※この作品はR-18です。

ARIA A SECRET SCHOOL DAYS   作:真夜中のミネルヴァ

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AQUAのいちばん長い日 その19

 

 十五日、午前八時、ネオ・ヴェネチア――。

#――AQUA行政府よりお知らせをいたします。標準時十五日正午より総督から国民の皆様へお話があります。視聴可能地域にお住まいの方々には国営放送を視聴されることをお勧めいたします。なお時差等で視聴困難な地域の皆様には標準時十六日午前〇時に再放送をいたします――#

 

 

 十五日、午前十時前、ホテル・マルコ・ポーロ・スペースエアポート、一階ラウンジ――。

 窓際のテーブルではガラの悪い男たちが数名、不景気な顔で屯(たむろ)していた。

 ラウンジには彼らの他にも似たような連中がそちこちでテーブルを囲んで、みな当然のように昼前からビールを煽っている。灰皿も吸い殻の山を作っていた。

「ガセネタ掴まされて小娘どもに踊らされて、けったくそ悪いっ――」

 席についている四十がらみの年嵩の男が、立ちん坊にされたままの若い三人を睨めつけて言った。半袖のシャツからゴルフ焼けしたような茶色い太い腕が見えている。胴回りも大きく膨らんでいて、分厚い脂肪の塊に隠れてジーンズのベルトのバックルが見えなくなっていた。

「プリマだか妖精だか知らねぇが、相手はたかが二十歳そこそこの小娘だゾ、そんなのに俺たちが振り回されるなんてどうなってるんだっ? え? まだアリシアの居所は掴めねぇのかっ? いったいオマエらナニやってんだっ、それでもプロか?」

「それがなかなか……こっちの人間は我々にあまり協力的じゃないというか……」

「高木ぃ、甘ったれんなよ、そんなのは毎度のことだろっ、オマエ、AQUA暮らしのぬるま湯に長く浸かってるうちに辺境の毒が脳みそにまでまわっちまってトロくなったんじゃねぇか? それをなんとかするのがオマエの仕事だろうがっ。ちゃんと実弾使ってんのかよ? 協会の連中で情報タレそうなヤツらに片っパシから当たってりゃ、そのうち引っかかりそうなもんなんだがナ」

「ですが、こっちの連中はウチらのような他所者には妙に口が固いところがありまして……金すら受け取ってもらえないので……」

 高木、と呼ばれていた若い三人の中では一番、年長であるらしい痩せた背の高い青年が、恐る恐る中年男に弁明をしている。彼はAQUA支局長――と言っても本社派遣の駐在記者が本人を含めてわずか三名しか居ない小規模な態勢である――で、中年男は地球の本社から飛んできた、かつての上司なのだった。

「チッ、それなんだよな、勝手が違うのは……ネオ・ヴェネチアは取材がやりにくいったらないぜ……コイツら欲が無いっていうか、妙に善人を気取りやがって……」

「………」

「それに持ってきた電子機器の殆どは入管で取り上げられちまうし、代わりに連中からあてがわれたのがこんな旧式のスマホ一つなんだからな、こんなんでナニができるっていうんだ、ああっ?」

 テーブルの上に置かれた文庫ほどのサイズのスマートホンにアゴをしゃくって忌々しげに見やる。

「いったい、どこの全体主義国家だ? 報道の自由を蔑ろにしやがって、未開の野蛮人どもがっ――」

「しかしキャップ……アリシアさんの弟子の……たしか水無ナントカだったでしたか……あの子から引っ張れる以上の情報が他から取れるとも思えないのですが……」

「いつも云ってるだろっ、記者は頭で考えるなっ、足で考えろって。まずは当たれ、とにかく当たれ、下手な鉄砲も数撃ちゃ――だ。そうやってると思わぬところからいいネタが舞い込んだりするもんなんだからなっ」

「はあ……」

「俺、またアリカン行って聞き込みしてきやスか? バイトは一人張っつけてるんスけど」

 背はさほど高くはないが体育会系のがっしりした体格のもう一人が言った。

「多分、もう会ってはもらえないだろうな……」

「やっぱ、そっスかね……」

「あんだけヤラレたら、そりゃ俺たちを警戒するだろう」

「協会は十二時にアリシアさんの会見をするって言ってましたけれどぉ、どうするんでしょうかぁ? あと二時間っていうのにぃ、まだどこでやるかの案内もないみたいなんですけどぉ……また昨日みたいにドタキャンされたりしてぇ……」

 小柄で細身の、いちばん年若い風貌をした男が口を差し挟む。

「あれはそもそも協会がアリシアさんを通さずに勝手に言ってた話みたいだから。けど、さすがに今日のは大丈夫だろっ、本人からの申し出らしいから。ただ、アリシアさんのゴンドラがサンタルチアの駅近くの水路に見つかったらしいっスから、彼女がまだ島に戻っていないのは間違いないみたいっスけどね」

「おおかた、今もオトコの部屋にでもシケこんでるんだろうが、ふざけた野郎だっ、あのカワイイ娘のカラダを好き勝手にオモチャにしていながら素性も何もかもわからねぇってんだからなっ」

 中年男は腹立ち紛れにビールジョッキを煽ると、パチンと指を鳴らして横柄に給仕を呼んだ。

「ホントに男のところなんでしょうか? 聞き込みはしてるんですが、あれだけ目立つ子なのに、こんなにも手応えが無いとなると……そっちもやっぱりガセだったりってことは?……映像による心理解析の精度も精々、六割程度だってことを聞いたことがありますから……言ってみれば当たるも八卦のちょっとマシぐらいなレベルで……一部で噂されているように、婚約自体が彼女の狂言だったりするって可能性も見ておく必要もありはしないかと……」

「オマエまでそんなどっかのチェリーみたいなこと言ってるんじゃねぇゾっ、そもそもあんだけのタマ、男がほっぽっとくはずがねぇだろっ!」

「………」

「しかし百歩譲って仮に狂言だったとして、それがどうしたっていうんだ? あの娘のプライバシーを素っ裸にするまで取材を続けるだけのことだろうがっ」

「はぁ……そうですね……」

「田村っ、おまえは引き続き協会と、アリシアのアパート、それとアリカンをバイトにしっかり張らせとけよっ、何か動きがあったらなんでもいい、必ず俺に連絡を入れろと念押ししとけっ」

「了解っス」

「それと駅周辺は安東、おまえが張ってろ、こっちのバイトなんかに任せるなっ、オマエがやれっ。それから高木っ、おまえは引き続きアリシアが立ち回りそうなところの取材だっ、誰でも構わない、なんでもいいから話を聞いてこいっ、この先の足がかりなりそうな関係を今のうちに作っておくんだっ、いいなっ」

 男が三人の部下に指示を与えているところへ

「あーら、お兄さんたち――」

 と、言いながらラフな格好をした地味な容姿の小柄な中年女が近づいてきた。

「おや、これはこれは、WTS(ウィークリー・トゥルーストーリーズ)の“敏腕記者”の荒木さんじゃないか――」

 中年男はわざとらしく云うと、部下にアゴをしゃくって仕事に戻るように命じて女に向き合った。

「わざわざ東京本社から吉本キャップ直々のお出ましとは……ねぇ、いつこっちに着いたの?」

「昨夜、上に着いて、降りてきたのはここの時間で今朝の四時だ。そのまま今の連中と合流して、さっきのガセネタに付き合わされたってワケよ。昨日の朝、出社してから丸一日以上、一睡もしてねぇから、オッサンの身には堪える」

「それで朝っぱらからメートル上げてるってワケか、空振りがよっぽど癪だったのね」

「わざわざそんな嫌味を言いにきたのか? ウチだけじゃないだろ、あんたのトコだってそうだったろうが」

「そりゃこっちだってアッタマきてるわよっ、一晩中、盛大に彼氏とエッチした後の美女のヤラレ顔をしっかり撮るつもりが肩透かし食らって、男の方も晒し者にしてやるつもりだったのに、あてが外れたんですからね。まさか三大妖精と言われる子たちが、プライベートでは仲良しだったなんて思ってもいなかったから。普通、張り合うでしょ? ライバルなんだから。相手の失点に付け込もうとするのが当たり前なのに、それが二人して援護射撃をしてくるなんて……そんなのあり得る? まったく想定外の動きだったわよ」

 そうボヤキつつも、女にはさほどダメージを受けている様子は見られなかった。

「で、ナンの用だ? まさかこんな時間に俺にモーションかけに来たわけじゃないんだろっ」

「まさか。あたしみたいな一介の契約記者が、天下のシックストゥナイン・タイムスのキャップさまには恐れ多くて、こうしてお声をお掛けするのも胸がドキドキよ――」

 白々と云う。

「ヌカせ――」

 二人は同じようなフィールドを渡り歩いてきたという意味で、互いに戦友に近い意識を共有していたようである。

「で、ホントはなんなんだ?」

「いい――?」

 女は椅子に手をかけ、男は仕方ない、とでもいうように渋い顔をする。女は待ってましたとばかりに席に着くと、給仕の青年に、目の前にあった男のジョッキを指さして自分にも同じものを持ってくるようにと合図を送るのだった。

「俺に奢らせるつもりか? 図々しいヤツだな」

「いいでしょビールぐらい、奢んなさいよっ、その代わり、いいネタ持ってきてあげたんだから」

「ネタ?」

「どう? あたしを使ってみない?」

「人手なら足りてる――」

「大丈夫なの? あの頼りなさそうな子たちで」

「あとの二人はともかく、高木は使える」

「高木って、あの背の高い子?」

「ああ、元はオマエと同じで東亜の報道部に居たのを俺が6-9(シックストゥナイン)に引っ張ってきたんだ」

「ふーん……あたしと同じでスネにキズ持ちってワケか……」

「オマエ、俺とそんな昔話がしたいワケじゃないんだろ? 何が狙いだ?」

「ナニって……」

 女はちょっと周りに視線をやってあたりを窺いながら小声になると、

「ねぇ……持ってきてるんでしょ? アレ」

「ナニを――?」

「とぼけないで、あんたが手ぶらでこんなトコまで出て来るとは思えないからサ」

「だから何のハナシだ?」

「ああ、暑い……あたし、ネオ・ヴェネチアがこんなに暑いとは思わなかったから、こっちのトウキョウよりも暑いんだから、もう、喉、からっからで……」

 女はビールジョッキがやってくると、すぐにグイグイと喉を鳴らして飲み始め、半分ほどになったところで漸くひと心地ついたような顔をすると、

「アレはアレよ……」

 意味深な流し目をくれてから、顔を寄せると

「フルヌードボディ・スキャナー、またの名をアイドル・ストリッパー……レイディ・クラッシャー――」

 囁く。

 すると、たちまち男は真顔になるのだった。

「持ってきてないとは言わせないわ」

「知らんな……あれは非合法の代物だからな……」

「そう、それは残念……せっかくアレのAQUAへの持ち込み方を教えてあげようって思ったんだけど、なんだ空振りか……」

「………」

 互いに相手の腹の中を探ろうと視線が絡まり合う。側(はた)から見る分にはのっぴきならない関係になった中年男女の様でもあった。

 睨み合いから先に折れたのは男の方だった。

「なんか……いい手でもあるのか?」

「そうこなくちゃ――」

 手の内を晒して男の方は渋い顔をしているが、女がどんな提案をしてくるか期待もしているのだった。

「覚えてる? 2298年のラテラル・フォーで香港の金龍グループが使った手を?」

「あぁ? 修学旅行の生徒たち二百名余りを運び屋にしてコロニー内に禁止薬物を持ち込ませたって、あの事件か? 確か協力者だった教師二人は逮捕されて、それっきりだった筈だが……」

「でも、モノは届いたわ。運び屋として利用された生徒たちも短期間は身柄を拘束はされたけど、その後は帰国を許されてる」

「ナニが言いたい?」

「ハナから機器の回収まで求めないのであれば、運び屋の頭数さえ揃えばストリッパーのAQUAへの持ち込みは可能ってこと」

「その頭数がないから苦労してるんだろ……その所為で俺が連れてきた二人はまだ軌道上で足止めされてるんだ……ストリッパーは一台だけでも背嚢が一杯になるくらいの大きさだからな……合法の撮影機材だって電子機器はあらかた置いてくる羽目になってるんだゾ、なのにあんなもの、どうしたって入管をパスしそうもねぇだろ……」

「アレって、バラすとどのくらいの大きさにできるの?」

「大きなモジュールで七つか八つになるから……それぞれがミルクパックくらいの大きさにはできるみたいだ」

「それじゃあ大きすぎるわね、せめて子供の手のひらに乗るぐらいにならないと……」

「子供?」

「実は今日の午後の便でね、幼稚園の卒園旅行の団体さんがAQUAに来ることになってるのよ。みな身元保証の良家のお金持ちの子弟で、引率の先生の一人はあたしの幼馴染なの」

「………」

「入管で、いちいち園児ひとりひとりの持ち物のチェックなんかしないでしょ? 金属探知機をパスさえすれば、あとはフリーパスよ………持ってきてるのよね? ステルスフィルムバッグぐらいは――」

 女が示した提案とは、小さく分解した部品をフィルムに包んで子供に持たせて入管を素通りさせ、それを回収して組み立てる、というものだった。あとは装置の設置と撮影、映像の回収まで引き受けると云う。

「夕刊紙とはいえ仮にも大手メディアの看板背負ってると、いざって云う時ヤバいでしょ? でもこっちはフリーだから、足がつきそうだとなったら一目散にトンズラして雲隠れするばいいだけ」

 それは男にしてみれば渡りに船の、非常に魅力的な計画に思えるのだった。すでに装置は軌道プラットホーム上にいる二人の部下の手によって、分解可能な百数十のパーツにまでバラしてあり、それぞれがステルスフィルムの中に入れられて身につける、という方法で持ち込もうとしていたのだが、このやり方ではどうあっても不自然な見かけとなって露見のリスクは限りなく高く、なかなか踏み切れずにいたからだ。

「仮にも――か、で、そっちの条件は――?」

「こっちも危ない橋を渡るんだから、それなりのものを戴かないと……」

「金か? いくら欲しい?」

「まずは幼馴染の方に成功報酬込みで一万ユニバーサルクレジット。あたし宛で前払いのキャッシュでね。あなたならワケもなく用意できるでしょ? ご禁制の装置の密輸は重罪なんだから、そのぐらいは安いものよね?」

「それだけでいいのか?」

「まさか、あたしの分があるわ」

「幾らだ? オマエも一万でいいのか?」

「お金はいいの……」

「じゃあ、なんだ? そっちの条件は――」

「あたしもかませて欲しいのよ、そっちのビジネスに――」

「………」

「あたしの取り分は、そうね……儲けの三割ってところで手打ちにしてあげるわ――」

「随分、ふっかけてくるな……」

「なに言ってるのよ、あんたの取り分は七割なんだから十分じゃない? 半々にしようって言わないだけ良心的だと思ってよ」

 男は沈黙する。手にした紙巻きタバコをテーブルの上でトントンと叩きながら、腹の中で算盤を弾いているのが窺えた。

「ねぇ、考えてよ、もしこれが上手くいけば、あのアリシア・フローレンスの超高解像度のフルヌードボディスキャン映像が手に入るのよ。アソコの毛の一本一本まで忠実に再現するだけじゃなくて、場合によってはワレメから頭を覗かせた可愛いクリトリスや、映像を大きく拡大すればお尻の穴のシワとシワの間に隠れていた、恋人だって気がつかないくらいの小さなホクロだってバッチリ見えちゃうかもしれないっていう、アイドル泣かせの禁断の三次元映像が……そんなお宝が、この世界にいったいどれだけ需要があると思う? 百万? きっとそんなもんじゃないわ……でも仮にその七割として七十万クレジット、ボーナスにしては十分にオイシイ話でしょ?」

 やがてテーブルを叩く音が止み、タバコを咥えながら男が口を開いた。

「こっちにも条件がある――」

「なに?」

「話は持ち込みが成功したらだ。もしも失敗したら、俺の名前は出すな、オマエが責任を全部かぶるって云うならオーケーだ」

「こっちにリスクだけ取らせて、そっちはノーリスクでハイリターンってこと?」

「不満か?」

 男はタバコに火を点けて深く吸い込むと、白煙を長く吐き出した。

「まぁいいわ、そもそもこっちもそのつもりだったし、元手もゼロなワケだから、それで結構よ」

「いいだろう」

「じゃあ交渉成立ね」

 女が手を差し出し、男はその手をギュッと握り絞めながら

「俺を裏切るなよ――」

 目に剣呑な色を泛かべながら念押しする。

「わかってるわよ、こっちもそれぐらいの覚悟はできてるから。何年、この世界にいると思ってるのよ」

 女がそう云うと、男はフン、と鼻を鳴らした。

「オマエも随分、変わったな……初めて俺のとこに来た時は、ネンネでガキのただのフェミニストだったのに、今じゃ、いっぱしの悪党面だ。アイドルのスキャンダルでメシを食ってるんだからな。今までどんだけフロに沈めてきたんだ?」

「吉本さんだってそうでしょ? ヤセぽちでアタマのトロい男の子に見えたけど、面影なんかどこにもないわ。全身に刺青(すみ)が入ってるって言っても誰も疑わないでしょうね」

 女はイヤミを一つ云うとジョッキの残りのビールを煽って呑み干し、そそくさと椅子から立ち上がった。名刺にホテルの部屋番号と携帯の電話番号を記したものを残しながら

「お金の用意ができたら連絡してね、先方とは話を進めておくから」

 云いおくとテーブルを離れていく。

 小柄で小太りの三十路を過ぎた独身女の後ろ姿――。

 美女比率の高いネオ・ヴェネチアにあって、ウンディーネというより抜きの美女集団の、その頂点とも言えるアリシアと比べると何もかもがまるで正反対の、フェミニストのジャーナリストを僭称する中年女。

 それが、ラウンジの外へ出ていき見えなくなるまでその背中を憐れむような目で追いながら、一人になった男はいかつい顔で、またテーブルをタバコの吸い口の部分でトントンと叩いていた。

 同じことがアリシアのフィアンセという男と自分との関係にもそっくり当てはまるようで、屈辱感に頬を引き攣らせる。

「あんないい女を抱ける奴ってのは、いったいどんな野郎なんだろうな……」

 だが、その鬱屈した気分も次第に緩んでくるのだった。

「人生イロイロ、男と女もイロイロだ――」

 再びタバコを唇に咥えると、ライターで火を点じた。

「アリシアのオ◯コ3D動画に……七十万クレジットか……ワルくない……コイツはワルくない……」

 自分に言い聞かせるように独言(ひとりごち)ると、吐き出した白煙で目をしょぼつかせながら入管であてがわれた携帯を手に取った。

 男は不服そうにちょっと眉を顰めたが、パネルに太い指を走らせて、まだ軌道プラットホームに残してきた部下の携帯の番号にコールをするのだった。

 

 




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