※この作品はR-18です。

ARIA A SECRET SCHOOL DAYS   作:真夜中のミネルヴァ

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その こめられた想いは…その2

 

 まっすぐ会社に帰ろうとして歩き始めたアリシアだったが、広場の脇の出店に目が止まると、ちょうど客足が途絶えていたことから自然に足が向くのだった。

 それはアップレッソホテルのパティシエであるアンリが、昼休みの間だけサンマルコ広場でチョコレートを販売している屋台だった。以前から灯里たちの口の端に上ることで知ってはいたのだが、彼女がその前を通る時にはたいてい店の前には長い客の列ができていてなかなか購入できずにいたのだ。だが、それが今日に限ってまだ誰も並んでいず、灯里への土産にしようと思い立ったのだった。

「あの、アンリさん、おじゃまします。チョコレート、少し分けていただけますか?」

「あ、これはこれはアリシアさん、珍しいですね」

「前から気になっていたんだけど、いつもお客さんでいっぱいだったから……でも今日はすぐに買えそうでラッキーって、うふふっ」

「何を差し上げましょうか?」

「お勧めはなんですか?」

 勧められるままに、粒チョコの中に定番の五種類のフィリングを詰めたアラカルトと、この時期限定の西瓜のジャムの入ったものを購入することにする。

「……アリシアさんの引退を聞いた時にはとてもガッカリしましたけど、それが無くなって本当に嬉しいです。僕はここからアリシアさんが海の上にいるのを見ていると安心するんですよ、そして頑張らなくちゃって思うんです」

「ありがとうございます。そんなふうに言っていただけると……でも、グランマの秋乃先生にわがままを言って、灯里ちゃんには無理を聞いてもらって、自分勝手をさせてもらうことが本当に申し訳なくて……」

「灯里さんはすごく喜んでましたよ。アリシアさんが引退を取り消してくれてどんなに嬉しかったか、ここに来るたびに僕に話して……いつもアリシアさんの素敵自慢をいっぱい聞かせてくれるんです」

「……そんな……」

 灯里たちは常連客であるらしく、アンリ目線で少女たちの日常を伝えられる。

 彼女たちの目下の関心事や、ときおり垣間見える年頃の少女らしい甘酸っぱい心の揺れなどを。

 何気ない世間話だが、人づてにでも灯里の胸の裡を知らされるとやはり嬉しい。

「じゃあ、もう二つずつ同じものを二セットくださいな」

 藍華とアリスの分も用意しておくことにした。

「ありがとうございます」

 支払いを済ませて店を離れようとしたその時、

 あ――!

 と、背中に幼い声がして、振り返った時には駆け寄ってくる男の子の姿が目に入るのだった。

「アリシアのお姉ちゃんだっ!」

 そこには幼稚園帰りらしい男の子たちが母親たちに連れられていて、子供たちはアリシアに気がつくやわらわらと集まってくる。

「「「アリシアのお姉ちゃんっ」」」

 園児たちは歓声を上げながら、まるでお気に入りの女の先生にするように、遠慮なくアリシアのスカートやジャケットの裾にしがみついてきて、あっという間に周りを取り囲まれてしまった。慌てた母親たちがすぐに駆けつけてきて引き離してくれたのだが、

 園児の中の一人が、

「アリシアのお姉ちゃん、結婚しないでっ」

 涙を滲ませた真剣な眼差しで見上げて鼻をぐすりとさせていて、たった今アキトと私的な結婚を済ませたばかりのアリシアは途方にくれて、いったい何と言葉をかけたものかと思案する。

 当惑の一瞥をアンリに送って、彼が仕方なさそうに肩をすくめるのを見てとると、覚悟を決めて男児と向き合うことにするのだった。

 前に屈んで、さらにしゃがむと子供の目線よりも下に、アリシアがやや見上げる形になるようにして視線を合わせて真っ直ぐに見つめた。

「僕はいまいくつ?」

 尋ねた。

「四つ」

「お名前は?」

「アイン」

「そう、アインくんね、よろしく」

「アリシアのお姉ちゃん……結婚しないで下さい、結婚しちゃヤです……」

 児童は同じことを繰り返して、キッパリとした様子になると

「僕、アリシアのお姉ちゃんが大好きだから、アリシアのお姉ちゃんと結婚したいから」

 涙を流して訴えていた。

「ありがとうアインくん」

 そばにいた母親らしき若い女性がすまなそうな顔をしているのに気がつくと、大丈夫、というように頷いて微笑みを送る。

「そう云ってもらえて私も嬉しいわ」

「ほんとに?」

「ええ……でも、婚約は約束だから……ねぇアインくん、アインくんがお母さんと明日、遊園地に行く約束をしていて、もしもお母さんがその約束を破ったらどんな気持ちになるかしら?」

「それは……イヤ……ヤです」

 子供らしい頑なな仕草で唇を尖らせる。

「そうよね、約束を破ったらイヤよね」

「うん」

「わたしもその人と結婚の約束をしているの、だから約束を破ることはできないわ……約束を破るのはとてもいけないことでしょ?」

 子供は頷くが、

「……じゃあ……僕……」

 自分の思いが届かないことを知って俯くと、また涙を流して、肩を震わせるのだった。

 たとえ年端もいかない男の子とはいえ、深い悲しみに沈む様子には胸が痛むのだ。ましてそれが自分の所為であるとなると尚更、そのままにはしておけなくなってくる。

「でも、いまアインくんと別のお約束をすることはできるわ」

「べつのやくそく?」

「ええ、約束よ」

「どんな?」

「二十年後、アインくんが大人になって、その時、もし私がひとりだったらお嫁さんにもらってくれますか?」

「おとなになったら……?」

 アリシアの提案は有効だったようである。幼いながらも考えを巡らせていて、幼児は次第に機嫌をなおした様子になっていく。

「ええ……」

「僕と結婚してくれるんですか?」

「そうよ」

「ほんとに?」

「約束するわ」

 アリシアがそれを口にした途端、今度は周りにいた他の男子児童が

「ずるい、アインばっかりずるいっ」

「僕もアリシアのお姉ちゃんと結婚したいっ」

「僕も」

「僕も、僕もっ」

「僕もっ」

「え――!?」

 子供たちは母親の手を振り切って周りに群がってくると一斉におねだりを始め、想定外の展開になってアリシアは当惑しながら立ち上がった。

 小さな顔がみな真剣な眼差しになって見上げている。

「わかったわ、みんなと約束――」

 ちょっと困った笑顔になりながらも同意するのだった。

 子供たちは「ワーイ」と声を上げて大喜びをする。

「アンリさん、アラカルトをもうあと六つ、いただけるかしら?」

 子供の数に合わせてチョコレートを買うと、一人一人に配るのだった。

 さっきまで泣いていた男の子も、今はすっかり笑顔になってチョコレートを受け取っている。

 母親たちは、子供のわがままにお付きあいしてくれるばかりかプレゼントまで与えられて申し訳なさそうにしているが、アリシアはお気兼ねなくというように笑顔で応えて、代わりに感謝の言葉を受け取っていた。

「なんとお礼を申し上げたらよいやら」

「そんなお礼だなんて……」

 母親たちはしきりに頭を下げて礼を言うのだが、

 子供たちの関心はすでにチョコレートの方に映っているようで、母親たちを置き去りにして早速開封すると、口に含んで喜びに目を丸くしている。

「アリシアさん、いいんですか? あんな約束をしてしまっても……」

 アインの母親と思われる一人が恐縮しつつも思案げにして訊いた。

「二十年も先のことですから……ずるいですよね、純真な子供を騙しているみたいで……」

「そんなこと思ってもいません……ただ、大丈夫なのかなって思ったので。みんな今日のこと、決して忘れないと思いますから」

「そんなことないですよ。だって約束したといっても二十年後です。その時にはもう私はただのオバさん、おばあさんですよ、きっともう誰からも顧みてはもらえなくなっていますね」

「まさか――」

「それどころか私の方が旦那さまに捨てられていて、誰かいい人いないかしらって、今日の約束を楯に息子さんたちのところへ押しかけてるかもしれません、うふふっ」

 アリシアは冗談を言って場を和ませようとしていた。

「たとえ二十年経ってもアリシアさんはお綺麗なままだと思いますよ、いいえ、今よりももっとお美しくなっておられるかもしれません」

「そんなはずないじゃないですか、でもお世辞でも嬉しいです。ありがとうございます」

「お世辞だなんて、ただそのことで気がかりが、また一つできてしまったみたい……」

 母親は複雑な顔をしていて

「あの、まだなにか……?」

「だってあの子は、アリシアさんを間近にして、これからあの子が出逢う女の子は、みんなあなたを基準にした目で見てしまうことになるんですよ……アリシアさんと比べて目がこうじゃない、鼻がこうなっていないって、相手の容姿の間違い探しを始めてしまうんじゃないかしら……あまりハードルが上がってしまうと普通の恋ができなくなってしまわないかと……」

「そんなことありませんよ……年頃になって若くて綺麗な彼女ができれば、男の子はみんなその子に夢中になって、子供の頃のことはすぐに忘れてしまうものですから、今日のことなんて誰も覚えてはいないと思いますよ」

 アリシアは母親の取り越し苦労だと感じて屈託なく微笑んだ。だがその眩いばかりの笑顔には、年齢の近い同性でありながら母親たちの誰もが目を奪われてしまっている。

 自身の値打ちについて誰よりも鈍感なのがアリシア本人なのだということがまた彼女らしく、一段と魅力を惹き出してしているようにも思えてしまうのだった。

 こんなにも優れた女性でありながら、飾らない人柄と愛らしい性格、誰だってひと目で恋に堕ちてしまいそうだった。

 が――。

「ねぇ、アリシアのお姉ちゃん、赤ちゃんってどうしたらできるんですか?」

 一人の男の子が、チョコレートを頬張りながら無邪気に尋いて、母親たちの和んだ空気に冷や水を浴びせかけたのだ。

「おまえ知らないのぉ? せっくすをすると赤ちゃんができるんだよ」

 別のひとりがわけ知りに言い、さらに場を緊張させている。

「せっくす? せっくすってなぁに?」

「よくわかんないけど、赤ちゃんを作るためにパパとママはせっくすをするんだって」

「あ、それ僕きのう見たよ、夜パパとママが裸になっていっしょに寝てた」

 それを口にした男児の母親はたちまち慌てた様子になって、ママ友からの“あら、お宅はまだ熱々なのね”とでもいうような冷やかしの目に、「なにいってるのよこの子はっ」と、取り繕うのに懸命になっていた。

「赤ちゃんはね、本当に大切な人と心を通わせると、ご褒美に神さまがくださるとても尊くて大切なプレゼントなの。だからみんなは神さまの贈り物なのよ」

 アリシアが彼女らしい助け舟を出したのだが、

「結婚したらアリシアのお姉ちゃんもせっくすをするの?」

 子供にしか許されない無邪気な質問に、再び場が凍りついてしまうのだった。

 アリシアが次にどんなことを言うのかとみなが固唾を呑んでいたが、

「そうね……わたしも神さまからのプレゼントが欲しいから、うふふっ」

 上手く話を纏めたアリシアに、親たちは心の中で喝采を贈っていた。

「僕もプレゼント欲しいっ!」

「じゃあ、僕もアリシアのお姉ちゃんと結婚したらせっくすするのかな?」

「さぁ、どうかしら」

「僕もアリシアさんとせっくすがしたい」

「僕もっ」

 邪気がないとはいえ子供たちからのキワドイおねだりに

「あらあら、まぁまぁ」

 アリシアは困った容子になりながら笑顔で応えているのだった。

 灯里と藍華とアリスの三人が午前の予約を終えて広場に現れたのは、そんな危なっかしいやり取りがちょうど一段落ついたところだった。

 藍華は目ざとく、アンリの出店の前で子供たちに囲まれているアリシアに気がついてやってくると、

「やっぱりアリシアさんはさすがですねぇ、子供たちにも大人気で」

 事情を知らずに呑気なことを言っている。

「アリシアさん、いま理事会のお帰りですか?」

「うん、少し前に終わって、図書館に寄ってきたところよ、それで灯里ちゃんたちにチョコレートをお土産にしようと思って」

「そんな、あたしたちにまで気をつかっていただかなくても……それにしてもなんかスーツ姿のアリシアさんっていうのも、新鮮でキマってますねぇ」

「今のアリシアさんは、でっかい女子大生そのものです」

 アリスも憧れの眼差しで見上げていた。

「灯里お姉ちゃん、僕、おとなになったらアリシアのお姉ちゃんと結婚する約束をしたんだよ」

 近くに居た男の子の一人が自慢げに言うと、「僕も」「僕も」と、居合わせた子供たちが口々に同じことを言って

「はへーっ、ど、どっどういうことなんだろう……??」

 わけがわからずに灯里は天を仰ぐと、説明を求めてアリシアの方へと顔を向ける。

「あたし、この子たちからプロポーズされちゃったの、うふふ」

 アリシアが困り笑顔で説明していた。

「それでね、僕、アリシアのお姉ちゃんと結婚したらせっくすするんだ」

 子供たちは「そうそう」とみんなが口を揃えていて、母親たちは目を覆っている。

 何やらとんでもないことになっているのにようやく気がついて、美少女たちは互いに目配せをしていたが、アリシアから事情を告げられると、さらにまたどうしたものかしらと顔を見合わせるのだった。

 アリシアは衒いなく微笑んでいるが、この姉は、またなんて無防備なむごい約束をするのだろうかと胸の中で当惑に頭を抱えている。

 たとえ二十年後だろうと何だろうと、アリシアが男たちにとっての垂涎の美女であり続けるのはまず間違いなかったからだ。

 やがて叶わぬ恋に身を灼くことになる重度失恋症の犠牲者予備軍をたった今、六名も発生させたことに、全く気がついていないのが当の本人だった。

 幼稚園児たちに今からそれを運命づけるのはさすがに酷というものだった。

「ま、アリシアさんらしいっていうか……」

 藍華がとりなして場を治めたが、広場からアリアカンパニーへと徒歩で向かう道すがら、何事もなかったかのようににこやかに足を運ぶアリシアをよそに、美少女たちはアリシアが今後も不用意に災いの種を蒔くようなことにならなければいいと心から願うのだった。

 婚約――を告げただけで地球圏を揺るがす大騒動になってから、まだほんの一ヶ月、その記憶も冷めやらぬ今、小康を保っているとはいえ、水の妖精から生ける女神になったアリシアへと人々が向ける興味と関心は、これまでとは比較にならないレベルに達していた。

 世界的な歌手やアイドルというのならばいざ知らず、一人の水先案内業者の女子に、毎日/\、段ボールで大量のファンレターが送られてくるというのは尋常ではない。

 だがその反応はむしろ当然だと思うのだ。

 世界は知ってしまったのだから――。

 このアリシア・フローレンスという名の類稀な美女の存在を。

 そしてその関心の中には人の営みである以上、当然、悖戻(よこしま)なものも含まれている筈なのだった。

 幸いAQUAに暮らすものたちは、アリシアがこの惑星から愛されていて、その加護を受けていることを感じている。

 間違っても狼藉を働こうと思い立つものは居ないだろう。

 一方で、たった今の出来事のように、アリシアは自然に、安易に魅力を振りまいてしまうのだ。

 人を疑わず、悪意や害意にも無頓着な、この心やさしき女神に、もしも罪があるとしたら、己の価値に対する自覚があまりにも希薄であることだった。まるで自分がどこにでもいる普通の女の子のように思っている。

 そんなこと、あるはずがないのにっ――!

 何も知らずにこの星を訪れて、AQUAの理(ことわり)への配慮もないままに、もしも誰かが悪意を向けてきたとしたら、万が一にもアリシアが大きなトラブルに見舞われることになったとしたら……?

 前例があっただけに、それを想うと安閑としてはいられなくなるのだ。

 アリシアに代わって、自分たちがしっかりしなければ、と思う。

 今、アキトがアリシアへの接触を避けているのは賢明な彼らしい態度だと感心していた。

 アリシアへ向けられる興味と同じレベルで世間の関心は彼へも向けられていたが、それも当然だった。

 アリシアの思い人となった、世界中の誰よりも幸運な男性へと向かう眼差しはいきおい厳しいものとなるに違いない。同時にそれはアリシアにとってのウィークポイントになりうるものだった。

 当分の間は、正体を伏せたままでいる方がアキトだけでなくアリシアにとっても安全なのだ。

 また、以前に会社にやってきた女記者から仕掛けられた時のことを考えると、アキトについて知っている自分も用心するに越したことはないと思う。

 先のような失敗は二度と繰り返さないためにも――。

 灯里は、アキトのことをまだ二人の親友には告げていなかったが、やはり今は胸の内に留めておくことにするのだった。

「灯里、大丈夫だよ、このネオ・ヴェネチアにいる限りは」

 灯里の懸念を察したように藍華が励ましていた。

「うん、そうだよね……女神さまを、AQUAの神さまが守ってくれないはずないよね……やさしい気持ちは、やさしさを呼ぶから、愛情って心にとってのいちばんの宝ものだから」

「ハイ、恥ずかしいセリフ禁止っ」

「はえーっ」

「あらあら、なぁに、こそこそとナイショ話なんかして、私の悪いうわさ話かしら? うふふっ」

「はひっ、そんなんじゃありません」

「じゃあ、なぁに?」

「はへー……アリシアさんはやさしいな、きれいだなって」

 アリシアに自分たちが抱える懸念を伝えても、そんなことがあるはずはないからと言って、取り合ってもらえないことは判っていた。

「ふーん……そういうことにしておいてあげるわ、うふふっ……ところでお昼、みんなは何が食べたい? 今日はあたしが作るわよ」

「え、いいんですか? ウチらもお相伴して」

「あら、だって、そのつもりで一緒に会社に向かっているんでしょ?」

「あ――」

 アリシアに図星を指されて藍華は絶句する。

「でっかい、見透かされてましたね、藍華先輩」

「アンタだってそうでしょっ」

「あたしはこんなこともあろうかと、でっかい食材を用意してありますので……長いシエスタを過ごすのに、食べるものは欠かせませんからっ」

 アリスはキリッと頤を上げて得意げにすると、腕に下げていた手提げ袋の中からビニール袋に入ったものを掲げてみせた。

「最後のお客さまから、食べてくださいって渡されたんですけど……」

「へいへいスゴいスゴい、後輩ちゃんもお客さまから差し入れを戴けるくらいに一人前になったんだ、ウチらの中で一番にプリマになったのはダテじゃないわね。で、何をもらったの?」

「旦那さまが漁師さんのお二人で、昨日ネオ・アドリア海で獲れた魚介類だそうで、生食も大丈夫なくらい新鮮だと思うとは言われてましたが、季節が季節なだけに一応、加熱して食べてくださいって……」

 アリスは袋の中を覗いて、

「小海老さんと、それにホタテとイカが入ってるみたいです」

「あらあら、まぁまぁ、それなら海鮮チャーハンが作れるわね」

「アリシアさんの海鮮チャーハンかぁ、また完成度が高いんでしょうねぇ」

 藍華の目が既に遥か彼方を見つめていた。

「そんなにハードルを高くしないで、うふふ」

「あたし、でっかいお手伝いいたしますっ」

「あたしも錦糸玉子なら作れますので」

「藍華先輩、錦糸玉子を具材にするのは冷やし中華です。海鮮チャーハンにはでっかい不要ですっ」

「あら、錦糸玉子の飾りも素敵じゃない、藍華ちゃんにはそれをお願いしようかしら」

「ホラ、アリシアさんもそう言われてるし」

 アリシアの賛意をとりつけて、今度は藍華が得意そうにする。

「あの、あたしは何をしたらいいでしょう……」

 すっかり出遅れた灯里が尋くと、

「海老の殻剥きとか、素材の下ごしらえがあるから、みんなが手伝ってくれるととっても助かるわ」

「ハイっ――」

「よーし、今日はみんなで海鮮チャーハン作り、頑張るよっ」

 藍華が気勢をあげると、美少女三人は拳を突き上げるのだった。

 

 




荒木マユミパートまで描きたかったのですが
時間切れ
ボリュームは大したことないのですが、明日にします
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