プツン、と
何かが途切れたような感覚があった。
ふと湧き上がった違和感に瞼を持ち上げる。目の前には呆然とした顔で立ち尽くす少女、七神リンの姿があった。
’……あれ? リンちゃん?’
「……」
「これは……? まさか……」
口元に手を当てぶつぶつ言っている彼女の様子に先生は首を傾げる。そこで自分が今いる場所が、シャーレではないことに気付いた。
’あれ?’
覚えのある感覚だ。記憶が繋がらない。昨晩はアロナと身を重ねて、そのまま眠り込んでしまったはずだが――
「先生、昨日の私との会話を覚えていらっしゃいますか?」
’え? ああ、シッテムの箱についてもうちょっと待ってほしいって話だったよね? それなん――’
「わかりました。まずはシャーレに向かいましょう。ついてきてください」
’ちょ、ちょっとリンちゃん!?’
リンが何かに得心したといった様子で頷くと、すたすたと足早に部屋の外へ歩いて行ってしまう。先生もそのあとを慌てて追いかけた。
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エレベーターに乗り込むと、難しそうな表情をしていた彼女が口を開く。
「先生、恐らくですが今の私たちの状況に見当がつきました」
’うん? 今のって?’
「……気付いていらっしゃらないのですか?」
’もしかして、例の記憶の話?’
「ええ、私は以前、先生のそれを予知夢のようなものと推定しましたが、どうやらそうではなかったようです」
’というと?’
「お気付きかもしれませんが、今の状況は二日前、私と先生が初めてお会いした時に酷似しています」
確かにそれは先生自身も感じていたこと、さらに言えばその当時も先生は似たようなことを考えていた。
『一度観た映画を始めから観ているような』そんな違和感、それをもってリンが出した結論が【予知夢】だったはずだ。
「先生、時計をご覧になりましたか?」
’いや、見てないけど……?’
「現在時刻は9時8分、ですが重要なのはそちらではなく日付の方です」
そこまで言われてようやくリンの言いたいことが理解できた。それはつまり――
「キヴォトス標準2021.02.04……私と先生がお会いしたはずの日付。私の認識が間違っていないのであれば」
’まさか…………’
「時間が……巻き戻っています」
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エレベーターを降りると、一人の少女がこちらに気付き、
「ちょっと待って! 代行! 見つけた、待ってたわよ! 連邦生徒会長を呼んできて! ……うん? 隣の大人の
ここ数日で見慣れた顔。ミレニアムの生徒会役員である早瀬ユウカがそこにいた。リンが頭痛を堪えるような仕草をすると共にこぼれる溜息。
「はぁ……覚悟してはいましたが、またですか」
To Be Continued…