シャーレの部室に戻ってきた先生は改めてそれを眺める。
(なんか色変わっちゃったけど……相変わらず電源は入らなそうか……)
改めてボタンを押してみたり、音声認識を試してみたりするものの、黒く染まったシッテムの箱はうんともすんとも言わない。
’……さて’
この時間になって思い出すのは昨晩のことだ。性欲を処理しようとした先生の身に起こった
(もう一度あんな目に遭うのはたまったものじゃないけど……アレがどういうことなのか分からないままなのも困るよな)
先生は下半身を見下ろす。視界に映るのは異様な形状に盛り上がったワイシャツ。椅子に座った状態の先生の股間から胸の辺りまでが一直線に膨らんでいた。そう、あれから勃起したままのチンポは当然の如く下着の中には納まらず、仕方なくベルトとワイシャツで抑えつけるようにして服の中にしまわれていたのだ。
(明らかに異常すぎるし、それに……)
あんなことがあったリンはともかく、ユウカたちと会ってから誰一人、いきり立つこれを気に留めた様子はなかった。こちらを
(うっ、一旦脱ごう……)
ベルトを緩め、シャツのボタンを上からひとつひとつ外していく。抑圧から解放されたペニスがぶるんと跳ねる。正直辛かったのだ、常に感じる股間への圧迫感は。
「マジで……なんなんだよこれ……」
改めて尋常じゃないその大きさ。堂々と
「はぁ……」
(とりあえずシャワーでも浴びるか……)
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入浴を軽く済ませた先生は、全裸のまま仮眠室のベッドに腰掛けていた。そして恐るおそる、その怒張に手を触れる。
「くぅ……」
表面を優しく撫でると、ピリピリと痺れるような快感が訪れる。
「これっ、やっぱり……!」
徐々に刺激を強くするがどこか物足りなさを感じてしまう。これはきっと昨晩と同じだ、どれだけやっても先生はイケない。そう考えると同時に、今朝の出来事が連鎖的に思い出される。びゅるびゅると信じられないほどに噴き出す精液、そしてそれを3度もリンの中に放ったという事実。その光景が脳裏に過った途端、あの爆発するような性欲が蘇ってきてしまう。
(ダメだ! これじゃあ昨日の二の舞に……!!)
己のペニスから手を離し、一旦冷静になろうと試みる。が、ギラギラと燃え盛るような欲望はそう簡単に収まってはくれない。
’クソっ!! なんなんだよ!? ああああ!!!!’
このまま昨日のように狂ってしまってはいけない。現状発散する方法が定かではないのであればこれ以上は考えないことが最良だろう。
(寝よう……無理やりにでも)
――――――
――――
――
そうして布団に入ったものの眠ることが叶わず数時間が経過した。明日のためにも早く眠りにつかなくてはと思うものの、高まりすぎて興奮がそうさせてくれない。
(それに、こんなんじゃ……明日も……)
一向に発散できる見込みのない性欲が苦痛となって先生を蝕む。そのとき、
――ピロリン!
隣の部屋から謎の電子音が聞こえたことに気付く。
(……?)
先生は布団から起き上がり、仮眠室を出るとその音の正体を探す。そしてそれはすぐに見つかった。
先生用に用意された執務机、そこに備え付けられたオフィスチェアに、裸の少女がもたれていた。
「え!?」
突然現れた少女。その正体を確かめるべく、恐るおそる近づく。少女はすやすやと寝息を立てていた。少なくともそれが死体ではなかったことに安堵する。水色の髪の毛にピンクのインナーカラー。片側の横髪を編み込んで垂らしたヘアスタイル。白いチョーカーとヘアバンドを除けば身に纏うものは何もなく、
身長は小さめ、胸は薄く、ちょこんと美しい桜色の乳首が白い肌に映える。シュッとしているものの幼さを感じさせるぷにぷにとした肉付きが感じ取れ、一切のシミも無いすべすべの肌はまさに芸術品のようである。両足の付け根、ぴっちりと閉じた割れ目には毛も生えておらず、穢れを知らないここに遠慮なく己が子種を流し込めると思うと先生の鼓動は激しく脈打った。
(…………待て、今俺は何を!?)
まるでそうするのが当然であるかのような己の思考に寒気を感じた。何故、自分は今、この少女を――
「お困りのようだね、先生?」
瞬間、聞こえた声に先生がバッと顔を上げると、部屋の隅に見覚えのない人型があった。さっきまで何も無かったはずのそこに突如として現れた不気味な存在に先生の肌が
’だ、誰だ……!?’
「はは、そう警戒するなというのも無理な話かな? ボクの名前は【笛吹き】と呼んでくれたまえ」
「取り
’ふえふき……?’
「ああ、まずはようこそ、【ボクのキヴォトス】へ。たった一回でここに辿り着くなんて、ボクの目に狂いはなかったらしい」
フードを脱いだその姿に先生はさらに驚愕する。赤黒いフードで隠されていた彼の顔、と思しきそれは人間のものではなかった。首の上に乗っていたのは艶のある漆黒の球体。中心に瞳のような赤いビー玉を携えたそれは不気味なマネキンのような風体である。
「ボクはこの世界の篇集者であり、キミをここに招いた存在でもある」
’招いた、だと?’
「ああそうさ。ボクが翻訳し、演出したこの
【笛吹き】は愉しそうに、芝居がかった様子で話し続ける。
「ボクは翻訳家であり表現者だ。適切な演出と脚色があって初めて【ローカライズ】は成される! ……でも、ボクが創り上げた物語に彼の人物、
(何言ってんだ……コイツ……)
「だ・か・ら!! キミの出番って訳だ!! まさかここまで上手くやってくれるとは思わなかったんだけどね。今日はちょっとしたご褒美も兼ねた挨拶だよ。プロローグで何週もしてもらってもあまり面白くならないからね。物語を次に進めるためのヒントを教えてあげようって話さ!!」
’さっきからお前は一体――’
「おっとゴメンよ! 余計な質問は受け付けられないんだ!! ボクがキミに教えるのは二つだけ」
「一つ目はキミが【進めた】理由。二つ目はキミが【進む】ための条件だ。と言ってもあくまでヒントだけどね」
ソレは大仰にいかにもな仕草を交えながら一方的に喋り続ける。
「一つ目の理由だが……時計を見てみるといい」
そう言われてつい、デスクの上にあるデジタル時計を見る。【04:19】と表示されていた。
「いいかい? ターニングポイントは、【午前4時】だよ」
(……ターニングポイント?)
「二つ目。これこそキミが欲していた情報かもしれないが、そこのシッテムの箱が動かない理由」
(!!)
「簡単さ。今それは【充電切れ】なんだ」
’充電、切れ……?’
「そう、機械が動かないなら電源を確認しないと。常識だろ?」
’そんなもの……’
探したに決まっている。しかし、充電口すらそもそも見つからないのではどうしようもない。
「まあ、どうやって充電するかは頑張って探してみてくれたまえ……と言いたいところだが、さっきも言ったようにプロローグはサクッと終わらせて欲しいところだからね、大ヒントをあげよう」
「シッテムの箱の充電、これは確かにキミが【進めた】からこそできるようになった、ということさ」
’なに?’
「それじゃあ、精々楽しんでくれたまえ。ボクの主人公くん」
その言葉と共に突然部屋の照明が点滅する。次の瞬間には、その場から【笛吹き】の姿はかき消えていた。
To Be Continued…
本投稿時点では1章の章タイトルが「?????」になっていますが、
章タイトルは各章の終了時に公開する予定です。
短い話を不定期に更新するスタイルなので、
お話をまとめてガッ!と読みたい方は章タイトル解禁まで待ってもらってもいいかもです。
別件になりますが、誤字とか矛盾点あればぜひ指摘いただけると嬉しいです。
投稿前に何度か読み返しますがそれでも結構ライブ感に従ってるので……
おかしなところ多々あると思います……よろしくお願いします。