは数えるほどだった。
いつもひと目を忍んで隠れるようにして、ほんの少しのあいだ心を通わせるだけ。それ以外の場所では一切、他人のふりでよそよそしくふるまっている。街ですれ違っても言葉を交わすどころか視線さえ絡めることは滅多になかった。
それなのにある時――。
「アリシアさんの大切な人って、もしかすると街で時々みかけるあの似顔絵描きの男の子……柊アキトくんですか? もしかして彼がいつもファンレターを送ってくれるケットシーさんなんですか?」
灯里から問いかけられたのだ。
それはあまりにも唐突で、心の準備も間に合わず、ごまかそうと考えるより先にアリシアは頷いてしまっていた。
それに自分に心を開いて信頼を寄せてくれる心やさしい少女を偽れば、自分自身もまた傷つく。素直に認めて良かった、とアリシアはすぐに思った。
不思議だったのはどうしてそのことに灯里が気がついたのか? ということの方。
「……よく、わかりません……でも、ときどきアリシアさんがとても可愛く見えるときがあって……ごめんなさいっ、ごめんなさいっ! あたし、生意気なことを言ってっ、アリシアさんのことを可愛いだなんて、い、いえっ、アリシアさんはとっても可愛い凄い美人さんでっ、はひっ、あたしっ、ナニ言ってるんだろっ」
少女はひとりでオロオロうろたえる。
「いいのよ灯里ちゃん、ただわたし、そんなにわかりやすかったかしらと思って……気をつけているつもりだったから……」
「それは……ショックだったから……アリシアさんが……その……恋をしているなんて……だから初めはただの思い過ごしかなって思ってたんです。でも、同じことが何度かあって……そのときに限っていつもアリシアさんの視線の先にはサンマルコ広場が……そこにはアキトくんが居て……」
「たったそれだけのことで……?」
「初めの頃……去年はまだ変だなぁ、おかしいな、ぐらいでしたけど……でもそれが……いつだったかな……そうだ、アリシアさんにフローリアンで藍華ちゃんと二人、カプチーノをご馳走になった時だ……寒い日だったからあったかいふわふわカプチーノがいっそう美味しく感じられて……でもマンホームは夏休みで、こちらは冬なのに夏服のままやってきてしまった観光客さんがあちこちに居て……みんな寒い寒いって言いながら、広場がそんな観光客でいっぱいになって……」
灯里の話は長くなりがち。それだけ経験した出来事を事細かに記憶に留めているということでもあったが、要点はそのとき広場で偶然、出会ったアキトへの態度が不自然だった、ということらしい。
「……だって、ぜんぜんアリシアさんらしくなかったから……」
「そうだった、かしら……?」
自分では普通にしているつもりでも、意識している相手を目の前にして心を平静に保つのはとても難しい。たしかに内心ではとてもハラハラしていたのを覚えている。
あのときアリシアが案じていたのは灯里に対してではなく、目敏く耳敏い藍華がそばに居たことの方。
うっかりして自分か、アキトか、その両方が不用意なことを口にしてしまわないか、それがきっかけで二人の関係を少女たちから疑われるようなことになれば、自分自身はともかくアキトにとってはいろいろと不都合な事態を招くことになるかもしれないと思ってしまったからだった。
もちろん藍華も灯里も興味本位のうわさ話を吹聴してまわるような子たちではなかったが、それでもアキトとのことは今はまだ彼女たちには秘密にしておきたかった。
「……アリシアさんと藍華ちゃんとわたしの三人の似顔絵を描いてもらうことになって、その間、マンホームのこととか彼が通ってる美術学校の話とか、アリシアさんが先生で、わたしたちが見習いのウンディーネであることとか普通に世間話をしているとき、アリシアさんはほとんど何もお話されなくて、ときどきお話をされるときも相手の顔を見ようとされなかったから、それがとても不思議で……そういうのって、ぜんぜんアリシアさんらしくないことだったから……やっぱり変だなって……」
らしくない、と繰り返されては返す言葉も見あたらない。そうだったのか、と灯里の観察眼の確かさを認めるしかなかった。
「それで思ったんです、アキトくんとアリシアさんの間で何かあったのかなって……」
「………」
「アリシアさんがアキトくんの顔を見ないようにしている理由を考えて、アリシアさんはけっして他人を軽んじたりするような人じゃないから……それで、本当は逆なんじゃないのかなって……そう想ったとたん、なにもかもがひとつにつながって……さっきもそうでした。アリシアさん、何度もアキトくんのことを目で追いかけてましたから……」
ゴンドラを操りながら、客役のアリシアの視線の動きまで感じ取っていたとすると、灯里の漕ぎ手としての進境は著しい。
ネオ・ヴェネツィアはとりたてて大きな街ではない。運河を離れて水路を分け入ると繁忙期ですらひと影もまばらで、水路わきでスケッチブックをひろげているアキトの姿は遠目にも判る。目に入ればやはり容子が気になるのはいたしかたなかった。
それよりも、灯里がアキトのことを、――くん、と親称で呼んでいたことの方がアリシアの関心を惹いていた。
「あの後、何度かアキトくん……アリシアさんがアキトくんのこと、何とお呼びしているか知らないので……でも、わたしの方がアキトくんより、いっコ上のお姉さんなんですよ。それにマンホームの地元もおとなりさんみたいに近くてびっくりしたんです。チバシティってベイフロントエリアからだと直通メトロで十分で行けるくらい。友達と遊んだところも重なったりしてて、よく通ったお店だとか、スイーツのチェーンのこととか……」
聞いているアリシアの胸がちくりと痛んだのは、灯里が自分の知らないアキトのことを知っていたからだ。
それがジェラシー、というとてもやっかいな感情であると認めるのにさほど時間はかからなかった。それも恋という情熱を知った故のことと受けとめる。けれども灯里に嫉妬を感じるのは筋違いも甚だしい。
「でもうれしいな……」
「え――?!」
「アリシアさんが恋をしているなんて……とってもステキです……」
「灯里ちゃん……」
「わたし、アリシアさんには私たちみたいな女の子の気持ちがあるなんて想ってもいなかったから……だからびっくりで……」
「まぁ、ひどいわねぇ、まるでわたしが……」
「ちがうんですっ、だってアリシアさんは本当にお綺麗で、人間離れしているっていうか、人間の女の子の気持ちなんて超越しているような、そんなイメージだったから……だからアリシアさんも自分と同じ悩みを抱えた血の通った女の子なんだって思うと、すごく身近に感じられて、ますます大好きになって……」
灯里のすなおな親愛表現はアリシアにとっても、いつでも嬉しい奇蹟だった。それがこの瞬間に、愛しい後輩、という括りを越えて、同性の無二の友人へといっそうの絆を深めたように思う。
「年下のボーイフレンドって、どんな感じなんですか?」
「わからないわ、他の男の人を知らないから……灯里ちゃんはどうなの? 好きな人はいる?」
はぐらかすつもりはなかったが問いかけに問いで答えてしまっている。
灯里はそんなことを気にするそぶりも覗かせずに、すぐに首を横にふった。
「ただ中学の時、友達が……アリシアさんみたいに、いえ、アリシアさんとは全然ちがう、ふつうの子なんです……けれど、すごく心のやさしい子で……その子が片思いに苦しんでいたのをそばにいて見ていたことがあって……その時は、わたし、なんにもできなかったんですけど……きっといまなら、もっとその子の力になってあげられたのになって思うんです……こうしてあげたらよかったな、とかいっぱいあって……だって男の人を好きになるって、女の子にとってとっても大変なことだと思うから……」
「……そうね……そうかもしれないわね……でも人が人を好きになるのはとても素敵なことよ……」
「アリシアさんは、いまお幸せなんですね……」
灯里らしいものやわらかさで核心を突かれ、一瞬、言葉に詰まったのは自由な交際を禁じられた“ウンディーネ”としての戒律があるからだった。けれどもこれまでアキトの気持ちを疑ったことはなかった。
アリシアは自分自身に言い聞かせるように、ゆっくり大きく頷いた。
「よかったぁ……」
少女が翳りのある笑顔を向けていて、アリシアの白い頬は朱みがさしてくる。それが自覚されていっそうアリシアの頬ははにかみに染まっていった。
性の扉を開く前の乙女の清らかさがアリシアには少しばかりまぶしかったのだ。
「アキトくんにはちゃんとアリシアさんのお気持ちが届いているんですね」
灯里の表情から、お気持ち――という言葉の後ろに、より深い意味がこめられているのを感じるのだった。同性だからわかちあえる微妙な気配。
この場合、問いかけに無言でいるのは認めるのと同じこと。おし黙ったままの見つめ合いから、やがて少女は睫を伏せた。いつも恬淡としている灯里には珍しい複雑な顔をして。
「じゃあ灯里ちゃんはどんなタイプの男の子が好きなの?」
重くなりかけた空気を払うつもりで、アリシアはつとめて明るい声で訊いた。
「……それは、えーと……」
気持ちの整理をつけながらの愛くるしいクリッとした瞳が動く。
「暁くんとか……?」
意趣返しに意地悪してるかも、と思いながらアリシアはストレートな問いを投げかけてみた。
「はひっ! そんなのっわかりませんっ!」
「そぉお? うふふっ」
「ち、ちがいますってばぁ」
「まぁ――」
「だって暁さんはわたしのはじめてのお客さんで……だから……」
「だから……?」
詰め寄られた少女はちょっと迷った顔をしていたが、すぐに表情を一変させて、
「わたしもアキトくんみたいな男の子が好きです」
きっぱりと宣言した。今度はアリシアが慌てる番だった。
「それはこまるわ……アキトさんを取られちゃうっ……灯里ちゃん、すごく可愛いから……」
「はへっ、そんなぁ、あるはずないですっ……ただあたし、アリシアさんの大切な人なら、きっと自分にとっても大切な人になるからっ、そういう意味ですからっ」
大慌ての灯里の様子にアリシアが吹き出して、灯里もつられて破顔する。ゴンドラの上で二人の笑い声が弾けた。
こんなガールズトークが気兼ねなくできるのも、ひと気の無い広い運河の外れにいるから。
初対面のときの幼さばかりが印象的だった美少女が、知らず知らずのうちに大人への階段を昇っていた。時は移ろい全てを過去へと押し流して行く。
「あらあら、逃げられちゃったわ。もっと暁くんとのこと訊きだしたかったのに。灯里ちゃんもずいぶん駆け引き上手になったものね」
「それは指導者に恵まれているからです、きっと……」
「悪いところまで真似しないでね」
「アリシアさんに悪いところなんて、ありませんから……ただ……あまり遠くにいかないでください……」
「……灯里ちゃん……」
「……って、心が繋がっていれば、たとえどんなに遠く離れても、そばに居るのと同じなんですよねっ」
「うん……そうね……そうよ、きっとそう……」
出逢いがあれば別れもある。それは人が生きていく上での理。
だから一瞬もおろそかにすることなく、いまという時を感謝して大切に生きて行かなければと思う。
「でもいいなぁ……アキトく、さん、やさしいお姉さんができて……」
「えっ!?」
「わたし、もしもアリシアさんが誰かとおつきあいするなら、もっとずっと大人の男の人かなって想ってたんです。だからちょっとだけ意外でした……アリシアさんの好きな人がわたしよりも年下の男の子っていうのは……」
「やっぱり……不自然? そう見えるわね、だって五つも歳が離れているから……」
「いいえ、そういうんじゃないんです……ただアリシアさんとつりあう男の人って、よっぽどじゃないとって思っていたから……でもアキトさんもやさしそうな男の子だから、きっと仲良しのお姉さんと弟みたいにお似合で、すてきだな、いいなって……」
「だといいんだけど……」
アキトが情の深い心のやさしい子というのはわかる。でも、やさしいというのと妥協するというのは、少年にとっては別のようで、いったんアキトが自分をこうしたい、このような姿にしたい、と決めたらアリシアにはもうそこから逃れることはできないのだった。
さっきだってそう――。
シャワーを浴びようと脱衣室でひとり服を脱いでいると、いきなり侵入してきて先に愛し合うことを求めてくる。
「だってアリシアさんのはお風呂に入る前がいちばんステキないいにおいがするから」
「だめよアキトさん……今日、とっても暑かったから……汗、いっぱいかいたから……」
「それならなおさらもったいない。アリシアさんの汗のにおいはボクにとっては最高のご褒美なんです」
「もう……そんなへんなことばっかり言って、あたしを困らせないで……」
好きな人の前では綺麗でありたい、醜い姿をさらしたくないと思うのは女にとっては切実なねがい。それなのに、少年はアリシアがなにか隠そうという雰囲気を嗅ぎとると、かえって興味を示してくる、無慈悲に詳らかにしようするのだ。
「いいにおい……アリシアさんのカラダ……」
服を脱ぎ捨てて全裸になった少年は背後から抱きつくと、アリシアの肌に幼い鼻面を寄せてくんくん嗅ぎまわりながら寝室へと誘おうとする。
「それに、とってもデリケートなところをスポンジでこすったりしたらカワイソウじゃないですか……だいじなところのお手入れはボクにまかせて下さい……」
アキトは感じやすい脇腹のあたりにキスでくすぐってアリシアの鼻を甘鳴きさせると、舌をいやらしく伸ばした顔で見上げて、何をするつもりなのかをはっきりと示した。
「……ダメよ……」
口では拒んでも雪のように白い肌は心を偽れずに感情の変化がすぐにあらわれてしまう。アリシアの顔はたちまち朱くなった。
「どうして?」
「だって……そんなの……」
「はずかしい?」
「……ええ……」
問いつめられて仕方なく長い睫を伏せてせつなそうに頷く。
「カワイイなぁ……恥ずかしがってるアリシアさんって、可愛くて、ボク、おかしくなりそう……もうガマンできない……」
あっ、と思った時にはアキトは足下に跪いていて股間に顔を寄せられていた。
それから後はもう、ただ彼の望むままにされてしまっている……。
脚を大きくひろげて、体を開いて……。
彼のやさしさに甘えて、
こうすることが自分たちの愛のあり方だと信じて……。
「アキトさん……」
アリシアは股間に手を伸ばして愛しい恋人の髪に触れた。
「あたし、行かないと……お客さんが来るから……」
「もうそんな時間ですか……?」
「ええ……三時をまわってるわ……」
「まだお別れしたくないなぁ……」
少年の指がまた密やかな肉を左右に分けて、粘膜の谷間をあらわにしていた。
「きれい……可愛くて……キミのダイジなところ……それにすっごくいいにおいがする……」
「あんまり見ないで……」
もう彼との閨で、いったい幾度その言葉を訴えたかわからない。でも女にとってはその都度、切なる願いなのだった。秘所を
それなのに一方では彼に愛されることが密かなねがいとなっている。
イヤ――と、拒みながら、彼にメチャクチャにされたいと思ったりしているのだった。
こんなアンビバレントな感情の揺れは、自分でも本当はどうしたいのかよく分からない。強引に求められると辱められたことを恨み、その反対に何もされないと、もう自分には興味がなくなってしまったのかと不安になる。
アキトはそうした女心の機微、わがままをよく嗅ぎ分けて常に寄り添おうをしてくれるのだ。
やさしく抱かれて背中を撫でられ、時にぎゅうっと強く抱きすくめられると意識が遠のきそうになるくらい幸せな気持ちに包まれる。胸の中に愛情がいっぱいに膨らんでどうしようもないくらい彼を愛おしく思うのだった。
だからいつでも別れがいっそう辛くなってしまう。
このまま時が止まってしまえばいいと。
「予約は四時四十五分って言われてましたよね」
「うん――」
「じゃあ、そろそろシャワーを浴びましょうか? 名残惜しいですけど」
「ええ、そうね……」
Aパートです
またBパートまでまとまらなくて
次々回の最終回オンエアに合わせて
その翌日の夜のハードコアなイチャラヴをアップするつもりですが