ARIA A SECRET SCHOOL DAYS 作:真夜中のミネルヴァ
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「スゴいツーショットですよねぇ、ここは一体どこなのぉってくらいの」
灯里の横でみごとに顔を紅潮させて受付の手伝いをしていた男子生徒が、ようやく緊張から解放されたのか軽口をきいた。感心しきりというように、廊下を歩く二人の優美な背中を見送っている。
「あの二人が歩いた跡には、きっとサハラ砂漠にだって花が咲きますよ」
本好きの図書委員らしく、ちょっと気の利いたことを言ったつもりだったが期待に反して相手の反応は鈍かった、というよりも、はっきりよそよそしい。
それでも話を向けた手前、口をつぐむのも気まずくてめげずにつづける。
「三大妖精のスリーショットもスゴいですけど、ウチには規格外の究極モンスターが、アリシア先生を筆頭に女子の中にもゴロゴロ居ますからね。いったい、どうなってるンですかねぇ、わが校は。そりゃ男としては嬉しいかぎりですけど、人生のラッキーパラメーター配分が偏ってるんじゃないかって、たまに心配になってきますよ」
「…………」
「その二人からじきじきのお言葉を頂戴するばかりか、個人教授の約束までとりつけてるなんて、愛澤氏もずいぶんじゃないですか。僕なんかもう、さっき水無先輩が現れた瞬間からカッチカチ、そのうえあのアリシア先生でしょ、もういっぱいいっぱいで、フツーに話ができるだけでも尊敬しますよ」
自分が超美形の二人を前にしてすっかり舞い上がっていたことをすなおに打ち明けた。少年たちは去年クラスが同じだったこともあって、特に仲が良いというわけではなくてもやはり気やすいのだった。
「ねぇ、いま図書室の中に誰か居る?」
「そりゃ誰か来てるかもしれないけど、ココはウチでいちばん大きな図書室だから……でも、どうして?」
妙なことを訊くと思いながら図書委員の生徒は応えた。
「たしか出入館記録があるハズだよね?」
「あるけど……」
「見せて貰えない?」
「それはムリですよ。管理用端末は司書の先生しか使えないから。でも、そんなの見てなにするの?」
「ちょっとね、一日に何人くらい利用者が居るのか気になったから」
そういうと、何かよほど気になることがあるのか書庫のある方に目を遣る。
「そっちは次、たしか晃先生の現国のハズでしょ、行かなくてもいいの? 遅刻すると、気合入れてこい! って、グラウンド十周させられるよ」
三大妖精といっても教育方針にはそれぞれ個性があって、晃――フェラーリ隊長のやり方は、古典的と言ってもいいくらいのスパルタ式だった。
「きみはいいの?」
「僕は休憩に出てる司書の先生との引き継ぎがあるから。それに三時間目はイノケンの地理だし、だから遅れてもぜんぜんへーき」
「そうなんだ……」
同級生はいまいちど室内に強い目をくれると、カウンター越しに向きなおった。
「それなら、きみにひとつ頼んでもいいかな?」
「頼み……!?」
「もちろん、それなりのお礼はするつもりだけど」