ホテルの廊下を、妹と二人並んで歩く。
備え付けのスリッパで高級そうなカーペットを踏む乾いた音が、だんだんとペースを上げる。履き心地が悪いせいか、足下がもどかしい。多分早く部屋に戻りたいからそう感じるのだろう。
ふと、向こうから観光客らしき男女のグループが歩いてくる。早々にチェックアウトを済ませてこれから観光スポットにでも行くのだろうか。俺たちとすれ違いざまに、数人が浴衣姿の夕月に目を奪われている。
しかし当の本人は涼しい顔で、複数の視線を意に介さない。
見られることに慣れているというより、そもそも気にしていないのだ。今は早く部屋に戻りたい。そんな妹の思考が兄には分かってしまう。ということは、俺がまったく同じ思考であることも妹には伝わっているはずだ。
俺は小さくため息をつくと、歩く速度を上げた。
部屋に戻ると、畳の香りが鼻をついた。
同時に落ち着く匂いも漂ってくる。それはさっきまでこの部屋に俺と夕月がいた証だ。一晩しか滞在していないのに、家に帰ってきたような心地になる。
「ただいまー」
夕月がいつもの調子で言った。どうやら彼女も同じ気分になったらしい。
「おー、おかえり」
いつものように返すと、妹が納得したようにうなずいて和室へ上がった。
部屋は出たときのまま、低いテーブルの上には夕月のポーチや俺の財布、二つ並んだ布団は雑にめくれている。二人暮らしっぽい感じがして、妙にエロい。
妹は持っていたスマホで時間を確認すると、テーブルに置いた。
「お兄ちゃん、しよっか」
「ああ」
いつもの淡々とした口調じゃなく、物欲しそうな声にドキリとする。この声色に俺は弱い。ついなんでも与えたくなってしまう。
当たり前のように夕月の顔が近づいてきて、唇が重なる。
「んっ……ぁ、ぇぁ……ぁっ、ん……」
最初は唇をくっつけ合うキス。それからお互いの唇が開いて舌が触れ合う。
何かを確かめるように舌同士が左右に舐め合い、奥へすれ違うように絡まっていく。そうして互いの舌の根元を舌先でつつき合う。
いつものディープキスなのに、今日は一段と気持ちがいい。
五感が研ぎ澄まされて舌のわずかなうねりや喉の動き、喉奥から漏れてくる息づかいまでダイレクトに伝わってくる。
「ん、ぁ……ぇぁっ、ぇれ……はぁ、んっ……ぇぁ」
畳の匂いに混じり、興奮した夕月の香りが立ち込めてくる。キスの気持ちよさで頭がぼうっとしてくる。抱き締めれば、浴衣越しに高い体温と柔らかさを感じる。
おかしい。まるで恋人同士のキスみたいだ。いつもより胸がバクバクいっている。旅先の解放感のせいだろうか。妹が愛おしくてしょうがない。
考えてみれば今日は夕月とおはようのキスをしていなかった。つまりはこれが俺たちの朝一番のキスで、だから唇や舌がこんなに気持ちいいのかもしれない。
息つぎの合間に漏れる甘い吐息も、深く舌を絡ませる前にコクと動く小さい喉も、すべてが俺の股間を熱くさせる。
このままだとチェックアウトまでキスをし続けてしまう。
妹もそう思ったのだろう。息を合わせたように、だんだんと舌が解けていく。
名残惜しさに互いの舌を舐め合いながら、徐々に接触面が減っていく。最後にチュと軽い口づけをして、顔が離れた。
頬を染めた夕月が感じ入ったようなため息をつく。
「なんか、すごかった。今の」
「ああ、すごかったな」
「ん……お兄ちゃんの、から揚げっぽい味する」
夕月もほんのりケチャップの甘みがあったが、文句を言われそうなので黙っておく。それよりもキスの味を思い出すように舌なめずりをする妹がエロくて、少しテカった唇に見惚れてしまう。
ふと見れば夕月の浴衣がずれて、真っ白い肩が露出していた。
胸元もはだけてノーブラの谷間がのぞいている。
どうやら俺は相当強く抱き締めていたらしい。華奢な背中を何度も撫でさすっていた気もする。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「もっかいする?」
「いいけど、罰ゲームはいいのか」
「あぁ、時間なくなっちゃうか」
鼻先が触れ合う距離で、内緒話をするみたいに囁き合う。
夕月はテーブルの上のスマホを見つめてから、すっと体を離した。
「じゃーはい、お兄ちゃん布団に寝て」
「へいへい」
内心のウキウキをひた隠し、若干面倒そうな動きで布団に仰向けになる。
夕月は浴衣を着たままパンツをするすると下ろし、俺の腰にまたがってきた。彼女のほんのり濡れた股下に股間が触れるだけで、精巣が勘違いして射精しそうになる。
「お兄ちゃんの浴衣、脱がすね」
「脱がすのか」
「うん、浴衣脱がしてみたい」
それはこっちのセリフなんだが。
なんて思っていると、夕月が俺のOKを待つことなく浴衣の帯を解いてきた。
なぜか楽しそうに結び目を外し、浴衣を左右に開く。彼女は少し腰を浮かせると、俺の下半身もはだけさせ、トランクスを脱がしていった。
「ん、すごい勃ってる」
「そりゃ、まあな」
などとクールに返すが、まろび出たペニスはお腹に付きそうなほど反り返っている。朝食のときから勃起していたせいか、すでに先走り汁が亀頭を濡らしていた。
よほど妹とのセックスを渇望していたのだろう。つくづく単純なチンコだ。
「じゃー、入れるね」
俺の股間を興味深そうに観察してから、夕月は目を伏せ、ゆっくり腰を下ろしていった。
「ンッ……お兄ちゃんの、さっきより硬い」
「ああ、かもな」
思わず声が
夕月が「ぁ」とため息のような喘ぎ声を漏らす。
俺の股間と妹の股が密着した。体を強張らせながらも、徐々に体重を掛けてくる。俺の尻が布団に沈み込んでいく。いつものベッドとは違い、奥に畳の硬さを感じた。
「お兄ちゃんそのままでいいよ。私が動くから」
妹がぐいぐいと腰を動かす。気持ちいいところに当たるよう調節しているのだろう。その都度
「うっ……至れり尽くせりだな」
「まあ、んッ……罰ゲームだし」
むしろ俺にとってはご奉仕というかご褒美だ。
ひときわ敏感なところをこすったのか、夕月が詰まったような息を吐く。きゅうきゅうと肉棒を締め上げながら、腰を前後に動かし始めた。
「ぁっ……ンッ、う……あんっ……」
妹が片目を閉じながら、可愛い喘ぎ声を漏らす。
昇天しそうなほど気持ちいいが、ゆったりとした動きがもどかしい。つい腰を突き上げたくなるのを我慢する。なるほどこれは確かに罰ゲームだ。
「ん、んぁッ……お兄ちゃんのふくらんできた……もう出る?」
「出そう。夕月の気持ちよすぎ」
「そ、なんだ……お兄ちゃん、動く?」
「いいのか?」
騎乗位で下からズンズン突かれるのは快感よりも苦しさが勝る、などとネットに書いてあった気がする。新幹線でヒマつぶしに読んだだけだからうろ覚えだが。
「いいよ。お兄ちゃんに動かれるの、私も気持ちいいし」
「そうか」
ならいいな。
「ひぁっ、あぁんっ——ッ」
腰をわずかに押し上げただけで夕月が両目を閉じた。落ちないように彼女の腰をつかみ、さらに突き上げる。
「あっ、はぅッ……ん゛んんっ」
夕月の浴衣の下からバチュと水音がした。すぐに膣内が収縮して精を絞り取ろうとしてくる。これは持ちそうにない。
「すまん、出る」
夕月は目を閉じながらコクとうなずく。
「んッ、んっく、ぅ……」
歯を食いしばったように見えたその瞬間、膣口がペニスの根元をぎゅっと締めてきた。
「うおっ……!」
腰が浮き、尻奥がすぼまる。ビュルと精子があふれたかと思うと、そこから
浮いていた腰が落ちても、夕月の膣はきゅうきゅうと精液を吸い出し続けた。
独特な畳の香りに混じって、妹の——女の甘い匂いが漂う。
嗅覚に意識を割けるくらいには落ち着いてきたので、腰の上でビクビクと痙攣している夕月に声を掛けた。
「大丈夫か?」
「……ンッ、うん……へいき、ありがと」
やっと薄目を開けた妹の瞳は、潤んでいた。ゆらゆらと揺れる眼差しを俺に向けてくる。
そんな熱っぽく見つめられたら、兄の——男の本能がまたしてもえらいことになるっていうのに……どうしてこうナチュラルに煽ってくるのだろうか。
「お兄ちゃん、まだ時間あるかな」
「多分あると思うぞ」
「じゃあ、もうちょっとヌく?」
「だな」
相槌を打つみたいに夕月がきゅっと膣を締めてくる。
彼女の浴衣はいつの間にか脱げかけていて、下からでも両肩や胸の谷間がはっきり見えた。浴衣というものは、いったんゆるむと勝手にはだけていくものらしい。なんてエロい服なのだろうか。
「ん……お兄ちゃんの復活してきた?」
「ああ、カチコチマンだしな」
「うわ、それ引く」
ジト目で微笑む妹に欲情してしまった俺は、再び腰を突き上げ始めた。
パンパンと小気味いい音が和室に響いている。
「んっあぁッ、あっあんっ、ン、ンッ……あっ、お兄ちゃん、はげしっ……」
仰向けになった俺の上で、夕月が騎乗位で跳ねていた。着ている浴衣はとっくにはだけ、綺麗な上裸がさらされている。
なめらかなお腹も露出し、おへそのところに巻きついた帯紐が、かろうじて彼女の腰に浴衣をとどめていた。正直全裸よりもエロい気がする。
視線を上に戻せば、形のいいDカップのおっぱいが上下に揺れていた。
「少しペースダウンするか?」
「ううんっ、アッ、もっと、もっと強くっ……これ、好きだから」
「くそ、ほんと煽るよな」
「えっ、あッ――あ゛あぁぁんっ! あぅっあッ、うっうッ、んうっ、っ——あ、きちゃう、またふかいのっ、お兄ちゃんっ……」
突き上げを加速させると、白い乳房がゆさゆさと激しく弾む。ピンと立った桃色の乳首も動き回り、つい目で追ってしまう。
「夕月、おっぱい触っていいか」
「ん……」
夕月は俺のお腹に置いていた手をどかし、両腕をだらんとさせた。体を開いて差し出すような格好だ。触っていいよという意味だろう。
彼女が太ももに力をこめた。暴れ馬にまたがるロデオみたいに、夕月が俺の腰の上でバランスをとっている。こういうときに運動神経のよさを実感する。
俺は誘われるように、夕月のおっぱいを下から揉んだ。手のひらに持ち上げられて桃色の乳首も少し上向く。
「ンッ……お兄ちゃん、おっぱい好き?」
それは、俺が単なるおっぱい星人かを聞いているわけではないのは明らかだった。だから。
「ああ、好きだよ」
夕月のだから。
そう言外で伝える。
「ん、そっか」
妹が嬉しそうに微笑む。よしよしとでも言いたげに片眉を上げる。満足げで小生意気な妹仕草がたまらなく愛おしい。俺の真意はしっかり伝わっている。兄妹だからか、それが分かる。
もっと揉んでいいよとばかりに、夕月が俺の腕にそっと手を添えた。
ふんわりとした笑みを浮かべて見下ろしてくる妹が妖艶すぎて、心臓が止まりそうになる。夕月は魂を吸い取る人魚か何かだったのだろうか。
「あッ……ンッあっ——」
兄としての、男としての謎のプライドが沸き立ち、俺は腰を突き上げた。尻を浮かせて角度をつけ、妹のひときわ感じやすい場所を亀頭でこする。すると夕月は目をきゅっと閉じ、あっさり形勢が逆転した。
腰の上で彼女を揺らしながら、たぷたぷと弾むおっぱいを堪能する。やはり兄妹だからか俺の手のひらにぴったりとなじむ。下から揉んでいるので心地いい重みも感じる。力を込めなくても、柔らかい夕月の乳房は面白いように形を変えた。やばい癖になりそうだ。
「お兄ちゃん……んッ、ぅっ……」
妹の膣内がきゅっと締まる。やんわり揉んでいるだけなのに、快感を上塗りするには十分だったようだ。気持ちよすぎる締め付けで俺のペニスも限界を迎える。
「夕月、もうやばい」
「うんっ……一緒にイこ」
感極まった夕月の嬌声に股間全体がジンジンと疼く。桜色の可愛い乳首を指でこする。ピストンをしながらおっぱいをすくい上げるように揉み込むと、妹は「ん゛ッ」と眉間にシワを寄せて顔を歪ませた。
突き上げのタイミングで夕月も体を跳ねさせる。息の合った兄妹セックスでお互いのボルテージがどんどん上がっていくのを感じる。
「ッ、あぁんっ、あっおにいちゃっ、んッだめっ、だめッイくっ……あッ、ん゛うぅっ、くぅッ、ああぁぁぁんっ————ッッ」
奥歯を噛み締めるような、絶叫するような嬌声を上げて夕月がガクガクと痙攣した。目端からは快感による涙が流れ、口端からも涎れが垂れ落ちる。こんなに乱れた妹は見たことがない。
その姿に、俺の射精感も限界を超えた。
「うわ、出るっ……!」
「うッ、うんっ、きて……お兄ちゃん」
「ぐ、ぐっうぅぅぅぅっ……!」
夕月を乗せたまま腰が浮き上がる。尻奥に溜まった熱がペニスの先端めがけて集束していく感覚。ドクン、ドクンと下半身が脈動し、凄まじい快楽とともに精液が尿道を駆け抜けていった。
ビュク、ビュクと塊のような精子が発射される。膣内がぎゅうっと締まり精液を飲み込むように収縮する。射精しているのか吸引されているのか分からない。太い快感が押し寄せて頭の中がスパークした。
「——……はぁぁっ、はぁっ……やばい、息止まる」
射精を終えても呼吸が落ち着かない。快感をともなう倦怠感で、汗まみれの体が布団に沈んでいく。
すると夕月がふらりと倒れ込んできた。俺と同じく荒い吐息を漏らしながら、うつ伏せでしがみついてくる。繋がったままの結合部はまだドクドクと波打っていた。
「ごめん、お兄ちゃん」
「なにが?」
「もうちょっと、こうしてていい?」
「いいよ」
安心したように夕月が全身の力を抜く。むにゅと乳房が押し潰されて俺たちの体が密着していく。
細い背中に手を回し、温かくて柔らかい体を抱き締めると、夕月のほうもさらに体重を掛けてきた。軽いのに妹の確かな重みを感じる。
「やっぱ、裸のほうがお兄ちゃんの体って感じする」
「そういうもんか」
なるほど。だから夕月は始める前に俺の浴衣を脱がせたがったのか。
うたた寝する猫みたいに目を細める様子は、見知った甘えたがりの妹だ。なのに下半身は男女として繋がっている。ギャップに脳がバグりそうになるが、それもひっくるめて愛おしいと思えた。
「あったかー……」
夕月の息づかいが落ち着いたものになっていく。妹はいつもそうだ。俺にひっつくとすぐに寝入ってしまう。そんな最高の抱き枕のせいで俺も眠くなる。
「いや、寝ちゃだめだろ」
頭を起こしてデジタル時計を見ると、9時40分を過ぎたところだった。
体感では何時間もセックスしていたような気分だが、1時間しか経っていない。そう思うと一瞬のようにも感じてしまうから不思議だ。夕月といると時間感覚が混乱する。
「そろそろチェックアウトだな」
「ん……そっか」
夕月がすっと体を浮かせた。こういうところは律儀なのでいつも感心する。
「どうする? せっかくだから京都をドライブしてもいいし、なんならどっかでもう一泊してもいいけど」
「じゃあ、私が京都の観光案内してあげよっか」
体を起こした夕月が「んッ」と声を漏らしながら俺のペニスを抜く。
「できんの?」
「ちょっと詳しくなったし」
それは心強いことで。
まあ結局俺があちこち連れて行くのが目に見えてはいるんだが。だけど結局何をしようが、きっと想像以上に楽しいのだろう。
「で、どうしたい?」
俺も体を起こしながら聞くと、夕月はふと和室を見回した。
「んー……やっぱ、お家帰りたい」
「だな」
俺も正直そう思っていた。
結局俺たちは非日常の旅よりも、あの二人暮らしの家でぬくぬくするのが一番性に合っている。
「そうと決まれば、とりあえずはチェックアウトに間に合わないとな」
「そだね」
お互いに着替えを探しながら、俺たちは手早く帰り支度を始めた。