手癖と目つきと口が悪い冒険者の盗賊が呪いで女の子にTSした結果エッチなことをされる話 作:うきつねこ
「へっへ、どうだい、俺のモノは?そろそろイきそうなんじゃねえか?おい、こんなに深く入ってるぜ、へへ」
こんなことを言っているが、俺が相手をしている恋人は「人間」ではない。
ここはダンジョンの奥深く。俺の手の動きに合わせて聞こえるのは、嬌声ではなく、鈍い金属音。相手は、冒険者で盗賊を生業とする俺が永遠に心を焦がす恋人――「財宝入りの宝箱」だ。
このセリフは気分を盛り上げるためのルーティンというやつだ。さっきからパーティの女性陣が冷たい目線を向けてくるが、いつものことだ。そんなものは気にしない。
ダンジョン内の大空洞に作られた祭壇の上で、仲間が魔法で作り出した明かりに照らされる中、俺は鍵穴に突き入れた二つの針金を微妙に動かしながら、安置された金属の宝箱に耳を押し当て、見えない内部の細工の音を聞く。そして箱を優しく愛撫するように揺すり、さらに針金を動かす。実際何をどうやっているかって?具体的なところは企業秘密だ。
そうしているうちに、カチリ、という音を立てて、恋人は「イった」。
「よう、待たせたな」
俺は振り向き、離れて見ていた仲間に声を掛ける。そして、ゆっくりと鍵の外れた金属製の宝箱の蝶番を開いていく。
中に入っていたのは、手のひらに乗るほどの大きさの黄金色の杯と、同じく黄金の縁取りと柄がついた手鏡。どちらも年代物のように見えるが、埃ひとつない。
「おいソーリョ、呪いがないか確認頼むぜ」
「はい、シィフさん」
俺に言われて歩み出たのは、黒い修道服に身を包んだソーリョ。神の僕である彼女は、俺たちのパーティの補助・回復役であり、また解呪の力も持つ。重要なことを付け加えれば、彼女はゆったりとした修道服の上からでもわかる豊満ないい体つきをしている。
「どうやら、呪いの類いは掛けられていないようですね」
目を閉じて宝箱に手をかざしていた彼女が目を開けて言う。
「ようやくお宝だね!またアタシだけくたびれ損かと思ったよ」
すかさず宝箱に手を伸ばし、黄金の杯を手に取り感慨深そうに見つめるセンシ。彼女は背負った大剣を振り回して物事を解決する、パーティの脳筋担当だ。褐色の肌、女とは思えないガタイをしており、赤を基調とした軽装の鎧は露出が多く刺激的だが……ただ、俺のタイプではないんだよな。
「この鏡の金細工はなかなかのものじゃ。名のある職人の手によるものじゃろう。歴史的な価値もありそうじゃな」鏡を手に取りながら、セージが言う。緑色のローブと三角帽を身につけたこのじいさんは優秀な魔法使いであり、俺たちのパーティの頭脳でもある。爺さんの魔法の明かりがなければ、探索も一苦労だったろう。
「…よかった」
俺たちの後ろで腕組みしながらタンクが言う。全身の金属鎧と大兜に身を包み表情の伺えない無口なこの男が、一言とはいえ喜びの言葉を述べるということは、相当嬉しいのだろう。道中の魔物相手には誰よりも身体を張っていたからな。
「まあ、俺は金になりゃどうでもいいけどな」
俺の見立てでは、どちらの品も相当な価値がある。他の依頼も受けず、このダンジョンの宝の探索に打ち込んできただけのことはあった。さっさと売り払って、あちこちのツケを返して、美味い酒を飲んで、娼館のあの子にも会いに行こう。最近じゃ全くご無沙汰してるしな。
そんなことを考えていた時だった――。
突然、轟音と共に宝箱の置かれている祭壇の向こう側の壁が崩れた。そこから現れたのは、巨大な石の怪物――ゴーレム。魔法仕掛けの石人形だ。その背丈は俺の三倍はあるだろうか。獣や魔獣と違い、コアを破壊しない限り動き続ける厄介な代物だ。まさかこんなダンジョンで出くわすとは――。
次の瞬間、ゴーレムが突然、崩れた壁の破片を蹴り上げた。巨大な石つぶてが一直線にソーリョへと向かって飛んでくる!
「きゃっ!」
「大丈夫か、ソーリョ!」瞬時に前へ飛び出したタンクが、大盾でソーリョをかばっていた。
「あ、ありがとうございます!」
「前はアタシとシィフでやる!後ろはおっさんに任せたよ!」
センシが叫ぶ。
「任された!」
タンクが大盾を構えて立ちふさがる。その背後で、ソーリョとセージが魔法の詠唱を開始する。
「皆に神の加護を!」
ソーリョが杖を掲げると、その先端に青い光が集まり、その光が放たれて俺たちを包みこむと、フッと身体が軽くなる。素早さを上げる補助魔法だ。
「行くよ盗賊野郎!」
「おう脳筋!」
センシと俺はゴーレムに向かって走り、間合いを詰めていく。
走りながら考える。さて、コイツ相手にどうするか。俺にはセンシのような怪力もないければ、タンクのような盾もない。いつものように盗賊らしいやり方で戦うしかいないだろうな。
俺は右へ旋回しながら距離を取りつつ、ゴーレムに向かって投げナイフを二、三本放った。
だが、ゴーレムが思ったより素早く腕を振り、蚊でも払うように弾き落とす。その動きに合わせて、ゴーレムの頭部の光が左右に揺れる。
(あそこが目の代わりなのか?なら)
「これでも喰らいな!」
俺はゴーレムの頭の上に向かって煙幕弾を投げる。狙い通り、煙幕は空中で炸裂し、ゴーレムの頭にまとわりつくように煙をまき散らした。すると――。
「グオオオオー」
ゴーレムはうなり声のような音を発しながら両手で煙を払おうとする。――しめた!
「目を潰してやったぜ!頼むぜ、脳筋!」
「よし!もらった!」
様子を窺っていたセンシが一気に駆け寄り、ゴーレムの左足首に大剣を叩きつける。
ゴリッ―と、岩を削る鈍い音が響いた。
「手応えアリだ!…おおっとぉ!」
センシは慌てて地面を転がり、回避する。視界を奪われ左足を攻撃されたゴーレムが、当てずっぽうで拳を振り下ろし始めたのだ。地面を砕く衝撃音。これではうかつに近づけない。
「お前の相手はこっちだぜ!」
叫びながら俺は逆の右脚に近づき、蹴りを入れ、ナイフの柄で小突く。当然ダメージは期待出来ない。だが、それでいい。狙いは別だ。
やがて、ようやく煙を振り払ったゴーレムの「目」がこちらを捉えた。直後、邪魔だとばかりに俺に拳を振り下ろしてきた。
その瞬間、俺は身を翻し距離を取る。そして、
「もう一丁ぉ!」
センシの大剣が再びゴーレムの左足首を捕らえる。
ゴギッ―!岩にヒビが入った。
動きが鈍るゴーレム。そこにさらに、一撃、二撃とセンシの大剣が直撃する。
「おっさんもお願い!」
形勢がこちらに傾いたと見たセンシの声に応じ、タンクが盾を投げ捨てた。そして自身の獲物の大型ハンマーを背中から抜き、ゴーレムに向かって突進する。
「おおおおおっ!」
渾身の一撃が、ひびの入った左足に炸裂する。
――ミシッ……バキッ…ボキッ……!
石が砕ける音を立て、ゴーレムの左足が粉砕された。
「今じゃ!《
左膝をつき、完全に体勢を崩した相手に、詠唱を終えたセージの魔法が降り注ぎ、無数の光弾がゴーレムの石の表面を溶かし、剥がしていく。すると――
「コアが見えた!頼むよ盗賊野郎!」
センシの声。ゴーレムの右肩付近の石の内部に、赤く光る塊――コアが露出していた。
「とどめだ、支援頼む!」
俺が叫びながら距離を詰める。
「支援します!」
ソーリョの声が響き、一瞬置いて俺の右手に握られたナイフが光に包まれた。赤白く輝く刃はまるで赤熱した鉄のようだ。
俺は膝をついたゴーレムの巨体を駆け上がり、剥き出しになったコアに向かって渾身の力でナイフを突き立てた!
「ゴオオオオオオオオオー!」
ゴーレムが地響きのような咆哮を上げる。そのコアの輝きは、ゆっくりと、しかし、確実に失われていった。
「やったぜ!」