※この作品はR-18です。

フウリンザキヴォトス   作:一般通過ゲマトリア

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「……はぁ、やはりこうなりましたか」

 

リンが頭痛を堪(こら)えるような表情で頭を抱える。

 

’みんなも覚えてないんだね……’

「まあ、予想できたことではあります」

「こちらの先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」

「連邦生徒会長が……って、そういえば連邦生徒会長は何処にいるの? 私、連邦生徒会長に会いに来たんだけど」

「私もです。現在のキヴォトスの混乱について説明を求めます」

 

「分かっています。ですが、連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」

「……え!?」

「……!!」

「やはりあの噂は……」

 

(これは……)

 

ここに至るまでずっと感じていた既視感。一度観た映画を始めから観ているような感覚に先生は気持ち悪さを覚えた。

 

「結論から言うと【サンクトゥムタワー】の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法が見つからない限り、この問題を解決することは非常に難しいと言わざるを得ません」

「そんな……」

 

(その方法は……)

 

「安心してください。既に方法については検討がついています」

「なら!!」

’!! リンちゃ――’

「しかし、それを実現するためには、今ここに集まってくださった皆さんの協力が不可欠です。そうですよね、先生」

(……!!)

’う、うん、そうなんだ。……みんな、力を貸してほしい’

 

「ええっと……?」

「私たちは具体的に何をすればいいのでしょうか」

 

「先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました」

そう言って彼女は耳に軽く手を当てると、ここにいない誰かに呼び掛ける。

「モモカ、シャーレの部室に行きたいんだけど」

『シャーレの部室? ……ああ、外郭地区の? そこ、今大騒ぎだけど?』

「そう……分かったわ。こちらで対応します」

『へっ? せんぱ――』

ブツッ

 

「というわけですので連邦捜査部【シャーレ】、その部室に先生をお連れしなければなりません」

「どういうわけなのよ!?」

「シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。通常であればヘリを用意しますが、現在そこでは大規模な戦闘活動が行われている」

「となれば、優秀な皆さんに求められているのが何か、お分かりですね」

 

そう言って微笑む彼女に半ば強引に連れ去られる形で、皆はその場を後にした。

 

----------------------------------------

 

そうして道中襲い来る不良やチンピラを払い除けながら辿りついたのはシャーレの地下室。先生の記憶が正しければそこには……

 

’……あった’

 

リンの手にあるのは昨日見たものと全く同じ形の【シッテムの箱】。本来シャーレの部室になければおかしい筈のそれがここにあるということは。

 

「先生の記憶では、最後にこれを手放したのはシャーレの部室であったと」

’うん’

「なるほど。そうなると、先生のその記憶は【予知夢】のようなものと考えるのが良いでしょうか」

’うーん、そういうことになるのかな’

 

「ちょっと、さっきから何の話をしているの?」

「その端末があれば現在の問題を解消することができるのでしょうか?」

 

「……そうですね。先生、お願いします」

 

……ゴクリ。

 

(俺の記憶……予知? が正しければこの後は……)

 

先生が緊張を隠し切れない様子で、それに手を伸ばす。そろそろと伸ばされた手がシッテムの箱に触れたその瞬間――

 

バチッ!!

 

’うわっ!?’

「!?」

 

何かが弾けるような音とともに電流が走り、思わず両者とも手を放してしまう。するりと落ちていったシッテムの箱は回転しながら床を滑って部屋の壁にぶつかった。慌てて先生が拾い上げようとしたタイミングで、ようやくそれに訪れた変化に目をむいた。

 

「……先生?」

’シッテムの箱が……’

 

白一色だったはずのタブレット端末。それがゆっくりと、端から端に向かって、徐々に黒く染まっていく。先生の様子を見て疑問に思ったリンが覗き込んでくると、彼女の瞳も驚愕に見開かれた。

 

’えっ、えっ、え?’

「これは……?」

 

なにはともあれ床に転がしておくわけにはいかないので慌てて端末を拾い上げるが、色が変わったこと以外にシッテムの箱がこれといった反応を示すことはなかった。

 

「黒くなっちゃいましたね……?」

 

いつの間にか近くに来ていたユウカが不思議そうにつぶやく。

 

「先生、大丈夫ですか?」

’う、うん。でも、結局電源は入らないみたい’

「そうですか……その様子だと、色が変わるのは先生の記憶とは……?」

’そうだね、俺の記憶ではこんなことは起こらなかったよ’

「その違いに何らかの鍵があると考えるのが自然でしょうか……そもそもが不確定要素の多い情報とは言え、ここに至るまでの出来事はほとんど先生から聞いたお話と合致していますし」

’うーん……’

 

――――――

――――

――

 

それからも結局シッテムの箱が動くことはなく、時間も遅くなっているということで一時解散となり、続きは明日改めて話し合うことになった。

 

To Be Continued…

 




注意書きを追加したのですが、
それだけだとがっかりさせてしまうかなということで2話追加投稿です。
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