淫紋迷宮探索者ブラン~淫紋のせいで身体売ってますが、ナニか? それでも私は探索者を諦めない!~ 作:路亜
薄暗い洞窟の中。
マナの照明による青白い光が岩壁を照らしている。
ここは迷宮都市レフグロリアにある大迷宮“ケイオスグロリア”の第一層、第一階層。
私……ブランが普段狩場としている慣れ親しんだ場所。
いつもならばこの階層の隅で、最底辺のモンスターである大ネズミを相手にしている所だ。
ただ、今日は……違う。
「ふぅー……はぁー……」
背を預けた岩壁の冷たさが、緊張にアガりそうになる体を冷ましてくれる。
私は、今から……のアーティファクティアンウルフに再戦を挑む。
今いる角を曲がれば、すぐにあのウルフが守っていた箇所に行きあたる。
この前は戦うというほどのことすらできずに……犯されてしまったけれど、今度は違う。
「……準備は、十分」
腰に着けたポーチ。
中には、発動後に数秒してから爆発する使い捨ての魔道具……“フレアボム”10発分。
砕いた瞬間、その場にごく短い時間力場を発生させて攻撃を反らす虎の子の魔道具……“スリップフィールド”2発。
そして、淫紋の発動を支え、発情を一時的に抑えるために必要な……その後の反動は怖いものはあるけれど……ざーめん入りコンドが、10個。
「あとは、私がやるだけ……っ」
私に足りない攻撃力は、魔道具で補う。
足りない身体能力の低さは、淫紋で補う。
そして前回犯された際に気付いた、私の思うアイツの弱点をどれだけ突けるか……勝負は、そこに掛っているだろう。
「ふぅー……よし、やってやる。やってろうじゃないのっ!!」
もう一度だけ、深く息を吐き出し。
私は焦りと恐怖。
逃げ出したくなる気持ちを、置き去りにするつもりで……ウルフに向かって、一歩を踏み出した。
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崩れた岩壁の小部屋の中、足元にある青く光る何かを守るようにしてウルフは変わらずあの場所にいた。
一歩、一歩と私が近づいていくと、本物の犬のようにお尻をつけ座り込んでいた体を立たせ、首を此方に向けてくる。
『第一類目標警備中、不審者接近中。それ以上の接近は許可されていません、ただちに退去して下さい。退去しない場合、排除行動に移ります』
先日も聞いたこの言葉。
何を指して言っている言葉なのかは相変わらずさっぱり分からないが、警告なのだということは前回攻撃された男たちの様子からして分かる。
「ここが限界か……」
言われた地点で、じっと、相手の様子を見る。
相手も石と鉄の顔に表情などないので分からないが、警戒するように、此方を見ていつでも飛びかかれるようにしているように見える。
これ以上近づけば容赦襲ってくるのは、恐らく間違いない。
だから私は足を止める。
そして、あいつの行動がおかしくなった……
「ふぅー……淫紋っっ!!」
ずきりっと、お腹の奥が熱くなる。
肌の上から子宮にかけて、熱くてどろどろとした欲望がそのまま刺激の形を取って顕現する。
同時に四肢には力が満ち、感覚も鋭利になるのが自分で分かる。
「んっ……はむっ、ず……ずずっ! ……ぺっ!」
腰のポーチからざーめんコンドを一つ取り出し口に咥える。
歯でそのまま噛み千切ると、どろりとした生臭い、苦みを伴った液が口の中にへばりつきながら溢れてくるのが分かった。
私は、それを啜り上げて飲み込み、喉の奥へと押しやると、吸い上げ終わったコンドを地面へと吐き捨てる。
さて、アイツの様子は……?
『隷属発情ユニットの起動を確認。第二類目標の存在を警備範囲に確認。現在第一類目標の警備中、対象の優先順位を変更させ懲罰に移行すべきか申請……確認中……error……error……error』
首の後ろの握り拳大の青い球……おそらくは“コア”を瞬かせ、ウルフは天を見つめ何やら言葉を発する。
ウィィンと鈍い音を立て、ウルフの股間部分が開き、そこから先日の……私を妊婦のような腹にしてくれた、あの犬ちんぽが顔を覗かせる。
「それを、待ってたのよっっ!! 喰らえっっ!!」
詳細は分からないが、行動を起こす事なく固まった様子のウルフへと、私は容赦なくフレアボムのマナストーンに触れ起動、青白く点滅を始めたソレを5発を一気にウルフに向かって放り投げる。
『error……!? 敵対行動確認。第一類目標の保護を優先します』
何やら意識をよそへと向けていた様子のウルフは、一瞬反応が遅れる。
その間に相手の足元に転がり込んだフレアボム。
近くにあるアイツが言う警備対象……私が狙うお宝を守るため、奴はその身を盾としてフレアボムに覆いかぶさる。
ドンッ!!
激しい爆発音がほぼ同時に5つ鳴ると、砂煙が舞い、ウルフの姿がその中へと掻き消えた。
「よし、成功っっ!! あとは、ダッシュで……!」
私はそのダメージの様子を確認する前に、ダッシュで先ほどまで隠れていた迷宮の角へと走り込む。
そのまま壁を盾の代わりにする。
お腹の淫紋は相変わらず疼くような甘い刺激を身体に送ってくるが、ざーめんコンドを飲んだお陰か、今の所はまだその程度で済んでいる。
「どれ、結果は……?」
このまま倒れてくれれば良し、もしも生き残ってても警備を優先して動かないのであれば、このヒットアンドアウェイで葬ってやる……っ!
そう思いながら私は半身だけ壁の外に出し、盾を構えながら煙が晴れるのを待つ。
だが、その瞬間。
「っ゛っ゛!!?? あ、ぐっ!!??」
ギィン!
と、突然岩壁の一部が跳ね飛ばされ、同時に激しい音が構えていた盾から鳴り、空へと跳ね上げられる。
そして肩に激しい痛みが走り、私の喉から呻き声が漏れた。
『第一類警備、最優先排除対象認定……排除開始』
煙の中から金属の軋むような音が響いた瞬間。
ウルフは、私の目の前で右前足の赤熱化したヒートクローを掲げ、そこに立っていた。
「クソっ……! あのまま倒れてくれてればいいものを……っ!! 淫紋っっ!!」
力負けした私は、淫紋を再び起動。
身体に活を入れるつもりで、ざーめんコンドを2つ掴むと口へと放り込む啜り込む。
生臭く、エグみのある味が再び口に広がる……だが、今はこれがいい。これでいい。
甘く痺れるような刺激と同時に、四肢に力が戻ってくる。
盾には、しっかりと相手の爪痕が焼き付き残っており、もう何度か相手の爪を受ければ、壊れるのは必定であろう。
盾を構えていた肩にも、爪が掠ったのか血と、火傷の痕が残る。
お陰で力が入れ難いが、痛みも力の入れ難さも淫紋の力でカバーする。
「ふー……ふー……っ!!」
幸い、酔っぱらったかのように熱く心臓と子宮が鼓動を起こすと同時に、痛みが甘い快楽へと変わっていく。
本当にざーめんコンドで抑えている性欲が爆発した後が怖くなるが……いまは、命あっての物種だ。
生き残るためなら、何でも使ってやる……っ!
『……左前足、及び股部に重篤な問題。ただちに整備ユニットの派遣を要求……error……error』
幸いにして、相手もあの爆発の中で無傷であった訳ではなさそうだ。
ちんぽを丸出しにしていた股の部分には大きな裂け目が出来、左前足は爪が壊れ、動き難そうにしている。
先日の男たちが部屋を爆破した際から、あの左前足は調子が悪そうであった。
私を犯している時も、妙にバランスが悪かったのがそのいい証拠である。
相手の攻撃は素早く目で追うのがやっとだが、淫紋で感覚を鋭くし、これだけダメージを与えられれば……。
「私でも、まったく対処できないってことはないでしょうよっ!! このっ!?」
再び振るわれた右前足の一撃を、私は咄嗟に後ろに跳んでかわす。
ぶんっと目の前に、激しい熱量が通る焦げた臭いが走る。
跳んだ際に残った私の髪が、少し焼け落とされたのであろう。
紙一重……だが、それでも躱せている。対処が……出来ている!
「は……ハハッ! 散々犯してくれたお礼、たっぷりしてあげるんだから! 覚悟しなさいよねっ!!」
『反応なし。単独での排除を継続します』
私は、こちらの発言を相変わらず無視してくるアーティファクティアンウルフへと、盾を構え直す。
石と鉄で出来た獣は、青い球を明滅させながら、最初に見た時よりも壊れた体を意に介した様子もなく、戦いの継続を告げた。
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『排除。排除。排除』
「っ、ぁっ! ふっ!!」
淫紋によって強化された五感を使い、辛うじてウルフが放つクローを紙一重で躱していく。
破損したウルフの左前足と股間部分が、動く度にギギギ……っという異音を放っている。
「あー、くそっ!? こんだけ動かれると、攻撃の……隙がっ!」
『排除』
「排除排除って、それしか言えないの……!? 私を犯した時の饒舌さはどうしたのよっ!!」
小刻みに跳ぶようにして攻撃を躱していく……が。
正直言えば、このままでは厳しい。
私には何より時間制限がある。淫紋の……時間制限だ。
今はザーメン入りコンドで抑えられているが、発情がいよいよ高まれば足が震えだし、ろくに動く事も出来なくなるのは目に見えている。
そして、じわじわ……じわじわと。
甘い痺れのような疼きが、胎から上がってくるように身体の中を昇ってきているのが、文字通り肌で感じられる。
何とか早く決着を着けなければ、最低でもざーめんコンドを飲み直す時間を作らなくては、このままだと……負ける。
「……素面でざーめん飲みたいと思う時が来るなんて、思わなかったわよ! ちくしょう!!」
息が切れる。
身体に広がる毒のような甘い疼きに、膝が微かに震え始める。
このままじゃ、もう……。
「ち、くしょ……」
『排除……ッ!?』
震え始めた足でどうにか、また髪を何本か切り焼かれながら必死に攻撃を避けていると、ウルフの様子に変化が起きる。
異音を立てていた股間部分に、ガギ……ギ……バギンッ、っという硬いものが割れるような破裂音が響いたかと思うと、ウルフの爪が宙を切った。
壊れかけの後ろ脚の根本が、いよいよ限界に来てくれたらしい。
私から見ても分かる程、見事にバランスを崩し慌てて体勢を立て直そうとするウルフ。
今だっ!
「チャンスっ! おかわり、くれてやるわよっっ!!」
『……!!』
私は咄嗟に、ポーチからフレアボムを3つ取り出し、マナストーンを起動すると、目の前のウルフに向かって放り投げた。
同時に、スリップフィールドを目の前で砕き力場を発生させ、爆発の衝撃から身を護るために、盾を前へと掲げる。
「これで、終わってよ……ねぇ!!」
ドォォオオオオンン!!
目の前で爆発され、耳がイカれるかと思うほどの音と熱が伝わってくる。
幸いと発生させた力場によって此方に来る爆風はほとんどが反らされ、左右へと流れていく。
僅かに来る瓦礫なども、盾にガツンガツンと当たる音がするものの、体には当たる事がない。
「けほ、ごほ……どう、やった?」
被害を受けることなく切り抜けられたものの、爆発によって岩壁も壊れ、舞った土煙で目と喉が痛い。
ウルフのいた場所を見れば、そこは崩れた岩壁の瓦礫によって埋まっている。
「やった……のかしら? んっ……♥ く、やば……っ♥」
どうなったのかを詳しく確認しようとしたが、いい加減発情の具合が限界に近づいていた。
ガクガクと、外から見ても笑い出した膝と、運動とは別の意味で荒くなり始めて来た呼吸を沈めるべく、私は慌ててざーめんコンドの追加を取り出す。
「はむっ♥ じゅる……ちゅぅぅぅ……っ♥ ぷはっ!!」
3つ取り出したざーめんコンドを口へと放り込み、歯で穴を開けるとじゅるじゅると啜り上げる。
随分と発情が高まってしまっているためか、苦みとエグみと喉に張り付く気持ち悪さがあるのに……それを美味しいと思ってしまう自分がいた。
それがなんだか悔しくて、私はあえて渋い顔をして、吸い終わったコンドを迷宮に吐き出す。
「……まっずい、本当最低の味なんだけど。でも……手に入れてて良かったわね、これ」
身体の疼きが、また少し収まって、足の震えが落ち着いてくる。
段々と入らなくなり始めていた四肢にも力が戻ってきて、ぐっ、ぱっ、と手を握ってはその感覚を確かめる私。
「って、そうだ! こんなことしてる場合じゃない、ウルフはっ!?」
そこで、はたとまだウルフが退治出来たかをきちんと確認出来ていなかったことを思い出し、慌てて瓦礫の山へと視線を戻す私。
すると、その瞬間。
瓦礫の山がガラガラと崩れ始め……。
『救援……要請……error……error……。error……排除……排、除。けいぞ……く』
下半身が完全に潰れ、左前足を棒のように突き立て、どうにか立っているといった様子のウルフが中から姿を現した。
そして、ウルフは右前足を既に高く振り上げていて……。
「や、ば……っ!?」
『排……、除』
ブンっと、振り下ろされるヒートクローの一撃。
「うぐ、ぁ……っ゛っ゛っ゛っっっ!!!!」
慌てて持ち上げた盾によって、当たることを免れたものの盾ごしに感じる強い熱気。
じゅうじゅうという音が聞こえて、盾が焼け落とされ始めているのが嫌でも分かった。
どうにか体の位置を変えようにも、残った全ての体重を乗せているのか、その一撃は重く、淫紋によって強化している私でも動かすことは出来そうになかった。
「こ、の……ちく、しょ……っ!? ここ、まで……きてぇぇっっ!!」
『はい……じょっ』
盾が焼け落ちる。
そう思った瞬間、ぶしゅぅぅぅぅ、っという激しい音が響いた。
何事かと見れば、ウルフの右前足の後ろから音と共に風が勢いよく噴き出ていた。
同時に、ウルフの爪から熱気が取れ、その姿勢が大きく崩れるのが分かった。
『れんぞく、しようせいげん……れいきゃく、れいきゃく』
「っっっっ!! なんだか、わかんないけどぉっっ!! 淫紋っっ!!!!」
この機会を逃せば死ぬ。
そう思った私は、必死に更に淫紋を発動させ、体の奥底から最後の力を捻りだす。
おそらく、これが終わった後は……発情の解消のために、何人もの男に抱かれなくてはならなくなるだろう。
それこそ、ざーめんコンドを集めた時のように無償で体を抱かせて乱交になるくらいのことはしなくてはならないかもしれない。
けれど、今だけは……今この瞬間だけは。
この力は、何よりも頼りになる……私の力だから。
「いい加減、倒れろぉっ!!!!」
必死に盾に食い込んだ爪を横倒しに押し流す。
ガリ、ガリリっという音を立てて焼け焦げた盾がどうにか動いていく。
盾が動くのに合わせてウルフの体は横に倒れ込んでいき……首の後ろの青い球が剝き出しになる。
ウルフを横倒しにした瞬間、役目を終えたとばかりに盾はバキリと2つに割れ、地面へと転げ落ちた。
「さい、ごぉぉおおおおおおっっ!!」
私はその球目掛けて、残っていたフレアボムを2つを全て投擲。
首の後ろで爆発するよう放り投げると、スリップフィールドを再使用。
爆風から再び身を護るために割り、飛んでくる破片から頭を護るべく手をクロスさせ前へと掲げる。
ドンッ! ドォオオオンンッッ!!
「っっ゛!? ぐっ……!!」
目の前で最後の爆発が起きる。
爆風は避けてくれるが、瓦礫はやはり飛んでくる。
手に食い込む小さな破片に、痛むを堪えて私は耐え忍ぶ。
そして、爆風が止んだ。
「…………うるふ、は?」
持てる手札はもう全て切った。
これで生き残られていたら……。
私はそう思いながら、閉じていた目を薄く開け、状況を確認する。
すると……。
『はい……じょ』
「ひっ!?」
横倒しのまま、まだ言葉を紡ぎ、此方に向けて右前足を向けようとするウルフの姿が。
思わず悲鳴を上げて、目を瞑ってしまう私。
だが、どうした事か攻撃はやってこない。
「……?」
そこで再びゆっくりと目を開けば、ウルフの首の後ろ。
青い球があった場所は見事に砕けており、マナの光がそこから漏れ、淡く宙を舞っていた。
「これって……」
『はいじょ、しっぱい……error……error……er』
がくんっと、最後まで振り上げようとしていた右前足を倒すウルフ。
そして……段々とその体の端が青い砂に。
迷宮への還元が始まっていった。
「……勝、った、の?」
最後まで驚かせられた私は、我知らず膝から崩れ落ちていた。
どさりっと、爆発によって散った瓦礫の山へ、足を食い込ませ座り込む私。
「やった、勝った……本当に! は、ぁぁぁぁ……よかったぁ」
手に、迷宮へ還元されていくウルフの青い砂が舞い落ちる。
その光景に、私はようやく勝利を確信し、安堵と疲労から深い深い……息を吐き出した。
「んっ……♥ ふぅ……ようやく、落ち着けたわね……っ♥」
生への実感からか、私の身体はついには火照りだし……気付けば指は私のアソコをズボン越しに弄り始める。
安全を確認しながら、私は段々とその指を、ズボンを下ろしてショーツを剝き出しに……そして中へと入れようとして……。
「……っ♥ バカ、何やってんの、私っっ♥」
慌てて、残っていたざーめんコンド4つを全て口へと放り込む。
ぐちゅ、ぶちゅと噛んで潰してから飲み干して……先ほどとは別の意味で深いため息を吐きだした。
「私のバカバカっ! あーもう、本気で発情がヤバいわね……ちくしょう。地上に帰るのが怖くなってきたわ……」
情けなくて何とも言えない顔になっていると、ようやくウルフの還元が終わったのか。
青い砂は色を無くし、迷宮へと吸い込まれていっていた。
後に残ったのは大振りの魔石が1つと、そして。
「……嘘、これって。アーティファクティアンの頭!?」
鉄と鉱物で作られたソレを抱え上げる。
大きさは、私の頭と同じくらいの大きさだろう……丁度、先ほどまで戦っていたウルフ型と同じサイズ。
動物としての型も、やはり倒したウルフに準拠しているのか同じウルフ型のように見える。
「ドロップ品なんて初めて! それもこんな大きな物! アーティファクティアン程のものならパーツ一つでも借金返すの可能だし、余ったお金で装備を整えることだって!」
夢が広がる。
産まれて初めてのドロップ品に私は舞い上がった。
「あは、は……アハハ! どうよ、やってやった! やってやったわよ! 私を底辺扱いしてた奴ら、見てみなさいよ! アハハハハハハハ!!!!」
思わず漏れる哄笑。
私はそのまま、暫くのまま笑い続けた。
そして、ようやく息を整え、一息ついた所で……まだ、確認していないものがあるのを思い出した。
「アハ、アハハハ!! はぁ……はぁ……はぁー……。ふぅ、落ち着いた。そうだ……。まだ一つ……あのアーティファクティアンが、何を護ってたのか確かめなきゃ」
ウルフ型の頭を抱えたまま、私はようやく立ち上がると、守護者のいなくなった小部屋へと、足を向けるのであった。
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「これって……」
アイツの……ウルフの守っていた小部屋に立ち入ると、そこは棚や何かの研究機材の残骸が散らばっている部屋になっていた。
その部屋の中央、青い光を放つ筒状の物体が置かれていた。
筒の外見は透明で、中には僅かに粘性のある液体が詰まっているのが分かった。
その中に、守られるようにして浮かんでいるのは青い球……あのウルフのコアであったモノと同じ外見の球が、静かに浮かんでいた。
「やっぱり、アーティファクティアンの……コア? コアだけが落ちてるなんて話、初めて知ったかも……」
おそるおそるその落ちていた筒に触れると、カシャンっという軽い音と共に、筒を地面へと固定していた留め具が外れる。
そしてピピピっという、軽い起動音だろうか?
そんな音が響いてから、 コアの輝きに合わせて抱えていたアーティファクティアンの頭の目が光り、その口が開かれた。
『マスター登録がされておりません。当該対象者はマスターとなることに同意しますか?』
「いっ、喋った!? マスター登録……? それって、アーティファクティアンの……マスターになれるって、こと?」
アーティファクティアンの使い手になるのは、一流探索者と呼ばれる人種へ片足を踏み出すことに等しい。
勿論使い手が全て一流という訳ではないが……一流と呼ばれる人間ならば、アーティファクティアンか同等の魔道具、遺物を手に入れているのは、常識だ。
その機会が、私にも……与えられる、っていうの?
「…………っ」
ごくりと、唾を飲んだ。
自然と手が、震える。
淫紋のソレによるものではない、これは……緊張によるものだろう。
なりたい、叶えたいと思い続けてきた一流と呼ばれる探索者になれるかもしれないチャンス……緊張しない方が無茶というものだろう。
勿論、ここでマスターにならずこのコアを売れば莫大なお金になるのは目に見えている。
金貨にして100枚は下らない……いや、もっと高値が付くだろうか?
少なくとも私には想像が付かない値になるのは間違いない。
けれど。
「私は……」
そう、私は……私の目的は、幼馴染の……ロイを、生き返らせる事だ。
そして叶うならば、この体から……淫紋も、取り除きたい。
いまだ見つかってもいない、叶うかも分からないこの方法を迷宮に潜り見つけ出す。
そのためには……そのために必要な道とは。
「なる……なるわ。貴方のマスターに……私は、なる!」
今は頭とコアしかない。
けれど必要なパーツを揃えてやれば、アーティファクティアンとして完成させてやれば、この子はきっと……私の大事なパートナーになってくれる。
そしてその先に、きっと私が探しているモノが……迷宮の奥深くへと繋がる道がきっと広がっている。
そう信じ、私は震える唇で……けれどはっきりと、コアに向かってマスターになると宣言した。
『マスター申請を受諾……受諾完了。当該人物を当機体のマスターとして登録します』
プシュっという音と共に筒の上部が開き、中に入っていたコアが上がってくる。
とろりと浸かっていた液を垂らしながら、筒の上にふわりと浮かび上がるソレ。
私は、それを……ゆっくりと掴み、アーティファクティアンの頭と共に抱きしめた。
「なった……なっちゃった。アーティファクティアンの……マスターに、なっちゃった」
胸で確かに感じる鉱物の冷たさがありつつも、何処か温かく感じる青い光。
私にとって、この世で一番の宝が……いま、出来た。
「……ふっ、あは。ハハ……。ねぇ、ロイ……ロイ? 私、間違ってなかったわよね? こんな生き方しちゃったけど、こんな生き方しか出来なかったけど」
抱きしめる。抱きしめる。
胸に抱いた、未来への希望そのものである青い輝きを。
口からはいつしか自然と、あの子への謝罪とも……問い掛けともつかない言葉が漏れていた。
「私……間違ってない、わよね? ……貴方を死なせて、生き残っちゃった私の、こんな生き方だけど。ちゃんと、先に……進めてるわよね! ねぇ……っ!?」
今まで、実感がなかった。
やると言いながらも、あの子を……幼馴染を生き返らせられる方法を見つける手段を手に入れる算段など、一つもなかった。
ただ、逃げるかのように……目的があるのだと言い張って、ただ生きてただけなのではないかと、自分に問うてしまう夜もあった。
けれど、今……やっと。
「ロイ……っ! う、ぁ……ぅ。ぁあ、あ……ぅぅっっ!」
一歩、踏み出せた……気がした。
ボロボロと、自分でも止められない涙が迷宮に零れて、落ちていく。
嬉しいのか、悲しいのか……自分でも、よく分からなかった。
けれど、一つだけはっきりしていたのは。
私は……やっぱり、探索者だ。探索者でいていいんだ。そんな思いであった。
例え、淫紋を胎に抱え、男に抱かれなければ生きていけない身体であっても、それでも……私は。
「あ……あぁ、う……ぁあああっっ」
久しぶりに流した涙は、いつ枯れるとも分からず流れ続ける。
次に流すときは、いつだろう……?
その時は、あの子を……彼を、蘇らせられた時ならいいなと、そう思った。
私は、……私の名前はブラン。
銀の髪と、青い瞳を持った。
迷宮で淫紋を植え付けられ、淫乱な泥棒猫……“淫猫”などと呼ばれるようになった。
迷宮都市レフグロリア、この町で生き、足掻き続ける……探索者だ。
とりあえず今回で一旦お話は終わりとなります。
また何か次の話が思いついたら続いたり続かなかったりすると思います。
もし次がありましたら、宜しくお願い致します。
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活動報告か、メッセージにてブランにさせたいエッチシチュアイデアなど募集しております。もしブランにさせたいシチュがありましたら気軽にご一報下さい。
必ず聞けるとか限りませんが参考にさせて頂きます!
また誤字脱字がありましたらご連絡下さい、直させて頂きます!!
最後まで読んでくださりありがとうございました!!!!!!