周囲を警戒しながら走るユウカを先頭にして、先生たちはシャーレの部室を目指し走っていた。
「もうシャーレの部室は目の前よ!」
『今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました』
先生が持った無線機からリンの声が聞こえる。彼女は状況の調査のため、一時的に車内で待機することになったのだ。
『ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。似たような前科がいくつもある危険な人物なので、気を付けてください』
’脱獄……? 前科……? まあいいや、リンちゃん、その人の見た目とかはわかる?’
『情報によると狐のお面を着けた黒い制服姿の生徒だそうです。この先で彼女と遭遇した場合は先生の安全を第一に。皆さん、よろしくお願いしますね』
「わかってるわよ! 先生、私たちから離れ過ぎないでくださいね!」
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――数分後
「騒動の中心人物を発見! 対処します!」
「フフ、連邦生徒会の子犬たちが現れましたか。お可愛らしいこと」
狐の面に黒い着物風の制服。リンが言った通りのいで立ちの少女は、銃口に直刀を括り付けた妙なライフルを肩に担いでおり、戦闘態勢に入るハスミたちを目にしても、余裕そうな態度を崩さない。
「これは痛いですよ! 手榴弾、投げます!」
「目標補足。攻撃します!」
スズミとハスミが立て続けに攻撃を行うが、ワカモには決定打が入っていないようだった。
(そもそも、向こうには戦闘意思が無いようにも見えるが……)
「あらあら、この程度なのでしょうか?」
「逃がしません!」
「まだ終わらないわよ!」
引き続き攻撃を続けるが、どこ吹く風と言った様子のワカモ。牽制射撃を繰り返していた彼女は突然動きを止めると、振り向いてそのまま走り去ってしまう。
「逃げられてるじゃない!? 追うわよ!」
「いいえ、生半可な行動をしてはなりません。私たちの目標はあくまでも、シャーレの奪還。このままシャーレのビルまで前進するべきです」
「……うん、まあいいわ。あいつを追うのは私たちの役目じゃないってことね」
「罠かもしれませんし」
「はい。建物の奪還を優先で。このまま引き続き、進むとしましょう」
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「よし! 建物の入り口まで到着!」
ゴゴゴゴゴゴゴ――
「……うん? この音は……」
「気をつけてください、巡航戦車です……!」
どこから現れたか、迷彩柄の大型戦車がユウカたちの前に立ちはだかった。
(戦車!? あんなもんまであるのかよ!?)
「クルセイダー1型……! 私の学園の正式戦車と同じ型です」
「不法に流通されたものに違いないわ! PMCに流れたのを不良たちが買い入れたのかも!」
「つまりガラクタってことだから、壊しても構わないわ!! 行くわよ!」
――そんなやり取りも束の間、一瞬の後には彼女たちの前には無残な残骸と化したクルセイダーが横たわっていたのだった。
「着いた!!」
「はい」
『【シャーレ】部室の奪還完了。私も、もうすぐ到着予定です。建物の地下で会いましょう』
目の前にはやたらと窓の多い少々独創的なデザインのビルがそびえている。
’これがシャーレ……’
「行きましょう、先生」
’ああ!’
ビルに入ってすぐに地下へ続く階段が見える。
(リンちゃんは地下で会おうって言ってたよな……)
「先生、周囲には十分気を付けてください」
’了解。悪いけど何かあったときはよろしくね’
「念のため、私が先生の前を歩きますから。ハスミさんとスズミさんは先生の後ろをお願いね」
「わかりました」
「任せてください!」
そう言ってユウカが階段を下りた先にある金属扉を開く――
「……先生!! 下がって!!」
「あらあら……またお会いしましたね。フフフ」
狐の面に黒い制服。この騒動の元凶と言われる生徒、ワカモがそこにいた。
To Be Continued…