物静かで大人しい清楚系隠れ巨乳図書委員の潮乃森さんが僕にだけパンツを見せてくれるから──毎日図書室へ行って図書委員の潮乃森さんとえっちをする話(連載版) 作:しじままどせ
「えと、潮乃森さんは、さすがにまだ来てないよな……」
待ち合わせ場所として選んだ駅前の広場を、僕はぐるりと見回した。
土曜日の駅前広場は通行人やらカップルやらでごった返していた。休日だからだろうか。道行く人たちもどことなく楽しそうな表情をしているように見えた。
潮乃森さんは広場の中心にある時計台のところにいると言っていたけれど、姿はまだ見えなかった。それはそうだろう。まだ約束の時間までは一時間以上あるのだ。
今日はデートの日だ。
潮乃森さんと水族館に行く約束になっている日である。駅前の広場で待ち合わせをして、そこから徒歩数分のところにある水族館へ行く計画になっていた。
このデートで僕は完全に潮乃森さんに対してペースを握ってしまいたいと思っている。もう潮乃森さんに翻弄されないように、たとえ彼女がパンツを見せたりして誘惑してきても流されないように……むしろ僕の方からラブホテルへ誘うくらいの勢いで主導権を握ってやろうと心に決めている。
だから僕はわざと待ち合わせ時間よりも一時間も早く来た。早めに待ち合わせ場所に来て潮乃森さんを待つことでデートの主導権を握ろうという作戦である。
であるのだけれども……。
「……あ、佐々木くん」
潮乃森さんが、いた。
彼女は待ち合わせの時計台が見える位置のベンチに腰掛けて優雅に文庫本を読んでいた。そして僕の姿を認めるなりクスッと微笑んでこちらに向かって小さく手を振った。
「う……」と思わず唸った。
待ち合わせ時間よりも早く来て潮乃森さんをびっくりさせる計画だったけれど、いきなり出鼻を挫かれた形だ。
いや、それだけではない。
今日の潮乃森さんはいつにも増して美少女だったのだ。
よそ行きの服装というか、デート用の服装なのだろうか。彼女はいつもの制服姿ではなかった。襟のついた黒っぽいワンピースの上にカーディガンを羽織っている。ワンピースのスカート丈は膝よりも上で、彼女の綺麗な膝がまるっと見えている。
過度にセクシーな服装ではない。むしろ禁欲的なくらいに清楚な格好だ。けれど彼女の膝が常時見えているという事実が『今日の潮乃森さんは私服なのだ』ということを強調していた。だって制服の時の潮乃森さんはいつも膝下丈のスカートを穿いていたから。
それに今日の彼女は髪を左右一本ずつ三つ編みにしていて、眼鏡のフレームもいつもとは違って赤色で、いかにもデート的な格好をしている美少女といった感じだった。
僕は、そんな彼女の格好だけで既にペースを握られそうになって、焦った。これはよくない。だから僕は極力平静を装って潮乃森さんの方へと近づいていった。
「ずいぶん早く来たんですね、潮乃森さん。待ち合わせまでまだ一時間以上ありますけど」
「きみとお出かけするのがたのしみだったから」
「う……そうなんですね」
「佐々木くんも、早いね」
「そ、そうですね……」
動揺している僕に対して潮乃森さんはクスッと微笑んで余裕の態度だった。
そして彼女は読んでいた文庫本をパタンと閉じ、立ち上がってこちらに向かって手を差し出した。
「……行こ?」
そうして首を傾げながら手を繋ぐことを要求してくる潮乃森さんはやっぱり美人で、僕はもうダメかもしれないと思った。完全に潮乃森さんに先手を奪われた形になってしまったから。
彼女の手を僕が取って「エスコートしますね」と言うと、潮乃森さんは「うん」とシンプルに答えて一緒に歩き始めてくれた。
ここから何とか巻き返したい……と思いながら、僕たちの初めてのデートは幕を開けたのだった。
◇◇◇
「わ、潮乃森さん、あれシャチですよ、シャチ」
「うん」
「すごい、想像よりもずっとデカいです……イルカよりちょっと大きい程度なのかと思ってました」
「ふふ、佐々木くん、楽しそう」
「あっちに骨格標本があるみたいですよ、行ってみましょう!」
「うん」
それで、デートがどうなったかというと、僕は思いのほかはしゃいでしまっていた。
なんというか、潮乃森さんはものすごく聞き上手だったのだ。元から彼女は物静かな人ではあるのだけれど、こちらが話せば何でも興味深そうに耳を傾けてくれるのだ。そのせいでこちらは楽しくなってついつい話しすぎてしまう。
そうしてはしゃいで話しすぎる僕のことを潮乃森さんは目を細めてまぶしそうに眺めていて、しかし退屈そうな雰囲気は一切見せない。ずっと僕と手を繋いだままついてきてくれている。そのことがものすごく嬉しかった。
ところで、実のところ初デートで水族館へ行くのはよくないという説があるらしい。水族館という場所は案外会話が保たない場所であるらしく、気まずい沈黙に耐えられなくなってムードが険悪になることが多いのだそうだ。
しかし少なくとも僕と潮乃森さんに関してはそんなことはまったくなかった。
というか普段の図書室にいるときに比べたら百倍くらい会話が多いくらいだ。だって水族館では(騒ぎすぎるのはよくないにせよ)私語は禁じられていないから。だからこの場で潮乃森さんが口癖の「しぃー……」を出すことは一回もなかった。
付け加えて言うなら潮乃森さんがこの場でパンツを見せてくるようなことも、なかった。いつもより短いスカート丈を気にしているようではあったけれど、それがめくれ上がってしまうようなことは一度もなかった。
僕たちはまるでごく普通のカップルのようにデートをしていた。
「というか僕ら、何だか自然に手を繋いでませんか」
「…………?」
熱帯の海を模した大きな水槽の前で立ち止まって、色とりどりの熱帯魚をぼんやりと眺めている潮乃森さんに、僕はふとそう尋ねた。
その水槽の前を大勢の人が通過していっていたけれど、不思議とその水槽を立ち止まって眺めている人は僕たちしかいなかったからだ。話しかけやすいタイミングだったのである。
僕に尋ねられた潮乃森さんはまるで虚を突かれたかのようにぱし、ぱしと二度三度瞬きをして、それから
実のところ不思議に思っていたのだ。どうして僕たちは手を繋いでいるのだろう、と。駅前の広場からこの水族館まで僕たちは手を繋いで歩いてきたし、今もずっと離れずにいたし、それに、そのことを全然疑問にも思っていなかったし。
「いや、先日図書室でセ──いろいろあって、一緒に帰った日から、なんだか自然と手を繋いで歩くようになったな、と思いまして」
「……確かに」
「潮乃森さんは僕と手ぇ繋ぐの嫌じゃないんですか?」
「……? きみと手を繋いで歩くのを嫌がる理由、ないし」
「恥ずかしいとかは?」
「ない、かも。恋人繋ぎとかしてみる……?」
「え……」
『恋人繋ぎ』という言葉が上手く認識できなくて目を見開いていると、その隙に潮乃森さんの手が一旦離れて、また繋がれた。今度は普通の繋ぎ方ではない。指を絡めた、まるで神さまにお祈りをするときみたいな手の形だ。
あ、これか、と直後に認識した。
つまり潮乃森さんは僕と恋人繋ぎをしていた。彼女の細い指が僕の指に絡んでいる。その事実を認識して、何だか急に恥ずかしくなった。
「し、潮乃森さん……!」
「えへへ、ちょっと照れるね、これ。これ、いやだ?」
「い、嫌じゃない、ですけど」
「……ん」
隣に立つ潮乃森さんはほんのりと頬を染めながらこちらを見上げてきた。はにかみ顔とでも言えばいいのだろうか、少し恥ずかしそうな、どこかくすぐったそうな顔をしている。
その顔が水槽の明くて水色っぽい照明に照らされていて、なんだか新鮮な感じだ。
「う……」と思わず唸りたくなるくらいに、その時の潮乃森さんの顔は美少女だった。
そしてそんな彼女と手を恋人繋ぎで手を繋いでいるのは僕なのだ、という事実に背筋がゾクッとなった。
そのうえ潮乃森さんは隣に立った僕の肩に頭を預けるようなポーズで寄り添ってきた。ふわ、と彼女の甘いシャンプーの香りがして、同時に彼女の体の重みと熱を感じる。甘えられている、と認識する。
「こういうのは、いやだ?」
「い、いやじゃないですけど……けど……!」
また潮乃森さんのペースに飲まれつつあることに気づいてハッとした。今日は潮乃森さんが官能に訴えかけるような誘惑をしてきていないせいで認識が遅れたけれど、また潮乃森さんのペースで行動しそうになっていたのだ。
これはだめだ、と慌てて思う。潮乃森さんから話の主導権を奪い返さなければ。
「あ、ほら、潮乃森さん! あっちで何かのショーをやるみたいですよ、行きましょう」
「……む」
「ほらほら、見逃したら損ですし!」
「……うん」
立ったまま寄り添ってくる彼女の頭をなんとかいなして彼方を指さすと、潮乃森さんは一瞬だけ唇を斜めにした。不満そうな表情だ。
けれどもショーのことを気になる気持ちもあったのか彼女はこっくりと頷いてくれた。
それで僕はどうにか寄り添ってくる潮乃森さんから逃れることに成功したのだった。
といっても手は恋人繋ぎをしたままだったし、ショーを見ている間中ずっと隣の席に座った潮乃森さんは僕に頭を預けていたし、何だったら僕のふとももに触ってきたりもしたから、どちらかというと僕の敗色が濃厚だったわけだけれども。
◇◇◇
「ふぅ……」
「歩き回ってちょっと疲れましたね、潮乃森さん」
「……ん」
僕と潮乃森さんはイルカやらシャチやらのショーを見て、それからまた水族館の中を歩き回った結果、少し疲れた。
それで休憩をしようという話になって、僕たちは今、リクライニングのソファに座っている。
海亀の回遊水槽と名前が付けられた水槽の前だ。この水槽は非常に大きな円筒のような形をしていて、海亀が水槽の中を自由に回遊できるようになっている。
照明はかなり控えめにされていて、薄暗い。水族館の一番すみっこに当たるような場所なのだ。どことなく深海を連想させるような雰囲気の場所である。
その水槽の中をゆっくりと海亀が滑るように泳いでいくのを、水槽の前に備え付けられたソファに座りながら僕たちは眺めていた。
ソファは階段状にいくつも並べられていたけれど、ここに座って水槽を眺めているのは僕たちだけだった。あとは海亀と一緒のペースで水槽の前を走っている小さな兄妹がいる程度だ。
だから、ここはとても静かだった。波が寄せては返すような環境音がスピーカーから流されていて、それが余計に静けさと眠さを強調しているようだった。
実際、潮乃森さんは少し眠いのかこちらにもたれかかってきていた。また彼女の甘いシャンプーの香りがしていた。僕も少しだけ眠かった。
「眠いんですか、潮乃森さん」
「うん、早起きしたから……」
「集合場所に来るのも早かったですもんね。何時に起きたんです?」
「……三時」
「三時!? 深夜じゃないですか」
「どきどきして眠れなかったの」
「う……」
ひた、と潮乃森さんが僕のふとももの上に手を置いた。熱い手だ。その手が膝の内側から足の付け根の方へしゅるり、しゅるりと滑っていく。
その動きはまるでこちらの筋肉の形を確かめるような動きだった。けれど、淫蕩な動きでもあった。
やばい、と思った。
思えばここはかなり暗い。僕たちの手元は近くに寄らなければ見えないだろう。それに周囲にはほとんど人がいないし、いたとしてもみんな水槽の方を眺めている。
つまり性的な悪戯をするのにおあつらえ向きの場所だ。もちろん潮乃森さんが僕に向けて、という意味で。
そのことを意識した時にはもう潮乃森さんの手は僕の足の付け根に到達していて、そこからそけい部、下腹部……というように移動してきている。
そうすると自然と僕のズボンの内側でテントが張ってくるわけで……。
「……亀」
「ちょ、潮乃森さん、下ネタやめてくださいよ、海亀の水槽の前で」
「…………?」
「あ、いや、何でもないです。でもこんなのところで──」
「しぃー……」
文句を付けようとしたら、潮乃森さんが人さし指を唇に当てて『しぃー……』と言った。無論、静かにしてね、というジェスチャーだろう。
そうすると潮乃森さんがこの場で何をしようとしているかが必然的に察されるわけで、僕は慌てて何度も首を振った。
でも潮乃森さんの指先は既に僕のテントの頭頂あたりを指で捉えてカリカリ、カリカリと指の腹でこそげるように引っ掻き始めていた。
「うぁ……」と小さく声が出て、慌てて僕は口を塞ぐ。
周囲をキョロキョロと見回すとあたりには誰もいなかった。走っていた兄妹さえもいなくなっている。そして隣を見ると潮乃森さんがこちらを見つめていて、彼女は黙って
まるで『どうする?』と尋ねんばかりの淫蕩な表情だ。
ここで潮乃森さんにペースを握られるのは非常にマズい。こんなところで射精させられたくない。でも、潮乃森さんの手は既に勃起した僕のモノをズボンの上で捉えていて、僕のモノの形を確かめるみたいに握ろうとしてきている。
このままでは射精させられる。それはきっと気持ちいいだろう。
でも、ここからどうにか挽回したい。
そんな矛盾した思いを抱きながら僕は潮乃森さんの目を見た。
『どうする……?』と彼女の目は眼鏡の奥で笑うように細められていた。