「……先生? 大丈夫ですか?」
’え? ああ、ごめん。ぼーっとしてた……’
「どうも先ほどから上の空といいますか……お身体が優れませんか?」
’ああ、いや、そういうわけじゃないんだけどね’
(ムラムラしすぎて話が入ってこないなんて言えないよ……)
「そうですか。何かあれば言ってくださいね。先生と私たちでは体のつくりが違います。言われなければ察せない事もあるでしょうから」
’うん、気を遣わせてごめんね’
「いえ、お気になさらないでください」
そんな話をしながらも、先生の視線は自然にある場所へ吸い寄せられてしまう。歩くたびにぷるんと揺れるふたつの山。ちらちらと見え隠れするノースリーブの隙間。結局昨日から性欲を発散させることができていない先生にとっては猛毒だ。
(落ち着け……落ち着け……!)
どうにか心を落ち着かせようと、敢えてゆっくり息を吸って、吐く。隣でリンが怪訝そうな目で先生のことを見ていたが、今の先生はそれどころではない。
「……」
(明らかに昨日とは様子が違う……ただの疲労とは考えにくい。私と別れた後に何かがあったと考えるのが妥当。しかし……それだと私に隠す理由が思い当たらない)
改めて先生の様子を窺う。彼から感じる緊張感、そして恐らくは何らかに対する迷いや葛藤。それがいったいどこから来るものであるのか、リンには分からないが、少なくともこちらに言えない【何か】があるのは間違いないと見ていいだろう。
(無理に聞きだすのは得策ではないでしょうね……)
彼が何を考えているのかは分からないが、少なくともこちらに対する悪意のようなものは感じない。であれば今は信じるしかない。連邦生徒会長が選んだ大人。彼女が彼を信じるのなら同じように信じる。それが託された自分の役目だ。
「先生、こちらへどうぞ」
会議室のドアを開け、先生を招き入れる。先生に窓側の席を勧めると、リンが入り口近くの椅子に腰を下ろした。
「さて、早速ですが本題に入らせてください。あれから何か分かったことはありませんか?」
’うん、それなんだけど……’
先生が一瞬の
’ごめん、ちょっと時間が欲しい。自分でも上手く説明できる自信がないんだ’
「……」
「はぁ……先生には何かお考えがあるのですね?」
’うん、ごめんね’
「わかりました。信じます。なるべく早く良い知らせが聞けると助かります」
’ありがとう。……ところでなんだけど、本体に触れずに機械を充電できるものとかあったりしないかな’
「はい? ……正体不明のオーパーツをその辺の機械と同じように考えるのはあまりお勧めしませんが…………」
「そういった物はやはりミレニアムの専門ではないでしょうか」
’ミレニアム、ユウカちゃんの学校か……’
「ええ、キヴォトス最先端の技術が集まる場所ですから、先生の言うような物もあるかもしれません」
’なるほど、ありがとう’
「ミレニアムにはこちらから話を通してみましょう。進展があり次第連絡します」
そう言ってリンが立ち上がる。
「さて、そういうことであれば先生には私とは別れて行動していただいた方が良いでしょうか。何かお力になれることは?」
’うーん、今は大丈夫かな。行き詰まったら相談してもいい?’
「勿論です。できることなら行き詰まる前に相談して欲しいものですが」
’うっ、ごめん……’
部屋を出るリンの後を慌ててついていく。近付いてみると、どうも彼女の後姿が
「いえ。シャーレへはすぐにお戻りですか? ヘリを用意します」
’あー、うん、お願いしようかな’
ゴクリ。と喉が鳴る。黒くて艶のある長髪。すらっとした背中。タイトなスカートに締め付けられた、形のいいヒップ。これらに触れることができたらどれほど――
「そういえば――」
突然リンが振り向く。
――むにゅん
’うぐぉあっ!?’
少し寄り過ぎていた先生はそのままリンにぶつかってしまう。振り向いた彼女の双丘に先生の反り立ったペニスがちょうど挟み込まれる形で押し付けられる。
「っ、すみません」
’…………’
突然訪れた刺激に必死で耐える。刹那の感触が頭の中で繰り返し呼び起こされるが、今ここで理性を失うわけにはいかないと気を引き締める。
「先生?」
’っ……! あ、ああ!! ごめんごめん、大丈夫。やっぱりちょっと本調子じゃないのかな?’
「そうですか。あまり無理はなさらないでください。倒れられてしまっては元も子もありませんから」
’うん、ただでさえ忙しいのに、気を遣わせちゃってごめんね……そういえば今、何か言いかけてた?’
「…………いえ、急ぎの話ではありませんので、それはまた今度としましょう。今日はこのままお帰りください」
そこから多少のやり取りがあったと思うが、正直覚えていなかった。シャーレの部室に戻ってきた先生は荒い呼吸のまま服を雑に脱ぎ捨てる。
’ふぅ……ふぅ……!!’
彼の足は真っすぐ仮眠室へと向かっていた。
To Be Continued…