ユウカたちは前回同様に何も覚えていなかった。
まずはシャーレへ向かうことを最優先として、リンは
「先生?」
’いや、そういえばワカモがいるかもなって’
「はい? ワカモと言うと……確かに矯正局を脱獄したという話はありましたが、前回はそのようなことは…………いえ、まさか?」
’そう、前回はいなかった。でも、もしこれが予知夢ではなくてタイムリープだって言うなら、俺には前々回の記憶があることになる’
「なるほど……そして前々回ではこの先にワカモがいた、と」
「ちょっと? 二人とも何の話をしてるの?」
前回と前々回に誤差が出たのは恐らく時間が原因だ。前回は
「あらあら? 随分とお早い登場ですこと」
ドキリ、心臓が跳ねる。
ギギギ、と音がしそうなそぶりで振り返るとそこには案の定、
’……ワカモ’
「? あなた方、珍しいものを連れていますねぇ」
「気を付けてください! 狐坂ワカモ、矯正局を脱獄中の要注意生徒です!! 何があっても先生を守ることを優先して!!」
「あら……連邦生徒会がそこまで守りたがるものですか……フフッ、ウフフフフフフ!」
次の瞬間、ワカモの姿がかき消える。
’えっ?’
ダダダダダダッ!!次いで鳴り響く銃声。ユウカがワカモに対し射撃したものの命中はしていない。ワカモは銃弾を躱しながら、猛スピードで先生に向かって突進してくる。
「くっ! 早い!」
「完全に先生を狙われてるじゃない!! 代行が余計なこと言うから!」
「はぁ、こんなものですか……期待外れで――」
「はぁっ!!」
横合いからスズミが回し蹴りを放つ。ワカモは銃を盾にして受け止めると勢いのままバックステップで距離をとった。が、着地と同時に轟音、ワカモの体が弾き飛ばされる。どうやらハスミがタイミングを合わせて射撃したようだ。
「っ!」
「先生、今のうちに」
リンが隙を見計らって先生を地下室に案内する。先生は心配そうな表情で交戦中の生徒たちを見るが、ここにいたところで足手まといになるだけなのは目に見えていたため、大人しくリンと共に地下室に避難することにした。
「ふぅん、逃げられると思っているのでしょうか? まあいいです。もう少し遊んであげましょう」
狐面の下で少女がにやりと顔を歪めた。
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’ここまで来ちゃったけど……もしもワカモに追ってこられたら逃げられないんじゃ?’
「はい。ですからあの方たちがどうにかしてくれることを祈るしかありません。そんなことよりも私たちがやらなければならないのは……」
そう言ってリンが壁際のデスク、【シッテムの箱】があるであろうそこへ向かう。
「……! これは……」
’どうしたの?’
リンが取り上げたのはシッテムの箱。しかし、その筐体は
’あれ? それ……’
リンから端末を受け取る。
「それが黒く変色したのは前回先生が触れたタイミングです。本来ならば元の色に戻っているはずですが……」
試しにボタンに触れてみると、ポンっという電子音とともにシッテムの箱が起動する。
「!?」
画面の中では相変わらず全裸のアロナが眠りこけていた。先生が画面を叩いてアロナを起こそうとした時――
ガシャン!と、入り口のドアが乱暴に開かれた音が耳に入る。先生が恐る恐る振り向くと……直後、銃を構えたリンの身体が大きく吹き飛ばされた。
「ウフフフフフフ、残念ですが時間切れです」
そこには、ユウカたちが相手をしているはずのワカモが立っていた。即座に先生が逃げの姿勢をとる、が、突如衝撃、一瞬の浮遊感と共に先生は意識を失った。
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意識が覚醒する。辺りを見渡すが周囲は薄暗く、朽ちたテーブルやら椅子やら――
’うわぁっ!?’
座り込んでこちらをじっと見つめる狐面と目?が合った。
To Be Continued…